「常に前向きに進む」 超硬工具協会

超硬工具協会(理事長=田中啓一氏)は1月12日、東京・丸の内の銀行倶楽部で「平成23年度超硬工具協会賞」表彰式並びに新年賀詞交歓会を開催した。
受賞者は業界功労賞1名、技術功績賞18件、作業・事務・生産技術等の改善賞5件。

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田中理事長
田中理事長
第一部の超硬工具協会賞表彰式では田中理事長からそれぞれの受賞者に賞状が授与された。
表彰式の終了後、新年賀詞交歓会が開催され、田中理事長があいさつした。
田中理事長は、「一年前の賀詞交歓会に出席したときには、まさかあのような出来事が次から次へと起こるとは想像もしておりませんでした。大震災以降、東北を中心に大変なご苦労をされている方が多く、できるだけ支援させていただきたいと思っています。私ごとで恐縮ですが、関東大震災が起きた時、私の家が家から近いものですから、どの程度の津波がくるのか調べてみましたら、10メートルの津波でも人的被害がゼロだということでした。ですが、よくよく当時の状況を調べてみますと、当時は農地だったのです。田畑ですので当然人はおりません。人的被害はゼロとのことですが、決して安心できません。このようなことに関して相当技術革新が進んでいるようですが、それでも予知が完全にできない。原子力発電所の事故でも想定外という言葉がありました。予知ができない天災においてはできるだけの準備をすべきだと思っております。事業についても、お客様の事業の動向や市場の動向を考え、対応はできます。悲観的になることも多かろうと思いますが、われわれのように事業をやっている人間にとっては、常に前向きでなくてはならないと思っています。世の中全体を見ても、ご承知のごとくリーマンショック前は米国を中心として機関車となった地域や国がございました。残念ながら現在、機関車となる地域や国がございません。中国も苦戦しているようです。われわれ超硬工具協会も11年度の上期に1453億円の出荷をしております。9月時点で皆様に下期の見通しを伺いましたところ、協会といたしましても3000億強という見通しを出させていただきました。超硬工具協会は当然技術を生業として生きています。ぜひ、この点を基本から返り見て技術革新を行い、超硬工具協会がさらに発展することを新しい年にあたり期待しております」と年頭のあいさつを述べた。

エネルギーを核として新しいビジネスチャンスが生まれる

藤木課長
藤木課長
来賓を代表して藤木俊光経済産業省製造産業局産業機械課長があいさつした。この中で藤木課長は、「昨年1年は、東日本大震災、原発事故、夏の台風、円高、タイの洪水等いろいろあったにもかかわらず、日本の産業界では大変なご努力をされ、災害に負けないで乗り越えて来られました。ぜひ、今年を良い年にしたいと思っております。その中で、私ども日本という国で産業基盤を立て直していくのが重要だと思っています。われわれはエネルギーを核として新しいビジネスチャンスが生まれて来ると考えていますので、この方向性を皆様と一緒になって考えていきたい。また、グローバルマーケットでしっかり商売をしていく、この取り組みも重要です。昨年秋にTPPの議論がありましたが、たとえば日中韓、EU、わが国としてしっかり対応していくという一年になるのではないかと思います。皆様方が国際市場においてしっかりと仕事をしていただく、そのための基盤づくりを私どもも取り組んでいきたいと思っております。さて、為替も問題ですが、資源高も進行しております。特に超硬工具の業界ではタングステンを中心とするメタルの上昇はわれわれも考えて行かなければなりません。供給構造や需要をしっかりと戦略的に考えて行くことが重要でありますし、協会の皆さまにもご協力いただいておりますリサイクル、省資源も取り組んでいかなければなりません。このような中でしっかり日本の産業基盤を固めて、日本の産業経済を引っ張ることにつなげていきたいと思っております。ぜひ、皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます」と述べた。

「開発と生産技術のドッキングが強み」とエンジニアにエール

吉村氏
吉村氏
協会賞代表謝辞を業界功労賞受賞者の吉村寛範氏が述べた。吉村氏は、「本日は名誉ある業界功労賞を受賞させていただき、また、多くのエンジニアを表彰していただき誠にありがとうございます。私は1971年に三菱マテリアルに入社いたしました。以後、39年間、超硬に従事してまいりました。仕事は主に研究開発でした。思い出はセールスで海外に行ったことと、特許をかなり書いたこと。退職時に担当者に“私の特許はどのくらい出願したのか”と尋ねたところ、“245件あります。177件が登録になってます”との返答でした。それから協会といたしましては2007年に理事長を拝命しました。その時は超硬が成長期で2008年の3月だったと思いますが、316億という出荷額をあげることができました。これも皆様の努力の賜物であり、新記録だったと記憶しております。ですが例のリーマンショックで10月からはだいぶ落ち込みました。それで翌2009年の3月には対前年同期比で60%以上のマイナスというワースト記録を経験しました。まさに天国から地獄で皆様本当にご苦労されたと思います。それでも協会の活動が滞りなく運営されてまいりましたのは、諸先輩方のお陰でありますし、本日ご列席されている皆様のお陰だと私自身感謝しております。超硬業界はグローバルの市場の中では非常に強いと感じております。この強さの源泉は、技術開発力です。メーカーはたくさんありますが、お互いに切磋琢磨して、新製品の開発をやってまいりました。世界で高性能な製品を高品質で安定的に作る生産技術力は日本独特のもので非常に高いものがあります。まさに開発と生産技術のドッキングが強さだと思います。本日受賞された若きエンジニアの方々、これはよき伝統ですので受け継いでいただきたいなと思います」と、受賞者にエールを送った。

鴻野雄一郎副理事長の発声で乾杯した。発宴たけなわのころ散会した。

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