【工作機械編】「メカトロテックジャパン(MECT)2019」をレポート! 前編

 10 月23 日(水)から10 月26 日(土)までの4日間、ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)で「メカトロテックジャパン2019(通称MECT) 」(主催=ニュースダイジェスト社)が開催された。注目企業の動向を前編「工作機械編」、後編「切削工具・周辺機器編」に分けてレポートする。

 (工作機械編:アマダグループ、オークマ、OKK、岡本工作機械製作所、黒田精工、DMG森精機、東芝機械、ナガセインテグレックス、牧野フライス精機、牧野フライス製作所、三井精機工業、安田工業、ヤマザキマザック、碌々産業)

4つのエリアでグループの総合力をアピール!
●アマダグループ(アマダ/アマダマシンツール/アマダオリイ)

191111mect1「SDE2025iⅢ」は軽量化技術の進展に大いに寄与するマシン アマダグループは、“プレスエリア”、“板金エリア”、“研削盤エリア”、“アマダのIoT V-Factory”エリアに分けて、それぞれの強みをアピールしていた。やはり近年のトレンドは自動化だ。オプティカルプロファイル研削盤「GLS-150GL UP」で、協働ロボットによる自動化で生産性の向上を提案していた。このメリットは砥石やワークの自動交換を実現し、長時間の連続運転ができること。加工品質向上の鍵はシームレス研削機能だ。また第3世代新型サーボプレス「SDE2025iⅢ」が新登場! ダイクッションのデジタル化による安定加工の実現や、加工種別モーション機能選択でスキルスレス加工も実現してくれる。また、“フルードパルス鍛造法”という加工法はアマダホールディングスとアマダオリイがSUBARUの協力のもと、研究開発された新加工法にも要注目! 現在、軽量化ニーズが高まっているが、サーボプレスマシンのモーションコントロール技術を活用したこの技術は、中空材料の新工法。軽量化技術の進展に大いに寄与する画期的なマシンでもあるのだ。

簡単ロボットパッケージ! マシンを手軽に自動化!
●オークマ

191111mect2「MB-46VA STANDROID」を見つめる多くの来場者 多くの来場者で賑わいをみせていたオークマのブース。注目されていたのは、簡単にロボットパッケージでベストセラーマシンを手軽に自動化ができるという、ロボットと立形マシニングセンタ「MB-46VA 」が一体化した「MB-46VA STANDROID」だ。設置から立ち上げまで最短1日というから驚きだ。位置決め⇒設置・結線⇒「ROID Navi」の3ステップでSTANDROIDは稼働。しかもシステムインテグレータが必要ないという。一体型ロボットセルなので、フォークリフトでの移設もできるというから嬉しい。また、生産の要求に併せて多くのパッケージユニットを準備しているという。3Dシミュレーションで事前にロボット動作の干渉有無を確認できるので、心配なアクシデントも回避できる。同社が親切なところは、ロボット導入に際して不安を持つ加工現場の悩みを丁寧に聞き入れ、解決に導いてくれること。工作機械とロボットの完全融合の強みを見せつけてくれた。

こんなマシンが欲しかった! と言わしめる鋼材用加工機「F300V」
●OKK

191111mect3ワンパスのプレート加工機「F300V」 おやっ!? 同社の華やかなマシンの傍で、小さいながらも存在感を示していたマシンがあった。硬材用加工機「F300V」だ。これは、剛性と切屑の排出性はもちろん、操作性にもこだわったワンパスのプレート加工機。多くの機能は持たないが、とにかく切削能力のパワーが凄いのだ。現場によっては、「上面だけ加工できればいいんだよね」的な発想を持っている方にもってこい! 3039×1812mmの省スペースでありながら、剛性を上げることで振動を抑制している。そのため、刃物の寿命を向上させるという加工におけるトータルコストを考慮したつくりだ。この剛性を高めるために、コラムを門形にし、3点支持ベッドを採用しているという。しかも、人間工学に基づき、ワークの取り付け・取り外しも簡単! そして、優れた切屑排出性も要注目。片側傾斜カバーで後部チップバケット(オプション)にダイレクトシュート! 

