デフレ脱却と雇用を起点に「日本国内投資促進プログラム」の実行 経済産業大臣 大畠章宏

110101 大畠経済産業相新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

昨年の内閣改造で、経済産業大臣を拝命いたしました。16年前に政務次官を務めて以来、経済産業行政の任に当たるのは2度目となります。今日の日本経済の状況をしっかりと見据え、経済社会に山積する様々な課題を解決するため、心を引き締めて、全力で対処してまいります。本年も皆様の一層の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

まず、我が国経済は、景気が自律的な回復に至らない中で、急激な円高の進行や海外経済の減速等によってこのところ足踏み状態にあり、さらに景気が下押しされるリスクも存在しています。こうした厳しい経済状況に対応するため、政府として「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」を取りまとめ、予備費9200億円、さらに補正予算5.1兆円を投入する等、切れ目なく対策を講じてまいりました。

経済産業省としても、円高・デフレ状況に対する緊急的な対応である「ステップ1」として、低炭素型雇用創出産業の国内立地を促進するための1100億円規模の支援措置や、夢と希望のある若者の就職を応援するための事業等、雇用や投資の基盤づくりを実施しております。

さらに、景気や雇用動向を踏まえた機動的・弾力的な対応である「ステップ2」として、中小企業の資金繰り支援、エコポイント等による足下の需要喚起、レアアース対策や研究開発プロジェクトの加速、イノベーション拠点立地支援などを盛り込みました。中小企業や地域経済の活性化、新成長戦略の推進、中長期的な成長基盤の整備といった目標に向けて、様々な対策を講じてまいりました。これら即効性のある施策を着実かつ迅速に実施し、景気の下支えと回復に万全を期してまいります。

次に、来年度の経済対策について申し上げます。平成23年度は、新成長戦略の本格実施である「ステップ3」により、デフレ脱却と雇用を起点とした中長期的な経済成長を目指す年度です。そのため、経済産業省が特に力を入れてきたのは、国内投資を促進し、新たな雇用を創出するための「日本国内投資促進プログラム」の策定です。産業界や労働界、国や地方自治体が一体となって議論を行った結果、それぞれの課題や対応策を取りまとめることができました。

政府としては、「成長促進型」政策の推進を宣言し、世界水準の投資・事業活動基盤の整備や、需要・投資先の開拓を行うことを決めました。具体的には、税制改正大綱の取りまとめに当たり、新成長戦略の大きな柱でもある法人実効税率について、第一歩として、企業の実質的な負担減になる形で、5%引き下げることとしました。同時に、「アジア拠点化推進税制」の創設も明記し、雇用創出や投資拡大に効果的なグローバル企業の研究開発拠点等を国内に呼び込むため、思い切った税制優遇措置を講じることとしました。これらの施策は、「日本国内投資促進プログラム」で政府として対応すると約束したものであり、経済成長や雇用確保を実現することを狙った税制改正です。産業界の皆様におかれましては、「守りの経営」から「攻めの経営」に転換していただき、是非とも積極的な国内投資を行い、質の高い雇用を生み出していただくよう期待しております。

次に、対外経済政策について申し上げます。我が国は、国土が狭く、資源も乏しい国家であるため、国全体を豊かにするためには外国との貿易が必要不可欠です。これからも豊かで安心できる経済生活を送るためには、保護主義を抑止し、自由貿易を推進しなくてはなりません。昨年の横浜APECでは、私もWTOドーハ・ラウンド妥結や保護主義の抑止に貢献していくことを主張し、最終的に取りまとめられた「横浜ビジョン」では、2011年が交渉妥結に重要な「機会の窓」であることが確認されました。交渉妥結に向け尽力してまいります。

国際貿易ルール全体を強化する一方、成長する諸外国の活力を取り込むためにも、二国間の経済連携に関する交渉や情報収集を活発に行うことも重要です。政府としては昨年11月に、我が国の主要国・地域との経済連携推進の基本となる「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定しており、「国を開く」決意の下、世界の潮流から見て遜色のない高いレベルの経済連携を力強く進めていくことに全力を挙げて取り組んでまいります。

