【レポート】INTERMOLD2019(東京)で見た各社の注目点!
2019年05月06日
去る4月17日(水)から20日(土)までの4日間、東京ビッグサイト青海展示場で開催されたINTERMOLD2016/金型展2016」「金属プレス加工技術展2016」は、日本のものづくりを根底から支える工作機械・工具・周辺機器がズラリと並んだ。注目した企業の製品&新技術をレポートする。
アマダマシンツールは、昨年開催されたJIMTOF2018以降大人気となったオプティカルプロファイル研削盤「GLS 150GL UP」に注目が集まった。その理由のひとつに、ワンチャック工程集による約異形状ワークの連続加工が挙げられる。シームレス研削、エアスピンドルで加工面品質も向上され、これが来場者から高い評価を得ていた。また、同社ブースでは、自動砥石交換と自動ワーク交換による工程間段取りレスを実現した高精密成形研削盤「MEISTER G3 UP」のプレゼンに多くの来場者が足を止めて見入っていた。
オーエスジーは新商品を豊富に展示していた。中でも注目したいのは、アディティブ・マニュフクチャリング用エンドミル(AM-EBT:ボールタイプ、AM-CRE:ラジアスタイプ)だ。深切込みに耐えられる鍵を握るのは、強靱な3次元ネガ形状に加えて、“DUROREYコーティング”。超耐熱層と超微細ナノ周期積層構造で超耐熱性と高靱性を発揮、高硬度加工でもチッピングを抑制し、工具の長寿命かを実現している。次世代の切削加工への追求を見ることが出来た。 重切削、高剛性の100年品質といえばOKK。
今回は、立て形マシニングセンタ「VB53α」を展示していた。このマシンは一般工場環境での温度変化に適応し、加工精度の安定化をサポートする環境熱変位補正「ソフトスケールCube」を搭載している。注目したいのは、マシンに取り付けられたセンサの出力(温度情報)を基に、その立方体の変形を推定しリアルタイムで加工点の変位を補正するというシステム。これを使うことにより加工点の変位が10µ以内に管理できていることが確認できるというスグレモノだった。 中小企業の救世主的なマシンを世に送り出しているキタムラ機械のモットーは、“より末永く資産として活用してもらうこと”。真の機械姿勢・幾何学精度1µ未満の高精度という真実の質を追い求めている。特に注目が集まったのはトラニオンタイプ5軸制御立形マシニングセンタ「Mytrunnion-4G」。精密金型から複雑形状の部品加工まで広範囲に加工を網羅する。追従性に優れ、高速加工に最適。また、世界初アイコン制御CNC「Arumatik-Mi」で簡単操作を追求している。 最近、ものすごい勢いで新製品を市場投入しているタンガロイ。その中でも特にキラリと光新製品は、刃先交換式小径高送りエンドミル「TungForce-Feed」。この工具の特長は、良好な切りくず処理性で突発的な欠損を抑制すること。溝加工やポケット加工でも嫌な切りくず噛み込みを防止してくれるので、美しい面品位と安定した工具寿命が得られる工具だ。
BIGといえば大昭和精機。総合ツーリングメーカーの強みを生かしたシステム全体をPRしており、時流に乗った展示をしている印象を受けた。特に注目したいのは生産性向上のためのシステム「Factory Manager」。各社工作機械と各社ツールプリセッタと連動し、これらの有効活用で工具補正値の登録ミスを防止することができる。ミス無く外段取りを行うので機械稼働率が向上する。IDラベル(2次元コード)の読み活用で様々な管理が実現するうえ、既存設備&工具で製造現場のIoTを実現する。 ダイジェット工業は、高能率荒加工用工具「SKS-GⅡ」はシリーズが拡張して新たに登場! 驚異の切りくず排出量を実現するとして早くも話題を集めていた。安定した高送り加工ができる鍵となるのは“経済的な4コーナ使用の四角ポジインサート”の採用。今回はチタン等の難削材および金型材加工用のブレーカ付きインサートをラインナップした。
DMG森精機は、同時5軸加工が可能なマシニングセンタ「DMU 60 eVo」を展示。このマシンは最新の多機能ミーリング加工機のフレキシブルな動きとマシニングセンタの加工性能を合わせ持つ一石二鳥的なマシン。旋回範囲の広いNCテーブルは精密加工および同時加工を可能にしているので、単品ワークの全加工から量産加工まで、分野を問わず最高の生産性を実現するマシンとして注目を浴びた。