自動ドレスサイクル&平面研削の簡易化を実現!
●岡本工作機械製作所

191111mect4新機能追加でますます使い勝手が良くなった「PSG63SA1」 今回、同社の新平面研削盤PSG-SA1シリーズから「PSG63SA1」が展示されていた。このマシンは従来の汎用機と同様の感覚で、自動ドレスサイクル&平面研削の簡易化を実現しているのが特長。従来モデルの「PSG-DX」シリーズの更新に最適だという。新しくなった追加機能は、①自動ドレス機能、②シフトランジ機能、③研削条件一括確認、④各軸負荷検知機能、④サイクルタイム測定、⑤レシピ登録・呼び出し機能、⑥自己診断機能、⑤各種累積時間機能――だ。これらが汎用操作性を残したまま追加されているので、ますます使い勝手が良さそうだ。また、新オプションも、トレンドの自動化に対応し、チャックからの高さを基準としたチャック基準研削や、機上で研削・測定・補正研削ができるようになっている。

消費電力約50%ダウン! 伝統と革新を合わせ持つ「GS-30Vs」
●黒田精工

191111mect5次世代マシン「GS-30Vs」 展示されていた精密成形研削盤「GS-30Vs」には匠の技がぎっしり詰まっている。同社の高精度、高品位を支えているのは、熟練工の高精度キサゲによるV-V摺動面。これが高い真直性と耐久性を実現しているのだが、その一方、FFT解析による高剛性本体構造に注目したい。剛性を高めるためのハニカム構造と適切なリブ配置で重心が低く安定性に優れた構造なのだ。コラム上部への気流を計算した鋳物構造が熱変位を抑えてくれる。気になる新技術は、左右送りにACサーボモーターを採用し、自社性精密ボールねじダイレクトドライブ機構によりフリクションロスを低減した高効率駆動を実現していること。これにより消費電力を約50%ダウンさせている。また、油圧ユニットからの発熱がないので周囲の温度影響を最小限に低減、これにより発熱量が大幅にダウンした。また、研削作業姿勢が取りやすいハンドルレイアウトも嬉しい。

アディティブマニファクチャリングで新たな製造の可能性を見た!
●DMG森精機

191111mect6自由度の高い設計を実現する「LASERTEC 12 SLM」 新たな製造の可能性に期待が寄せられているアディティブマニファクチャリング(以下AM)だが、同社ではパウダーヘッド方式のレーザ金属積層造形機「LASERTEC 12 SLM」とともに、このマシンで加工したピッキング予防ができる立体的な鍵を展示していたが、AMの特長といえば、複雑な形状でもほとんどが対応できるという自由度の高い設計にある。しかも消耗品である切削工具を使用しないので、工具コストが大幅に削減できるメリットは見逃すことができない。加えて、不活性ガスのガス流最適化で、ガス消費量を抑えるとともに優れた加工品質を実現している。気になる現場の作業安全性においては、パウダー供給と再利用システムを密閉したカートリッジ内に搭載したことで、“最高レベルの作業安全性”を確保している。ますます新たな製造方法に目が離せなくなった。

なんという迫力! 高速5軸門形型彫盤に圧倒される
●東芝機械

191111mect7工程集約を可能にした「MP-2618(5C)」 とにかく目立った! 爽やかな青のブースに大きいマシンが1台、来場者に迫力と存在感を示している。このマシンは、傾斜穴の高精度加工から仕上げ加工まで1台で実現し、工程集約を可能にしているという高速5軸門形型彫盤「MP-2618(5C)」だ。金型、IT、航空機産業等に貢献する。テーブル旋回とヘッド旋回の新コンセプトは画期的。ラム軸を排除し、クロスレール昇降が安定切削を実現している。また、煩わしい段取りにおいても、5軸任意旋回機能により、傾斜作業も段取りレスになっているうえ、ワンチャッキングで大幅な工程集約を実現している。また、同社では、スマートグラスを利用したNC画面表示補助システムを展示していた。スマートグラスをかけると、作業を支援する画面が見えるのだ。ハンズフリーなので、表示される様々な情報を確認しながら作業を進められる。未来を攻めている展示が楽しかった。

