「オークマサーモフレンドリーコンセプトマシン」累計販売台数が5 万台を達成!

 オークマ(社長=家城 淳氏)は、このほど「オークマサーモフレンドリーコンセプトマシン」の累計販売台数が5 万台を達成したと発表した。

 同社は、開発の苦労について、「工作機械の歴史は、“熱”との戦いの歴史でもあった。鉄で出来ている工作機械は、温度が1度上がれば、1メートルあたり100分の1ミリ膨張する。高い精度で加工するためには、工場内の温度環境や、加工時に生じる様々な熱変位に対応する必要がある。工作機械メーカーは機械本体から発生する熱を強制的に冷却油で冷やすことや、周辺装置や外部環境から伝わる熱を断熱材で遮断するなどの対策を講じてきたが、どれも本質的な解決策にはなり得えなかった。」と述べている。

 そこで同社は、機械の構造設計とセンサーによる熱変位の補正技術をとことん追求した結果、発生する熱を無理に抑え込むのではなく、「熱の影響を受け入れた上で最適な制御で加工精度を安定させる」という従来の手法とは全く異なる発想の新技術「サーモフレンドリーコンセプト」の開発に成功。2001年、「サーモフレンドリーコンセプト」を駆使した新形マシニングセンタ「MB-46V」の発売を開始した。

 「発売直後から、従来機とは次元が違う非常に安定した高精度加工が可能なマシンとして、市場で高い評価を受けることが出来た。」と同社。

 「MB-46V」はその後、「MB-56V」、「MB-66V」と機械のサイズを拡大しシリーズ化を図り、今年9月にはシリーズ累計販売10,000台を超え、このクラスのマシニングセンタでは世界に類を見ない一大ベストセラーマシンに成長している。

 その後、同社は「サーモフレンドリーコンセプト」を旋盤、複合加工機や5軸制御マシニングセンタ、大型門形マシニングセンタなど他の製品へと適用範囲を拡げ、世界中のユーザから高い評判を獲得、2019年10月にはついに「サーモフレンドリーマシン累計販売台数50,000台を達成」した。

優位性と市場への効果

(1)精度の安定化による生産性の向上
 ① 一般的な工場で1日の室温変化は5~10℃あり、熱変位の対策を行っていない機械では1日の加工精度の変化が数十μmあるため、加工を開始する前に充分なウォーミングアップ(暖気運転)が必要であり、始業時に数十分の暖機運転を行われている。サーモフレンドリーコンセプトによって、この暖機運転時間を省くことが可能となり、機械の稼働率向上に役立つ。

 ② 熱変位による寸の法変化を補正する手作業が1日に何度も必要となるが、サーモフレンドリーコンセプトによって、1日の加工精度の変化が10μm以下になったことで、量産加工を行っている会社では補正を入れる回数が大幅に減り作業効率の向上が図れるうえに、技能作業者がいる昼間しかできなかった高精度な加工であっても、熟練者が不在となる夜間においても加工が可能になり、生産性の向上が図れるようになった。

 ③ 長時間の連続加工が行われる金型加工においては、加工中の寸法変化が少ないことから、より高精度な加工が可能となり、熟練の仕上げ作業者に頼ることが多い磨き工程の短縮を図ること可能となった。

(2)環境負荷の低減
 高速で回転する機械の主軸は発熱量も大きく一般的に冷却装置が付属される。従来、主軸が停止中でも精度を維持するためにこの冷却装置を動かす必要があり電力を消費していたが、サーモフレンドリーコンセプトを応用した省エネ技術「ECOsuite」によって、精度を維持したままで主軸停止中に冷却装置を止めることで、機械の消費電力量を最大1/3にまで削減することができた。

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