ナガセインテグレックスは、従来機と比較して44%省スペース化を実現した超精密成形平面研削盤「SGi 520α」を展示。省スペース化を実現することができたのは、油静圧に使用する油量を半減するなど徹底的な合理化によるもの。専用治具なしで磁性体ワークの歪み取りも可能になった。段取り替えも必要ないうえ、歪み量が約1/10に低減したという。現在、売れまくっているというモータコア金型等大型金型の平面研削加工に最適な「SGD SERIES」はパネル展示だったが、こちらも要注目だった。 日進工具の注目製品は、銅電極加工に特化し、同タングステンの加工も長寿命を誇る銅電極用ロングネックエンドミルシリーズ。このシリーズは、切れ味と耐久性を兼ね備えた刃形状とDLCコーティングの相乗効果で一般的な電極材のタフピッチ銅だけでなく難削材の同タングステンでも長寿命で安定した加工品質が得られると好評だが、今回、ラジアスタイプ「DHR237R」が新登場していた。刃径はφ0.2から6まで、コーナー半径はR0.05~R1まで計82サイズを規格化、ボールタイプ・スクエアタイプと合わせてトータル193サイズと幅広いラインナップ。 不二越は、マテリアル事業部から、ハイス、マトリックスハイス、熱間ダイス鋼を含んだ金型用鋼「DUROシリーズ」を、工具事業部からは昨年開催されたJIMTOF2018でも大注目を浴びた「アクアREVOドリル」を展示し、見どころが満載だった。アクアREVOドリルは、表面がツルツル! 展示品はクロスを使用して触れられるようになっていたが、驚くほどにツルツル&滑らか! このツルツルが切りくず排出性を向上させている。これは超平滑化処理によるもので、同社の強みでもある“素材から開発した商品”からは、さらなる超硬工具の進化を見学することができた。 “DIGILOG技術搭載”のレーザ測定システムといえば、ブルーム-ノボテスト。同社の技術は、工作機械における工具レーザ測定に革命をもたらすものとして注目を浴びている。デジログレーザー「LC50-DIGILOG」の特長は、計測時間を約60%短縮すると共に、レーザビームの最適化で0.2μmの繰り返し精度と、5μm工具の折損検知を実現すること。短時間で非常に多くの測定値を取得する。しかもクーラント環境下で計測信頼性を確保するなど、心強い製品である。 今回のINTERMOLDで来場者の話題を集めたマシンといえば、牧野フライス製作所の「CONCEPT2」だろう。といってもこのマシン、名前がまだ付いていない。ロゴデザインも従来とは違っている。このマシンはリニア駆動方式で3万回転の主軸が搭載されていた。狙いは、“段取替えゼロ”。金型を作成するにあたりマシニングの加工後に仕上げの放電加工をすることが多い。電極をつくるには電極用のパスを作り、電極を削るためのマシニングの工程が入る。その後に放電加工の工程が入るが、もし、マシニングセンタ1台で仕上げまで完了できたなら究極の工程短縮につながる――という加工現場の夢が詰まった、まだ名も無いマシンだったのだ。加工現場と一緒にアイデアを拾い集めてさらに進化する未来の1台だった。 三井精機工業は、ジグボーラの高精度位置決めのノウハウを持ちつつ、マシニングセンタの高精度形状加工も実現したという一石二鳥のマザーマシン「PJ812」を展示。このマシンの凄みは、徹底した熱変形対策にある。主軸、ボールねじ軸心に加えて摺動による発熱が鋳物部位に伝わり変形するのを防ぐためにX,Y摺動面の冷却気候を標準搭載したというこだわり! 機械が完全左右対象構造なのは、熱変位があっても左右均等に変形するので、精度への影響は極めて小さいという工夫から。また、同社といえば“きさげ”が有名だが、このマシンも焼き入れ研磨された角ガイドレールにはきさげが施されている。 三菱日立ツールは、斬新なアイデアの展示で来場者の足を止めていた。金型そのものをつくり、それをどのように製作するのか――タブレットを金型にかざすと、金型を置いている空間と連動してバーチャルな説明が受けられるという最先端の展示内容には仰天した。新製品は、「α高送りラジアスミル TD6N形」。R状刃形が進化したことにより、平面加工や彫込み加工など、加工部位によらず一定の切り取り厚さで加工できるため、様々な形状や部位でも一定の加工条件で加工が行える。
安田工業は、同社のベストセラーマシン「YMC430」の特長を引き継ぎながらストロークを拡張し、高精度、後面品位を実現する際し婦負のハイエンドマシン「YMC650」を展示。特長は全軸リニアモータ駆動で長時間の稼働でも安定した高精度加工を実現する熱変位対策を施している。オペレータに優しい直感操作、自己診断、解析を分かりやすく提供する“OpeNe Version2.0”を搭載。微細加工ワークの大型化ニーズに応えるマシンだ。
今回は重切削から鏡面仕上げまで1台で加工可能な汎用性のある微細加工機「Vision」を展示。このマシンにおける最大のメリットは、わたり加工をできるだけ少なくし、荒加工、中仕上げ、仕上げ加工を1台で完結すること。加工現場においては加工領域や用途が広がるので、使い勝っての良いマシンとなっている。また同社では、デジタルデータを駆使しながらマシンを扱う方を『マシニングアーティスト』と呼び、現在、普及活動を行っている。