広範囲な研削加工ができるのになんと20%以上も省スペース化を実現!
●ナガセインテグレックス

191111mect8新制御システムを搭載した「SGS-85」 研削の可能性を大きく拡げてくれる同社のマシン。今回の目玉は初出展された高精度平面研削盤「SGS-85」。このマシンは従来機と比較してなんと20%以上の省スペース化を達成している。それでいて、広範囲な研削加工を実現し、精度と能率を叶えてくれるという魅力あるマシンだ。0.1µmのNC指令値を活かせる独自の高剛性T字型ベッド構造を採用していることも特長。砥石軸には標準の高精度ベアリング軸受を採用し、指令値に対して確実な研削を実現してくれる。カスタマイズアイテムも豊富で、油静圧軸受けや極低振動モータの搭載や、生産性を爆発的に向上させるシステム「爆削システム」など、様々な加工や設置環境に合わせたオプションも魅力だ。また、「SGS-85」は新制御システム「Neo」を搭載している。複雑な操作もなく、1画面で加工設定、条件確認ができる。ワークをセットした後は、研削条件を設定して自動ボタンを押すだけで誰でも簡単に高精度加工が可能!

マキノと共同で“工具を整する”をテーマに自動搬送
●牧野フライス精機

191111mect9近未来の加工現場を想像できる展示。 見どころ豊富だった同社。特に注目したのは、今回、牧野フライス製作所と共同でブースを設け、φ0.1~φ12まで測定できる小径工具に特化した工具測定装置「procam(プロキャム)」を展示していたことだ。φ0.1のものを測定できる装置はそう滅多にないので、これは強み! しかも今回は、ロボットがホルダを持って「procam」に取り付け、工具測定を行い、測定が完了したら、ロボットが勝手にドアを開け、今度は牧野フライス製作所の「D200Z」へ持って行くというデモを行っていた。これが大反響! この展示で未来の現場が想像できるではないか。例えば、牧野フライス製作所の「D200z」で加工し、摩耗した工具を、今度は牧野フライス精機の工具研削盤「SG10」で再研磨をし、測定して供給するという自動化の仕組みを作れば、常に工具は美しい状態であり、面品位も加工能率もアップ! そんな画期的な未来の加工現場をイメージさせる展示内容だった。

金型加工に最適な「D200Z」でデモ!
●牧野フライス製作所

191111mect103軸機と同等以上の力を発揮する「D200Z」 3軸機と同等以上の加工面品位を同時5軸加工で追求するマシニングセンタ「D200Z」を用いて、牧野フライス精機の工具測定装置から「D200Z」への工具の搬送を、自社製自動搬送機(AGV)に協働ロボットを搭載した「iAssist」が人に代わって行うデモは大反響を呼んだが、この「D200Z」の優位性は、重心変動の少ないテーブル構造や、回転軸の動作に遅れること無く追従できる軽量化された移動体ユニットに加え、同時5軸動作を最適化するモーションコントロール、機械の静的精度を正しくつくりこむ製造技術が詰め込まれていること。環境温度変化に頑強なブリッジ構造コラムやぶつからない主軸(コリジョンセーフガード)も採用している。他にもクラウドで同時5軸のNCプログラムを迅速に供給できるシステムも紹介していた。複雑で膨大な計算処理を効率的に実行し、機械の軸構成を考慮した食い込みのない同時5軸NCプログラムを作成できる。

「Vertex」は頂点・頂上を指す!
●三井精機工業

 

