【注目】11年ぶりにマザックがINTERMOLDに! 「UD-400/5X」は金型メーカーの期待に応えたハイエンド5軸加工機だった! 

来場者も興味津々
来場者も興味津々
 今回、11年振りにINTERMOLDに出展したヤマザキマザック。金属積層造形技術を融合したハイブリッド複合加工機「VARIAXIS j-600/5X AM」や、ワンチャッキング全加工を可能にした「INTEGREX iシリーズ」とともに、金型や超精密加工に特化したハイエンド5軸加工機「UD-400/5X」が登場した。

 このマシンは精密加工や金型加工のニーズに対応すべく、高速・高い応答性を追求している。完全左右対称の門形構造やベース・コラムに採用したミネラルキャストや軸芯冷却付き45000min-1高速主軸など、徹底した発熱・振動対策を施すことで、長期にわたり安定した超精密加工を可能にしたうえ、同時に金型加工で求められる自由曲面の高速加工に着目した制御技術やソフトウェアの開発と改良を推進。同社が蓄積した技術を惜しみなく投入したこのマシンは、高い生産性と優れた加工面品位を実現するものとして、華々しく展示されていた。

 マザックが金型に特化したマシンを投入―――! ということもあって、多くの来場者が「UD-400/5X」の前で足を止めていた。マシンのスペックを確認しているのを拝見して、話題性の高さが理解できる。

中西常務
中西常務
 同社の中西正純 常務執行役員営業本部長(以下中西常務)にこのマシンを開発した経緯を尋ねてみると、「金型を海外メーカーの機械で造っていたお客様がいらっしゃった。ところがそのお客様は、“高価なのにサービスが悪い”と海外メーカーのものに不満があったのです。お客様はよほどお困りだったのだろうと思います。『もし、マザックがこの機械と同じ能力のものをつくってくれれば買います。』と言ってくれたのです。それが開発のキッカケとなりました。」とのこと。また、11年振りにINTERMOLDへ出展したことについても、「金型業界に向けて、新しい提案ができる機械が満を持してできた。極端な話、金型というのは、工夫と知恵に加え、機械があれば出来てしまうのですが、高能率に高品質な金型をつくって経済効果を高めるとなると話は別です。お客様の信頼と利益を確保するためには、高い生産性と優れた加工面品位を実現する機械が必要になります。現在、国内金型メーカーも活力が戻っていますが、この元気な時こそ、品質を確保しながら利益を向上させるための設備投資を真剣に考えるチャンスではないかと考えています。」と強調した。

これが「UD-400/5X」のスペックだ!

 マザックが惜しみなく技術を投入したというこのマシンの気になるスペックだが、回転速度:45000min-1、主軸出力〈40%ED〉:13.8kW(18.5HP)、最大トルク〈40%ED〉:6.9N・m、ツールシャンク形式:HSK-E40。

 加工面粗さを向上し、工具の寿命を延ばすためには、高速回転時の振動を最小限に抑える必要がある。そのため、駆動用ギアを排除し、ビルトインモータ主軸構造を採用している。また、加工の際の悩ましいことといえば発熱による主軸の熱変位だが、主軸軸心及びジャケット部に温度管理した冷却油を循環させることで熱変位を抑え、加工精度変化を防いでいる。さらに、温度管理をした冷却油をボールねじ内部に通すことでボールねじの発熱やサーボモータからの熱影響を抑えるという徹底ぶり。しかも、熱対策はこれだけではない。機械稼働時の発熱による熱変位を抑えるため、ベースやコラムなどの機械構造を左右対称としていた。

 他にも加工時の嫌なことに振動が挙げられるが、この対策には減衰性の高いミネラルキャストをベースやコラムに採用している。これにより、高速動作時でも嫌な振動を抑制してくれる仕組みなのだ。また、低ウェービング、高剛性、高減衰性に優れた転がりガイドの採用によって高い真直性や滑らかな動きが実現し、それが高精度かつ高面品位な加工に結びつく。

 加工にありがちな問題点である、振動、発生熱、バックラッシュ。これらをことごとく解決するために、B、C軸の駆動機構にダイレクトドライブモータを採用している。動力伝達装置をなくすことで高精度、高応答性、高剛性を実現する仕組みだ。また、X、Y、Z、B、Cの全軸に高分解能スケールフィードバック装置を標準装備しており、絶対位置を検出することで、特に熱膨張の影響に配慮した高精度な加工を可能にすることができる。

 様々な新しい要素技術が盛り込んであるこのマシンのメリットは、なんといっても加工におけるトータルコストに貢献することだ。段取り替えなしで多面の連続加工ができるので、生産リードタイムの短縮や段取り替えに伴う誤差の減少にもつながる。また、5軸といえば、テーブルを傾斜させることで、工具の突出し長さを短くすることができるので、工具のビビリを心配することなく安定した加工が可能になる。工具も刃先の良い部分が当たるわけで、機械の性能を充分に発揮しつつ、品質の良い加工はもちろん、生産性を高めてくれるのだ。

 金型に力を発揮する「UD-400/5X」を投入したというマザックファンにとって嬉しいニュースだったが、今年はJIMTOFが開催される年。「マザックは次、なにを展開するのか!?」という読者の期待値も大きいだろう。

高品位と高能率の両輪で生産性を高めるマシンだ。
高品位と高能率の両輪で生産性を高めるマシンだ。
 ―――と思い、JIMTOFでの展開について尋ねてみたのだが、中西常務は「企業秘密です。」と笑いながら、次のようにコメントしてくれた。

 「皆様の期待を裏切らない展示内容になるでしょう。すでに準備は進んでいます。楽しみにしていてください。」

 来年100年を迎えるヤマザキマザックの次の展開がとても楽しみだ!

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