2010年数値制御(NC)工作機械生産実績等調査

日本工作機械工業会がまとめた2010年数値制御(NC)工作機械生産実績等調査は以下のとおり。

1.調査要領
【調査目的】数値制御(NC)工作機械に関する統計資料を保管し、その普及状況などを把握することを目的とする。
【調査時点】2011年2月
【調査期間】2010年(1~12月)実績及び2011年(1~12月)計画
【調査対象】日本工作機械工業会会員企業に調査票の提出を依頼し、NC工作機械の生産実績等のあった78社を集計。

2.生産機種別メーカ数
2010年にNC工作機械の生産実績があった会員および2011年に生産を計画している会員は、昨年度調査と同じ78社となった。
機種別メーカ数をみると、「マシニングセンタ」のメーカ数が集計会員数の半数近い36社と最も多く、次いで「NC研削盤」31社、「NC旋盤」26社、「NC専用機」22社の順となった。前年のメーカ数との増減では「マシニングセンタ」、「NC研削盤」、「NC専用機」、「その他のNC工作機械」等6機種が1社増となったが、「NCボール盤」が3社減、「NC旋盤」が1社減となるなど4機種が減少し、述べ数は174で前年と同数になった。

3.生産・出荷・在庫
(1)生産・出荷
08年のリーマンショックにより急減速した工作機械需要は、09年初を底としてアジアを足がかりに回復を続け、10年の生産・出荷も世界市場での工作機械需要の増加を背景に回復基調を辿った。

10年に会員が生産したNC工作機械は、台数で前年比+129.1%の42,434台、金額でも同+43.9%の6,560億円で3年ぶり増加となるも、07年ピーク時(13,436億円)の48.8%と半分以下の水準に留まり、2年連続で1兆円を下回った。

10年の経済産業省「生産動態統計調査」によるNC工作機械の生産は台数で62,243台(同+195.4%)、金額で6,944億円(同65.3%)となり、同庁舎の結果と同様に台数・金額とも3年ぶりの増加となった。10年の日工会受注統計によるNC工作機械受注総額は9,342億円で前年比+138.0%となった。

出荷は台数で42,402台(同+107.0%)、金額は6,692億円(同+36.7%)で生産と同様に3年ぶりの増加となった。経済産業省「生産動態統計調査」でのNC工作機械販売も55,087台(同+162.2%)、6,783億円(同+53.8%)で、ともに3年ぶりの増加となった。

10年の機種別の生産状況(金額ベース)を伸び率の高い順にみると、「NC放電加工機(ワイヤ)」同+122.9%、「その他のNC工作機械」同+103.5%、「NC旋盤(横)」同+103.0%、「NCレーザ加工機」同+99.4%、「マシニングセンタ(立)」同+99.1%、「NCフライス盤」同+56.3%、「マシニングセンタ(横)」同+50.0%、「NC放電加工機(形)」同+45.8%、「NC研削盤」同+21.5%と増加した一方、「NC専用機」同△25.3%、「NC中ぐり盤」同△25.2%、「マシニングセンタ(その他)同△22.0%、「ターニングセンタ」同△20.8%、「NC旋盤(立)」同△17.8%、「NC歯車機械」同△2.5%となり、自動車向けや大型機の多い機種では前年比マイナスとなった。

(2)生産計画
11年の生産計画は台数で59,409台(前年比+40.0%)、金額は9,712億円(同+48.0%)となり、第数・金額ともに2年連続で増産見込みとなっている。機種別(金額ベース)でも、全機種で前年を上回る計画となっており、「NC放電加工機(形)」同+261.7%、「NC放電加工機(ワイヤ)」同+100.0%、「NC専用機」同+76.9%、「マシニングセンタ(その他)」同+62.6%、「その他のNC工作機械」同+62.1%、「マシニングセンタ(横)同+58.4%、「NC研削盤」同+52.6%、「マシニングセンタ(立)」同+48.1%の8機種は、全体(同+48.0%)を上回る伸び率を示した。それ以外の機種でも「NC旋盤(立)」同+43.7%、「NCレーザ加工機」同+39.6%、「NC歯車機械」同+31.7%、「NC旋盤(横)」同+30.1%、「NCフライス盤」同+26.5%、「NC中ぐり盤」同+25.6%、「ターニングセンタ」同+10.4%となっている。

今回調査では、東日本」大震災後に、11年計画を算出した会員が多くみられた。サプライチェーンの回復や電力供給力不足に対する懸念が今より強かったため、11年の生産計画はやや慎重な見方をした企業もあったと考えられる。しかし、上記の懸念は後退しており、受注は依然回復傾向を続けていることから、11年の生産額が当初計画を上回るものと期待したい。

