【JIMTOF2018まとめ①】「工作機械編」~特別レポート~

 「日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)が、11月1日(火)から11月6日までの6日間、東京ビッグサイトで開催され、JIMTOF史上最大の5,525小間で、先端技術がつまった製品を世界に向けて発信し、入場者数は過去最高の15万3000人を突破した。具体的な商談に結びついた例も多く見られ、会場内では本気の設備投資意欲に溢れていた。通常は混雑のピークをみせる土曜日も、今回は金曜日の来場者が多く、この現象を“働き方改革”の影響と見ている向きも多かった。前回同様、将来性の観点からIoTを視野に入れた展示が目立ち、特にロボットを活用した自動化ソリューションをはじめ省人化、加工工程短縮にみる経済効果へのアプローチや製造現場の課題解決に向けたソリューションを提案していた。各社における“つながる社会”への貢献はますます高まりをみせている。

工作機械編:アマダグループ<アマダ/アマダマシンツール/アマダサンワダイヤ>、オークマ、OKK、岡本工作機械製作所、キタムラ機械、黒田精工、清和鉄工、DMG森精機、ナガセインテグレックス、不二越、牧野フライス製作所、三井精機工業、安田工業、ヤマザキマザック、碌々産業)

181202機械1MEISTER G3 UP アマダグループ<アマダ/アマダマシンツール/アマダサンワダイヤ>は、グループの総合力を見せつけた。まず目についたのは、進化を遂げた新商品「ENSIS3015 AJ(9kW)」。なんと鉄板25mmを1秒で穴開け! 「厚板加工の速度・品質・コストを克服した!」と同社も自信が溢れるマシンだった。注目したのは新製品の高精密成形研削盤「MEISTER G3 UP」。これは全自動1チャック5面研削システムで、大径から小径砥石まで用途に応じた自動交換ができるもの。ATC・AWCストッカーを搭載し、多関節ロボットが砥石・ワークの自動交換を行ってくれるので高能率生産が可能になる。他にも斬新だった新製品は、新素材を高品位かつ高能率に切断できるダイヤモンドバンドソーマシン「DBSAW500」。石英ガラスをとても薄く切断していく様は圧巻! 次の展開がとても楽しみだ!

181202機械2MCR-S 未来へ向かった取り組みが著しかったオークマでは、大きな5面加工門形マシニングセンタ「MCR-S」に来場者は足を止めていた。この特長は、平均連続送り20m/minの高速送りで加工時間を25%も短縮するという。また、加工データのバラツキを補正し、手仕上げ工程の時間を削減するのも魅力だ。同社で最も画期的だと感じたのはロボットとの“超融合”が見られたこと。工作機械とロボットを完全融合させた「LB3000EXⅡ ARMROID」は、熟練作業者の加工ノウハウをロボットが代行し、位階操作と同じ感覚でロボットを操作するというデモ加工があった。「時間外業務ゼロを支援する」とうたっているだけあって、昼は作業者による多品種少量加工、夜間はロボット自動化セルで量産加工も実現できるという話題性も抜群で、写真撮影が困難だったほど!

181202機械3VC-X350 OKKは5軸制御立形マシニング「VC-X350」と自動搬送台車、ロボットアームを掛け合わせた省力化を提案。加工したワークをロボットアームで取り出し、加工が完了したワークを自動搬送台車で運ぶ。多品種対応の煩わしい段取り替えのロスを最小限に抑えるうえ、“投資も最小限”に抑える治具クィック交換システムが嬉しい。また、同社では品質安定化技術にも注力しており、環境熱変位補正に、マシンに実装されたセンサーから得られる温度変化上方をもとにリアルタイムで加工点の変位を補正する「ソフトスケールCube」を提案しているが、今回これに新しく“被削材別補正機能”が付いた! 被削材と加工機械の線膨張係数の違いを補正する。


 
181202機械4全自動平面研削システムSELF 研削加工全体の提案をしていた岡本工作機械製作所。今回は「研削革命~TOTAL SOLUTION OF GRINDING~」をテーマに合計7機種の研削盤を展示した。同社は研削盤メーカーでありながら研削盤だけでなく砥石・研削液・チャック・加工ノウハウ・周辺機器を含めた研削加工全体の提案を行って来場者が持参する課題に解決型の提案を行い大好評! 全自動の提案を2通り分けて展示、「全自動平面研削システムSELF」ではセンシング技術とIoT技術を活用した研削盤の自動化に挑戦。研削加工は0.1μmというサブミクロンの精度を実現するため非常に自動化が難しい分野だが、センサー類を活用して数字の見える化に成功、研削の自動化に結びつけた最新技術を展示した。前回JIMTOFから更に進化して段付き平面加工・振動・熱の見える化に挑戦した同社、近未来の研削盤の提案で見る者を魅了した。

