平成23年ダイカストマシン短気需要見通し

日本ダイカストマシン工業会は、平成22年度事業の一環として同業界の平成22年における景気動向を分析し、このほど「平成23年ダイカストマシン短気需要見通し」を発表した。

平成22年の市場
平成22年の日本経済は、中国やインドの新興国需要増など好調な外需の牽引と、エコカー補助金・家電エコポイント等の政策支援効果による内需の底上げにより、自動車や電機などの製造業の復調が見られた。

年後半に入ると、実質ゼロ金利や量的緩和など包括的緩和政策が実施に踏み切られたものの、雇用・所得環境は厳しく消費マインドの低迷によるデフレ傾向が継続した。欧米の景気減速感が強まるとともに円高にも歯止めがかからず、また国内においても政策支援効果が縮小するなど景気の回復力は弱く踊り場曲面が続き、ダイカスト企業の環境と収益性は以前として厳しい状況にあった。

世界経済は、2009年第一四半期を底に2010年においても新興国に牽引されて緩やかな成長が続いたが、欧米とともに力強さを欠き、中国でも金融引き締め政策等により減速傾向となるなど、その成長ペースはスローダウンした。

このような外部環境の中にあって、
①ダイカストの国内生産量は98.1万トン、前年比29.3%増となった。
②ダイカスト需要の85.6%を占める国内自動車生産台数は963万台、前年比21.3%となった。
③ダイカストマシンの生産台数は642万台、前年比138.7%増となった。
④ダイカストマシン(付帯装置を含む)の生産額は187億1800万円、前年比71.3%増となった。
⑤ダイカストマシンの国内向け出荷台数は103台、前年比28.8%増、また、出荷額では21億2000万円、前年比44.8%減となった。
⑥ダイカストマシンの輸出については台数で576台、前年比174.3%増、また、金額では139億900万円、127.5%増となった。
⑦ダイカストマシンの全出荷台数は679台、前年比134.1%増、また、全出荷額では160億2900万円、前年比61.0%増となった。
⑧主な輸出国(金額ベース)は、1位中国、2位韓国、3位タイ、4位インド、5位マレーシア、6位インドネシアの順となり、東アジアと東南アジアの合計で全輸出額の97.2%を占めた。
⑨ダイカストマシンの付帯装置を含む全出荷額は188億5800万円、前年比67.9%増となった。

(1)コールドチャンバ機の市場
平成22年の全体の出荷実績は631台で前年の249台に対し153.4%増加した。
内訳は、国内向けは89台で前年の64台に対し39.1%増、輸出が542台で前年の185台に対し193.0%増となった。

輸出比率は平成21年の74.3%から11.6ポイント増加し85.9%となった。出荷台数を型締区分別にみると、すべての区分で前年を上回った。

これらの数字にみられるように、国内ダイカスト設備の稼働率は自動車生産の回復(前年比21.3%増)を拝啓に概ね80%程度まで回復が見られたものの、先行きの不透明感が長期化する中、生産設備の余剰感は否めず、ユーザーでの設備意欲は低調に推移した。また、円高基調の長期化に伴い海外への生産シフトが継続的に伸張した。

他方、中国市場を筆頭とする振興国での自動車生産拡大、韓国での小型車生産設備の急拡大、東南アジア地域での二輪車生産の拡大とHDD・家電生産の回復などにより、輸出は193%の大幅出荷増となった。

型締区分別に出荷台数をみると、
①150トン未満 129台(前年比118.6%増)
②150トン~300トン未満 59台(前年比227.8%増)
③300トン~500トン未満 264台(前年比203.4%増)
④500トン~1000トン未満 148台(前年比142.6%増)
⑤1000トン以上 31台(前年比29.2%増)となった。

(1)ホットチャンバ機の市場
平成22年の全体の出荷実績は48台で、前年の41台に対して17.1%増となった。
内訳は、国内向けが14台で前年16台の12.5%減、輸出は34台で前年の25台に対し36.0%増となった。

輸出比率は平成21年の61.0%から9.8ポイント増加し70.8%となった。
出荷台数を型締区分にみると、前年と比べて30トン未満および30トン~100トン未満では増加、100トン以上では減少した。

ホットチャンバ機市場を形成している自動車関連、IT関連は海外への生産シフトが進み、国内では増設または更新するほどの生産量はなかった。一方輸出は東南アジアの二輪車・自動車の生産が増加しており、輸出比率および出荷台数が伸びた。

平成22年の需要予測(61台)に対しては21.+%減であったが、これは100トン以上マシンの中国市場での設備投資が伸び悩んだことが考えられる。

型締区分別に出荷台数をみると
①30トン未満 21台(前年比10.5%増)
②30トン~100トン未満 16台(前年比77.8%増)
③100トン以上 11台(前年比15.4%減)となった。

