【レポート】「ありとあらゆる加工に対応する」 これが三菱マテリアル 中部テクニカルセンターだ! 

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 三菱マテリアル(社長=竹内 章氏)の 加工事業カンパニー(三菱マテリアル常務:カンパニープレジデント=鶴巻二三男氏)は、切削加工ユーザーの技術サポートを目的に、CAM/CAE解析・シミュレーション、切削試験、切削工具の選定とその利用技術の支援、教育研修といった切削工具の総合的なソリューションを提供するとともに、オープンラボとしての機能を併せ持つ「中部テクニカルセンター」を約15億円の総投資額をかけて岐阜製作所内に新設し、6月13日に稼動を開始した。

 充実した設備や先端機器に豊富なデータ、そして加工のノウハウ――。高度な技術を持つスペシャリストを集結し、切削工具の総合的なソリューション提供力を強化する姿勢を前面に押し出した同社の中部テクニカルセンターをレポートする。

皆様とともに“ワクワク”しながら密接な触れ合いができる場

 
170626top1あいさつする鶴巻三菱マテリアル常務・カンパニープレジデント 開所式のあいさつにたった鶴巻カンパニープレジデントは、「中部テクニカルセンターを新設した岐阜製作所の操業開始は昭和48年、三菱マテリアル(旧 三菱金属)の第2の経営生産工場としてスタートした。第1は現在、筑波に移転している東京・大井町にあった旧東京製作所、その前身は大井工場という名前だった。そこから私どもの超硬合金がスタートしている。工具事業が本格的にスタートした中で、中部圏の機械工業化の発展に伴い、お客様の身近なところでサービスおよび製造をする、という気持ちの表れとしてこの岐阜製作所が産声をあげた。43年前になるが、この場所にその時に最初に出来た平屋の建物は、昨年取り壊される前まで、かなり老朽化が進み、雨漏りも激しく、歴代の所長が、ここを建てかえるのが夢だ、といっていたが、様々な要因でなかなか折り合いがつかなかったこともあり、何回か画を描きながらも計画は実現されなかった。それが一昨年決断し、昨年より工事が進んだ。議論を重ねた挙げ句、岐阜製作所の入口でもある中部テクニカルセンターの基本は、いかにお客様とこの場所で密接な触れ合いができるかが鍵となる」と、開設に至った経緯を述べ、「われわれは3年前から“ワクワクプロジェクト”というものを社内でスタートしている。われわれもワクワクして仕事をし、お客様にもワクワクをお届けしたい。お越し頂いたお客様に喜んで満足していただき、期待にお応えできるような工場やサービス拠点にできるか、ということをこの3年間取り組んで来た」と加工事業カンパニー全社員参加によるプロジェクトについて触れた。

170626top2テープカット:ステージ向かって右から三菱マテリアル(株) 村上本部長、スズキ(株)舞田部長、 アイシン・エイ・ダブリュ(株)杉浦部長、トヨタ自動車(株)山崎部長、三菱マテリアル(株)鶴巻常務、愛知機械工業(株)小澤取締役、 三菱自動車工業(株)赤松所長、三菱マテリアル(株)中村本部長
 なお、このプロジェクトは、加工事業カンパニーが2020年におけるあるべき姿として定めたビジョンであり、“社員とお客様のワクワクを叶え続けて、顧客満足ナンバーワンのプロ集団になる”ための取り組みである。

 鶴巻カンパニープレジデントは結びに、「今回、中部テクニカルセンターを新設したのはその表れであり、ご利用いただけるのは機械そのものではなく、人。わたしどもの営業、開発なり、様々な形でご提案させていただきたい。また、逆に、こんなことできるの? やっていくれるの? といった投げかけをお客様からどんどん頂けるとありがたい。こうしたキャッチボールをしながら交流を深め、互いに技術や品質を高め合って発展させていきたい」と思いを述べた。

最新設備がズラリと並ぶ! 最適なソリューションを提供

170626top3MAZAKの「INTEGREX i-300」はワンチャッキング全加工を可能にした先進の複合加工機だ。 2010年開設の加工技術センター(東日本テクニカルセンター:埼玉県さいたま市大宮区)に続き、国内二番目の技術サポート拠点となる中部テクニカルセンター。 

