2番じゃダメなんです

ちょっと前まではマシンのトレンドといえば、高品質な多機能マシンだった。ところが、最近は海外向けの“使わない機能を省いた”シンプルマシンの売れ行きも好調だという。
昔の日本が辿った道を新興国が歩いている(小走り?)している状況にも見える。

戦後の高度成長期を支え、日本製品の国際競争力を高めたのは工作機械だ。ハイクオリティな部品や金型の数々はマザーマシンが産んだ。

今年のショッキングなニュースのひとつに28年間首位を守り続けていた日本の工作機械の生産額がドイツにも抜かれ3位に転落したというのがある。トップに躍り出たのは成長著しい中国だが、日本が決して安価な中国産との価格競争で敗北したというわけではない。一昨年9月に起こった米国の金融危機に端を発した世界同時不況の影響をモロに受け、設備投資が減少したことと国内市場の縮小が主な要因だ。

実際、アジアで人気があるのは日本製のマシンだ。価格に惹かれて中国製を購入したベトナムあたりは最近になって、すぐにガタがくる中国製のマシン離れが起きていると聞いた。いくら騙し騙し使っても限界がある。成長が見込める中で生産しても、しょっちゅう故障されてはイラついてくるのが正直なところだろう。少々値段が高くても財布が潤えば耐久性の優れた日本製のマシンに買い替え、生産能力を高めたいはずだ。

日本製の良いところは、耐久性に優れ、加工精度が長く維持できるところ。
急速な発展を遂げるアジア地域は、ここへきて情報家電や車などがグローバルに市場を駆け巡っているが、優秀な企業の多くは日本製の工作機械を使用している。

ところで、工作機械同様ものづくりの基礎をつくる金型業界も国内市場の縮小とユーザーの海外移転、想像を上回るコストダウン要求で苦しい局面に立たされている。

これらの業種が競争力を失うということは、われわれの生活を豊にするための“モノ”に陰りが出ているわけで、日本経済が弱体化していくことを意味している。このまま黙って指を咥えて新興国の追い上げを見ているわけにはいかないのだ。

現在、残念ながら国内市場の縮小は避けられないが、「売る」という観点からいくと、地球上には需要はある。先述のとおり、競争力をつけてきた海外企業が欲しているのは性能が良くクオリティの高い日本製だからだ。

このようなチャンスをモノにするためには資金も必要というもの。特に光る技術は持っているけれど、資金調達が厳しい小規模企業に対しては十分配慮して欲しいものだ。
“貧すれば鈍する”という嫌な言葉があるが、発展性が見込めたり、優秀な企業が鈍しないためにも、海外販路の開拓や、技術開発支援等に対してバックアップも必要であると強く感じている。

現状は、大・中小企業という企業規模だけの“くくり”の中で、優秀な技術を持つあるいは開発努力をしている企業と、そうでない企業がゴッタになってしまって、全体的に沈んでしまっているという現象が起きているのが残念でならない。

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