【レポート】INTERMOLD2018(大阪)で注目した点はココだ! 

オープニングの様子
オープニングの様子

 4月18日(水)から4 月21 日(土)までの4日間、インテックス大阪で「INTERMOLD2018/金型展2018」(主催:日本金型工業会、テレビ大阪)ならびに「金属プレス加工技術展2018」(主催:日本金属プレス工業協会)が開催され、多数の来場者で賑わいを見せた。

 今回、目玉製品とともに豊富なコンテンツを提案していたことに時代の流れを感じた。将来を考慮した拡張アイテムも豊富で、加工の幅がより広がる工夫があった。また、各社のアピール動画が進化しているのも見逃せない。立体的な画をみせることで、簡単に仕組みを理解してもらえるよう、動画にかなり注力している様子が分かった。

 注目各社の最新動向をレポートする。

 (アマダマシンツール、イスカルジャパン、イワタツール、オーエスジー、オークマ、OKK、岡本工作機械製作所、キタムラ機械、ジーベックテクノロジー、大昭和精機、ダイジェット工業、DMG森精機、ナガセインテグレックス、日進工具、ブルーム-ノボテスト、牧野フライス製作所、三井精機工業、三菱日立ツール、ヤマザキマザック、碌々産業)

工作機械編

 アマダマシンツールでは、デジタル電動サーボプレス「SDE 2017 GORIKI」が高剛性仕様になって新登場! 多工程順送金型を搭載可能にしたスライドエリア、センターギブフルガイド構造が特長。高剛性ソリッドコラムフレームで加圧時のフレームの伸びを抑圧し、耐偏心荷重特性を高めることで板鍛造や高張力鋼板などの高付加価値型性や高精度加工に対応する。プレスマシンの見える化とマシンと連動する金型管理システムも実演し、“工程改革”を提案していた。

 切削・ミーリング加工能力の強化と、効果的な工程集約ができる広い動作範囲を実現して誕生したオークマのインテリジェント複合加工機「MULTUS U3000」は、あらゆる方向から柔軟な加工ができるマシンとして注目が集まった。ミーリングが多い複雑形状部品に最適な広い加工範囲と、高剛性コラム移動式構造の採用しY軸全域で強靱な削りをアピール。また、広いB軸旋回範囲240°、C軸の高精度位置決め0.0001°制御で高精度と高能率加工の両立を実現していた。

 OKKは、納入実績10,000台以上を誇るベストセラーシリーズ機である“VM/Rシリーズ”から「VM53R」が展示されていた。各送り案内面は角型すべりガイドを踏襲し、精度と剛性を揺るぎないものにしている。一般部品加工からチタン等の難削材加工まで対応する心強い1台だ。また環境熱変位補正ソフトスケール「Cube」は、マシンに実装されたセンサから得た温度変化情報をもとにリアルタイムで加工点の変位を補正する。このVM53Rには標準採用だった。

 岡本工作機械製作所が展示していた精密平面研削盤「PSG63SA1」は、上下送り最小送り量0.1ミクロンからの高精度設定。水回り部分にSUSを使用している心遣いがたまらない。高剛性構造、新しくなったタッチパネル、自動ドレス機能を有する高度な機能と性能に注目が集まった。また、非磁性体のチャックは、使用面積以外を密閉する必要がなく、ラクラクなのが嬉しい。

 展示会初出展のマシンを出して盛況だったキタムラ機械。5軸制御立形マシニングセンタ「Mycenter-4XT」は、試作品加工から量産まで広範囲の加工が可能で、高出力・高トルクの35馬力40番主軸でパワフルなのに省スペース設計。旋回テーブルの両端にはフラットテーブルが付いており、バイス取り付けや長尺物加工に最適だ。独自の制御装置「Arumatik-Jr」を搭載し、10.4インチの画面で従来の5倍の演算処理速度とスマホ感覚の簡単操作を実現している。

 DMG森精機は、第三世代を迎えた5軸加工機のエントリーモデルである「DMU50 3nd Generation」を展示。多くの来場者が足を止めていた。加工エリアは従来機と比較して78%拡大、早送り速度は40%も向上している。傾斜角度も従来と比べ28%拡張し、加工現場の生産力&経済効果アップを押し出していた。なお、同社ではWeb会員の募集を行っており、金属加工に役立つ豊富なコンテンツとサービスが得られる。

 ナガセインテグレックスの高精度成形平面研削盤「SGE 520 Zero3」は、日常的な平面・成形加工からコンタリングや砥石成形まで高度な研削条件まで簡単に設定できるうえ、オプションで複合形状研削やマルチパーツ研削にも対応するという使い勝手の良いマシンだ。上下軸に高剛性直動転がり案内を採用し0.1ミクロンのNC指令値に対し高い追従性を実現している。剛性・精度ともにワンランク上の加工を目指す方に人気を博していた。

 清潔感溢れる牧野フライス製作所は、中・小物金型やプレス金型、もちろん部品までも幅広く対応するワイヤ加工機「U6 H.E.A.T」を展示。表面粗さ3ミクロンを3回の加工回数で実現する。荒加工から真直性の高い加工もできるのが嬉しい。加工物や治具との干渉を気にせずに加工ができるのも特長だ。ワイヤ放電加工用のCAMシステム「WIZ」は、シミュレーションで干渉、コア処理、加工形状を確認できる。

