ジェイテクトが国内初「モーター用新セラミック玉軸受」を開発・量産

 ジェイテクト(社長=安形哲夫氏)が、転動体である玉に従来よりも熱膨張が内外輪材に近い新材料を採用した「モーター用新セラミック玉軸受」を開発した。これにより、電食対策が必要なモーター用軸受において、従来材である窒化けい素と同等の絶縁性を有しながらも、温度変化による内外輪と玉のすきま変化をより小さくし、幅広い温度環境への対応が可能になった。この新セラミック材を使用した軸受の量産は日本国内初であり、2016 年6 月の開始を予定している。

 電動モーターの特性上、動作中に高周波電流による有害な電圧が発生し、一定量を超えると、転がり接触部分の非常に薄い油膜を通じて、軸受内でスパーク(放電)を起こす。このときに軸受の転動面などが局部的に融解する電食という現象が起こり、これが異音を生じさせ、軸受寿命を低下させる原因となる。そのため、軸受においては絶縁対策が必要となり、最も信頼性が高い絶縁対策は玉材質のセラミック化であり、窒化けい素が通常使用される。

 今回開発品に採用された新セラミック材は、窒化けい素と比べて同等の絶縁性を有することに加え、線膨張係数(温度をセ氏1 度上げたときの物質の長さの増加量)が内外輪素材に使用される金属に近いという特性を有している。この特性により、温度変化による内外輪と玉のすきま変化を従来よりも小さくすることができ、より幅広い温度環境に適応することができる。

 この製品の特長は、従来の玉材料(窒化けい素)と同様の絶縁性、②従来の玉材料(同)に比べてすきま変化が少なく幅広い温度環境に対応する――である。

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