岡本工作機械製作所が「PSG会東部支部連絡会」を開催 ~大注目を集めた「MUJIN」をはじめ、新技術や新製品を説明~

 岡本工作機械製作所(社長=石井常路氏)が2月16日、横浜市内にある新横浜国際ホテルで「東部支部連絡会」を開催した。

 同社が推奨する高能率研削を実現する「研削革命」についての勉強会が開かれた。「研削革命 ~近未来編~」をテーマに、進む研削盤の自動化、IoT、ロボット等についての説明があった。同社では、①全自動・IoT、②高能率、③複合を『3つの研削革命』として推奨している。

 昨年11月に開催されたJIMTOF2016で、全自動平面研削システム「MUJIN」が注目されたが、このシステムは、操作盤の操作は不要でボタンを押すだけで研削が始まるオプションである。センサー技術を活用し、自動で置かれたワークに最適な平面研削を行う。

 メリットは、①段取り時間、入力工程の短縮、②ワーク自動検知と必要箇所のみ研削、③寸法に対する効率の良い自動研削、④ドレスタイミング検知と自動ドレス介入、⑤負荷を検知し、適応制御を行う研削、⑥研削後の自動測定&自動補正研削、⑦検索情報の視える化(数値化)。

 このシステムを利用する最大の優位性は、技術の継承者不足や人件費の高騰、海外進出、安全性考慮、無事故か、生産性の向上、メンテナンスの簡易化などの課題を解決すること。オペレータ間隔に頼っていた情報をセンサーで検知し、無人化研削を実現する。

 同社が考えるIoTとは、機械が検知できる研削情報を拡張すること。IoT技術を持つHUB関係会社と協力をして機械の「視える化」を図るとしている。なお、この「MUJIN」の販売予定は本年4月とのこと。

OKAMOTOの新技術・新製品の数々

●5軸制御研削「UPZ-Liシリーズ」
 このマシンの特長は、左右リニアモータ、クラウニング、マルチポジション、高速反転研削、標準制御軸数3軸、上下送り高速特殊仕様(OP)、2軸特殊追加仕様(OP)(インデックス割出装置・旋回装置)。5軸制御研削の最大のメリットは、マウス形状・非球面形状等の滑らかな形状の研削が可能になるということ。

●高速研削
 左右反転時の空走時間を極限まで小さくし、単位時間当たりの研削時間を増やす考え方であり、同社では「MUJIN」に応用している。

●高能率重研削
 これは切りこみ量大幅増加による、作業時間の短縮・高能率化を指す。実現するための必要条件は、「高剛性研削盤」+「切れる砥石」+「切れる切削液」が融合することである。
 機種により高能率研削を提案する仕様が異なるので、加工現場に合った高能率研削を提案するとしている。同社では、100~200µmの切り込みにて除去率90%を達成している。

●ファインバブル発生ユニット 新BIX ~TWIN-BIXの登場~
 同社は、研削盤では研削液の流れが不均一になるため、最大限にBIXの効果を発揮するために双方向の流れをつくる必要があると考えた。驚異の研削効率を実現する研削盤専用の「TWIN-BIX」を登場させ、従来の「GRIND-BIX」から冷却能率を30%もアップさせている。BIXの効果は、“コアンダ効果”により砥石と被削物の接触点に研削液を効率良く誘導。これにより研削熱の発生を抑制し、研削液本来の効果を最大限に接触点で活かすことに加え、“キャビテーション現象”により研削液を分子化、砥粒の間に入ることにより切りくずの洗浄効果もある。ドレス回転の削減にも期待できるという。同社では、この「TWIN-BIX」を採用することで、①研削熱の抑制により高能率研削を行える、②砥石の目詰まりを抑制することで鏡面をつくりやすく、超精密研削に最適である、としている。

●中型静圧研削盤シリーズ化
 同社では「超精密でコストが高い時代は終わった」という認識のもと、左右静圧仕様の超精密汎用平面研削盤を適応価格帯でラインナップしている。特長は、①「CA1シリーズ」の操作製、②T型一体フレーム構造、③左右案内面静圧仕様、④前後案内面高精度角型構造、オプションで前後・砥石軸静圧対応。操作盤もより使いやすくなるよう変化している。具体的には、ソフトを集約し、メカスイッチをタッチパネル方式に変えた。簡単操作で作業ができるのは嬉しい限りだ。

閉会のあいさつをする石井社長
閉会のあいさつをする石井社長
●複合(内筒・内研)
 円筒研削盤・内面研削盤に各業種に実績がある同社。“痒いところに手が届く”ような複合機を展開している。今回は横形複合研削盤「NGM-NCシリーズ」の紹介があった。このマシンは、砥石軸はプレーン・案牛良・内面研削用の3種類スピンドルを搭載(標準はアンギュラ・内面砥石)。DDモーターによる砥石割出は最小設定0.0001°に対応。端面①測定装置、直接定寸装置、ギャップエリミネーターを活用することにより、一層の安定した精度・高生産性に対応している。

 もうひとつ紹介があったのは、立形複合研削盤「UGM5V」。特長は、①左右・上下軸はスケールフィードバックにより、高精度位置決めが実現、②内面、外径、端面加工用4本の砥石自動交換を標準装備している、③スピンドルはカービックカップリングにより正確に0°、30°の自動旋回、④ロータリードレッサーを標準装備している、⑤コンパクトなフットプリント設計。

 伊藤 暁 技術開発本部長が特別講演を行い、「近未来に想定される加工技術」について説明した。

懇親会で次世代マシンに期待をよせる渡邊本営業部長
懇親会で次世代マシンに期待をよせる渡邊本営業部長
 閉会のあいさつを石井社長が述べた。この中で岡本社長は、「われわれは一昨年80周年を迎えたが、今後100年企業を目指すべく、昨年、中期経営計画を発表した。社内で若手がこのロゴを造った。このロゴの意味は、われわれ岡本のグループがグローバルな環境で研削で成長していくというメッセージがある。2019年3月期に売上高320億円を目指していく」と力強い意気込みを示した。

 場所を移して、懇親会が開かれた。懇親会の冒頭に渡邊哲行 営業本部長が、「昨年11月にJIMTOFが開催され、早3カ月が経過した。私どもの開発と営業のテーマの1つはMUJINだが、このMUJINは弊社の営業が提案したもので、それを技術がつくりあげた機械である。4月から発売する予定だが、先々はロボットを付けたり、MUJINの無人化ということも考えている」と次世代マシンに期待を寄せるあいさつをした。

 懇親会は同社の若手2名の司会進行で、抽選会等が行われるなど和やかな雰囲気の中、参会者は親睦を深めた。宴もたけなわの頃、散会した。

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