テクノ小千谷名匠塾が新塾舎開所式を開く
テクノ小千谷名匠塾は、中越大震災をきっかけにして平成19年度に当時の小千谷鉄工電子協同組合の丸山春治理事長が平成19年度より若手社員への技能継承を目的として立ち上げた。当初は訓練施設や機械設備も専門講師もいない状態で、実技実習を外部の訓練期間に依託していたが、その後、県復興基金事業の産業対策事業補助金を申請し、テクノ小千谷名匠塾技術支援センターを立ち上げ、小千谷市や地元の商工会議所からも支援され、現在に至っている。
新しくなった新塾舎は、小千谷市上ノ山4-4-2(楽集館施設内)に設置された。特定分野で高いシェアを誇る優秀企業が多く点在している小千谷だからこそ、世界に誇る技術を高い水準のままどう維持していくかが課題だが、テクノ小千谷名匠塾は、心もモノも技も磨くという基本にのっとりながら技能者の基礎固めに注力しており、汎用旋盤、NC旋盤などの工作機械ごとに実技・学科を学び、国家技能士の資格習得を推奨している。
人材育成が鍵
開所式は、小千谷市内のサンプラザで行われた。あいさつに立った山﨑理事長は、日頃のお礼を述べたあと、「ものづくりの技能継承をテーマに人材を育てていくことは今後の財産となる。最終的には小千谷鉄工電子のものづくり、全国だけでなく世界中に知られ、注文を出せば良い品物が出来上がってくるという結果にまで繋がっていただければと思う。」と新塾舎の完成に喜びを滲ませた。酒巻弘和 テクノ小千谷名匠塾塾長(ユキワ精工社長)から立ち上げの経緯と今後の展望について説明があった。それによると小千谷の鉄工業の強みについて、①小ロットで質の高い製品が作れる、②企業城下町ではない。各社が独自技術を持ち、大手の下請けにならず、取引先を自ら切り拓いてきた独立心の強い企業が多い。③海外で製造している企業は少ない――ことを挙げた。
設立の目的については、技能を伝承することで、①企業としての生き残りを図り、地場産業を活性化させる、②技術力を持った人がいることで、小千谷に仕事が来る。なぜなら“名匠塾があるから”というようにしたい――とした。また、今後については2120年までの説明があった。3年後には技能士200名突破、23年後は同500名突破、56年後には同1,000名突破。そして約100年後には技能士が1,700名を超え、名匠塾舎が世界文化遺産に登録したい旨を話し会場内は大いに盛り上がった。
来賓を代表して大塚昇一 小千谷市長、宮崎悦男 新潟県議会議員総務委員長、小宮山佳秀 小千谷商工会議所会頭(公認会計士税理士)がそれぞれあいさつをした。乾杯の発声は大宮武一 小千谷市総合産業会館サンプラザ 小千谷市産業開発センター理事長が行った。和やかな雰囲気の中、宴もたけなわの頃、散会した。
テクノ小千谷名匠塾は、技能士がいる街、小千谷の情報発信を強化することで仕事が来る・人が集まることを目指して、小千谷市の活性化にも貢献する。