 この中部テクニカルセンターの新設に合わせて、加工技術センターのソリューション提供部門を「東日本テクニカルセンター」とした。また海外でもアメリカ、スペイン、中国、タイにそれぞれテクニカルセンターを展開している。

 東日本テクニカルセンターでは、最新の工作機械や各種分析評価機器、CAM/CAEソフトウェアを駆使して、ソリューションを提供してきた。

170626top4DMG MORIの「NVX5080」はCFRP加工専用マシン。やっかいな粉塵を吸い込みながら加工をする。 「この経験が今回開設する中部テクニカルセンター設立に活かされている」と説明する山田雅人 開発本部加工技術センターセンター長。今回の開設は、自動車や航空宇宙産業で発展する中部圏および西日本のユーザーに向けて各種ソリューションを提供するのが狙いだ。

 中部テクニカルセンターは、高剛性、高出力の横形マシニングセンタ、MQL機能付き横形マシニングセンタ、フル5軸制御立形マシニングセンタ、CFRP加工専用マシニングセンタ、両頭旋削軸装備複合加工機、振動切削機能付自動盤などそれぞれ仕様の異なる14台の最新鋭の工作機群がズラリと並ぶ。

170626top5説明する山田加工技術センター長。 ユーザーの加工相談に応じた部品の材質、形状及び仕様の工作機械を踏まえた切削加工のCAM/CEA解析・シミュレーションを行うことで、部品毎の加工方法を提案するとともに要望に応じた加工条件を提示し、ユーザー立ち会いのもとで切削試験を実施することもできる。

 近年、様々な産業分野で活用が拡大しているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)。この時流を背景に、複合材料加工専用の設備の導入した同社。より高度化・専門家するユーザーの要望に対応する意気込みの表れでもある。

 また、標準工具だけでは解決困難な加工や、よりユーザーニーズに適した加工を行うための工具開発・ツーリング支援も合わせて実施するとのこと。これが最適かつタイムリーに製品・サービスを提供することに繋がるのだ。


170626top6 山田加工技術センター長は、「オープンラボとしての機能を併せ持つ東日本テクニカルセンターと中部テクニカルセンターを基点に、ユーザー視点に立った製品・サービスを提供するため、切削加工ユーザーとのオープンイノベーションを推進し、数年先を見据えた加工技術開発を進める」と説明した。



切削加工ユーザーとともに歩む

170626top7アルミ材加工に威力を発揮 OKUMAの「MA-500H Ⅱ」 工具と加工技術に精通したツールエンジニア集団の活躍にも注目したい。国内外への技術サービスを行っているこの集団の特長は、フットワークの良さと豊富な知識と経験である。自動車メーカーや航空機メーカーを始め、多くのユーザーから信頼を得ている理由のひとつに、トラブルシューティングから工具の選定、ラインの見直しや立ち上げに留まらず、導入後のサポートにも注力しているということが挙げられる。

 テクニカルセンターでは、顧客の現場と変わらない条件で実際に切削試験を行うことができる強みがある。高速度カメラ、マイクロスコープ等で肉眼では捉えきれない現象を観察し、目に見えない切削抵抗や振動分析も数値解析で可視化することで、ユーザーが抱える加工の問題点と改善ポイントを明らかにするのだ。顧客の実ワークを持ち込んでのテストカットは、新しい被削材や形状など、経験のない加工の場合は特に有効だという。

170626top8高い剛性を誇るOKKの「VM660R」。チタン材加工に。「こんな工具があったら助かる」

 と、いったユーザーの要望に応えた顧客専用の工具や、新しい加工方法の共同開発にも果敢に取り組んでいる同社だが、東日本テクニカルセンターでは、昨年より切削理論の基礎から応用、工具損傷改善、トラブルシューティング、各種装置使用によるライン改善など幅広い分野での技術伝承を目的とした「切削アカデミー」を開催している。中部テクニカルセンターでも、この「切削アカデミー」を展開し、最先端の技術、技能、ノウハウを切削工具ユーザーの技術者に伝承する人材育成の場も提供するとしている。

記念撮影
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