早くも「使える!」との声多数! OSGの新ブランド『Aタップシリーズ』に注目!

130827top1938年の創業以来、75年間に亘って、タップ、エンドミル、ドリル、転造工具、測定工具等の製造と販売に携わっている総合切削工具メーカーのオーエスジー(社長=石川則男氏)が、75年の長い歴史の中で、主力製品として愛されているタップに改めてスポットを当て、新プレミアムブランド『Aタップシリーズ』を開発し、7月8日から販売を開始した。

あれから1カ月以上が過ぎ、早くも加工現場から「使える」との声が上がっている。ネット上でも使用感が良いとの口コミを目にするほど、評判は上々だ。

今回、同社が立ち上げた大型新プレミアムブランド『Aタップシリーズ』の開発に携わったエンジニアの中嶋孝之氏に貴重なお話を聞くことができた。



時代の流れと『Aタップシリーズ』の誕生

130827top4タップ加工の難点は切りくず排出の不安定さにあるタップ加工の困難なところは、①折損・欠け、②ねじ精度の不良、③むしれ、かじり等などのトラブルと隣り合わせにあることだろう。タップは産業の進化とともに材質、形状、コーティング、加工方法とあらゆる改良が加えられ、用途別や被削材別にさまざまな製品が開発されてきた。オーエスジーもスチール、ステンレス、銅、アルミなど、それぞれの被削材に合った製品展開をしてきたが、従来と違う点は、「多様な加工条件にも合わせられる」という画期的な点だ。

オーエスジーが多様な加工条件にも合わせられるタップを造った背景はこうだ。
今から30年前の1983年、同社では『EXシリーズ』という製品を出していた頃の加工現場は汎用機、NCの付いていない専用機やボール盤が多くを占めていた。切削油剤も水で希釈しないタイプの不水溶性で、潤滑性の高いものが主流だった。1985年にブラザーがCNCタッピングセンタを発売し、これがタップ加工の高速化に拍車をかけていく。

このように機械メーカーと歩調を合わせるようにオーエスジーもタップ加工の高速化へと注力していくのだが、ここで加工環境も変化する。タップ加工の高速化に伴い、切削油剤は不水溶性のものから、水で希釈する水溶性が主流になっていったのだ。

水溶性のメリットは冷却性が良いことだが、反面、水で希釈している分だけ不水溶性に比べて潤滑性が低くなる。その部分を工具で補う必要があった。時代の流れとともにタップも進化していく。

今ではユーザーも高速加工を希望するようになった。その一方で、ボール盤では高速加工に対応するタップは上手く使えない。高速加工用の工具は高速加工用に設計がなされているのでボール盤では性能が出ないのである。

130827top3加工現場のほとんどは、最新の設備で占めてはいない。
一般的には、最新の機械、もしくはその前世代の機械、そしてボール盤のような手で加工する機械が混在している。こういった場合、「タップを使い分けしてください」となると、3種類ものタップが必要になる。同じ加工用途で3種類ものタップが必要になり、部品も変われば最適な工具も変わる。被削材が変わればまたさらに変わる。3種類が6種類、9種類と必要とするタップはねずみ算式にどんどん増えてくる。

ひとつの部品をたくさんつくる時流は過ぎ、最近の加工トレンドは短納期でたくさんの種類を少しだけつくる――というものだ。そうなると加工現場からは当然、“新しい機械も汎用機もボール盤も一本の工具で対応できないか”というニーズが生まれてくる。

「お客様の中には、汎用機で使えるタップを高速マシニングセンタの能力を落として低速で使うという、せっかく良い性能を持っているマシニングセンタを犠牲にしてまでタップの種類を集約している方がいらっしゃいますが、今では、高機能のマシニングセンタは良い条件で、汎用機は汎用機で、ボール盤はボール盤に合った条件で、かつ“工具は1種類にしたい”というのが最新の流れです」(中嶋氏)

オーエスジーからの提案

130827top1タップ加工において主なトラブルの原因を、中嶋氏は「切りくず排出時の不安定さにある」と話す。

「このAタップシリーズは、安定した切りくず排出性を持ち、さらに軟鋼やステンレスなど様々な被削材や幅広い切削領域・機械で使用できるうえに工具寿命も長いという画期的な切削タップです。母材には高い耐摩耗性を誇る粉末ハイスを使用し、表面には高い耐摩耗性のVコーティングを採用しています。切りくず形状を安定化させる切れ味重視の刃先仕様で、スパイラルタップA―SFTの溝には、切りくず排出を促す不等リード溝(PAT.)が採用されています」(中嶋氏)

母材についても従来よりも、ハイグレードな母材を使用しているとのことだが、これは、高速加工の熱に耐えられるためだ。中嶋氏はこの製品を使うことで得るメリットについて、「段取り時間の短縮はお客様にとっても喜ばしいことです。Aタップを使えば顧客の好きな切削速度を選ぶことができます。当然工具の集約化もできますので、これが工具費用の削減に繋がる。つまり工具の性能同様、経済効果もグンと高くなります」と説明した。

気になる切削性能だが、「SUS304の2D深穴加工」の場合、ステンレスは材料の粘りが強く、加工時の発熱も大きく難削材に分類される加工の難しい材料だが、工具径の2倍の深さの深い穴へのねじ立て加工で他社品が57穴で折損したのに対し、スパイラルタップ『A―SFT』では、約20倍の1000穴を加工してもなお、加工継続可能という耐久性能を実証しており、ステンレスの水溶性加工で高い耐久性を実現していることが分かった。

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また、マシニングセンタにおける高速加工についても、中・高炭素工のS45Cを15、30、40m/minの異なる切削速度で加工しても結果にバラツキがなかった。切りくずのつまりやすい横形マシニングセンタでの30m/minという高速切削においても、トラブルのない高い耐久性を誇り、幅広い切削領域においても安定加工ができることに加えてマシニングセンタの能力を活かす切削領域でも性能を発揮してくれる。

今回発売の『Aタップシリーズ』は、2製品を予定している。

①ポイントタップ『A―POT』

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主に、通り穴に使用されるポイント溝を有するポイントタップで、サイズは、M3~M24までの全29サイズ。価格は標準価格で2,340円~23,500円。

②スパイラルタップ『A―SFT』

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主に止まり穴に使用されるスパイラル上の溝を有するスパイラルタップで、サイズは、M3~M24までの全29サイズ。価格は、標準価格で2,350円~24,400円。

同社では初年度60万本、約25億円の販売を見込んでおり、主力工場の愛知県新城市にある八名工場を中心に生産し、自動車産業をはじめとする世界中のものづくりの主要拠点において『Aタップシリーズ』の拡販をする。

75年の節目に満を持して競争力のある製品を出したオーエスジー。
「次の100周年を目指して頑張るぞ!」という強い意志が感じられた。

中嶋氏は最後に「どんな条件でもほとんど合わせられる画期的なタップです。皆様に『こんなの欲しかった!』と喜ばれたい一心で精魂込めて開発した工具です。ぜひ、使ってみて下さい!」と爽やかな笑顔をみせた。