横浜APECでは、FTAAPの実現に向けて各国が努力していくことで合意されました。ただし、各国がそれぞれ国内対策を充実させるとともに、国民の皆様の御理解を求めなければならないのは言うまでもありません。経済産業省は、日本国内における農林水産業の強化が必要と考え、「農業産業化支援ワーキンググループ」を立ち上げ、輸出振興や農商工連携を始めとした検討を開始しました。農業の6次産業化や海外における需要拡大等、積極的に知恵を出し、農業の強化策を進めてまいります。

また、今後は製品や部品を単品で輸出するのではなく、社会インフラやシステムというパッケージの形で輸出していくことも重要です。例えば、原子力については、国際原子力開発株式会社を中心として、ベトナムでの原子力発電所建設について合意することができました。日アラブ経済フォーラムの中では、モロッコ、チュニジアとの間で、太陽エネルギー分野に関する協力事業について合意することができました。私が会議に参加して実感したのは、我が国の技術力や産業力が、外国から強い関心と期待を集めていることでした。今後、水、鉄道、高速、衛星事業等について、関連産業の競争力強化や金融支援の強化、トップ外交の実施等により、積極的な国際展開を官民連携して推進してまいります。

次に、環境・エネルギー政策について申し上げます。昨年大いに議論されたレアアース対策は、資源の安定供給の重要性を改めて認識させるものでした。私は自ら中国に対して荷動きの早急な改善を要請するとともに、JOGMEC等を通じて海外での鉱山開発・探査を支援する等、輸入先の分散化に向けて積極的な対策を講じてまいりました。さらに、レアアースのリサイクル利用技術・代替材料開発等に全力で取り組んでまいります。今後は中長期的な視野に立ち、鉱物資源や、石油・天然ガス・石炭等の安定供給に尽力してまいります。

そして、環境・エネルギーは、我が国が強みを活かせる成長分野であり、グリーン・イノベーションによる新成長戦略の実現につなげることが重要です。我が国の省エネ・低炭素技術を今以上に効率化するための実証実験や技術開発を進めるとともに、国際的な展開を促してまいります。

また、原子力や再生可能エネルギー等、環境負荷が小さく、持続可能性が高いエネルギーも今後成長が期待される領域です。安全の確保を大前提に、原子力発電・核燃料サイクルを積極的に推進していく他、再生可能エネルギーについては、固定価格買取制度を導入して普及・拡大を進めてまいります。

さらに、「地球温暖化対策のための税」については、現下の厳しい経済状況の中で産業界・国民に御理解をいただくべく検討を重ね、石油石炭税を段階的に課税強化するとの成案を得ました。税収については、国民の皆様の御理解をいただきながら、エネルギー起源CO2排出抑制のために有効な対策に充当してまいります。
国際的な地球温暖化対策については、昨年末のCOP16で、京都議定書の単純延長には明確に反対いたしました。二国間クレジット制度等、地球規模でCO2排出量を削減する方策を具体化させ、米中印を含んだ形で、真に公平かつ実効的な枠組み作りを進めてまいります。

最後に、中小企業対策について申し上げます。企業数の99.7%、雇用の7割を占める中小企業の活性化こそ、我が国経済の活力の源泉です。中小企業の発展のため、税制改正大綱において来年度より中小軽減税率を、現行の18%から15%へと引き下げることとしました。また、引き続き厳しい経済状況が続く中、公的金融機関による融資・保証により中小企業の資金繰りに万全を期すことに加えて、人材育成や技術開発、新事業展開に意欲がある中小企業に対して、全力で支援してまいります。

特に、昨年立ち上げた「中小企業海外展開支援会議」の下で、それぞれの地方経済産業局の力を借りながら関連機関と連携し、海外ミッションの派遣や海外展示会への出展等をきめ細かく支援してまいります。また、先日、私も自ら中小企業に足を運び、生の声を伺ってまいりました。ここで聞いた声等を踏まえ、金融庁や財務省とも協力し、現地企業が日本語で相談等ができる「Japan Desk」の設置など、地銀等がJETROやJBICと連携して中小企業の海外展開を支援するスキームを構築することとしました。関係機関で協力し、本スキームをしっかりと実施してまいります。

これらの施策を一つ一つ着実に実行していくことこそが、我が国経済・産業を再び活性化していく足掛かりとなると確信しております。国民の皆様が、毎日の生活において安心して暮らせる社会、未来に対して夢と希望を抱いて暮らせる日本を実現するため、今年も精一杯努力してまいります。

皆様の御多幸と御健康をお祈り申し上げまして、新年の御挨拶といたします。