平成23年度機械工業生産額(改定)見通し調査がまとまる 日機連

日本機械工業連合会がまとめた機械工業生産額(改定)見通し調査は以下のとおり。

1概況
■平成22年度の生産動向
 日本の機械工業は、前年度からの各国政府による景気対策の効果や、中国・アジア等の新興国を中心とする海外経済の回復に伴う輸出の増加、国内ではエコカー減税・補助金、家電エコポイントなどの政策効果による押し上げ、猛暑効果などに支えられ、生産は緩やかに持ち直した。さらに、企業収益の改善や設備投資の持ち直しもみられ、輸出関連、景気対策関連絡みの機種を中心に増加した。
 こうした中で平成22年度の機械工業生産額は前年度比11.6%の増の68町7034億円となった。
 機械工業の主な動向は次のとおりである。

(1)一般機械
 一般機械の生産額は前年度比(以下同様)29.5%増の12兆7617億円となった。
 機種別にみると以下のとおり。ボイラー・原動機は、内燃機関が輸出を中心に大幅に回復してきたことから全体で8.1%増。土木建設機械は内需が前年度比に底を打ち回復基調に入り、外需もアジアを始めとする各地域で強く持ち直したことから、69.7%増。印刷・製本・紙工機械は、企業の広告宣伝費の縮減、印刷物の少量化、印刷価格の下落があったが、前年度からの反動や東アジア地域の需要回復もあり、6.4%増。湯空圧機器は、油圧機器、空気圧機器ともに輸出の増加により大幅な回復を店、59.1%増。ロボットは、需要産業である自動車や電子・電気機械の回復をみせ92.8増。農業用機械器具は、前年度の緊急農機リース支援事業の反動や米価下落、TPP報道による購買意欲の減少を受けたが、輸出がアジア地域を中心に回復したことから0.2%増。金属工作機械は、国内向けの回復は緩やかなものの、中国をはじめアジア向け需要が好調で、101.5%増。第二次金属加工機械は、国内は回復基調には程遠かったものの、中国や東南アジア地域での好調に支えられ、0.5%増。鋳造装置は、鋳造機械等の設備に過剰感があったものの、ダイカストマシンは需要が大幅に回復し、11.7%増。繊維機械は、中国をはじめとする新興国の回復により化学繊維機械、準備機械、織機、編組機械等、全ての機種で増加し、84.3%増。食品加工機械は、海外では中国を中心としたアジア諸国での設備投資需要があり、国内では一部手控え状態であった設備投資が再開されたことから28.2%増。木材加工機械は、国産材利用進行政策による設備投資の増加と輸出が好調だったことから、39.9%増。事務用機械は、海外の現地生産とそれに伴う国内生産の減少や内需低迷の長期化により、24.2%減。ミシンは、中国や東南アジア等での需要増により65.7%増。冷凍機・同応用装置は冷凍空調用圧縮機、空気調和関連機器、冷凍冷蔵関連機器等で増加し、全体で12.3%増。軸受は、自動車、産業機械向けが回復し、東南アジア向けも伸びたことから、27.2%増。半導体製造装置及びFPD製造装置は、V字回復局面から成長曲面に入りつつあり、液晶TVを中心とした大型の設備投資も行われ、72.7%増加した。

(2)電気機械
 電気機械の生産額は前年度比(以下同様)11.2%増の6兆9574億円となった。
 機種別にみると以下のとおり。回転電気機械・静止電気機械器具・開閉制御装置は、国内での急激な落ち込みによる反動増や中国を中心としたアジア向け輸出が堅調で、12.4%増。民生用電気機械は、生活密着型の製品で安定した買換え需要に支えられ、また電気冷蔵庫のエコポイント制度高価により、10.4%増。電球は、白色LEDの普及により、電球形傾向ランプやバックライト用蛍光ランプが減少し、3.2%減。電気計測器は、電気計器、電気測定器、工業用計測制御機器、放射線計測器、環境計測器のいずれも増加し、全体では32.6%増加した。

(3)情報通信機械
 情報通信機械の生産額は前年度比(以下同様)1.8%増の5兆9656億円となった。
 機種別にみると以下のとおり。民生用電子機器は、薄型テレビのエコポイント制度高価と地上デジタル放送以降への買い換えが進み、カーナビゲーションシステムも廉価タイプが伸びたことから、8.0%増。通信機器は、有線通信機器では民間設備投資が回復しPBXやインターホン等が持ち直し、浴性蛍光にあったキャリアの設備投資も急増するトラフィックへの対応やLTEへの投資が持続したため、インフラ関連機器も増加したが、無線通信機器で携帯電話等が減少したことから、通信機器全体では8.8%減。電子計算機及び関連装置は、パソコンで新OS搭載の発売による企業向けの需要が好調で、教育用のパソコン特需があったことから8.5%増加した。

