ジーベックテクノロジーが「バリ取りの日」にちなんでイベントを開催 ~バリ取りの日に込めた思いとは~

 バリ取りの自動化を推奨するジーベックテクノロジー(社長=住吉慶彦氏)が、8月4日、東京都内のDMM.makeで「バリ取りの日」にちなんでイベントを開催し、日頃から悩ましいバリ取りの解決を模索している企業から管理職約20名が参加した。初イベントとなる今回はクローズドイベントだが、バリ取り公開討論やワークショップ、手作業でのバリ取りと自動化との比較(ロボット実演)等、参加者全員によるバリに関する意見が交換された。同社では、8月10日を「バリ取りの日」と制定(日本記念日協会認定)、この日を①バリ取りに懸命に取り組まれている方へ感謝の意を表す日、②バリ取りの効率化・品質安定化を意識する日―― との思いから、バ(8)リ取(10)りのゴロをあわせて、8月10日を「バリ取りの日」としている。

 社内が一丸となって斬新なアイデアを押し出していることも魅力的な同社。住吉社長にバリ取りの日に込めた思いについて語ってもらうとともに、初の開催となった「バリ取りの日」のイベントをレポートする。

世界中で嫌われているバリ取りを真剣に考えるイベント

バリ取りについて様々な意見が飛び交った。
バリ取りについて様々な意見が飛び交った。
 「バリ取りの日」の記念すべき第1回目のイベント場所として同社が選んだのはDMM.makeだった。住吉社長は冒頭のあいさつの中で、「どうしても自社の技術、自社の現場に集中してしまいがちで、なかなか外部から何かを得るという機会が少ない。そこで今回はオープンイノベーションの象徴であるこの場所を選んで開催しました」と開催場所の理由を話した。

 ジーベックテクノロジーは、バリ取り・研磨を自動化できる工具を開発し、現在、40カ国を超える国に対して輸出をしている。輸出比率は70%。つまり世界中のバリ取りの問題に触れる機会があるのだ。分野も材質も様々であるが、世界中で共通していることは、①バリ取りが大変である、②バリ取りのことを考えると憂鬱である、③バリ取りのことを気にせずにいられたらいい――ということ。要するにバリは厄介なものとして世界中から嫌われているという現実がある。

手作業によるバリ取り体験。時間がかかって面倒臭い様子が分かる。
手作業によるバリ取り体験。時間がかかって面倒臭い様子が分かる。
 今回のイベントは、「バリ取りの共通課題についてわれわれのコンセプトに賛同して下さった方たちとオープンに解決をしていく」のが狙いと住吉社長。同社の「作業者を単純作業から解放することで、作業者が持つ能力を開花させる」との思いは、同社の社是「Enjoy Life, Enjoy working with XEBEC」にも表れている。

 「社員が自分の可能性を信じて挑戦して成長を感じる。これが生き甲斐になり、人生を楽しむことができる。人生を楽しむことを実践して、ユーザー、取引先にやりがいや生き甲斐の輪を広げていけたらと思っています」(住吉社長)
 
 今回のイベントは協力メーカーも参加している。“バリの問題を解決したい”との思いはメーカーの枠を超えた課題であり、この解決法に向けて、様々な意見が1時間30分の公開討論会で飛び交った。それぞれの形状や材質に合致したメーカーが提案するバリ取りのノウハウにメモを取る参加者。ここまでバリ取りについて専門性を高め、様々な意見を取り入れながら公開しているところも珍しい。


ロボットを採用したバリ取りを真剣に見学する参加者。バリ取りの自動化は加工現場の無駄を省く
ロボットを採用したバリ取りを真剣に見学する参加者。バリ取りの自動化は加工現場の無駄を省く
 体験型イベントでもある今回のワークショップでは、実際にバリ取りツールを使用し、手作業でバリを取ることを行った。参加者がかなり苦戦しているのが分かる。とにかく時間がかかるのだ。その後のロボット実演でバリ取りの自動化を拝見すると、あっという間にピカピカのワークが出来上がる。バリ取り時間の短縮でその分、時間の有効活用もできるので、作業者は新しい取り組みも行える。加工現場の無駄を省けば経済効果は高まるというもの。
マーケティング担当の服部氏
マーケティング担当の服部氏
 
