マキノの同時5軸制御 横形マシニングセンタ「T1」は国内ユーザの要求を取り入れ開発した一石二鳥マシンだった!

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牧野フライス製作所(社長=牧野二郎氏)が、チタン合金、インコネル、ステンレスなどの航空機用部品の難削材加工に特化した「Tシリーズ」に「T1」をラインアップし、7月16日から販売を開始した。
「T2」や「T4」は欧米ユーザの動向を調査して開発したマシンだが、この「T1」は、初めて国内ユーザの要求を取り入れ開発したマシンである。注目すべき点は、難削材に加えて“アルミ合金”の能率的な加工も可能にした一石二鳥マシンであることだ。

多様な国内ユーザのニーズを捉えた技術的な特長

130730top5低速の高トルク領域が広い国内ユーザの要求は多様である。
「お客様は材料が選べない。高価な工作機械を有効に活用するには難削材に加えてアルミ合金に対しても高能率な加工が可能なマシンを必要としていた」とのこと。

この一石二鳥なマシンのキモといえば“主軸”。低速領域での高トルクと高速域での高出力を両立している。特に低速の高トルク領域が広いのはこのマシンの特長のひとつで、ベース速度が高く、広い速度領域で重切削が可能なのだ。Tシリーズで培った難削材の重切削加工性能に、横型マシニングセンタ「a1シリーズ」で実績ある高速主軸の技術を採用で、難削材とアルミ合金を荒から仕上げ加工まで高速高能率に加工するわけだ。

■主軸
トルク特性:1,002/525Nm(S3 10%/連続)
     :チタン合金など難削材の重切削加工が可能

出力特性:95/56kW(S3 10%/連続)
    :アルミ構造部品などの高能率加工が可能

高速性 :12,000回転(HSK-A100)
    :仕上げ加工や加工条件の改善が可能


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減速機構を効率よく組合せ、コンパクトで剛性が高く、伝達ロスが少ないチルティング機構は、①同時5軸の重切削に充分な剛性、②軽量であるため、X軸とY軸の位置決め精度やA軸の割出精度が向上、③ワークの接近性に優れるといった優位性を持つ。

■アクティブダンプニングシステム

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130730top 4幅広で深く焼き入れ研磨された摺動面摺動面の摩擦力制御技術と送り軸の高応答サーボ技術により、加工振動を能動的に減衰させることで切削状態を安定させる機能、「アクティブダンプニングシステム(Active Dampening System)」にも注目したい。この機能は、機械のもつ減衰性能によって、加工振動を能動的に減衰させることで、切削状態を安定させる機能を指す。チタン合金などの難削材加工や、荒加工(重切削)の低速送りの場合、良好な加工面が得られ、さらに工具寿命が延長する効果があるのだ。アルミ部品の加工でも、高速送りで同じ効果が得られるよう機能を向上している。

■ハイブリッド送り機構
 Y軸は、幅が広く重い構造物(Yスライダ)が上下する。このため、すべり案内(2面)と転がり案内(2本)のハイブリッド送り機構を採用して高速性と真直性を向上している。さらに大容量の油圧アキュムレータを搭載することで、応答性もよい制御が可能である。

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切削負荷を減少させた工具寿命を考慮したつくり

130730top7パレットチェンジャ仕様(オプション)細かな視点が生きている消耗品である工具寿命を考慮したつくりにも注目したい。迫力の大流量高圧スルースピンドルクーラント(オプション)は、高圧にすることで工具刃先を潤滑。大容量なのは工具刃先への切りくずの溶着と熱的な損傷を抑える効果がある。クーラント液圧7MPa、クーラント流量100L/min。

工具・主軸保護機能のひとつ、「AST機能(オプション)」(Autonomic Spindle Technologyの略)も魅力ある機能だ。加工点にもっとも近い位置で切削状況を監視することで、主軸の過負荷などによる主軸本体の損傷を防止するので、高価なワークや工具の損傷も防止できる。

他にも主軸が加工中に受ける、①振動、②径方向からの加工力、③軸方向からの加工力の要因を監視し、適応制御(AC)機能と連動して自動的に軸送りを減速するなど、切削負荷量を減少させるといった機能を持っている。

「ものづくりの基礎であるマザーマシンだからこそ、1台を可能な限り有効活用して欲しい」というマキノの意気込みが詰まったマシンであるといえよう。

「T1」の販売価格は118,000,000円(消費税別)。