本間博夫 日本機械工具工業会初代会長 方針を語る「グローバル市場で勝てる集団にしていきたい」

日本機械工具工業会の初代会長に就任した本間博夫氏(不二越社長)が、7月3日、不二越東京本社にて共同記者会見を開催し、会長方針を述べた。

同工業会は「わが国機械工具製造業の健全な発達を図り、わが国産業経済の発展に寄与する」ことを目的に、超硬工具協会と日本工具工業会が統合、正会員77社、賛助館員45社の計122社を会員とする工業会として発足した工業会である。

本間会長は、会長方針として「持続的な成長が見込まれる世界市場において、日本の機械工具産業の強みを発揮・アピールし、確固たるポジションを確立する」としている。



機械工具は産業の米 ものづくりの礎

本間会長は、記者会見の席で、「同じ目標、夢を持った日本の機械工具メーカーが一同に介したわけですから、非常に強く大きな力になっていくものだと思っている」と述べ、「われわれが手掛ける機械工具は産業の米であり、日本のものづくりの礎である」と強調した。

「わが国は自動車、航空機、建設機械、工作機械など世界をリードする製造業が数多くある。その日本のものづくりを支えているもののひとつに、ものづくりに不可欠な機械工具がある。産業界、ユーザーと切磋琢磨しながら技術に磨きをかけて進歩発展していきたい」(本間会長)

また、「今後一層、日本の生産技術の高度化、効率化に貢献していかなければならないと感じている」としたうえで、日本の先行きについては、「自動車ではEV、FCV化の進展、海外への生産移管、新興国市場メーカーの台頭などが想定される。これまでのような国内市場一本足ではわれわれの業界も頭打ちになりかねない」と危機感を示した。

本間会長は、「市場は世界」と位置付け、「当工業会をグローバル市場で勝てる集団、世界のものづくりを牽引する集団にしていきたいと思っている。当工業会には資源、国際環境問題やコンプライアンスなど課題はあるが、まずはグローバル化の進展を方針の第一に掲げて取り組んでいきたいと考えている」と述べた。

具体的な取組みについては、「海外市場に関する情報提供に始まって、販売、生産拠点の海外進出、世界各地の展示会への出展、海外で拡販するための規格整備、模倣品対策など、会員各社の海外への展開を多面的に積極的にサポートしていけるよう工業会の体制を構築していきたい」とした。

全世界の機械工具の市場規模は約2兆円といわれているが、同工業会は現時点で約4500億円規模。シェアでいうと20%強、ダイヤモンド工具を加えても30%には届いていないという現状であるが、「世界市場を視野に入れて日本機械工具工業会会員各社の業容の拡大に精力的に取り組んでいく」と力強く述べた。

世界市場でポジションを確立

会長方針の中のひとつに「グローバル化を推進し、世界市場でポジションを確立する。会員各社が海外で事業展開できるようサポート体制を構築し、国際標準規格への対応と統計類の整備をすすめる」としているが、発足した日本機械工具工業会正会員77社の日本国内の生産金額は4379億円。そのうち年間売上高が100億円以上の大企業は10社であるから、その10社で全体生産額の75%、約3300億円を占めるということになる。さらに大手10社はすでに海外での事業展開を推進しており、その10社の平均海外売上高比率は52%である。いずれも各社決算データから推計をしたものであるが、残りの67社、100億円未満は会社の規模、資金力の問題等で海外展開があまり進んでいない現状を踏まえたうえで、本間会長は、「工具の主要市場である自動車業界では、内燃車からEV車、もしくはFCV化が進んでくる。中長期的には国内製造業のさらに海外生産拠点が進むだろう、となると、国内の機械工具需要は大幅に縮小するだろうと考えている。一方海外、アメリカや中国、その他新興国では、経済成長、製造業の発展、高度化により、長期的な需要拡大が見込めるだろう。いわゆる市場は海外へ目を向けていかなければならないと感じている」と述べ、海外展開をしたくてもできていない中小企業会員に対して「工業会で支援・サポートをしていくと」強い決意を示した。

このような考えのもと、今回、新たに日本機械工具工業会の新設と同時に『国際員委員会』を新設している。

「この国際委員会を通してすでに海外へ進出をしている会員各社の情報をはじめとして、官公庁やシンクタンクなどの海外市場に関する情報を定期的に提供したいと思っている。講習会の開催や海外情報のメールの発信を行っていきたい。海外進出・現地設立に向けて、JETRO、中小企業基盤整備機構、日本機械輸出組合など積極的に紹介をしていきたい。今現在、検討事項として上げているのは海外の展示会の見学、企業の訪問などを検討している。また、海外展示会での共同出展を検討する。会員の統計データを整備し、海外団体の統計を活用する等、現状を踏まえても海外への経済環境はこれから目まぐるしく変わっていくだろう。特に中小企業においては海外市場に対するお手伝いを工業会として、していきたい」と方針を掲げた。

●プロフィール

氏名:本間博夫(ほんまひろお)

昭和45年 4月:株式会社不二越入社
平成13年 2月:取締役就任 東日本営業・営業総括・東南アジア営業担当
平成14年 7月:常務取締役就任 営業戦略本部副本部長マーケティング担当、東日本・アジア営業担当
平成19年 2月:代表取締役副社長就任 ナチビジネス本部長 マーケティング担当 東京事業所長
平成21年12月:代表取締役社長 コンプライアンス委員会委員長 国際営業本部長 兼務
平成26年 2月:代表取締役社長 営業戦略本部長 コンプライアンス委員会委員長(現在に至る)

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