 
 さて、今回、バリ取りに懸命に取り組まれている方へ感謝の気持ちを込めて、記念品に「今治タオル」が添えられた。これについて、同社のマーケティング担当である服部成治氏は、「安心・安全・高品質なジャパンクオリティの代表製品としてゆるぎない地位を確立している今治タオル。今治と「バリ」という共通点の他に、暑い中、懸命にバリ取りに取り組まれている方にぜひ使って頂きたい」との思いがあると説明してくれた。なかなか洒落が効いているではないか。また今回、「バリ取り救急箱」が参加特典として送られた。

XEBECがバリ取りの日に込めた思い

記念品の今治タオル。
記念品の今治タオル。
 「バリに関して悩んでいる方は多いのですが、無意識のように手作業でバリ取りをすることが当たり前となっている。こうした方々にバリ取りの自動化に意識を向けてもらえるようなものにしていきたい。イベントは情報を発信する良いチャンス」と話す住吉社長。

ジーベックテクノロジーは、バリ取りの自動化を広めたフロンティア企業という自負もある。地味なバリ取りの分野に光を当てた同社は、自動化のためのツールを開発し、作業者の負担を減らしましょう、そして加工現場の能率を高めましょう、と、啓蒙活動を地道に続けてきたのだ。

 「重たくて動かなかった玉をずっと押し続けて、今やっと転がりはじめた、という感じ。皆さん、単純作業は嫌なんです。嫌な業務を“しょうがないよね”、“仕方ないよね”って、自分たちで納得しながら行っていても、本来ならば無くしたいはず。バリ取りは従来、面倒臭くて手間がかかるのが当たり前だったのですが、それが叡智を集めて技術的に解決策を提供できるようになった。これを進捗させることに注力していきたいですね」(住吉社長)
 

もらって嬉しい参加者特典「バリ取り救急箱」
もらって嬉しい参加者特典「バリ取り救急箱」
 初の「バリ取りの日」としてのイベントは大成功を収めたが、今後はこのイベントをどう展開し、活用していくのか。服部氏は、「2020年にオリンピックがある。バリ取りのオリンピックのような形でなにかできないか、と計画を練っている最中です。今回は、管理職限定のクローズなイベントでしたが、来年は今回の内容を吟味しつつ、オープンなイベントにしてきたい。主要都市での開催も考えています」とのこと。

 同社は、経済産業省主催の「平成26年度ダイバーシティ経営企業100選」にも選出され、社員が活き活きと活躍できる仕組みも構築している。そのため、こうしたイベントや展示会などでも社員が一丸となり、来場者やお客が喜ぶ販促グッズや催し物の企画を楽しみながら企画していることにも注目したい。


ロゴには同社の思いが込められている。
ロゴには同社の思いが込められている。
 「ただ、既成品を選択するのではなく、われわれの持ち味でもあるユニークさを発揮したチャレンジをしていきたい」と服部氏。バリ取りの日のロゴのデザインについては、「表面仕上げは▽記号で表現されます。バリ取りは表面仕上げに密接な関係があるので、▽記号をデザインに取り込みました。8月10日の夏の季節感、バリ取りに取り組まれている方々のパワーやエネルギーを表現した赤色を採用しました」とのこと。

 ブランディングの観点について尋ねてみると住吉社長は、「人間もそうですが、言行が一致している方は信用できる。それと同じで会社としても言行一致はとても大切なこと。ルールをつくって言行を一致させるのは難しい。弊社の社風に合う人材を採用し、メンバーに力を発揮して貰えれば、自然と開発していく製品もコンセプトも会社の姿勢に合致したものが出てくる。営業のメンバーも言動やサポートの仕方も一致してくる。それが本当の意味でのブランディングだと思っています」との考えを示し、「2030年には世界中であらゆる分野において8500万人の技能者がいなくなるといわれています。日本の場合は、製造業の就労者のピークは1500万人いたのに現在1000万人を切っている。この後、数年でまた300万人は減るといわれており、すでに中小企業の方は実感しているのではと思います。人材の確保が厳しくなってきています」と製造業を取り巻く懸念を話してくれた。

 機械の更新やロボットの導入で段取り時間、加工時間が改善され、能率が上がったという話はよく聞く話だが、残る課題はバリ取りだ。「加工よりバリ取りに時間がかかる」というのであれば本末転倒である。また、手作業バリ取り担当者の高齢化に加え、新しい人を雇うにも現状、パートや派遣社員の獲得が難しい。たとえ入社しても継続するかどうかという不安定な要素もある。ジーベックテクノロジーでは、こうしたバリ取りの課題に真っ向から解決すべく、全社が一丸となって挑んでいく。

▼バリ取りの日の詳細についてはこちら
https://www.xebec-tech.co.jp/news/20170329.html

 

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