【動画あり】サンドビックが3Dプリンタで壊れないギターを製作し、ロック界のレジェンド、イングヴェイ・マルムスティーン氏がその破壊に挑戦!

 ギターの破壊パフォーマンスといえばロックスター。サンドビックは、自社の最先端の技術を試すべく、世界初となるオールメタル製の壊れないギターを製作し、マルムスティーン氏にその破壊スキルを思う存分ぶつけてもらったと発表した。

 この破壊の検証に白羽の矢が立ったのは、なんとスウェーデン生まれのカリスマ・ギタリストであるイングヴェイ・マルムスティーン氏。「ギター破壊に情熱を燃やすミュージシャンはいないだろう。」とサンドビックのスポークスマン。

 動画では、マイアミ郊外のロッククラブで、エキサイトしたファンの群れを前にギターを演奏するマルムスティーン氏の様子紹介される。その後、お決まりの破壊パフォーマンスを試みるが・・・。

https://youtu.be/k1hxZyD9VGI
(日本語の字幕設定が可能)

 サンドビックによると、今回、精密かつ持続可能な自社の最先端技術の高さを実証するために、壊れないギターの製作を企てた――という。

 「私たちは消費者向けの製品を作っていないので、当社のメソッドが世界の最先端にあることに、一般の人々が気づくことはありません。」と、サンドビック・マシニングソリューションクラス・フォーストロム社長は言う。「マルムスティーン氏のような要求の厳しいミュージシャンのために、破壊に耐えるギターを作ることで、あらゆる複雑な加工課題に対処できる当社の能力をはっきりと示せるのです。」と自信たっぷり。

 ネオクラシカルヘビーメタルの第一人者マルムスティーン氏は、タイム誌によって、世界で最も偉大なエレキギタープレーヤー10人の1人に挙げられたミュージシャン。カリスマ的なギタープレイと激高した感情をギターにぶつける破壊パフォーマンスで知られている。これまでに30枚のアルバムをリリースし、30年にわたってステージでギターを破壊してきたという驚きのミュージシャンだ。

 「こいつは野獣のようなギターだ! サンドビックは明らかに時代の最前線にいる。熱心に取り組み、働いただけの成果を上げる。その姿勢には共感できるね。」と、マルムスティーン氏はその強度に驚きの声をあげる。

 「この結果は驚くべきものだ。持てる力も技量もすべて出し切ったけれど、このギターを壊すことはできなかった。」

 今回、このギターを製作したエンジニアは、著名なギター設計者のアンディ・ホルト氏(Drewman Guitars社)と協力して、マルムスティーン氏の厳格な音楽的基準と電光石火のような速弾きスタイルにマッチするギター製作に取り組んだという。

 「私たちは上から下まですべてを新たに開発しなくてはなりませんでした。このギターには、これまでに作ったことのある部品は1つもありません。まさに芸術品です。」と、ホルト氏。

 ギターの弱点は、ネックとボディの接合部。サンドビックは、ネックとボディのメインのハブ部分を1つの部品としてフライス加工することにより、この問題を解決した。

 このギター製作は、サンドビックのいくつかの異なる部門が共同で取り組んだ大がかりなプロジェクトである。3Dプリンタでのギターボディ製造には、同社が誇る、金属粉末およびアディティブマニュファクチャリングにおける専門知識を活用した。これは、チタン合金の微粒子粉末床に、設計図通りにレーザを走査して粉末素材を溶融結合させ、順次積層する方法で、人間の毛髪よりも薄い層を重ねることにより、ギターボディを形づくる仕組みである。これにより、極めて複雑な設計の部品の小ロット生産が可能になった。

 サンドビックのアディティブマニュファクチャリングエンジニア、アメリー・ノルビー氏は、「より軽量かつ高強度で柔軟性も高く、従来のフライス加工では不可能だった複雑な内部構造を持つ部品を作ることができるようになった。また、部品に必要な分だけしか材料を使わず、廃棄物が最小限に抑えられるため、より持続可能な製造方法ともいえます」。

 ギターのネックと指板は、サンドビック・コロマントによって1台の機械でリサイクルステンレス鋼のブロック材から加工された。

 「精度が極めて重要でした。」と、サンドビック・コロマントの加工プロセス開発担当者、ヘンリク・ロイカネン氏。「長年の経験を基に構築された当社のソフトウェアによって、最適な工具と推奨加工条件が提示されるので、フライス加工で、厚さ1ミリという難しいサイズの指板を作ることが可能になった。」

 次の課題は、ギターボディに差し込む指板とネックの強度を高めることだった。このソリューションでは、ギターのネックと指板の間に超軽量の新しい格子構造を挟む形が採用された。サンドビックが最近開発したハイパー二相鋼による、この格子構造は、所定の重量において最も強度が高いものだ。

 「共同の取り組みでより複雑な問題も解決する、このようなコラボレーションが、未来につながる重要な鍵なのです。」と、サンドビックの製品開発スペシャリスト、トマス・フォシュマン氏はコメントしている。

▼世界初の壊れないギターの製作過程を紹介する動画はこちら▼
https://youtu.be/4TKXvyYxoVw

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