(4)電子部品・デバイス
 電子部品・デバイスの生産額は前年度比(以下同様)20.0%増の8兆3391億円となった。
 各社グローバルな生産体制の確立も進み、薄型テレビが好調なことによりディスプレイイデバイスや半導体、受動部品や接続部品を中心として波及効果が大きかったことから、電子部品は21.5%増加、電子デバイスは19.3%増加した。

(5)輸送機械
 輸送機械の生産額は前年度比(以下同様)5.1%の27兆7759億円となった。
 機種別にみると以下のとおり。自動車は、国内販売では年度前半にエコカー減税・補助金による押し上げ効果、景気回復に伴う需要喚起があり、後半には補助金終了に伴う反動減と震災の影響を受けたものの輸出において全体として回復基調が継続したこと等から、自動車全体では4.6%増。自動車部品は、自動車市場では上期はエコカー減税・補助金により国内需要が回復し、アジア地域の新興国向け輸出も堅調だったことから6.0%増。産業車両は、フォークリフトトラック、ショベルトラックともに国内外とりわけ海外市場が回復したことから、40.0%増。鋼船は、引き続き安定した高水準の竣工が続いたことから4.5%増。航空機は、発動機、機体部品、発動機部品が減少したものの、期待、装備品が増加し、全体で0.9%増加した。

(6)精密機械
 精密機械の生産額は前年度比(以下同様)14.0%増の1兆2436億円となった。
 機種別にみると以下のとおり。計測機器は、計測機器は自動車、工作機械向けで回復、分析機器は海外の需要が回復、測量機器は低価格製品が伸びたことから14.5%増。光学機械は、写真機が9.2%増、望遠鏡・顕微鏡が理科教育振興による大型補正予算やアジアの新興国を中心に設備投資が活発化したこともあり14.2%増、カメラの交換レンズ・付属品が12.4%となり、光学機械全体で11.9%増加した。

(7)金属製品
 金属製品の生産額は前年度比(以下同様)9.6%の2兆7259億円となった。
 機種別にみると以下のとおり。鉄構物・架線金物は4.0%減。ばねは、熱間成形ばね、冷間成形はねが共に回復し9.9%増。機械工具は、特殊鋼工具がアジア向けの需要増により57.9%増、超硬工具が中国をはじめとする輸出主導の急回復により46.8%増、ダイヤモンド工具が半導体、自動車向けが回復し40.6%増、機械工具全体では47.2%増、バルブ・コック・鉄管継手は、新興国向けの需要が回復し6.5%増加した。

(8)鋳鍛造品
 鋳鍛造品の生産額は前年度比(以下同様)17.0%増の2兆5638億円となった。
 機種別にみると以下の通り。粉末冶金製品は17.2%増。鍛工品は、自動車向け減税縮小の影響はあったものの堅調、産業機械、建設機械向けも好調、外需では北米、中国、アセアン向けが回復し、21.0%増。銑鉄鋳物は20.5%増。可鍛鋳鉄・精密鋳造品は9.5%増。非鉄金属鋳物は12.3%増。ダイカストは、自動車、二輪自動車、電気機械、一般機械向け全てが堅調で13.2%増加した。

平成23年度の生産動向

 平成23年度の機械工業は、本年3月の東日本大震災による部品サプライチェーンの寸断や電力不足などによる生産への影響など甚大な被害をこうむったが、その後のサプライチェーンの前倒し回復や、夏の電力不足を乗り切ったこともあり、生産活動はほぼ東日本大震災の影響から持ち直してきている。今後も内需は震災復興を柱とした第三次補正予算の成立などを背景に、新鋼需要に支えられ回復基調を辿るものと観られる。他方、海外経済を巡る環境には厳しいものがあり、ヨーロッパの金融危機の今後の行方や世界的な信用不安、新興国のインフレ懸念など海外経済の下振れリスクに加え、歴史的な円高の進行や今冬の電力不足の懸念など、先行き予断を許さない状態である。
 こうした中で平成23年度の機械工業生産額は前年度比0.3%増の6.8兆9036億円となる見通しであり、本年7月公表の当初見通し0.8%増と比べ、今回の改定見通しでは、やや弱含みであった。
 機械工業の主な動向は次のとおりである。

