「年後半の明るさに期待! 受注総額1兆6000億円を見込む」 日本工作機械工業会 令和7年 新年賀詞交歓会を開く
日本工作機械工業会(会長=稲葉善治 ファナック会長)が、1月9日、ホテルニューオータニ ガーデンタワーで新年賀詞交歓会を開いた。
あいさつに立った稲葉会長は、「昨年を振り返ると、甚大な被害をもたらした能登半島地震が元旦早々に発生した。被災された皆様におかれては、1日も早い復旧を祈念している。世界ではウクライナ戦争が長期化、激化しているほか、中東での軍事衝突もパレスチナから周辺諸国へ拡大するなど、地政学リスクが世界各地で顕在化している。また、米国ではトランプ大統領が再選され、欧州各国や韓国では政権が安定せず、世界情勢は不透明、不確実に加えて極めて不安定な状況が続いた1年だった。」と振り返ったあと、「日本工作機械工業会は、デジタル、グリーン、レジリエンスをキーワードとする取り組みを進め、世界の製造業の進化と発展に大きく寄与することができた。こうしたなか、昨年、日本の工作機械市場は一進一退をしながらも当業界としては比較的高い水準の受注を維持することができた。この結果、2024年の工作機械受注総額は1兆4700億円前後に着地したと見込まれる。また、昨年は会員関係者の多大なるご協力とご支援を賜り、委員会をはじめとする、当工業会の活動を順調に展開することができた。」と感謝の意を表した。
JIMTOF2024にも触れ、「11月にはわが国工作機械業界最大のイベントであるJIMTOF2024を開催し、日本が誇る最先端の工作機械や、その鍛錬技術を世界に向け発信した。来場者数は前回比13%増となる12万9000人を数え、海外からの来場者数は前回比2倍強の1万余人を記録するなど会場は大変盛況だった。数々の企画を通して来場者の皆様方に工作機械と製造業の明るい未来を感じて頂けたと思う。」と述べた。
2025年の展望
2025年の展望について稲葉会長は、「世界各地の地政学リスクの高まりや国際社会の分断により通商環境はさらに不安定かつ複雑化していくことが懸念される。しかしながらこのような状況でも世界の産業界においてDX、GXを核とするイノベーションは止まらない。人材不足や、人件費高騰に対しては自動化、高効率化で対応し、熟練技能者の減少を担うためには生産設備の知能化、AI機能が考えられる。また、現代社会に求められるデジタル革新、環境性能の向上、生産拠点の多極化などが促進されるなど、近年の工作機械需要を牽引している背景に変化はないと考えている。」とし、本年の工作機械の需要について、「底堅くも勢いを欠く展開が続くと思われるが、年後半には明るさが増してくると大いに期待している。以上の状況を総合的に判断し、私としては2025年の工作機械受注総額を1兆6000億円と見通している。」と期待を込めた。
投資に向けて安心して判断できる環境を整える
続いて来賓を代表して経済産業省 製造産業局 伊吹英明 製造産業局長があいさつをした。このなかで伊吹局長は、「昨年は名目GDP600兆円、株価も4万2000円までいっているので、マクロでみると明るい兆しがあった1年だった。先ほどの1兆6000億円と聞いて大変心強く感じている。経産省は経済対策、補正予算と必要なものは確保したので、しっかり皆様のユーザー業界を含め応援していきたい。」と声援を送った。また、世界情勢については、「皆様が心配していると思われる米国については、二国間関係が土台になっている。経済は投資で日本企業が米国に貢献している部分も大きい。米国の新政権に日本企業が投資について安心して判断できる環境を整えていくことで、より一層、日米の経済発展に繋げていければと考えている。」と述べたあと、政府からのお願いとして、「4月13日から大阪関西万博が始まるので、ご家族、ご友人、従業員の方々とぜひチケットを購入して大阪にお出かけ頂きたくぜひ、ご検討いただきたい。また、福島の復興について経産省は応援している。ぜひ、福島の海産物を食べて皆様にも応援して頂きたい。」といずれも活性化へ向けエールを送った。