【注目の取材メモ】日工会総会終了後の懇親会で首脳陣に聞いてみました。

この間もブログに掲載しましたが、日本工作機械工業会(日工会)の総会で注目した点は、同工業会の副会長であるファナックの稲葉社長が技術委員長に就任されたこと。ちなみに技術委員会というのは、工作機械の技術振興に関する調査研究を所轄する委員会なのよ。

懇親会場で花木会長(オークマ社長)と稲葉副会長(ファナック社長)に今後の豊富や今流行のインダストリー4.0について、コメントをいただきました。

技術委員長に就任された稲葉会長は、「これから戦略を練っていきます。先生方にお世話になっていかなければないですし、これからの“複合材料を使った先端技術の工作機械の創生”については、すごく大きなチャレンジです。日本発信の新しい技術ということで、久々の目玉になると思いますよ」と、なんとも頼もしいコメントをいただきました。

工作機械はモノをつくるモトですから、世の中には工作機械を超える精度の商品はないといわれています。なんていたってマザーマシンですからね。複合材料を使った先端技術の工作機械って、一体どんな感じになるのかしら?

そういえば、カメラの三脚もカーボン仕様のほうが、振動が伝わりにくいことを思い出しました。天体写真を撮ったりするのは断然カーボンのほうがいい。振動が伝わりにくい分、写真がブレないのです。ということは、複合材を使った最先端の工作機械は剛性抜群で、ビビんないってことかしら!? 期待が膨らむわね!

さてさて、最近、やたらとよく聞く“インダストリー4.0”についてですが、すでに日本は、知的生産システムを国際プロジェクトでやっていた実績があるんですよ。

稲葉副会長は、「インダストリー4.0とは国際プロジェクトであるIMS(IMS=Intelligent Manufacturing Systems)のITバージョン。日本はすでに20年ほどやってきたことですが、ちょっとお休みしている間にドイツがうまく利用したな、というイメージがあります。もう一度、日本主導の大きなプロジェクトとして復活させていきたい。ネーミングは私たちが決めることではないのですが、やっぱり“IMS”の名前は大切にしたいと昔のメンバーともそう語っていたんですよ。インダストリー5.0とかじゃなくて、“IMSⅡ”みたいにね」と、これまた力強いコメント。ぜひ、日本主導の大きなプロジェクトに復活して発展して欲しいです! 

さて、このインダストリー4.0やIOTについて、花木会長(オークマ社長)の本音が聞きたい! ということで、聞いてみました。

花木会長は、「ローカルで自分の会社内だけはネットワークができているが工場間、協力会社、仕入れ先等を結合がまだ出来ていないことが課題。ものづくりは中小企業に支えられ、この活力で生きている。最もサプライチェーンが充実しているのは日本。ドイツもそこそこできているが、やはり日本ほどじゃない。この強みをさらに強くしていくのが日本でしょうね」と、製造の段階から商品やサービスが顧客に届くまでの全の繋がりを重視していました。

なるほど!
たしかに、全てのプロセスにおいて充実しているのは日本の強み。製造業のキモな部分の強化になにが重要なのか、まずは考えなければならないということでしょうね。

インダストリー4.0も、IOTも、いろいろ騒がれているけれど、まずは徹底してその目的は何か―――を明確にし、目的を達成するために何をしなければならないかを議論して行動することは重要なことだと思います。

インダストリー4.0もIOTがあっても、目的を達成するためにリスク承知で行動していくことができなければ、どんな素晴らしいシステムをつくったとしても先に進めないと思っている。つまり、ものづくりの本質とはなんぞや? ということね。これは、日本だけじゃなくて、世界中にいえること。

なので、今、まさに日工会がやろうとしていることは、日本にとって、とても頼もしいことだと思っています。

余談ですが、「最近は時の流れが経つのが早すぎる。誰かに加齢を促進させるために呪いをかけられたみたいだ」とぼやいていたら、花木会長が「あるときね、年をとると時間の流れが速く感じるのはなぜか、と分かったんですよ。5才の時の1年は、自分の経験、キャリアの1/5でしょ。50才の1年は50年のキャリアの1年で1/50。だから時間の感じ方が、1/5か、1/50かの違いなんです。おお、これは大発見だ! と思ってね、ある正月の賀詞会で“大発見しました”と喜んで言ってみたら、皆さん賛同して下さったんですが、1人だけ異論があってね、“そのことは数年前にドイツ人が言っていましたよ”ですって(笑)ぼくの新発明じゃなかった(笑)」と、時の流れの不思議についてお話をしてくださいました。たしかに1/5と1/50じゃぜんぜん違いますね!(ちなみにわたしは50才じゃありませんからねっねっねっ)