(1)一般機械
 一般機械の生産額は前年度比(以下同様)6.5%の13兆5945億円となる見通しである。
 機種別にみると以下のとおり。ボイラー・原動機は、内需が自家発電設備の需要の高まりや既存設備の維持を目的とした更新需要、外需はアジアや中東向け需要拡大や、環境意識の高まりを背景にしたエネルギー転換等の需要も見込まれ、7.7%増。土木建設機械は、内需の回復基調が続き、外需も新興国のアジアに加え、従来の主要マーケットであった欧米の回復も見込まれ、27.1%増。印刷・製本・紙工機械は、国内が高付加価値設備を除き需要の停滞が懸念されるものの、海外では中国をはじめとする新興国の需要回復がn見込まれることから、3.5%増。ポンプ・送風機・圧縮機は、内需が復興需要や更新需要、外需も新興国や産油国における需要増が期待されることから、5.0%増。湯空圧機器は、油圧機器が建設機械需要が拡大する新興国を中心に、空気圧機器も輸出が中国をはじめとする新興国や欧米で堅調に推移すると見込まれ、13.7%増。ロボットは、引き続き自動車産業や電子・電気機械産業向けが好調で、米国、中国をはじめとした海外需要が引き続き見込まれ、7.7%増。農業用機械器具は、国内で震災や兼業農家層の投資抑制により需要減が続くものの、アジア地域で堅調が見込まれることから、横ばい。金属工作機械は、国内では回復基調が続き、海外もアジア地域で依然として好調が続くことから、25.0%増。第二次金属加工機械は、円高の影響やコスト競争力の問題はあるものの、インド、東南アジアをはじめとして輸出が牽引する形の生産増加が期待され、27.4%増。鋳造装置は、震災の影響により先ゆき不透明だが、回復基調にあり、10.1%増。繊維機械は、織機が海外現地メーカーとの競合により減少が見込まれるが、引き続きアジア新興国やブラジルからの需要が回復しており、化学繊維機械、準備機械、編組機械等の増加が見込まれ、16.1%増。食料品加工機械は、下期に復旧・復興需要が期待されるものの、上期の震災による落ち込みは大きく、2.1%減。包装機械・荷装機械は、震災の影響は受けたものの受注も順調に回復していることから、2.5%増。木材加工機械は、国内が国産材利用振興政策により、海外はロシア、米国の需要が見込めることから、25.6%増。事務用機械は、海外での現地生産が進み、国内生産の減少傾向が続くことから10.6%減。ミシンは中国で需要は減少しているものの、他の海外市場の需要増が牽引し、3.8%増。冷凍機・同応用装置は、冷凍空調用圧縮機、冷凍冷蔵関連機器、冷凍空調用冷却塔で増加するものの、空気調和関連機器で減少が見込まれ、全体で0.4%減。半導体製造装置及びFPD製造装置は、先行き不安によるデバイスメーカーの設備投資や、パネル価格低迷による大型液晶パネルメーカーの投資が抑制され3.9%減少する見通しである。

(2)電気機械
 電気機械の生産額は前年度比(以下同様)0.5%増の6兆9946億円となる見通しである。
 機種別にみると以下のとおり。回転電気機械・静止電気機械器具・開閉制御装置は、震災による電力不足対策として電力用機器の増加が見込まれるものの、円高の進行や欧米の金融不安をはじめ、懸念材料により先ゆきは不透明な上京が続いている。民生用電気機械は、生活に密着している製品で堅実な市場ではあるものの生産の海外シフトが進むとみられ、横ばい。電球は、生産拠点の海外化や電球形LEDランプの普及の影響を受け、一般照明用電球、電球形蛍光ランプが減少すると見込まれ、1.6%減。電気計測器は、工業用計測制御機器が減少するものの、電気計器、電気測定器、放射線計測器、環境計測器が増加し、全体では4.8%増加する見通しである。

(3)情報通信機械
 情報通信機械の生産額は前年度比(以下同様)12.4%減の5兆2262億円となる見通しである。
 機種別にみると以下のとおり。民生用電子機器は、薄型テレビが地上デジタル放送完全移行の需要減少、カーナビゲーションシステムも自動車生産の復調により減少幅は縮小しているものの上期の生産減の影響を受け、全体では19.8%減、通信機器は、有線通信機器ではトラフィック増への対応やLTEへの設備投資は継続し、復興への需要増の兆しが現れてきているものの、キャリアの設備投資は全体的に抑制傾向にあり、無線通信機器では海外メーカー製造のスマートフォン人気は高いものの、国内メーカー製造の携帯電話の需要減は大きく、通信機器全体では7.5%減。電子計算機及び関連装置は、前年の教育用パソコン特需の反動減や低価格化により、7.4%減少する見通しである。

