魂が抜かれそう

1月27日に財務省が発表した2010年の貿易統計速報によると、貿易黒字は前年の2.5倍の6兆7702億円と大幅に伸び、輸出の地域別はアジア向が29.0%増、中でも中国は27.9%増で過去最高を記録している。これで一応は輸出国ニッポンのメンツをかろうじて保ったと言えよう。

ところで中国のGDPが日本を抜いて世界第2位に躍り出たが、1人あたりのGDPは日本の1/10以下だ。そもそも中国は共産主義国である。そこに市場主義がどこまで浸透するのかまったく予測がつかない。中国が資本主義を目指すことは、今のところ考えにくいのだが、中国のマーケットはとてつもなく大きくて魅力的。当然、先進諸国はこのマーケットに狙いを付け、すでに熾烈な販売競争が始まっている。

一方、中国は日本の技術が欲しくてしょうがない。ご承知のとおり、日本の環境技術はトップクラス。昔の日本を辿っている中国が日本をお手本にしたいのも当然であり、すでにリサイクル技術は国家プロジェクトとして日本の技術導入に力を入れている。これは一例だが、日本の都市鉱山は中国にほとんど持って行かれている。これはなぜかというと、日本の法令上、リサイクル品が集約しにくくなっているからだ。都市鉱山は宝の山にも見えるのだが、残念なことに日本より高い料金で中国に持っていかれているのが現状のようだ。どうやら業者も「値段の高いモンに売るのは当然じゃないか」とのこと。当然だ。

20年ほど前の中国は外貨と技術が欲しいの一点張りだった。今はお金がたくさん集まったので技術に焦点を当てている。言い方が悪いが、今後も金をチラつかせて欲しい技術を奪取していくであろう。
なんとなく魂まで持っていかれるような寂しい気持ちになる。

中国に技術をどんどん売ってしまうのもいいけれど、そうなると日本に一体何が残るのか。日本の強みのひとつにサービスがあるが、サービスだけが残ったって食っていけないだろうと、ふと頭をよぎった。

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