191111mect115軸加工の“粋(すい)”を集めてリニューアル! 5軸加工の“粋(すい)”を集めた「Vertex55X Ⅱ」をリニューアルした「Vertex55 Ⅲ」が登場! 進化した点は、高性能になった主軸熱変位補正機能を搭載し、Z軸方向変位量を従来比1/3に改善していたこと。また、ベッド・コラム剛性も向上し、微小線分送りによる3次元形状の面品位が向上している。今回、ヒューマンインターフェースHMI機能を搭載した15″カラーLCD付操作盤もオプションで用意していた。なお、5軸加工機において角度の割り出し精度が重要になるが、同社のVertexは、非常に高い割出精度を持っており、信頼性の高い安心したマシンでもあるのだ。今回は温度センサーを追加し、スピンドルの伸びとヘッドケーシングの変位を捉えて温度変化を瞬時に検知・補正をしてくれる。これによって高速回転域でのZ軸方向変位が安定するまで時間を短縮! 熱変位量に至っては、従来比1/3に抑えているのも見逃せない。Vertexの意味は、頂点・頂上だという。さらなる高みを目指したい加工現場にもってこいのマシンだ。

独創的なメカニズムで驚異の加工能力をアピール
●安田工業

191111mect13独創的なメカニズムを持つ「YBM Vi40 Ver.Ⅱ」 注目を集めたのは、Y軸上に高剛性・高精度BC軸を搭載した「YBM Vi40 Ver.Ⅱ」。このマシンの特長は、各軸移動体の質量差を極力小さくするとともに、質量の大きな移動体を低重心に設定することで、優れた制御性・減衰性を実現していること。剛性の高いシンメトリックな門形構造で、一体化したブリッジ構造の高剛性ボディーが超高精度でありながら、重切削加工領域を極めている。注目すべきは、位置による荷重変化が大きいB軸の駆動には、高減速比のウォームを採用することで外乱に対する安定性、反転時の制御性向上を図り、これらの影響の少ないC軸にはDDモータを採用し、バックラッシュのない高速高精度な位置決めを実現していることだ。また同社独自の独創的なメカニズムは、同社が開発した“プリロード自己調整型スピンドル”にも見られる。これは、低速回転時にはスピンドルベアリングの発熱量に応じて予圧が調整されるメカニズムになっており、低速域における重切削性と高速域における低発熱高精度回転を両立させている。

ロボットに関する専門知識がなくても簡単に運用できる!
●ヤマザキマザック

191111mect13:「QUICKTURN250MY」+「TA-20/270」で生産性効率をアピール 今年で創業100年を迎えた同社のブースはとても華やかだ。サンダーバード人形やフィギュアなど、来場者を楽しませるための工夫と遊び心がいっぱい! 同社では製造コスト削減を睨んで省人化を実現すべく、早くから自動化システムに注力してきたが、そのノウハウの蓄積もあって、システムコントロール・ソフトウェアなどのフレキシブルな拡張性が世界中に認められている。今回、ベストセラー旋盤「QUICKTURN250MY」と「TA-20/270」(ティーチングレス自動化システム)を連結させ、デモを行っていた。特長はロボットに関する知識がなくても簡単に運用が可能ということ。分かりやすい画面表示がさらにラクチン操作を可能にしている。しかもコンパクトで素材の搬入から完成品の搬出までを自動化できる。ロボットと工作機械の連携のメリットは自動連続加工を行えることや、人間特有のポカミスやロスを減らすことで安定品質を保ちつつ、生産性向上に貢献することなのだ。

重切削から鏡面仕上げまで1台で実現するマシン!
●碌々産業

191111mect14「Vision- 300」1台で重切削から鏡面仕上げまでを行う マシニングアーティスト普及活動にも力を入れている同社。微細加工機を操る喜びを知っているオペレータをリスペクトしているだけあって、これは芸術品ではないか? と思われるほど超微細で美しい加工サンプルを展示してあった。これには来場者も興味津々。今回はφ16エンドミルによる重切削から鏡面仕上げまでを1台で加工できる「Vision- 300」を展示。中部地区では初出展となった。このマシンは、高品質のものを高能率に加工できるよう、加工機の状態や設置環境を監視し、表示、蓄積して見える化の充実を図っている「M-KIT」を搭載し、さらなる高精度化を後押ししてくれる。つまり、昨今のトレンドである自動化による連続加工でも安心してできるというわけだ。安定した品質を維持することは、信頼を勝ち取ることに等しい。まさに加工現場に心強いマシンであった。

(後編の切削工具・周辺機器編は次号掲載)