【年頭所感】経済産業省製造産業局 産業機械課/日本産業機械工業会/日本建設機械工業会

「企業を取り巻く競争環境は劇的に変化」
●経済産業省製造産業局 産業機械課 課長 玉井優子

 令和2年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。 

 日本経済は、アベノミクスの進展により、長期にわたる回復を持続させており、GDPは名目・実質ともに過去最大規模に達しています。また、雇用・所得環境も改善し、景況感の地域間のばらつきも小さくなっているなど、地方経済は厳しいながらも前向きな動きが生まれ始めています。他方、製造業を取り巻く環境は大きく変化しており、これに対する対応を進め、イノベーションを続けていく必要があります。

 まずは、グローバル経済の変化への対応です。米中対立が顕在化し、保護主義的な動きが広がるなど、通商を巡る国際的な動向の中で、先行きの不透明さに対する懸念が広がっております。
 
 これまで、日本は、TPP11や日EU・EPAを通じて、質の高い通商ルールを構築してまいりました。また、本年から、米国との日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定も発効します。これからも自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導する役割を果たしていきたいと考えております。

 また、デジタル経済への急激な進展への対応が不可欠です。AIやIoTといったデジタル技術の進化により、新たな製品・サービスやビジネスモデルが生まれ、競争領域が広がるなど、企業を取り巻く競争環境は劇的に変化しています。

 第4次産業革命時代に、日本が勝ち残り、世界をリードしていくためには、様々な業種や企業、人、機械が、データを介してつながる「Connected Industries」によって、様々な社会課題を解決し、新しい価値を生み出す「Society5.0」を世界に先駆けて実現することが重要な鍵となります。

 日本の強みはものづくりの現場にあると言われますが、その生産現場においてもデジタル技術の活用は不可欠です。これまでも、産業ロボットの導入や、工場内の見える化等により、世界最高レベルの生産性を誇っていますが、今後は、工場のみならず、開発設計段階と工場、工場と工場、工場と物流も含めた最適化が、競争領域になると考えております。「Connected Industries」の取組を、引き続き皆様と進めてまいりたいと思います。

 さらに、少子高齢化に伴う中長期的な人手不足の問題の解決も必要です。特に製造業の現場では、熟練工など技術を持った人材の不足や、事業の後継者不足の問題が指摘されています。

 デジタル技術の活用に加え、ロボットや新たな機械の導入は、こういった問題を解決する一つの方策です。ロボットそのものの研究開発やロボットフレンドリーなど、環境の構築に取り組むとともに、中小企業向けの導入補助事業も強化していきます。あらゆる現場へのロボット導入などをサポートする人材育成にも取り組んでまいります。

 外国人材の活用にも取り組む必要があります。昨年4月に改正入管法が施行され、製造業では、産業機械製造業分野、素形材産業分野、電気・電子情報関連産業分野において、特定技能外国人の受入れが開始されました。本年は海外での試験も開始予定であり、受け入れの拡大に向けた環境整備にも取り組んでまいります。

 サプライチェーン全体での競争力強化を図る上では、企業間の取引の適正化も重要な課題です。産業機械業界では、業種別の自主行動計画の策定や、型管理の問題への対応や、働き方改革に伴うしわ寄せ防止などに向けた取組を進めて頂いておりますが、サプライチェーン全体で付加価値を生み出せるよう、引き続き、幅広い業界の方々とともに議論を深めていきたいと考えております。

 また、福島の復興は、経済産業省の最重要課題です。経済産業省では、福島県とともに、「福島イノベーション・コースト構想」の中核となる「福島ロボットテストフィールド(RTF)」の整備等に取り組んでいます。いよいよ今春に全面開所予定であり、産学官の関係者の皆さまに広く活用頂きたいと考えております。

 さらに本年は、世界中のロボット関係者が一堂に集まる、「ワールドロボットサミット」を8月に福島、10月に愛知で開催致します。ロボットの研究開発及び社会実装を加速するための国際大会です。福島をロボットのイノベーションの中核地とすべく取り組んでまいります。

 日本の製造業は、急速に変化し続ける環境の中で、複雑で困難な課題にも多く直面しています。しかし、それらに果敢に取り組みイノベーションを続けることで、安定した成長を続けられると確信しております。引き続き、皆様の現場の生の声をお伺いし、それを政策に活かしていきたいと考えております。

 本年が、皆様にとって素晴らしい1年となることを祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。

「緩やかな回復基調に期待」
●日本産業機械工業会 会長 斎藤 保

200101斎藤会長 2020年を迎えるに当たり、新年のご挨拶を申し上げます。
 皆様には、気分も新たに新年を迎えられたことと思います。

 昨年を振り返りますと、新天皇が即位され、「令和」の時代がスタートしました。さらに、国内初開催となったラグビー・ワールドカップでは、日本代表が準々決勝で敗れたものの、強豪国を次々に打ち負かすなど、日本列島を興奮させました。なお、経済面においては、長引く輸出の低迷、消費税率の引き上げ、台風に伴う一部工場の操業停止などの影響を受け、10月の鉱工業生産指数が前月比4.5%減と大幅な落ち込みを記録した他、12月の日銀短観では大企業製造業の業況判断指数が4期連続で低下するなど、景気の停滞感が強まりました。