14.出荷状況の分析
(1)ユーザ規模別・販売形態別の動向
10年の国内出荷先のウエイトをユーザ規模別にみると、「大企業向け」のウエイトは前年の52.8%から40.8%へ12.0ポイント低下し、「中小企業向け」は前年の46.2%から57.5%へ11.3ポイント上昇した。このうち、「従業員30人以下の小規模企業向け」のウエイトは3年連続で2割を下回るも、前年の11.3%から15.9%へ4.6ポイント上昇した。また、官公庁向けである「その他」は、1.0%から1.7%と0.7ポイント上昇し、3年連続上昇した。

出荷額の直間比率は、国内向けでは直接販売21.0%・間接販売79.0%、海外向けでは直接販売27.7%・間接販売72.3%となり、国内外ともに間接販売の割合が増加した。国内向け出荷の直接販売と間接販売のユーザ規模別の出荷状況では、「大企業向け」には直接販売が36.1%、間接販売が63.9%、「中小企業向け」には直接販売が10.5%、間接販売が89.5%を占めている。国内全体の直接販売のウエイトより大企業向けの直接販売の割合が高く、反対に中小企業向けは間接販売の割合が高いという従来と同様の結果となった。

(2)業種別の動向
10年のNC工作機械の出荷先(金額ベース)では『内需』が2,168億円で前年比△2.4%と4年連続減少し、2年連続の2千億円台となり、直近のピークである06年(6,537億円)の33%の水準に留まった。一方、『輸出』は同+69.3%の4,524億円で3年ぶりの増加となった。ピークである07年(7,471億円)と比べ6割強の回復となり、輸出比率は67.6%と前年に比べ13.0ポイント増加し、過去最高を記録した。

内需業種別の出荷をみると、全11業種のうち前年実績を下回ったのは4業種であったが、主要需要業種である『一般機械向け』が同△12.7%と3年連続減少、『自動車向け』も同△9.6%で2年連続減少を示し、全体を押し下げる要因となった。一方、『電気・精密向け』は同+39.7%(「電気機械」同+49.4%、「精密機械」同+28.1%)と4年ぶりの増加となった他、7業種が増加となった。

「出荷」総額に占めるウエイトでみると、『一般機械向け』11.8%(前年比ウエイト△6.7ポイント)、『自動車向け』8.2%(同△4.1ポイント)、『電気・精密向け』4.7%(同+.01ポイント)、『航空機・造船・輸送用機械』2.3%(同△1.5ポイント)、「その他製造業」1.9%(同+0.0ポイント)、「金属製品」1.7%(同△0.5ポイント)の順となっている。

(3)機種別の動向
出荷額でウエイトの高い「NC旋盤(横)」、「マシニングセンタ(横)」、「マシニングセンタ(立)」、「NC研削盤」、「マシニングセンタ(その他)」、「NC専用機」の6機種の10年の需要業種別出荷実績をみると、「NC旋盤(横)」は、『輸出』が67.2%と最もウエイトが高く、次いで『自動車向け』10.0%、『一般機械向け』9.1%の順となっている。「マシニングセンタ(横)」は、『輸出』79.5%と機種別では輸出比率が最も高く、次いで『一般機械向け』8.5%、『自動車向け』7.1%となっており、以下「マシニングセンタ(立)」が『輸出70.6%』、『一般機械向け』14.8%、『自動車向け』4.8%、「NC研削盤」は『輸出』62.6%、『一般機械向け』19.4%、『航空・造船・輸送用機械向け』7.6%、「NC専用機」は『輸出』68.1%、『自動車向け』18.4%、『航空機・造船・輸送用機械向け』5.8%の順となっている。特に「NC研削盤」と「マシニングセンタ(その他)」は、中国向けを中心に輸出が伸長したのに対し、国内向けでは自動車向けや大型機で落ち込んだため、それぞれ輸出のウエイトが大幅に増加した。

機種別の機種構成からみると、『一般機械向け』は「マシニングセンタ」が41.8%(立軸21.4%・横軸12.2%・その他8.1%)と最も多く、次いで「NC旋盤」31.3%(立軸5.5%・横軸23.7%・ターニングセンタ2.1%)、「NC研削盤」10.1%、「NC放電加工機」7.4%(形彫り2.9%・ワイヤ4.5%)の順となっている。『自動車向け』は「NC旋盤」40.2%(立軸2.4%・横軸37.3%・ターニングセンタ0.5%)、「マシニングセンタ」26.7%(立軸10.1%・横軸14.8%・その他1.8%)、「NC研削盤10.9%、「NC専用機」10.1%、の順となっている。

『輸出』総額に占める機種構成では「マシニングセンタ」が42.2%(立軸17.9%・横軸20.0%・その他4.4%)、「NC旋盤」33.0%(立軸2.2%・横軸30.3%・ターニングセンタ0.5%)、「NC研削盤」7.4%、「NC専用機」4.5%の順となり、「マシニングセンタ」と「NC旋盤」の2機種で『輸出』の約3/4を占めている。

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