「フィジカルAIが市場拡大の追い風に」日本ロボット工業会が従業員功労表彰式および通常総会を開く
日本ロボット工業会が5月29日、東京プリンスホテル(東京都港区芝公園)で、従業員功労表彰式および通常総会を開いた。今回は改選期にあたり、安川電機の小川昌寛副会長が第28代会長として就任した。
総会終了後の懇親会に先立ち従業員表彰が行われた。従業員功労表彰は、①技術開発や研究開発を通じ、自社の業績向上などにとどまらず、ロボット関連産業の発展に成果を上げた方、②長年にわたる、ロボット生産現場、ロボットシステムの構想、設計、製造、販売及び全てのロボット産業に関わる職務を通じて自社のみならずロボット関連産業の発展に成果を上げた方、③団体業務に長年にわたり協力し、その運営に著しく貢献した方ーーーを対象にした表彰制度で、今回は、14名が表彰された。
懇親会であいさつに立った小川会長は、「中東情勢の緊迫化や地政学的分断、貿易摩擦の再燃などにより、世界経済の先行き不透明感が高まっている。」との認識を示した一方で、2025年の国内ロボット産業については、「米国の関税政策を巡る不透明感があったものの、受注額が前年比25.7%増の1兆456億円、生産額が同21.0%増の9452億円となり、当初の見通しを大きく上回る結果となった。」と報告した。
2026年の市場見通しについては、中東情勢の悪化に伴うエネルギー関連の供給不安や保護主義の拡大など懸念材料があるとしながらも、「フィジカルAIへの世界的な関心の高まりを背景に、半導体や電子機器分野での大型投資による需要回復が期待される。」とし、加えて、「幅広い産業分野で続く自動化投資需要や政府の政策効果も追い風になる。」との見方を示した。
その結果、2026年の受注額は前年比16.7%増の1兆2200億円、生産額は同11.2%増の1兆500億円を見込んでいるという。
また、同工業会では、市場拡大に向けた取り組みやイノベーションの加速、国際標準化の推進、国際協調・協力の強化を重点施策に掲げ、業界のさらなる活性化に取り組む方針を示した。
さらに、政府が3月に公表したAI戦略に触れ、「AIロボティクス」が社会課題の解決や産業競争力の強化、経済安全保障への貢献、市場拡大を担う重要分野として位置付けられたことを紹介。そのうえで、「本戦略の策定を好機と捉え、本年度は『AIロボティクス産業ネットワークの構築』をテーマに、政府や関係機関との連携を強化しながら、具体的な課題にスピード感を持って取り組んでいく。」と意欲を示した。
続いて来賓を代表し、経済産業省製造産業局の田中一成審議官があいさつした。
田中審議官は、「中東情勢をはじめとする国際情勢の不確実性が高まっている。」との認識を示したうえで、「政府の使命は、エネルギーや原材料の安定供給を確保し、国民生活や経済活動への影響を最小限に抑えることだ」と述べた。
また、ナフサなどの石油化学製品については「国内で必要量を確保している一方、一部で供給の偏在や物流の停滞が生じている。」と指摘。「こうした課題の解決に向け、政府として最大限取り組んでいる」と説明した。
さらに、「人手不足の深刻化や自動化ニーズの拡大を背景に、ロボット産業への期待が一段と高まっている。」と強調。世界的に開発が加速するフィジカルAIについて、「ロボットのティーチレス化や多品種少量生産への対応を可能にし、これまで自動化が進みにくかったロングテール領域での活用拡大が期待される」と述べた。
こうした動向を踏まえ、政府が策定・公表した「AIロボティクス戦略」にも言及。「AIロボティクス分野で米国、中国に並ぶ第三極となり、世界シェア3割超の獲得を通じて2040年に20兆円規模の産業創出を目指す。」と目標を示した。
そのうえで、「戦略の実現には業界との連携が不可欠だ。引き続き関係者の協力を得ながら取り組みを進めていきたい。」と述べ、ロボット産業への期待を示した。
乾杯の発声は山口賢治副会長(ファナック社長)が行い、参会者は親睦を深めた。




