当たり年

皆様、お正月はゆっくり過ごされましたでしょうか。
わたしは正月早々、食あたりで病院行きとなり、寝込んでおりました。

ことの経緯はこうだ。
忘年会シーズンの12月、暴飲暴食がたたり、胃腸の調子が悪かったので、近所の病院から胃の粘膜を保護する薬と、消化を良くする薬を処方してもらい、クリスマス前には念のため胃カメラを飲んだ。ついでにピロリ菌検査も実施した。胃カメラの結果、医師からは、特別説明を受けることもなく、単なる食べ過ぎとホッとしたのもつかの間、1週間後、ピロリ菌の有無を聞きに再び病院を訪れたところ、菌の保有者と判明した。

幼少の頃から胃腸が弱く、これが唯一の弱点でもあったため、その原因がピロリだとハッキリ分かったので、やっぱりなあ、と驚きもせず、除菌の薬を受け取った。

クリスマスを過ぎても毎日が忘年会だった。大晦日、正月と楽しいことがまだまだ続くため、除菌薬は元旦があけてから飲むことにしていた。クリスマスにはご馳走を食べたし、友人との忘年会も楽しんだ。楽しいことだらけだったけれど、食べ過ぎるとやっぱり胃が痛い。夜中に、あぁ、食べ過ぎなきゃ良かった・・・と何度後悔したことか。

そうして大晦日を迎えた。

地獄への序奏

この日の楽しみは、すき焼きだ。日頃は口に出来ない高級肉を食べられる唯一の日なのだ!

いそいそと俗っぽくモエシャンまで用意し、これまた楽しみにしていたTV番組「ガキ使(ガキの使い 絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時)」を観ながらゲラゲラ笑っていた。

ああ、お腹いっぱい! 幸せ~~♪ 片付けは年寄りに任せてゴロンと横になる。

少々アルコールが入っているので、いつも寝落ちしてしまうから、予め、23:45分に目覚ましをセット。これでもう安心☆

なぜ、夜中にセットするかって?
そりゃ~製造現場ドットコムの更新のためよ。女性ファッション誌風に言うなら、「元旦でも縁起を担いでお仕事をするのがナオミ流」ってとこかしらね。ふふっ。

大量に食べたすき焼きの存在を胃に感じつつもなんとかお仕事を完了し、さあ、ここからは本格的にお休みよ! 元旦は商売繁盛を祈願するため、初詣に行ったり、デパートのセール品をゲットしなければならないわ! 

今年はブラウスが欲しいなあ。たまにはスカートも履こうかな。ミニスカートはとても無理よ、若い子には負けるわ~♪・・・と森高千里の歌のようなことを考えながら、ニヤついて仮眠をとった。

この後、地獄のような時を過ごすとは知らずに―――。

上から下からビビデバビデブー

目覚めて、おせちとお雑煮を食べ、これまた日頃は口にしない高級日本酒を呑んだ。実はこのとき胃の中がモヤモヤして、あまり食事を楽しめなかった。すき焼きを食べ過ぎたことを後悔しつつ、重たい胃を抱えて初詣に出かけ、デパートに行った。

デパートの中には、素敵なお洋服がいっぱい! お客さんも多く、一刻も早く好きなものをゲットしなければ先を越されてしまう。

ひるんではイケナイ! ナオミ頑張るのよ! 

この日は、人混みの中を少しでもスムーズに歩けるようにと全身ド派手なヒョウ柄でキメ込んだわたし。ここまで大胆なヒョウ柄をまとうと、わたしが豹のコスプレをしているか、豹が那須直美のコスプレをしているか区別がつかないくらいだわ。

人間は、見るからに危ない人物を避ける、という習性があるので、この作戦は案外うまくいったようで、悠々と商品を手に取っていたところ、あらやだ! 急に吐き気が込み上がってきたじゃないの。

なんでこんな楽しい時に―――。正月早々デパートの中でゲロを吐いては大変だ。もっとお洋服を見たり試着したりしたかったけれど、なんとか数点ゲットし、会計を済ませた。込み上げるゲロ意を必至で我慢しながら家路を急ぐ。幸いデパートから自宅までは近距離なのだけれど、それでも、もう・・・・出そう・・・・。もう少しで家よ、我慢よ!

込み上げる吐き気と格闘しながら自宅のドアを乱暴に開けた。カバンを玄関に放り投げ、慌てて靴を脱いでトイレへGO! 便器の蓋を開けた瞬間、ゲエエエエエエエと口の中がタイミングよく決壊したのもつかの間、次に襲ってきたのは猛烈な腹痛だ。吐いたあと、慌てて身なりを下げ、急いで便器に座った。ううう、お腹が痛い・・・・・。

地獄の幕開けだった。

虫の息

猛烈な吐き気と腹痛に、今度は頭痛と筋肉の痛みが加わった。全身が震え出す。熱を測ると38.5℃もあるじゃないか!

インフルエンザは高熱と頭痛、筋肉の痛みとだるさで動けなくなるけれど、まだ布団の中でジッとしていられるからマシだ。この苦しみに猛烈な吐き気と激しい腹痛が加わるため、トイレに行かなければならず、これが辛い。苦しくて動けないのに布団から出なければトイレには行けないのだ。ニョロニョロとヘビのように床を這いつつ、涙目でトイレに向かう。

寄せては返す波のように襲ってくる腹痛と吐き気は、散々善良なわたしを苦しめた。上から下からもう大変な有様で、吐いては慌てて便器に座るの繰り返し。脱水が怖いので水を飲んだけれど、身体が受け付けず、すぐに吐いてしまう。あっという間に体力が消耗していく。

これは本当にピロリの仕業なのか!? 胃が急速に悪化したのか。いや、胃が痛いのか、腸が痛いのか、もう分からない。お腹全体が痛すぎる! あっ、猫まで吐きやがった!

我が家は元旦早々ゲロ祭り状態で、年老いた親も迷惑そうな顔をしている。

病院に行きたい・・・・でも元旦の夜。布団の中で虫の息となったわたしは眠ることもできなかった。気を紛らわそうとスマホをいじるも、すぐに力尽き、またスマホをいじる、を繰り返す。じっとしていると痛みが襲ってくるし、もう、いっそ殺してくれ~! って感じ。

暴飲暴食の成れの果てにしては、あまりにも症状が激しすぎる。
翌日、胃カメラを飲んだ近所の病院へ電話をして診察をしていただいた。

食べたものや経緯を一通りお話しすると、イケメンの先生は言った。

「こんなに激しい症状は、胃炎とは違います。おそらく食あたりでしょう。」

点滴の処置をしている間、ボーッと病院の天井を見つめながら、正月早々食あたりをした自分に腹が立った。貴重な休みを布団の中で過ごさなければならないとは情けなさ過ぎる。

己の運の悪さに涙目

というわけで、正月休みだというのにほとんどご馳走に手をつけることなく、好きなお酒も呑めず、強制デトックスにより、辛い日々を過ごしたわけなのです。

ちなみに、30日は外食、31日はすき焼きだったけれど、わたしと同じ食事をした者は誰1人、当たっていない不思議。したがってなにが当たったのか分からない。

これから新年会シーズンですが、いつ何時、こんな目に遭うかもしれません。笑っているそこのアナタ! 他人事じゃありませんぞ。

ものは考えようで、今年は当たり年なのだ、そうに決まってる――と思うようにしています。