181202機械5Medcenter 5AX 中小企業の味方的なマシンを展示していたキタムラ機械は、独自性という点ではキラリと光っている。遠隔機械稼働管理アプリ「Anywhere-Remote」(商標登録)は、加工完了を予測して知らせるAI機能の他、スマートフォンやPCで世界のどこでも即時に機械の稼働状況を把握できる画期的なシステム。これがあれば心配することなく海外旅行だって行けてしまう。そして注目のマシンは、「Medcenter 5AX」。なんと2mの奥行きしかないコンパクトさでありながら、3万回転の高速主軸回転標準装備! ツールは省スペースでありながら40本も収納できる。機械の後ろに回ってみると、なんと、ツール20本を2段にしている工夫! 省スペースでありながら使い安いマシンの提案は、まさに隙間を突いたマシンだった!

181202機械6GS-86CVs 見どころが豊富な黒田精工のマシンは2台展示されていた。左右送り機構に同社製高精度ボールねじを採用した同社史上最小サイズの成形研削盤「GS-30Vs」は、省スペース・省エネルギー・エコロジーが特長だ。もうひとつは、豊富なアプリケーションによる操作性向上と自動化に貢献する新シリーズ第一弾の精密平面研削盤「GS-86CVs」。特にこだわり抜いたというのは操作性。作業姿勢が取りやすいハンドルはもちろん、ワークの脱着や覗き込み動作、加工作業時に自然とハンドルやスイッチ、画面に手が届くという人に優しい人間工学に基づいたレイアウトが魅力だった。新技術として、消費電力をダウンさせるために左右送りにACサーボモータを採用し、自社性精密ボールねじダイレクトドライブ機構によりフリクションロスを低減した高効率駆動も実現している。

181202機械7Artis HB056 清和鉄工の注目したいマシンは「Artis HB056」。従来のHBシリーズ機と同様に剛性を最優先させクローズドループ構造を踏襲している。同社が自信をもって自負しているのは“価格以上の価値”。高剛性構造はもちろんのこと、スラントベッド構造による快適な作業性とスムーズな切り屑処理が特長だ。このマシンのビルトインスピンドルは、ホブ軸MAXで6000回転、ワーク軸MAXで1000回転。高速・高精度・高効率を誇っている。また、オプションで熱処理後のワークのブツ切りおよびスカイビング加工もできる。最長500mmのシャフト状ワークの加工も可能だ。

181202機械8「NTX2500|700」 JIMTOF史上初となる東8ホールでの単独展示を行ったDMG森精機。今回、同社のお陰で人の流れが変わった! と言わしめるほどこの展示は大成功との声も多かった。混雑を予想し、前回よりも通路スペースを多く取ったとのことだが、大勢の来場者が押し寄せる人気ぶり。まず目に飛び込んできたのは、「DMU340 Gantry」。日本初披露となる大型の5軸加工機だ。このマシンは同社のデジタルツインの技術を活用し、かなりの部分をシミュレーションで行い開発期間を短縮することに成功している。これで培った技術を顧客に展開していくことも計画しているとのこと。その他、「NTX2500」にも要注目! このマシンは刃物台が回転するものだが、機械の中にセンサーが埋め込まれ、なんと工具の温度センサーを用いてAIを使った熱変位補正がなされている。今後ますますセンサーを活用した熱補正技術は高まりをみせるだろうと感じた。

181202機械9SGi 520α 新規開発5機種を初披露したナガセインテグレックスは、“10年、20年後も価値の変わらない加工システム”をモットーに開発しており、展示しているマシンはS/N比が高く、優れた繰り返し再現性を発揮するのが特長だ。ブースでまず目を奪われたのは、キャリアの中にワークを置くだけでセッティングが完了する「NSF440WS」。6面体の基準となる2面を同時に超精密研削加工ができる未来志向のマシンだ。オプションの多関節ロボットによるワークの自動供給にも対応していた。もうひとつ注目したのは“可能な限りの無駄をそぎ落としてたどり着いた理想的な機械構造”と自信を見せた超精密成形平面「SGi 520α」。独自の非接触油圧案内と高出力リニアモータの組合せでサブミクロンの形状精度、ナノオーダの加工品を実現する。平面・溝・成型・コンタリングまでマルチに対応。従来機の44%の省スペース化を実現していた。

181202機械10「GMS200」に「バリ取りセル」 不二越は機械も同社ならではの総合力を見せつけてくれた。目に付いたのは工程集約型歯車複合加工機「GMS200」。驚いたのは世界最小!(同社調べ)というそのコンパクトさ。ハードスカイビング加工で焼入れ済み歯車の高精度加工ができ、小規模設備での多工程・多品種に対応している。しかも、同社製ロボットと組み合わせてワーク搬入を自動化もできる。このマシンの横には、これまた同社のロボット「MZ07」を活用した「バリ取りセル」があった。エアフローティングユニット付きスピンドル、バリ取りに必要な機器をパッケージングしている。ツール設定、加工条件出しもセットで提供してくれる。バリ取りも、ファインテクノ製エアフローティングユニットAFを採用し、対象ワークの材質や形状などに合わせてエア圧でツールの押付力の変更ができ、全方向からのバリ取りが可能だ。

