三菱マテリアルが「2016年度東日本三菱拡販戦略会議」を開催 ~海外の地産地消や国内のマザープラント強化を狙う~

 三菱マテリアル 加工事業カンパニー(加工事業カンパニープレジデント=鶴巻二三男 三菱マテリアル常務執行役員)は、5月20日に、都内の東京マリオットホテルで「2016年度東日本三菱拡販戦略会議(MSM)を開催した。

 第一部の総会で、鶴巻加工事業カンパニープレジデントが「顧客目線に根ざした真の製品供給力、ソリューション提供力を堅持し、お客様からパートナーとして信頼を得る事業体となることを目指している」とあいさつしたあと、今年度の活動方針、昨年度の状況等について説明があった。

 それによると、「事業の基本は人である」という理念のもと、「ワクワクプロジェクト」を立ち上げ、2020年までに「社員と顧客のワクワクを叶えつづけて顧客満足度ナンバーワンのプロ集団になる」とのビジョンを掲げているとした。また、「いつでもどこでもオンリーユーのソリューションとサービスを提供し顧客と感動を共有できる唯一の総合工具工房である」とのブランド戦略を示した。

今後の開発の方向性は「ソリューション型の開発」

説明をする鶴巻 加工事業カンパニープレジデント
説明をする鶴巻 加工事業カンパニープレジデント
 投資について説明があった。2013年に筑波製作所が大きな投資を完了しているが、昨年度、本年度は海外での地産地消や国内のマザープラントの強化を狙い、過去最高の投資金をつぎ込む予定。具体的には、欧米での地産地消の強化を挙げ、スペイン工場(インサート、ドリル、エンドミル)、アメリカ(ドリル、エンドミル)工場の生産能力増を狙う。インドネシア工場はコスト競争力強化を視野に入れ、ドリルの生産を開始し、エンドミルの生産能力を倍増する。なお、このインドネシア工場が完成すると岐阜・明石工場で生産している一部の量産品を移行すると説明があった。インドネシア工場は今年度の大きな投資となる。

 国内については、特殊品、あるいは短納期品のきめ細やかな対応、さらに開発品、難易度の高い製品について岐阜・明石工場が取り組むとした。特殊工具や金物製品についても、能力を増強し、協力工場含め、万全の体制で取り組む旨の説明があった。

 鶴巻加工事業カンパニープレジデントは、開発の方向性について、「良い製品をいかにつくるかが鍵になるが良いものをつくれば良い、というだけではない。お客様ごとのニーズに応えるソリューション型の開発、あるいは新加工技術の提案が不可欠。加工技術そのものを新しくしていくということまで含めて取り組んでいく。筑波・岐阜・明石の開発部隊と総合力を活かして中央研究所、加工技術センタ、大学・研究機関等々と連携して開発力を高めていく」と述べた。また、高性能・高評価の新製品を次々にリリースしていることに触れたあと、三菱の総合力を活かす社内外・グローバルの連携により、ソリューション力を向上させることを狙いとして、大宮にあるテクニカルセンタの強化や中国の天津にある菱雲テクニカルセンタのリニューアル、中部テクニカルセンタを新設(来春オープン予定)すると説明した。

安心の供給能力アップと新製品群でユーザの裾野拡大へ!

山本営業本部長
山本営業本部長
 山本元治営業本部長が、「インサートは筑波で大きな投資をして相当数の供給能力を備えることができ、国内はお陰様で数字を伸ばすことができた。ドリルは海外で比較的戦っていきやすい製品である。エンドミルについて昨年度はあまり伸長することがなかったが、2014年度下期にIT関連企業から大きな受注があったので、幸いにして供給能力をつけることができた。したがってインサート、エンドミル、ドリル、本年度は皆様方に供給能力でご迷惑をかけることはないと確信している」旨の説明があり、供給力を十分に確保していることを強調した。また欠品発生時のリカバリー体制を構築していると述べた。

特約店表彰の様子
特約店表彰の様子
 2015年度優秀特約店表彰が行われたあと、長田 晃開発本部長が、「開発本部では、営業本部と同じく三菱の総合力でお客様の声にスピーディにお答えします、をモットーに日々精力的に開発に取り組んでいる。三菱マテリアルならではのユニークな技術を使って、お客様も私どももワクワクするような新製品、新技術、お客様ごとのソリューションを提供していきたい」と意気込みを示したあと、本年度の新製品2件の説明をした。
説明にあった新製品は、鋼、旋削用のコーティングシリーズ「MC6000シリーズ」と、スモールツール用PVD材種「MS6015」。

 これによると、今回発表した「MC6000シリーズ」は、鋼旋削加工のスタンダードとして、均一な強靱層を持った専用超硬基体を持つ「MC6025」、厚膜+Al₂0₃配向制御技術により高い対摩耗性を実現した高速領域加工用「MC6015」に、新しく、異常損傷を抑制し断続加工での安定性を確保した、断続・中低速旋削加工用「MC6035」が加わった。これにより「MC6000シリーズ」は、鋼旋削加工の全ての領域をカバーすることができるようになった。

 一方、小型自動旋盤用PVD材種「MS6015」は、自動盤に用いられる丸棒の多くが炭素鋼で占められることを受け、溶着しやすい炭素鋼切削でも安定した寸法精度と仕上げ面を実現するべく、低摩擦かつ、平滑性・密着力の高いTiCN膜で良好な耐溶着性を誇る製品。

 続いて潮田良一 営業本部流通営業部長が流通営業部の方針を説明した。それによると、営業支援システムを活用し、ユーザの案件毎の活動体制強化を挙げ、新規ユーザの掘り起こしで顧客の裾野拡大を狙うと説明があった。

 第二部の講演会は、フジテレビ系の「ほんまでっか!?TV」等でお馴染みのエコノミスト 角倉貴史BRICs経済研究所 代表が「アジア経済の現状と今後の見通し」をテーマに講演した。

 場所を移して第三部の懇親会は、三橋 誠テヅカ社長の乾杯の発声で開宴し、宴もたけなわのころ、金子善昭戦略部長兼営業企画部長が参会者へ御礼のあいさつを述べ、淵本友隆 淵本鋼機社長の中締めで散会した。

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