【注目】小千谷の技能の高さに注目! 21人が国の技能士検定に合格 ~テクノ小千谷名匠塾~

「技術レベルが高水準のまま維持できる」ことが地域の強みと小千谷の魅力を説明。
「技術レベルが高水準のまま維持できる」ことが地域の強みと小千谷の魅力を説明。
 昨年、国の技能検定合格者が発表されたが、小千谷鉄工電子協同組合(理事長=木村敬知 第一測範製作所社長)からは34人が合格し、このうちの21名は同組合が運営しているテクノ小千谷名匠塾の出だ。しかも平成28年度前期技能競技大会受賞者(新潟県内)のトップ3はこの名匠塾が総ナメしたという快挙を成し遂げた。

 新潟県内でも小千谷市は特定分野で高いシェアと技術力を持つ企業が豊富であることが有名であり、特筆すべき点は、「小千谷の製造業はリーマンショックが起きる前も起きた後も現在も従業員数の変動がない」ことにある。これは、この地域が基礎体力のある優良企業が多いことを示しているに他ならない。

 団塊世代の退職や熟練技能者の減少により技術力の低下や技能の伝承が危ぶまれている現代において、これらの課題に対応する組織がテクノ小千谷名匠塾だが、この塾は小千谷地域の製造業界を将来牽引していく人材育成のための機関でもあり、現在、汎用旋盤、NC旋盤などの工作機械ごとに実技・学科を学び、国家技能士の資格習得を推奨している。今回の合格発表で設立してから現在までの技能士合格者数は145人となった。小千谷鉄工電子協同組合・事務局の櫻井貴将氏は、「技能士が増えて熟練技能者から後継者への技能継承がスムーズに行けば、小千谷の技術レベルが高水準のまま維持できることに繋がります」と地域の底力をアピールする。

 最近では産官学連携の「おぢや・しごと未来塾」が「おぢやモデル」として注目されているのも見逃せない。これは中学生に仕事をPRするという画期的な企画で、“鉄は熱いうちに打て”とのことわざにもあるとおり、人材育成への並々ならぬ熱意が伝わってくる。これらの取り組みについて櫻井氏は、「子どもたちには鉄工業界に限らず、仕事に対しての職業選択について早めに興味をもってもらいたいという木村理事長の思いもあって、地元企業の魅力を示して理解を深めようと努力をしています」と子ども達への情報発信も強化すると説明をしてくれた。

 超精密で厳しい品質管理を当たり前のように行い世界中から高い信頼を得ている企業が密集している小千谷地域の強みは、こうした人材育成の取り組みや情報交換を地域で行うことにある。各企業が競争意識を刺激しあうことで互いに切磋琢磨できる環境がこの地域にはあるのだ。櫻井氏は、「汎用品の生産が海外にシフトしている中でも、日本で頑張っている企業が小千谷に集中しています。知識と技術・技能を身につけ、継承していくことは、国際競争力に打ち勝つことにも繋がります」と話す。

 ところが、こうした元気の良い一方で、ちょっとした悩みもあるとのこと。
 「受講希望者が増加する反面、講師の数が足りないのです」と櫻井氏。現役で働いている熟練技術・技能者は日常の業務で多忙らしく、退職者などに声をかけて講師を確保している状態だ。櫻井氏は、「受講希望者を今以上に受け入れたいのですが、講師が足りず対応が困難な曲面もあり、加えて財政難もあります。現在、数値制御旋盤の人気も高いのですが、人数的に講師の対応ができない時があり、悩ましい限りです」とのこと。

 日本の技術が永続し伸びていくためのヒントがテクノ小千谷名匠塾にある。決して派手ではないが、こうした地道な活動は、日本の発展に大きく貢献しているといえよう。テクノ小地谷名匠塾から今年度もどれだけの技能士合格者が誕生するか楽しみだ。

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