最新鋭工作機械や機器が勢揃い! 植田機械「UMモールドフェア」をレポートする!

金型設備総合商社の植田機械(社長=植田修平氏、東大阪市長田東5-1-18)が1月30日~31日までの2日間、アフターJIMTOFとして「第7回UMモールドフェア」をインテックス大阪5号館(大阪市住之江区)で開催した。工作機械・周辺機器・工具メーカーの前面的な協力のもと華やかに開催されたこの展示会は、業界最新情報を関西から発信する場として現在、大きな注目を浴びている。

「お客様への感謝の気持ちを込めて社内一丸となって全員で盛り上げる」と意気込みをみせた植田社長に意気込みを聞くとともに「UMモールドフェア」をレポートする。



製造現場の架け橋的な役目を担う植田機械の強みを見せつける!

初日はあいにくの雨だったが、多くの来場者が訪れた。記者がUMモールドフェアに足を入れたのは2日目の1月31日(土)。この日は午後から中国・九州地方の来場者もバスに乗ってやって来た。「UMモールドフェア」の特長はなんといっても、JIMTOF2014で大きな注目を浴びた人気機種がゆっくり見学できること。しかも、各メーカーのブースにゆとりがあるうえ、マシンについてじっくり説明を聞くことができる。JIMTOF2014では人混みでゆっくり見学することができなかったソディック社製の金属3Dプリンタも、じっくりゆっくり舐めるように見ることができるのだ。この展示会は、来場者の“もっと知りたい! ゆっくり見たい!”と感じるマシンを集めて広々としたスペースで展示しているという実にシンプルかつ大胆な展示会なのである。

植田社長は、「初日は雨が降ったので来場者が減少すると思いましたが、多くのお客様が来場して下さった。今回も各メーカーには多大なご協力をいただき感謝しています。われわれが常に肝に銘じていることは、自分たちのお金は、半分はお客様、半分は仕入れ先様からもらっていることを忘れるな、ということ。メーカーのご協力がなければ絶対にお客様を満足させられない。これは先代がものすごくしつこく言っていたことで、仕入れ先に断られたら一切、お客様を満足させられないということなんですね。お客様第一だからこそ、これを忘れるな、と。弊社の強みは、直接お客様の現場に入っていくことができること。これは直販だからできる強みであり、フットワークの軽い中小企業の強みでもあります」と話す。

「この展示会で生まれるのは新しい引き合い。そしてなにより嬉しいのは、新規のお客様に出会えること。これもメーカーが新しい情報を持って来てくれるお陰です。良いマシンが市場に出れば、それを必要としているお客様が見に来て下さる。潜在的なお客様にも期待できます」(植田社長)

今年で50周年を迎える植田機械だが、2代目である植田社長が社長に就任して早や2年が経ち、業績も順調に推移していると聞いた。製造業界においては、いくら技術が良くても売る力がないと商品は売れないというのは当たり前の世界だが、この“売る力”について植田社長に尋ねてみたところ、「数字ばかりを追うのではなく、数字の先にあるものを大切にしたい」と即答した。現場の声を細かく拾い集めることができるからこそ、ユーザーとメーカーと植田機械の三位一体が実現し、巡り巡って製造現場に貢献することができるということだ。

女性が扱いやすいマシンが増加。新分野にも注力! 

堀尾 技術部部長
堀尾 技術部部長
最近、関西では大物の工作機械が売れていたイメージがあったが、この点について同社の堀尾 猛 技術部部長に訊ねてみたところ、「関西は医療に特化した地域になりつつあると感じています。従来の金型技術をベースに新分野へ広がりをみせていることも面白い。また、小柄な女性が使いやすい機械もどんどん出てきている。和井田製作所さんの機械はカラフルで女性に好評です。今後もこの流れは進んでいくと見ています。昔の機械は音が凄くて火花や切り粉がたくさん飛び散っていましたが、今はそんな時代じゃない。展示しているマシン群をみても分かります」と女性の活躍を視野に入れたマシン開発に注目しているとのことで、「造っている製品も金型だけでなく、機械の特製を活かして医療分野など新しい分野にどんどん参入していきたい。女性も難なく高度な機械を扱って頂きたい」と意欲を見せた。

さて、植田機械の優位性といえば、“メーカー直”であろう。
万が一のトラブルがあった際には、真っ先に対応することができるうえ、製造現場との架け橋的な役割も大きい。

薮原顧問
薮原顧問
業界では“薮さん”の名で親しまれ、長年、多種多様な加工現場の悩みを聞いてきた同社の薮原 健 顧問は、「お客様に喜んで頂けることが誇りです。利益は自然に後からついてくる。弊社の強みはアフターサービスがしっかりしていること。トラブルがあったら、真っ先に対応できるのはメーカー直の強みです。製造現場から直接お聞きした生の声はメーカーに反映し、開発に活かすことができます。まさにものをつくる世界において、ユーザー、メーカー、商社のハートはひとつだと感じます。この展示会には、加工にこだわる方々が来場して下さる。JIMTOFでは人気機種が人混みでなかなか見られなかったという方も、ここに来れば、ゆっくり見学することができるうえ、メーカーの細かい対応も期待できますよ」と植田機械ならではの強みを話してくれた。

今回のUMモールドフェアに協賛した企業は76社だが、驚いたことは、各ブースで説明するのは、ほとんどがメーカートップクラスの技術営業担当者だったことだ。これは珍しい。この姿勢から各メーカーも「UMモールド」に注力していることが分かる。