 一方、海外では、世界経済の最大のリスクとなっていた米中貿易摩擦がひとまず休戦を迎えることとなり、また、ブレグジットについても、問題の迷走に終止符が打たれました。しかしながら、米・中もイギリス・EUも貿易交渉には曲折が予想されますので、引き続き、注視していく必要があると思われます。

 昨年の私ども日本産業機械工業会の受注は、国内では製造業向け、官公需がそろって振るわず、海外では中国や北アメリカ等の需要が低迷したことから、2019年度上半期の受注額が2兆1,613億円、前年同期比89.6%と3年ぶりに前年同期を下回る結果となりました。

 さて、2020年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中の注目が東京、そして日本に集まることになります。この国家イベントの成功に向け、引き続き国を挙げて取り組むと共に、海外へ日本の文化や先端的な技術・産業をアピールする場として大いに生かしていく必要があります。

 他方、環境面では、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が今年より始動いたします。今や環境問題への取り組みは、経済成長や様々な産業の将来を見通す上で大きな前提条件となっております。

 なお、日本経済においては、海外情勢の変化に留意する必要がありますが、国内では企業の設備投資意欲はなお旺盛であり、人手不足を踏まえた省力化・効率化投資に加え、次世代通信規格「5G」やデジタル革新技術への対応など、成長分野への投資が続くと見られ、緩やかな回復基調へ転換していくことが期待されます。

 こうした中、我々産業機械業界は、産業界の一員としての自主行動計画「環境活動基本計画」により地球温暖化対策、廃棄物削減対策を推進しておりますが、再生可能エネルギー機器や省エネ製品・サービスの提供を通じた産業機械ユーザのCO2排出量削減への貢献の他、廃プラスチックの再資源化技術の提供など、イノベーションにより地球規模での環境と成長の好循環の実現に取り組んでいきます。

 また、台風や豪雨など多発する自然災害に対応して、社会インフラの老朽化対策に資する新技術・システムを創出するなど、防災・減災と国土強靱化に貢献していきます。
併せて、グローバル化、デジタル化への対応を加速するなど、たゆまないイノベーションにより、他国をしのぐ高付加価値製品・サービスを追求し、世界のニーズに応えていきたいと思います。

 政府におかれましては、生産性向上に向けた設備投資の促進や技術開発、デジタル人材の育成等を下支えする各種支援の充実などに加え、日・英の経済連携協定の構築やRCEP交渉などの通商戦略に、引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 また、低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの安定電源化やそのための送電網の整備、安全性確保を大前提とした原子力発電の継続利用を含めた「安定供給、経済効率性、環境適合、安全性(3E+S)」を考慮した最適なエネルギーミックスの実現に向けた取り組みを加速していただきたいと思います。

 年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

「持続可能な社会の実現に向けて」
●日本建設機械工業会 会長 小川啓之

200101小川会長 謹んで新年のご挨拶を申しあげます。会員各社並びに関係省庁・関係団体の皆様方には、平素より、日本建設機械工業会に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申しあげます。

 昨年は、日本国内において、台風19号をはじめとするさまざまな災害が発生し、多くの被害をもたらしました。被害により亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申しあげるとともに、被災された皆さまに衷心よりお見舞い申しあげます。一刻も早い被災地の復旧を心からお祈り申しあげます。

 また、海外においても米中貿易摩擦をはじめとする様々な動きがあり、緊張感を持って世界情勢を注視する一年となりました。世界の建設機械の需要は、企業によって差はあるものの、全体的には日本や北米を中心に需要が堅調に推移し、中国やインドネシアを中心としたアジア市場などにおいては需要が想定より減速しました。当工業会がまとめている建設機械出荷金額統計を見ると、1月から10月の海外への輸出総累計は対前年比4.7%減となりました。国内に目を向けると、新排出ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減からの回復やインフラ関連工事需要の堅調さに加え、消費税増税前の駆け込み需要の影響等もあり、建設機械出荷金額統計では、1月から10月の国内総累計で対前年比10.9%増という結果となりました。

 当工業会では、これまで人々が安全かつ安心に暮らすために必要な基盤づくりに様々な形で寄与してまいりました。今後はさらに国土強靭化の取り組みとして、地震や台風などに起因する予期せぬ災害への迅速な対応なども必要となるでしょう。また、少子高齢化および建設労働人口低下により、特に国内の建設業界では、建設労働者のうち100万人以上が今後 10 年で高齢化等により離職すると想定されており、労働力不足が大きな課題となっています。こうした背景を踏まえて当工業会としては、安全・安心な社会を実現するための一助となるべく、より安全で、より生産性の高く、より環境に優しい建設生産プロセスを目指してICT/IoTを活用したソリューションを提供し続け、国土交通省の推進する情報化施工やi-Constructionのさらなる普及・浸透の一翼を担っていく所存です。またSDGsおよびESGにおいても会員各社の対応を促進し、持続可能な社会の実現に向けて、環境・省エネルギー・安全・法令遵守といった社会的な要請にも引き続き対応してまいります。

 最後になりましたが、皆様にとって、より良い一年となりますように祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。