(2)平成23年の市場見通し
平成23年の日本国内経済は、製作と支援政策終了による効果の剥落での影響により個人消費の伸びの鈍化が予想されるが、一方、高成長を維持する中国・インドおよび東南アジア向けを中心とした輸出の伸張と、低金利の継続による住宅投資・民間設備投資の増加が見込まれ、緩やかな回復傾向を維持するものと思われる。

また、2011年の世界経済は、先進国においてはリーマンショック後に各国に手実施された景気喚起政策の効果が一服し減速感が強まるものと思われる。その中において、米国経済は自動車販売の復調が見られるとともに、2010年末に失効する予定であった大規模ブッシュ減税が延長されるなどの好材料をもって安定成長経路に乗るものと予想される。

他方、新興国経済は2010年後半に実施された高金利政策等の経済町政策も短期的かつ軽微に留まると予想され、2010年よりはやや減速するものの、緩やかな拡大を維持するとみられる。中国経済は輸出主導経済成長にともなう民間設備投資拡大から消費を主体とした内需型成長へと移行し、引き続き高度成長を維持するとみられる。

ただし、下振れ要因として、先進国金融緩和がもたらす過剰流動性とアラブ諸国の政治不安による資源価格・商品価格の高騰と為替相場の不安定化、新興国のバブル経済化懸念、さらには欧州諸国での財政赤字と金融不安の増長があり、国内外経済に大きな影響をもたらすことも懸念される。

ダイカスト業界においては、国内はピーク時までの仕事量は回復していないが安定してきており、更新需要を中心とした設備需要が回復すると予想される。

また、海外においては、前年に続き、低価格車・コンパクト車の生産設備の潜在需要が高い中国、インド、韓国での設備需要増、さらには東南アジアにおいても二輪車生産増に加えて自動車部品現地化も進んできており、さらなるダイカスト設備需要の伸張が期待される。

このことから、平成23年の全出荷台数を840台、前年実績比23.7%増とし、その内訳は国内向けが181台、前年実績比75.7%増、輸出は659台、前年比14.4%増と見込んだ。

最後に2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに引き続く電力供給制限および種々の資材の供給不足等は、直接間接にすべての経済活動に甚大な支障と影響を与えるものであり、本短期需要見通しの前提とした経済環境が大きく変化すると思われる。よって、本需要見通し数値においても国内需要を中心に減少する可能性があると見込まれる。

(1)コールドチャンバ機の市場見通し
平成23年のコールドチャンバ機の国内需要は156台、前年実績比75.3%増、輸出は590台、8.9%増とした。合計では746台の出荷を予測し前年実績比18.2%増とした。

主な予測要因としては、
①国内経済の穏やかな回復は継続すると思われ、環境対策・省エネ対策も含めて、更新需要が増加すると思われること。
②国内おいては、新技術・新商品の開発を模索する中、新規設備導入が積極的になると見込んだこと。
③米国などの先進国においても自動車販売が回復しており、円高環境下においても、輸出依存企業の業績が回復すると期待されること。
④円高環境の長期化のもと、海外、特に中国・インド・東南アジアさらには中南米への生産シフトが進むとともに、日経トランスプラントでの設備増強が加速すると予想されること。
⑤輸出においては、局地的には欧州メーカー、台湾メーカーとの競合などによる下振れ要因が懸念されること。

ただし、輸出の上振れ要因として、HDDの需要回復などによる500トン未満の輸出増加も期待される。

型締区分別に出荷台数を見通すと
①150トン未満 150台(前年実績比16.3%増)
②150トン~300トン未満 79台(前年実績比33.9%増)
③300トン~500トン未満 252台(前年実績比4.5%減)
④500トン~1000トン未満 206台(前年実績比39.2%増)
⑤1000トン異常 59台(前年実績比90.3%増)とした。

ホットチャンバ機の市場見通し
平成23年のホットチャンバ機の国内需要は25台、前年実績比78.6%増、輸出は69台、前年実績比102.9%増とした。合計では94台の出荷を予測し、前年実績比95.8%増とした。

主な予測要因としては、
①国内はピーク時までの仕事量は回復していないが安定してきており、更新需要の増加を想定したこと。
②中国、インド、東南アジアでの二輪車、自動車及びIT関連、玩具の増産で設備増加が見込まれること。

型締区分別に出荷台数を見通すと
①30トン未満 53台(前年実績比152.4%増)
②30トン~100トン未満( 24台(前年実績比50.0%増)
③100トン以上 17台(前年実績比54.5%増)とした。