熊本精研工業 池内社長
熊本精研工業 池内社長
来場者の一人、熊本精研工業の池内壽孝社長は、「植田機械さんの集客力は素晴らしいものがある。今年は50周年を迎えられるとのことですが、長年、金型設備に特化した商社としての信頼がなせる技だと感じます」と感想を話してくれた。熊本精研工業は、超精密加工・微細加工を得意としており、最近では航空宇宙分野で大活躍。難易度の高い加工を得意とする企業なのだ。したがってチョイスする設備も最先端である。

「私どもは精度を追求するにはどうしたらいいか常に考えています。植田機械さんは情報が豊富なところがいい。有効な人と人とを結びつける役目もされており、そういったご努力が今回の集客力に繋がっているのでしょうね」(池内 熊本精研工業社長)

最先端の展示製品の数々

さて、注目の展示品をいくつか紹介しよう。

アマダが展示していたのは、MF技術大賞受賞製品「SDE8018」。ワークを開展させながら1ヶ所ずつの加工を採用することで、従来工法では4工程分の金型が必要であったものを1つの金型に集約することに成功し、必要荷重が従来の1/10となりプレス機の大幅な小型化をもたらした製品である。

サーボプレスの特長を活かしたインデックス装置と同期させながらの加工は、設備費用や段取り時間などを削減する。

削りのOKKといえば大阪機工。工程集約加工を実現する「VC-X500」が展示されていた。この製品の特長はコンパクトで優れた接近性でオペレーターに優しい構造をしていること。加工エリアを拡大するとともにワークの積載範囲を従来機に比べ60%も向上している。また、円テーブルの回転速度を傾斜軸で2倍、回転軸で3倍と大幅に向上させ、位置決め時間や加工時間の短縮も実現しているマシンである。

西日本で初登場したのは、JIMTOF2014でも注目を浴びたソディックの金属3Dプリンタ「OPM250L」。日刊工業新聞社主催の十大新製品賞を受賞した製品でもある。ソディックグループが所有する全工程の要素技術がワンストップのソリューションを提供するという画期的な技術が詰まっている。金属粉末にレーザー光をスキャンすることで溶融し、その後回転工具でミーリング仕上げ加工まで連続して行える。特にプラスチック成形品の金型製造の3次元冷却配管あ付加リブなど複雑な形状がこの1台で製造できる。

BIGの愛称で親しまれている大昭和精機は、シンクロタッピングにおける機械の同期誤差を補正する「メガシンクロⓇタッピングホルダ」を展示。

同機誤差により発生するスラスト負荷を1/10に低減し、ネジ精度とおおおおタップ寿命の向上が図れる(センタスルー対応)。ムシレが発生していた加工面もこの製品を使えば綺麗な加工面で、通りゲージも奥まで軽くクリアするという、難削材でも美しい加工面が得られる製品だ。




ヘッド交換式工具はダイジェット工業の得意とするところ。展示していたのは「モジュラーヘッドシリーズ」。多彩なヘッドとオール超硬シャンクアーバ「頑固一徹」のサイズの豊富さは業界一を自負している。「頑固一徹」と組合せでスチールシャンクの3倍の加工能率を実現する製品だ。なお、「ミラーボール/ラジアス」はヘッド交換式でありながら高精度を誇る同社のベストセラーとなっている。

独自性、差異性を重視しているナガセインテグレックスが展示していたのは、高精度立形成型研削盤「ZGP・15」。

ユーザーの課題と誠実に向き合って生まれた機種である。
砥石軸上部にドレッサを有した超硬、難削材加工に最適。加工面積は200×150mm、砥石径はφ405~250×幅60mm)。小型ワークの平面研削~仕上げ研削のライン化・自動化を提案していた。構成部品の共通化で納期もコストも大きく削減してくれる。




微細加工工具で有名な日進工具は、多刃形状により、ねじ切り加工の高能率化を実現する無限コーティングシリーズ「Mスレッドミル」をはじめ「アルミ用エンドミル」や「樹脂用エンドミル」など、専門性の高い工具がズラリと並んでいた。目を引いたのは、加工サンプル品である。どれもこれも難易度の高いサンプルであった。


牧野フライス製作所は、高い人気を誇る立形マシニングセンタ「V33i」を展示していた。数ミクロンの精度を要求される金型や高精度部品の加工現場において、暖機運転や補正に頼らずに絶対的な精度を得られるマシンである。高速回転で発生する主軸の熱変位を最小限に抑えており、キャッチコピーは「狙った精度は外さない」。人気が高いのもうなずける。


航空宇宙のイメージが強い三井精機工業は、高精度・コンパクト5軸マシン「Vertex 55X Ⅱ」を展示。

この製品は幅2m×奥行き3mのコンパクトな設置スペースで、最大φ750㎜のワークが積載可能。5軸機でも3軸機と同等の高精度が得られると評価も高い。マイナーチェンジでは省エネ回路や加工時間の短縮に成功し、高精度や高速5軸制御などのパッケージオプションが追加されている。




安田工業は、「YMC430」を展示。超小型精密加工などの加工分野で、超高精度・高い面品位という高度なニーズに応える最新鋭のハイエンドマシンだ。長時間の稼働においても、安定した高精度加工を実現する熱変位対策などを施し、極めて高い精度を確保してくれる。“限りなくフラットなもの”に“限りなく直角なもの”を積み上げていく同社の理念とリニアモータ駆動採用で実現した高精度X-Yテーブルで、低振動と高精度が約束されるという優れもの。

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