「円高に向けた構造改革が必要」 産機工

日本産業機械工業会(会長=日納義郎氏)は、1月7日午前11時より都内のホテルオークラで新年賀詞交歓会を開催した。
冒頭、日納会長が参会者にお礼の言葉を述べたあと、新年の挨拶をした。
挨拶の概要は次のとおり。


「新年を振り返りますと、我が国経済は、新興国経済の好調さを背景として前半までは緩やかに持ち直しつつありました。しかしながら先進国経済の低迷や急激な円高の進行などから秋以降の景気回復の勢いは鈍化し、足踏み状態となるなど、先行きが不透明なまま、新年を迎えることとなりました。

このような状況の中、私ども産業機械業界の受注も、年初より外需の増加や製造業の需要の持ち直しなどから、リーマン・ショック直後の激しい落ち込みを底として、緩やかな回復が続いたものの秋以降は一部の機種には減速傾向が見られるなど、回復の勢いが鈍化しています。一言で申し上げますとリーマン・ショックから一息ついた平成22年は比較的恵まれた状況であったと言えます。

さて、今年の景況につきましては、色々な見解があるかと思いますが、昨年12月に政府が発表された平成23年度の経済見通しでは、GDPがプラス1.5%の成長と見込まれております。世界を見れば米国への期待、欧州への不安、中国一辺倒への懸念、国内を見れば、雇用の悪化や円高、デフレの懸念など不安材料を抱えているものの最悪な事態は過ぎ、政府の経済対策や産業界の懸命な努力により、再び明るい兆しが見えてくるのではないかと思われます。

とはいえ、今年も産業機械業界には、厳しい受注環境がしばらくは続くものと思われます。最大の課題は円高対策であります。比較的緩やかな景況にもかかわらず、商品のコスト競争力・収益力が大幅に低下しているのが現状であり、過去にも幾度となく挑戦しつづけた、この円高に向けた構造改革こそが、いわゆる「ピンチをチャンス」にということになるのではないでしょうか。これを乗り越えるためには、われわれ自身のさらなる自助努力が必要です。「ものづくり」の原点である技術力を一層強化するとともに、1人当たりの生産性を倍増し、魅力ある製品やサービスをお客様に提供し、国内外で新たな需要の創出や市場の拡大などに引き続き努めていくことが、対策のひとつとなるでしょう。このことが、この厳しい経済状況を克服し、活力ある経済社会の構築に繋がると確信しております。

要は“予測の経営”、これからどうなるのかを考えて手を打っていくことも大切ですが、むしろ“期待の経営”、つまり今後どうしたいのかという大きな構想力と強い意志を持ってこの状況に対応することが肝要ではないかと考えます。日本産業機械工業会としましても会員企業それぞれの持つ強みを十分に発揮し、我が国経済の再生と競争力強化に向け、力を注ぐ所存です」

イコール・フッティングで世界と足並みを揃えることが重要

続いて来賓を代表して鈴木正徳経済産業省製造産業局長が、「私ども昨年の菅内閣発足以来、ともかく日本経済を成長させたいということで様々な政策を立案しているところです。税制改正では法人税減税について実効税率を5%引き下げることに決定しました。今年前半の最大の課題といたしましては、国を拓くという総理の強い覚悟のもとにTPPをはじめ、EUとのFTA等国を拓くんだという方向を決めるということですが、日本企業の国際競争力をつけるためには、まず各国とのイコール・フッティングという競争条件を等しくすることが重要だと考え、私どもは、昨年の9月以来、生産工程の革新、いわゆるプロセスイノベーションをもって日本で様々な企業が生産を続けていただけるための政策をうっているところであり、今年の前半には日本で生産基盤を維持するための方針を明確にしていきたいと考えています。海外の需要も重要ですが国内の生産基盤を維持するための方策を力強く講じていきたい。つきましては皆様方からご提案をいただきたいと存じます。また、昨年話題になりました中国からのレアアースについてですが中国政府も世界のサプライチェーンを深く理解しはじめています。中国政府として世界の生産活動に影響を与えるようなことはしないと明言されています。私どもも世界のサプライチェーンをアメリカ、EU、中国とも共有していきまして、世界全体としてどのように発展していくのかを考えていきたい。その際にあたって中国政府から鉱害対策についてぜひ日本に教育して欲しい、土壌汚染対策にも協力して欲しいという要望がありました。タイからもインドネシアからも同様の要望が来ています。これまで昭和30年代日本が鉱害に苦しんだことを世界各国は理解しています。それをまた復旧したことは日本の技術力である、日本の力をなくしては鉱害対策が出来ないと世界各国は感じています。ぜひ、世界をキレイにするビジネスを日本企業が中心となって行っていただけるよう、私どもも環境整備をしていきたいと考えています」と述べた。

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