〈年頭所感〉日本工作機械販売協会/日本金型工業会

「営業マン教育の強化に注力」
●日本工作機械販売協会 会長 冨田 薫

 皆様 新年明けましておめでとう御座います。
 健やかに新春を迎えられた事と、謹んでお慶び申し上げます。
 旧年中は当協会に対し一方ならぬご厚情と暖かいご支援を賜り有難う御座いました。あらためて御礼申し上げますと共に本年も引き続き宜しくお願い申し上げます。

 昨年を振り返ってみますと日本人として誇れるうれしいがニュースが多くありました。
まずリオオリンピックにおいて、日本チームは史上最多のメダル(金12個、銀8個、銅21個)を獲得しました。夜中に興奮してTVを見ていたので8月は寝不足になりました。  
また2016年ノーベル生理学、医学賞を大隅良典氏が授与されました。
果して今年は、日本人がどの様な活躍を世界でしてくれるのか楽しみです

 さて、英国のEU離脱の決定(Brexit)とアメリカにおけるトランプ大統領の誕生は本当に驚いたニュースでした。何か世界のパラダイムが変わるシグナルでしょうか? 果たしてこれらが世界経済、日本経済のどの様な影響を及ぼすのか注視したいと思います。

 昨年の日本の工作機械暦年総受注額は、1兆3000億円位でした。内需は政府、県各市町村の設備投資に対する補助金交付効果、投資減税等により約5300億円位になりました。2015年の補助金特需程ではありませんでしたが、まあまあでした。今年も第2次補正予算補助金の批准、交付とJIMTOF効果で、内需は5000億円を超える事が期待されます。

 ここで、JIMTOFを見学して今後の工作機械の方向性につきまして次の5点を挙げたいと思います。
 第1点として、自動車部品向けモジュールマシン(機械幅等が同じで連結変更が容易)。
第2点は低価格5軸制御立型マシニングセンタ(プログラムも比較的容易)。第3点は航空
機向け大型、高速マシニングセンタ。第4点は金属3Dプリンターとその後加工も出来る
ハイブリッドマシン。第5点はI o Tへの対応です。他品種少量のワークをどう稼働率を上
げるかです。センサーとインターネットを組み合せて、総合管理(生産、予知)をする方
向です。上記5点がどの様に発展、進化するのか楽しみです。

 最後に日工販の役割について述べたいと思います。
 まず第1に営業マン教育の強化です。ユーザーの技術的要望を解決出来るプロの営業マンが必要であり、日工販としては、各種教育セミナーを提供して、営業マンのレベルアップに協力して行きたいと思います。IoT全盛の世の中になると、ユーザーとの物の売買も無味乾燥なものになります。

 営業マンのユーザー技術部、購買部との心の通った対応が重要になります。
第2に各種情報の提供です。補助金、助成金、税制改正などの情報を会員各社には迅速且つ的確に提供し、必要あれば関係官庁のご協力を頂きセミナーを開催致します。
第3にメーカー各社の情報及び人脈作りです。メーカーのご協力を得て新製品情報勉強会の開催、またメーカー営業マンと会員各社との情報交換会を積極的に実施し、より一層連携を深めて行くことを目的として取り進めたいと思います。

 上記の内容をひとつ、ひとつ実行してゆく所存ですので、本年も引き続きご支援を宜しくお願い申し上げます。

 最後となりますが、皆様の益々のご多幸とご健勝を祈念申し上げて、私の年頭のご挨拶とさせて戴きます。

「金型企業のモノづくり精神により“稼ぐ力”に転化」
●日本金型工業会 会長 牧野俊清

 平成29年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。
 
 日本の金型業界はリーマンショックによる世界同時不況の影響により大打撃を受けましたが、2010年の底から自動車用を中心に少しずつですが回復を続けています。しかしながら、2007年と比較して、まだ8割を超えたところです。
 
 昨年、グローバル政治は波乱の年で、5月にフィリピンではドゥテルテ大統領が選出、6月に英国がEU離脱、11月に米国の大統領にトランプ氏が選任、12月にイタリアのレンツィ首相の辞任、韓国の朴槿恵大統領の弾劾とありました。特に、世界経済に大きな影響のある米国の大統領にトランプ氏が選任されたことで、保護主義等の懸念より11月2日の日経平均株価は始値17,243円が16,112円と下げましたが、幸いに、米国内投資が増大するとの観測もあり、為替は1ドル103円から114円(一説には120円)に移行し、日経平均株価も19,000円(一説には20,000円)に戻しています。

 懸念を感じますのは、我々の需要業界である素形材産業の景況が、一昨年10月くらいより良くないことです。中国の状況が改善されず、資源国始め世界経済に悪影響を与えています。

 平成29年の干支は「丁酉(ひのととり)」で、60年に一度巡ってきます。「酉」という漢字が持つ意味は、果実が極限まで熟した状態、酉熟(ゆうじゅく)して気の漏れる状態とのことです。丁酉の年は、火の陰と燃えない金属という相反する年であり、何かと矛盾が生ずる可能性があり、円満に物事が進みがたい一年との説があります。

 60年前の丁酉の年は1957年(昭和32年)で、下記のことがありました。
岸信介内閣が成立。国際連合に加盟。欧州経済共同体(EEC)設立条約調印。東京通信工業(ソニー)が世界最小のトランジスタラジオを発売。コカ・コーラ、日本での販売開始。糸川東京大学教授らが、初の国産ロケットの発射に成功。立教大学・長嶋茂雄選手の巨人軍入団決まる。

 神武景気と岩戸景気の狭間でしたが、現在の日本の骨格が形成されたように思えます。
金型に関しては、全国組織「日本金型工業会」の創立総会が11月25日に東京目黒で開催されました。今年は、「日本金型工業会」還暦の年です。
 
 本年11月に創立60周年記念式典を計画しております。本年より始める「金型マスター制度」の認定も計画しております。

 経済産業省では、中小企業等経営強化法等「稼ぐ力」に志向されています。次世代が産業構造の変換の中で生き残り発展するためには必要なことだと思います。「IoT 」( Internet of Things)とか「インダストリー4.0」の活用が重要視されていますが、金型企業のモノづくり精神により「稼ぐ力」に転化ができればよいと思います。
 
 2014年に「新金型産業ビジョン」を作成いたしましたが、営業力(提案力)、海外展開、周辺分野への事業展開、人材確保・人材育成、技術研究開発、連携・提携のキーワードの
重要性はさらに高まっています。
 
 昨年の工業会の総会で、国際金型協会(ISTMA)復帰が認められ、本年はメンバーとして承認される予定です。海外展開、周辺分野への事業展開にご活用いただけたら幸いです。

 日本金型工業会は、現在、会報・ホームページのリニューアル等、サービスの拡充を進めております。真に全国組織としての工業会を目指し、金型シンポジウムを九州地区、北陸地区に続き、昨年は東北地区で開催いたしました。全国からのご入会が増え、金型業界がより活性化することを期待しております。

 緊急事態が続く今年においても、繰り返しになりますが、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素形材産業室始めとした監督官庁、学会の大きな応援により、この難局を、「元気な業界」として乗り越えていきたく思う所存でございます。皆様のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。

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