【年頭所感】全日本機械工具商連合会/東京都機械工具商業協同組合

「今のうちに様々な施策を」
■全日本機械工具商連合会 会長 坂井俊司

 2019年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 平素は全日本機械工具商連合会の活動にご理解、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 昨年は海外の諸情勢について不安要素があったものの、国内の景気は緩やかな拡大基調にあり、我が国の鉱工業生産も比較的堅調であったのではないかと思われます。一方、モノ不足や納期の長期化、また値上げなど好景気であるが上での問題も出てきました。内外の諸問題はありますが、今年もこの景気が継続し国内での生産活動が活発であってもらいたいと切望しています。

 ところで本年5月1日に皇太子さまが新天皇に即位されます。平成の時代も終わり、新しい年号の時代が始まります。思い起こせば平成が始まった1989年はバブル景気の真っただ中にあり、わたくしも社会人3年目で非常に活気もありましたが、何か足が地に付いていない世情だったように感じます。日本経済は直後にバブル崩壊と更にその後に続く「失われた20年」と言われる厳しい時代となり、我々機械工具業界も厳しい波にさらされることになったのは皆さんもご存じのとおりです。「失われた20年」の間にはITバブル崩壊、リーマンショックも経験してきました。

 現在は当時ほどのバブル景気のような過熱感はないものの、多くの企業がリーマンショックから立ち直り、中小の企業含め業績も回復してきています。その中で我々機械工具業界も就労者人口の減少、製造業のサプライチェーンの再編への対応、そして事業の継承など様々な新たな課題に直面しています。これから取り組みが強化される製造業の人手不足と品質向上に対する省人・省力化投資及び加速するIoT化の流れの中で、当然今まで取り組んできた専門性・技術力の向上や、フェイスtoフェイスの営業強化も重要であることは変わりません。しかしながら、我々機械工具業界も業務の合理化・効率化や、将来的にはAIの活用も含めて、いかにユーザー様およびメーカー様から魅力ある存在であり続けていくかを今まで以上に考える必要があります。また機械工具業界で働く方々が魅力を感じる職場づくりと、それを支えるシステムの構築と環境の整備が重要になります。経済環境の良い今のうちに様々な施策を打っていかないければならないと強く感じます。

 また昨年、東京都機械工具商業協同組合では外部講師を招き、「人」「金」「情報」をテーマとした「働き方改革」セミナーが3回開催されました。各地区でも「働き方改革」への取り組みについては難しい課題だとは思いますが、当該セミナーの情報と内容の横展開を事務局にはお願いしておりますので、是非ご参考にしていただければと思います。

 さて今年の10月16日に全日本機械工具商連合会の全国大会が開催されます。今回は9年ぶりに大阪での開催となります。全機工連副会長で大阪機械器具卸商協同組合の中山理事長の主導のもと、企画を進めていただいています。これまで以上に活発で有意義な大会になるのではないかと大いに期待しております。是非とも多くの組合員、賛助会員またメーカーの皆さんも含めてご出席いただければと思います。

 最後になりますが、会員各社のご発展と賛助会員並びにメーカー様各社のご繁栄を祈念してご挨拶の結びとさせていただきます。

「変化は自ら起こす」
■東京都機械工具商業協同組合 理事長 小池達夫

 平成31年の新春を寿ぎ、謹んでご挨拶申し上げます。

 まず始めに昨年は、「北陸豪雪」「大阪府北部地震」「西日本豪雨」「台風20号、21号」そして「北海道胆振東部地震」など、大きな災害が数多く発生致しました。改めて被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 昨年3月経済産業省が公開した「製造業を巡る現状と政策課題」によりますと、製造業のGDPは全産業の2割程度を占め、就労人口も同じように全産業の2割弱となっております。製造業は現在も日本の重要な基幹産業の一つであり、製造業の企業業績は、おおむね2018年も、感覚的には2017年を上回るものと思います。

 製造業の好調さは、私ども機械工具商業界にとっても同様であり、全機工連の調査によりますと、企業業績前年比較で、増加が52%、変わらず28%、減少が19%でした。しかし一方で、一昨年に続き昨年も日本の製造業の根幹を揺るがす品質不正、その他事件が発覚しており、改めて企業の大小にかかわらずJapan品質(商品・サービス)の誇りと信頼性をアピールするする企業活動が重要となっております。

 2019年4月1日から、働き方改革関連法が順次施行されるのはご承知の通りですが、企業に求められることとして、一つ目は時間外労働の上限規制導入、二つ目は年次有給休暇の確実な取得、三つ目は雇用形態に係らない不合理な待遇差の禁止です。どれも、これまでの慣行からすると難しい事ばかりですが、傍観では済まされない問題です。「まず経営者から変わらなければいけない」と言われますが、私も同感で、出来ることから一つ一つ、取り組みを図らなければならない年となります。

 さて、東機工理事長として昨年年頭に、4つの実行策をお示し致しました。理事長になって日が浅かったので自分自身への所信表明でしたが、結果を振り返ると実行に移ったこともありますが、『もっと頑張らなくては』となるでしょうか。
 
 新しい事業を具体的に実施したこととして、組合員の『賃金調査』を初めて行い組合従業員数およそ7,000人のうち、3,000人のデータを集めることができました。参加したお会社にはそれぞれ結果を送り、会社の賃金対策にお役立て頂けるものとなりました。
 
 もう一つ、『東機工組合員会社の社員さんを中心とした活動の拡大』も若い社員さんたちが集まり、経営者は参加できない『ときメイト』を発足させ、大きなイベントを開催致しました。『ときメイト事業』は、これからも色々な方の知恵を借りて、更にしっかりしたものにして行きたいと思っています。

 2018年暮れには、3年後を見据えた『組合運営の在り方』について具体的なロードマップを提案致しました。2019年は、このロードマップに従って様々な議論が交わされることとなります。決して安易に進めるものではありませんが、変わりつつある次代のリーダーの皆さんのために懸命な一年にしたいと決意を新たに致しております。

 何事も過去の踏襲は、下りのエスカレーターに楽をして乗っていると言うことになります。何か対策しなければ、黙っていれば行く着くところは、間違いなく最下階(段)です。『変化は自ら起こす』を自分自身に課して活動して参ります。

 最後になりましたが、本年がここにいらっしゃる皆様にとりまして、更に飛躍の年となることを祈念申し上げ、新年の挨拶とさせて頂きます。

 本年も変わらぬご支援を、宜しくお願い申し上げます。 

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