DMG森精機 伊賀事業所 木質バイオマス発電のガス化炉メンテナンスフリー2,000時間連続稼働達成

240311DMG森精機1
バイオマス発電施設の外観


 DMG森精機がこのほど、設備メーカーのGLOCK ecotech GmbH(オーストリア、 以下、GLOCK社)、エンジニアリング担当のテス・エンジニアリングとの3社共同の取り組みにおいて、木質バイオマス発電のガス化炉メンテナンスフリー連続稼働2,000時間を達成したと発表した。

 同社では、持続可能な社会の実現を目指す取り組みの一つとして、2022年5月よりCO2排出量が実質ゼロとなるGLOCK社製の木質バイオマスガス化熱電併給設備を伊賀事業所(三重県)に導入し、運転を開始している。同設備は木質チップ原料を蒸し焼き(ガス化)にすることで、可燃性ガスを取り出し、電気と温水を生み出す。

 電気は、発電施設に隣接する塗装工場の動力・空調・照明用電力の約25%を賄い、温水は塗装工場の洗浄液の温度管理と、燃料チップの乾燥に使用している。焼却灰は、同社の葡萄圃場にて、バイオ炭として有効利用することを計画している。

 また、同プロジェクトは、木質チップ原料を近隣の伊賀・名張地域から 間伐材を調達することで、地域の森林整備と林業振興に寄与することも重要な目的としている。一般的に木質バイオマスガス化熱電併給設備は、蒸し焼きを行なうガス化炉内に付着物が堆積し、閉塞 トラブルが発生するため、安定稼働に向けて適切な予防メンテナンスが必要。日本の木質バイオマスは 灰融点が低いため、この閉塞トラブルが特に発生しやすく、同社ではこれまで約500時間ごとにガス化炉内の メンテナンスを実施していた。

 ガス化炉メンテナンスフリーの時間拡大に向けて、3社で共同し、木質チップの品質改善と、チップ微粉を除去するためのふるい装置の追加、GLOCK社によるガスフィルタの目詰まり解消機能の改良など、検証と実験を繰り返してきた。その結果、これまでの一般的な目安とされる500時間を大きく上回る連続稼働2,000時間を超えることができ、年間稼働率も65%から80%以上まで高めることに成功した。

■設備 概要
 ・メーカー :GLOCK ecotech GmbH(オーストリア)(www.glock-ecotech.com
 ・設備 :木質バイオマスガス化熱電併給設備
 ・定格発電出力 :18kW
 ・定格熱出力 :44kW

240311DMG森精機2
GLOCK ecotech GmbH社製の木質バイオマスガス化熱電併給設備

 

moldino_banner

 

 

intermole2024_大阪