東機工が創立100周年 

東京都機械工具商業協同組合(略称:東機工、理事長=斉藤保男・斉藤機工社長)が5月24、東京・三田の機械工具会館で創立100周年記念式典を開催した。

式典では冒頭斉藤理事長が挨拶をした。この中で斉藤理事長は、「明治43年に東京金物商組合としてスタートしたのが始まりで、現在の名称に変わったのは昭和22年。正式には昨年が100年でしたが、いずれにせよ大変大勢の皆様に協力いただいて100年を迎えることが出来ました。大震災はまだ先行きも見えてこない状況で、当業界への影響もはかりしれません。だからこそ、組合一丸となって頑張っていきたいと思っています。100年の歴史を振り返ると、明治から戦前までは、金物商組合の名称通り、バルブ、ねじなどあらゆるものを供給していました。戦後は機械と工具に特化し、戦後復興の役割を果たしてきました。決して目立つ存在ではありませんが、製造業界を縁の下で支えてきたと自負しています。
昭和30年から40年代のオイルショックまでは、高度成長期で、モノを揃えるだけに専念してきた時代であり、オイルショックはあったが、バブル崩壊までは豊かさを満喫できたいい時代でもありました。バブル崩壊後は、厳しい状況が続き、仲間の倒産や廃業も多々あったうえ、後継者の問題もあり、会員もピーク時と比べ、現在は残念なことに半減してしまいました。現在は、既存のままでは儲かるような商売がしづらくなっている状況です。ITを駆使したネット販売、カタログ販売などの流れもその厳しさに拍車をかけています。また、100年に一度と言われるリーマンショック後は、ユーザーの海外移転も加速しています。その後、何とか回復し、明るい兆しが見えたところで、今回の震災が起き、またも混乱した状況になってしまいました。振り返りますと、優秀なメーカーの製品を供給することで、業界は成り立ってきましたが、今は本当に厳しい状況にあるといえます。ITの発達で、われわれよりもユーザーに価格や納期が先に伝わっていることもあり、このように課題も多いが、一致団結して乗り越えなければならなりません。Face to Faceの必要性、重要性はまだまだあります。ただ、今までと同じやり方では駄目で、独自のスタイルを確立しなければならない。将来のテーマとして、全機工連では、ITへの対応、人材育成、業界認識の向上を掲げていますが、東機工としても協力していきたい。また、100年という長い歴史を今後に語り継いでいくことも必要だと感じています。100年を通過点というのは奢りかもしれないが、次の100年に向け、メーカー、商社とともに、大いなる夢とロマンを持って、力強く一歩踏み出していきたい」と述べた。

来賓を代表して、都築直史経済産業省製造産業局素経済室長(代読:佐野徹同課長補佐)、吉村恵一東京都産業労働局商工部経営支援課長、大村功作東京都中小企業団体中央会会長がそれぞれあいさつした。続いて東京都知事感謝状が組合に贈呈されたあと、豊田健一郎氏(元理事長・勝山精機)、武田都雄氏(元理事長・竹内産業)、片桐信一氏(元常任理事・ジェイエムティ)の3氏に感謝状が贈られた。

左から片桐氏、豊田氏、武田氏、斉藤氏
左から片桐氏、豊田氏、武田氏、斉藤氏

閉会の辞を山森哲朗副理事長(ヤマモリ社長)が述べ、懇親会に移った。

大震災で分かった高度なサプライチェーン

懇親会では田中康造全日本機械工具商連合会会長(喜一工具会長)が祝辞を述べた。
田中会長は、「全機工連の中でも東機工は一番大きな団体です。大阪もあと2年で100周年になります。われわれの業界は100年前に同業者の皆さんが集まった団体なんですね。個人的な話をしますと、私の父は輸入商社に勤めていました。海外から逃げて立売堀に店を出していました。東京へいくと皆さん買ってくれる・・・と父は話していました。東京が中心となってこの業界は発展していったのです。私は先日、被災地に足を運びました。石巻は酷かった。1階は流されてしまって在庫も車もない状態です。注文しても物が入って来ない、助けていただきたい、とのことでした。事務所を2階に移し、携帯で商売をしました。海岸沿いはほとんど壊滅的です。復旧するには時間がかかるでしょうが、頑張るんだ、という気持ちの強さを感じました。ぜひ、在庫がなくなった、商品を流して欲しい、だけどなかなか回って来ない、被災地のわれわれに優先的に商品が回るようにならないか、という話もありました。この未曾有の大災害で混乱した今ですが、100年の間を振り返ると大変な時代の変化がありました。何もない時代もモノを集めて、モノを流通させようと頑張って来ました。日本の産業界を支えるよう今後も頑張りましょう」とあいさつした。

メーカーを代表して石川則男日本工具工業会理事長(オーエスジー社長)が祝辞を述べた。
この中で石川理事長は日頃の感謝の意を述べたあと、「100年の歴史の中で3月11日に起きた東日本大震災も記憶に残る歴史のひとつです。未曾有の大震災が起きましたが、会員に皆さまの中には被災された方もいらっしゃいますが、心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復興を心より祈念いたします。この大震災は日本の製造業が大変高度に管理されたサプライチェーンを切り裂き、日本の中核産業である自動車産業、エレクトロニクスを大きな減産に追い込みました。しかしながら、各企業、関係各位の皆さまの普及不眠のご努力も着実に成果を結びつつあります。最近では部品供給の前倒しという明るいニュースも聞くようになりました。日本の製造業というのは高度なサプライチェーンに支えられたピラミッド構造ではありますが、今後は大震災を教訓になんらかの柔軟性が加えられるものになろうかと思います。私どもメーカーは、日本経済の復興のためにこのサプライチェーンの中でなにができるのか、個々の企業の特長・特色を活かして精一杯やっていきたいと思っています」とあいさつをした。

柏木征彦東京都金物卸商協同組合副理事長(柏木工機社長)の乾杯の発声で和やかな歓談タイムがはじまり、宴たけなわのころ、関谷隆雄東機工副理事長(関谷機工社長)の中締めで散会した。

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