日本マイクロソフトが小柳建設と「Holostruction」の推進で連携 建設業の施工検査の効率化を目指す


(写真左=平野拓也 日本マイクロソフト社長、右=小柳卓蔵 小柳建設社長)

 日本マイクロソフト(社長=平野拓也氏、本社:東京都港区)と小柳建設(社長=小柳卓蔵氏、本社:新潟県三条市)は、4月20日、Windows 10 を搭載した世界初の自己完結型ホログラフィック コンピューター「Microsoft HoloLens(マイクロソフト ホロレンズ)」を活用したプロジェクト「Holostruction(ホロストラクション)」の推進において連携すると発表した。

 現在、建設業界は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、2027年開業予定のリニアモーターカーなどによる需要の高まりと、高齢化に伴う労働力人口の減少から、技能労働者の不足が深刻化し、生産性の向上が課題とされており、政府主導による「i-Construction」が推進されるなど、建設事業者にとって、様々な課題や新しい規格などへの対応が求められている。

 日本マイクロソフトが本年1月から国内の法人と開発者向けに提供開始した「HoloLens」は、目の前の現実世界の中に、3Dの仮想物体であるホログラフィックを重ねて表示させることで、現実世界と仮想世界を複合させ、それぞれの長所を活かした「Mixed Reality」(複合現実)を実現する新しいデバイス。

 小柳建設は、1945年の創業以来、土木事業、建築事業、自社開発の浚渫事業を軸に、総合建設業として地域社会の成長発展に貢献してきた企業。今回、日本マイクロソフトと連携し、建設業における計画・工事・検査の効率化、および、アフターメンテナンスのトレーサビリティを可視化するコンセプトモデルを開発したが、今後も継続的に開発を行い、将来的な実用化に向けて取り組んでいく。なお、業務生産性とトレーサビリティの向上を目指して「HoloLens」を活用するのは、建設事業者としては国内初となる。

 VR(Virtual Reality)デバイスと異なり、現実世界が見えている状態のまま、ホログラフィックも見えて操作でき、音声やビデオを使って遠隔地の同僚と、同じ複合現実の世界を共有しながらオンライン会議もできることから、小柳建設では、国内での発売前から、「HoloLens」を活用することで、建設事業者の様々な課題の解消や軽減を実現できるものと考え、マイクロソフトがグローバルで提供する 「HoloLens」 の開発プログラムをマイクロソフト コーポレーション(本社:米国ワシントン州レドモンド)と締結することで、マイクロソフト コーポレーション、および、日本マイクロソフトのコンサルティングサービスと連携してコンセプトモデルを開発してきた。

 平野 日本マイクロソフト社長は会見の席上で、「HoloLensは現在日本を含む9カ国で提供されており、多くの開発者の支持を得ている。すでにWindowsストアにおいては、150を超えるアプリケーションがダウンロードできる状態。特に日本においては今年の1月に開発者、並びに法人向けに販売を開始した。すでにHoloLensを着用した数十名の開発者が集まって連日勉強会をしてみたり、幅広い業種の方がビジネスでどのように活用できるのかと検討されたり、われわれの想像を超えるような反響と盛り上がりを見せている」と述べた。

HoloLensを活用した小柳建設コンセプトモデルについて

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 業務トレーサビリティを確保する仕組みを開発し、計画、工事、検査、アフターメンテナンスの全てを表現するツールとしての活用と、政府が推進するi-Constructionを後押しできることを目指している。建設現場では、検査員の不足や負担が喫緊の課題とされており、小柳建設では、BIM/CIMデータを活用した、直感的な新しい検査基準の検討、検査文書の作成負担を軽減する試行策に取り組んでいる。今回のコンセプトモデルでは、設計図を3Dで可視化しつつ、検査に必要なデータや文書も一緒に格納し、必要な時にすぐ表示できる仕組みを開発している。

 建設現場では、物理的に行き来が難しい場所や危険な場所もあるが、「HoloLens」を活用することで、場所にとらわれずに現場の状況を確認したり、遠隔地の人と視界を共有することができるため、工事の安全やコミュニケーションの迅速化にも貢献する。今回のコンセプトモデルでは、3Dグラフィックで「HoloLens」に映し出される図面や現場視界を共有する機能、実物大の1/1スケールで実際にその場にいるかのような体験、建設重機や作業員の配置を計画段階からシミュレーションする機能も開発している。

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