(4)電子部品・デバイス
 電子部品・デバイスの生産額は前年度比(以下同様)1.0%の8兆2576億円となる見通しである。
 スマートフォン向けが好調なものの、上期に工場被災の影響により自動車、電子気化産業向けの供給が滞り、価格競争も厳しいことから、電子部品は1.1%増加。電子デバイスは1.9%減少する見通しである。

(5)輸送機械
 輸送機械の生産は前年度比(以下同様)0.1%の27兆7354億円となる見通しである。
 機種別にみると以下のとおり。自動車は、年度前半には東日本大震災による工場被災や部品調達問題等により向上の稼働率が大きく落ち込んだが、後半には為替の影響はあるものの輸出の増加、国内販売の回復により生産が持ち直し、自動車全体では横ばい。自動車部品は、自動車市場で上期は震災や夏期電力需要制限の影響により厳しかったものの、下期は持ち直しや海外での需要増により部品生産も回復が見込まれ、横ばい。産業車両は、フォークリフトトラック、ショベルと楽ともに為替と景気の先行きに不安はあるものの国内は緩やかに増加、海外も新興国市場を中心に伸びると見られ、8.6%増。鋼船は、手持ち工事の減少により操業を緩やかに落としていくことが見込まれ5.6%減。航空機は、期待、装備品が減少するものの、発動機、機体部品、発動機部品が増加し、全体で6.4%増加する見通しである。

(6)精密機械
 精密機械の生産額は前年度比(以下同様)6.8%増の1兆3284億円となる見通しである。
 機種別にみると以下のとおり。計測機器は、軽量機器、測量機器ともに震災の影響を受けたものの、下期に復興需要や海外での回復が見込まれ7.4%増。光学機械は、写真機が4.6%増、望遠鏡・顕微鏡が上期は震災による部品調達の遅れ、下期はアジア地域での伸びが見込まれ横ばい、カメラの交換レンズ・付属品が6.2%増、光学機械全体では4.9%増加する見通しである。

(7)金属製品
 金属製品の生産額は前年度比(以下同様)2.6%増の2兆7979億円となる見通しである。
 機種別にみると以下のとおり。鉄構物・架線金物は2.0%減。ばねは、需要先の7割近くを占める自動車向けが上期に厳しく、2.2%減。機械工具は、特殊鋼工具が下期に自動車向けで伸びが見込まれ9.8%増、超硬工具が国内は不透明さがあるものの、引き続き中国をはじめとする輸出が堅調で4.2%増、ダイヤモンド工具が精密切断用は厳しいものの、自動車向けが回復基調にあり3.8%増、機械工具全体では5.1%増、バルブ・コック・鉄管継手は、震災の復興需要と新興国向けの輸出増で7.3%増加する見通しである。

(8)鋳鍛造品
 鋳鍛造品の生産額は前年度比(以下同様)1.1%増の2兆5918億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。粉末冶金製品は2.0%増。鍛工品は、産業機械、土木建設機械関連および復興関連需要が堅調、自動車関連向けも下期に本格稼働が期待されており、4.2%増。銑鉄鋳物は横ばい。可鍛鋳鉄・精密鋳造品は4.8%増。非鉄金属鋳物は6.2%増。ダイカストは4.6減の見通しである。

*この調査に関する留意事項
1.今回の調査は平成22年度の生産額および輸出額の実績と平成23年度の生産額の見通しに関するもので、調査時点は本年9月である。このため、タイの洪水による影響は織り込まれていない。

2.この調査は機械関係の各機種別工業会に対して所定の様式によって回答を求め、必要に応じてヒアリングを行い、これを同会が本表の分類にとりまとめたものである。工業会から提出された機種・品目群の数値についても、一部には本票の分類定義と一致しないものもあるので、必要に応じ本表の分類定義に合致するよう調整を加えてある。

3.本表の機種・品目群の分類は経済産業省の生産動態統計の4桁分類に基づき、これに国土交通省所管の鉄道車両・鋼船を加えてある。

4.生産額は原則として生産動態統計ベースによっており、また、輸出額は概ね通関ベースによっているので、機種によっては生産統計と貿易統計の間に品目分類の定義あるいは統計の把握率に大きな差のあるものもあるため、そのまま単純に比較できない。

5.輸出については平成19年1月よりWCO(世界税関機構)が輸出品目表を大幅に改定したため、前年度との比較ができなくなった品目群がある。