「世界分散型生産の中で人材育成が鍵」 日工会

日本工作機械工業会(会長=中村健一氏)は、1月7日午後4時より都内のホテルニューオータニで新年賀詞交歓会を開催した。


冒頭、中村会長が参会者にお礼の言葉を述べたあと、「昨年、1月の新年会では6500億円の受注予想でスタートし、夏場には上方修正をして8500億円としました。12月の速報値はまだ出ていませんが、大まかな予測すると昨年の受注高は9500億円強という数字になったと思っております。景気回復をしてきたところでありますが、昨今の円高で採算的には良いというわけではありません。今年の予想値ですが、昨年末の経済調査委員会で1兆1000億円とし、大変微妙な状態が続いております。やはりこの円高は大変な重石であり、輸出企業にとっては海外生産が続いているのが現状です。リーマンショック前は56~7%の輸出比率が今や70%です。海外生産にシフトしているのです。そういった中で、メーカーとしてのレスポンスをどう果たすかという新しい形の展開が必要だと考えます。

取り組んでまいりました人材確保育成、これも多くの方々のご協力ご支援によりまして順調に推移し、500人の学生も集まりました。毎年継続していくことが工作機械業界にとって優秀な人材を確保することになります。人材の育成が定着し、今後も推進していく所存ですが、いずれにせよ空洞化された中から世界分散型生産に入っていく中で、いかに日本のものづくりを支えていくのかということを皆さまともども頑張っていかなければならないと思いますし、またアジアの成長とともに日本の成長もしっかりしていかなければならない。われわれ機械屋というのは良い製品をつくることが全てであります。これまでも幾多の試練を乗り越えて来たわけですから、これからも日本を支え、世界の産業界に貢献するというわれわれの大義は揺るぐものではありません。私にとりましても残された5ヶ月間、全力を挙げて最後の仕事を努めてまいりたいと思います」と挨拶した。

中核の生産基盤は日本国内で確保したい

続いて来賓を代表して鈴木正徳経済産業省製造産業局長が、「昨年6月に菅内閣が発足以来、成長のための政策をどのように講ずるのかを検討し、実行してきた所存です。昨年、国内投資促進プログラムをまとめ、法人税の実効税率5%引き下げということで政府決定をさせていただいたところです。また、併せて環境対策ですが、これについて産業界の方々が大変不安に感じていらっしゃる。この不安を払拭するということで、昨年末、関係閣僚委員会で環境対策について決定をしました。できるだけ産業界の方々の不安を取り除き、世界各国と同じような競争条件で戦っていただきたいということで環境整備をさせていだいているところです。今年の前半には菅総理が年頭の会見で述べられた通り、国を拓くということで、FTA、TPPについて注力したいと考えております。先ほど中村会長が日本と海外比率が7対3になったとしていましたが、私どもは日本国内に確固たる生産基盤を持つべきだと考えております。昨年の12月に低炭素立地補助金という予備費から1100億円ですが、予備費の1割強を投じまして対策を講じたところ、沢山の応募がありました。全体で5300億円の国内投資をするということで各企業の方々がご判断をいただいたところです。これは経済の波及効果ですと約2兆円弱になります。政府も法人税を下げ、環境対策についても不安を取り除き、国内の生産基盤維持に政府としても支援策を講じることを明確にしたところ、海外移転を止め、日本国内に置くと判断された企業の方々が沢山いらっしゃったということです。また、4月からの税制改正で、高効率の工作機械については、グリーン投資減税の対象にするという税制面での措置もあります。海外の需要地に生産基盤を移すことも必要ですが、中核の生産基盤は日本国内に確保したいという観点で政策を打っています」と述べた。

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