 三井精機工業は、広範囲な砥石自動切りこみストロークを実現した高精度ジグ研削盤「J350G」を展示。砥石自動切込み(U軸)は、-3~+50mmの広範囲なストロークを実現したことが特長だ。このストロークはあらゆるジグ研削盤の中でも最大を誇る。遊星回転で穴径の異なる穴を加工する際には、1本の砥石で小さな穴から大きな穴まで連続で自動加工することができる。なお、安全性を強化した全体カバーを標準装備している。

 11年振りにヤマザキマザックが出展! 今回は、回転2軸を有する同時5軸立型マシニングセンタにAM技術を付加し、工程集約を実現した「VARIAXIS j-600/5X AM」が展示されていた。同社は金属積層と切削加工を組み合わせて金型を製造する方法の特許権を保有しているという強みがある。同社が持つ金型補修並びに溶接造形技術を“プログラマブル”に自動化できるのも特長のひとつ。ワークの表面を違った材質で肉盛りしたり、金型補修に広がりをみせるマシンだ。他にも金型メーカーの期待に応えたハイエンド5軸加工機「UD-400/5X」もあった。
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 碌々産業は、ホカホカの新製品である「Vision」を展示していた。優位性は、マシンの汎用性だ。φ16エンドミルによる重切削から鏡面仕上げまで1台で加工できるということは、わたり加工をできるだけ少なく出来る、ということ。加工機の状態や設置環境を監視し表示、蓄積して見える化の充実を図った「M-Kit」を搭載し、加工現場の高精度化を安心サポートする。


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切削工具・周辺機器編

 イスカルジャパンは、最先端自己拘束式、ヘッド交換式穴あけ工具の「SUMOCHAM(スモウカム)」を一押し展示。切削力がヘッド把握力を増加させて安定加工を実現するという画期的な最新デザインが特長。機上で簡単に工具交換が可能であり、一度のセットアップで以降の位置決め不要というメリットがある。また、ヘッド交換式では圧倒的に豊富なヘッドレパートリーがあるのも見逃せない!

 “トグロンシリーズ”でお馴染みのイワタツールは、精密位置決め面取工具「トグロン シャープSP」を展示。この工具はバリやビビリが少なく、面祖度が綺麗であるという特長を持つ。先端近くまでの角度を保証し、1本で複数径の面取を同品質・最高の面祖度に仕上げてくれる。同社では最近設備を増強し、トグロンファンの期待に応えるべく生産能力もアップ! 今後の展開も要注目だ!

 今回出展企業の中で新製品が最も多かった印象を受けたオーエスジー。様々な製品の中で注目したのは、同社の人気製品「A-TAP」の性能を引き出すためのタップホルダ「SynchroMaster」。独自の一体型構造が特長だ。突発的な折損を防止し、タップ寿命を延ばすというメリットが受けられる。また、今回、同社のグループ会社プロデュースで完全オーダーメイド工具の新ブランド「Q3」も展開していた。現状は同社西部営業部のみ取り扱いとなっている。こちらも要注目だ!

 バリ取りの自動化を推奨しているジーベックテクノロジーで注目されたイベントといえば「金型研磨コンテスト」だ。会期中、大きな盛り上がりをみせ、挑戦者があとをたたなかった。今回は、製品の展示はもちろんだが、バリ取りや研磨の自動化等について相談を受け付け、個々の悩みに応じた解決策を提案していた。バリ取りの効率化に貢献する内容が豊富だった。

 大昭和精機の新製品はメガチャックをさらに追求し、究極のコレットチャックと言わしめた「メガUPEチャック」(把握範囲:φ3~φ10)を展示。この製品のキモとなるのは、独自の自動芯出し機構内蔵“ダブルアクションナット”。これにより安定した振れ精度を実現している。「高精度から『超高精度』へ。」というキャッチコピーも振れ精度に自信があるBIGならでは! 

 黒ヒゲ危機一髪ゲームなどを盛り込み、来場者を楽しませる工夫に溢れていたダイジェット工業の注目製品は高精度版「QMマックス」。これは従来タイプよりボディバランスを向上させ、5軸加工・複合加工にも対応しているのがポイントだ。インサートはH級をラインナップ、多刃使用により高能率加工を可能にしている。また、本体は切りこみ角度(3°、5°)を付けたタイプもあり、3軸加工機でも傾斜角度の付いた複雑形状加工が可能。

 “NS TOOL”といえば日進工具。敷居が高いと思われがちなPCD工具も活用すれば鏡面加工がすんなり出来る――ということを体感できる「PCDトライアルキット」を展示。鏡面加工にトライしたい方向けのお試しキットである。同社のPCDボールエンドミルと、NCプログラム、加工材料(ELMAX 59HRC)が入っている。加工後の工具とワークを観察・測定して報告してくれるというから頼もしい限りだ。

 ブルーム-ノボテストは、マウスクリックで計測可能なフォームコントロールソフトを使って機内で簡単にワーク検査ができることをアピール。ワークが自由曲面でも標準的な形状でも問題ない。こうした装置は、マシニングセンタと測定機間の移動や保管時間が減少する、あるいは削除されるので、時短というメリットが生まれ、生産性がアップする。素早いプロセスチェックは今の時代に欠かせない!

 洗練されたお洒落なブースで目立っていた三菱日立ツールの注目したい製品は金型加工用ヘッド交換式エンドミル「EHXエンドミルシリーズ」だ。「超硬」+「超硬」=「高精度・高剛性」の2面高速という、ソリッド工具と刃先交換式工具の長所を融合させた金型の深掘り加工に適したツーリングシステムだ。ヘッドとホルダの締結面をオール超硬とすることでソリッド工具に近い剛性を確保、多彩なヘッド交換もでき、経済性に優れている。

 

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