ベッコフオートメーションが「EtherCAT P」をリリース ~超高速リアルタイム通信と電源供給を単一のケーブルで~

 ベッコフオートメーション(社長=川野俊充氏)がこのほど、EtherCAT 通信と電源機能を標準的な4 線式のEthernet ケーブル統合する技術「EtherCAT P」をリリースした。この省配線システムは「EtherCAT P」のスレーブの24V DC 電源供給と接続されているセンサやアクチュエータからの信号を統合する。さらにこのシステムはそれぞれ3A までの電流、Us(システムとセンサ用の電源)とUp(アクチュエータの駆動用電源)を電気的に絶縁する。

 ネットワークトポロジが自由で高速、また、ネットワーク帯域を効率良く活用しつつオンザフライでテレグラムを処理して同期性能が高く高度な診断機能が備えられているなどのEtherCAT が持つ特長は全て継承される。Us 及びUp の電流は100Mbps のネットワークケーブルで直接伝送されるため非常にコストパフォーマンスが高く設置場所も最小限となる。

 同社では、「EtherCAT P」の優位性について、「産業用イーサネット通信規格であるEtherCAT と周辺機器用の電源を単一のケーブルにまとめるもので、電源をこうした機器を経由して転送することが可能になる。性能の高いEtherCAT 通信と柔軟性が高くトポロジに制約のない特徴の組み合わせにより、センサ、アクチュエータ、計測アプリケーションにとって最適なバスシステムとなった。このようなワンケーブルオートメーションによって部品や構築のために必要なコストは下がり、ドラッグチェーンや制御盤のための設置スペースも最小にすることができるため、これまでの装置を小型化することが可能になります」とコメントしている。

ワンケーブルオートメーションでコスト削減! 従来装置を小型化することが可能に!

●EtherCAT P:24V センサから600V のドライブまで
 「EtherCAT P」は端子台を使った小規模のリモートI/O システムでも工程間を跨ぐ規模が大きい分散I/O システムでも活用することができる。24V のI/O レベルから64A までの400VAC もしくは600VDC のドライブシステムを含むようなアプリケーションを網羅。通常のEtherCAT スレーブとの誤配線を防ぐためにEtherCAT P 専用のコネクタ類も開発された。

●ワンケーブルオートメーション
 「EtherCAT P」が描いている将来は大電流を伝送することが可能であるため制御システムから制御盤を不必要とすること。ワンケーブルオートメーションにより各コンポーネントや小型の端子ボックスが制御に必要な制御情報と電源を同一のケーブルで受け取ることができるようになり、必要に応じて分岐もできるので大きな制御盤が必要ない。「EtherCAT P」 の製品ポートフォリオは将来拡充され幅広いインフラコンポーネントを網羅する予定。

●IP 20 そしてIP 67 対応のシステムコンポーネント
 ベッコフオートメーションは「EtherCAT P」 に対応したインフラ用のコンポーネント、I/O システム、ケーブルセットや接続用のコネクタなど幅広い品ぞろえを整えていく予定。例えば、EPP EtherCAT P ボックスファミリーは制御盤の外でもフィールドに直接設置ができる多数のI/O デバイスを提供する。これらの小型で堅牢な IP 67 I/O モジュールは幅広い信号の種類を網羅し、標準的なデジタルI/O でも複雑で高度なアナログ計測もこなす。

 「EtherCAT P」 の特徴は、① 単一の4 線式Ethernet ケーブルでEtherCAT 通信と二系統の24VDC(Up, Us)を伝送、② EtherCAT P 対応機器をデイジーチェーンで電源供給が可能、③ 部品と設置のコストを最適化、④ドラッグチェーンや制御盤のための設置スペースも最小にすることで装置を小型化することが可能、⑤ 24V から64A 600V までスケーラブルなコネクタ類、⑥ EtherCAT の特長を全て継承(高速・同期・省配線・自由なトポロジ)―――である。

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