181202機械11LFS300 牧野フライス製作所のブースは女性の意見を取り入れて展開したという。澄みわたる空気が流れていると思わせるエコな雰囲気の中で、かつてない取り組みを見せつけた。コンセプトステージでは、ロボットが考えて障害物を避けながら進み、マシンの窓もロボットが閉めるといった省人化・自動化を視野に入れた取り組みは画期的だった。数多く展示されている機種の中でも、特に目に付いたマシンは、レーザ加工機「LFS300」(参考出品)で、ジルコニウム、ガラス、セラミック系など様々な材料を加工するためのマシンだ。同社では特に医療産業などへの貢献を考えていた。医療機器は体液や血液が付着すると当然だが全てを交換しなければならない。もし、メスの先端に優れた撥水機能があれば、体液も血液も付着しなくなるうえ、刃先へのダメージも少ない。医師も長い時間手術ができる可能性を秘めているのだ。マキノの未来志向のマシンに期待大だ!

181202機械12GSH200A 三井精機工業のブースで多くの来場者が足を止めたマシンは、精密ねじ研削盤「GSH200A」。このマシンは同社が、「精度、生産能力をそれぞれ倍にする。」という目標を掲げてつくった渾身のマシンなのだ。高精度へのこだわりは、三井らしく、“きさげ”によるV-F摺動面にあるという。ベルト仕様だと振動の原因になるので、砥石軸も主軸もビルトインモータにしていた。ベッドの設計や解析については3次元のCADとCAEをフル活用し、熱解析も行っている。さらに、有効径のばらつきを自動で測定して補正するうえ、ねじの寸法出しも自動化し、段取りの向上も図った。また、難削材加工でも生産性が上がるようにCBN砥石を使えるようになっている。「お客様が育ててくれたマシンです。」というだけあって、使う方の意見をふんだんに取り入れて開発したマシンだった。

181202機械13YBM Vi40 VerⅡ ますます進化を遂げている安田工業。中でも「YBM Vi40 VerⅡ」に注目が集まった。同社製の5軸テーブルユニットを搭載することで円錐加工の真円度で2.32µmという抜群の5軸加工精度を備えたマシンだが、今回は、B・C軸にDDモータ駆動を採用したことが特長(参考出展)。B軸連続運転時の熱変位を75%も大幅低減したという。機械温度制御システムを採用しており、機械のメインコンポーネント内に冷却液を循環させることで熱変位を抑制していることも魅力だ。ワーク積載時の変位も従来機の50%に削減できる。また、旋回中心、回転中心のズレを芯出し装置で測定・補正するソフトウェアを標準搭載しており、5軸加工の精度をより高次元へと引き上げてくれる。まさに高精度加工分野で活躍する来場者にはたまらないマシンとなっていた。

181202機械14INTEGREX e-1250V/85 AG サンダーバードとのコラボで来場者を楽しませたヤマザキマザックは計23台の最新鋭マシンをズラリと展示。ロボットティーチング作業を不要とした旋盤の小ロット自動化システムやレーザ加工機用汎用システム、そしてAIを活用し、生産性や加工面品位の向上など効率的な工場運営を実現するソリューションが満載だった。中でも、複合加工機「INTEGREX」にギア加工とギア計測機能を融合させた「INTEGREX e-1250V/85 AG」は、従来の切削加工に加え、1台でギアスカイビング加工、ホブ加工、エンドミル加工の3種類のギア加工を実現する画期的な工程集約が魅力的。他にも世界初のブルーレーザ積層造形技術と切削加工を融合したハイブリッドな同時5軸加工機「VARIAXIS J-600/5X AM」も、従来技術では困難だった純銅の3D積層造形を実現できるマシンとして注目が集まった。

181202機械15Vision 碌々産業は会期中、「AI MachineDr.」を新たに発表し、話題を呼んだ。これはクラウドを利用した微細加工機に特化したIoTアプリケーション。遠隔医療をヒントに構築したものだという。ミクロン台の超精密加工の安定を維持するための加工に焦点を当てているのが最大の特長だ。また、機械とシステムを活用して作り上げた貴重な時計も展示され、来場者も興味津々の様子。マシンは、荒加工から小径の微細加工まであらゆる加工を1台でこなす超高精度高速微細加工機「Vision」に来場者は足を止めた。このマシンは、各軸ともに2基ずつのリニアモータを搭載し、移動物や案内面への偏荷重を抑制していることが特長。熱対策も徹底しており、コイル内部と取り付け部のダブル冷却を行っている。同社では、ユーザーが常に最高のパフォーマンスで加工に取り組むよう、様々な独自の工夫を凝らしていた。