夏休みの宿題

最近、感動したことがあったので、ご紹介したいと思います。

某町工場のお話し。
町工場の経営者であるH氏。最近、仕事量も増加し、とても多忙のご様子。
世間がお盆休み中、遊び盛りの息子さんと遊びに行くことができませんでした。

夏休みというと、子どもは「夏休みの宿題」があります。
今回ご紹介するのは、この息子さんの「夏休みの宿題」。

お父さんを慕う息子さんの頑張りに涙腺が緩む可能性があるので気をつけて(笑)

タイトルは冒頭の写真にもあるとおり、金属のあれこれ。
私達の周りにある金属を調査――とあります。

調べようと思ったのは、「お父さんの会社が主に鉄製の物を取りあつかっていて、鉄以外の物はどんなとくちょうがあってどんな使い道があるのか知りたかったからです。」

その下には、「お父さんが働く工場に行って金属の削りかすを集めました。それぞれの金属を比較しました。」と可愛らしい字で書いてあります。お父さんが働く工場に行って――のくだりに、父親の仕事を理解しようとする子どもの心情が出ています。(←もうここでウルっときちゃう涙腺の弱いワタクシ)

金属のけずりかす―――コイツにはありとあらゆる情報が詰まっていることは、加工に携わる皆様はご承知のとおり。切子、切粉、切屑、と表現しないところがなんとも愛らしい。



「鉄」、「アルミニウム」、「ステンレス」、「真鍮」、「銅」、「チタン」の特長と使い道が比較されています。

真鍮の“鍮”の字が書けないところがまた可愛い♡


比重を調査しています

図を用いて説明しています。親切に水は1kgと書いてあります。


調査後の感想

金属の種類は豊富で、これらの使い方や使われる場所が様々であること、色も重さも硬さも違うこと、金属の種類は異なるが、身の回りで色々な形やモノに変わり、われわれの生活に役立っているということをしっかり理解した様子が見て取れます。

えらいぞ、よく頑張った! 
息子さんの将来がとても楽しみですね。

さて、話は変わりますが、中小零細規模の町工場の悩みのひとつに「後継者問題」があります。

ところが1番身近な家庭の中の取り組みについて、オープンに議論しているところを見たことがありません。

テレビ番組等でも中小零細規模の町工場における問題点はよく取り上げられます。「後継者問題に悩んでいる」、「なんとかしてほしい」と有識者や行政に訴える場面もよくありがちです。

ところが、これらの課題について解決しなければならない、という共通認識を持ちながら、1番小さな組織体である中小零細町工場の“家族の取り組み”については、ほとんど議論されていません。後継者問題と社会の取り組みについては、あんなに議論されているのにおかしな話です。

今回ご紹介しましたが、仕事の都合で遊びに連れて行ってあげられないお父さんは、自分の経営する工場で息子さんの切屑集めを手伝いました。感心したのは、多忙ながらも、ものをつくることはどういうことか、お父さんの仕事の内容はどんなものか、を、子どもの好奇心を刺激しながら、ものをつくる楽しさと素晴らしさを実感してもらおうと、日頃から実にうまく誘導していること。

なかなかやるなあ~、です☆

しかしながら、親の思い通りにはいかないのが子どもというもの(笑)

実はこの息子さん、小学生ながらも、かなりイケメン。
将来ジャニーズに行きたい! と言い出さないか、おねえさんは若干心配なのです(笑)

(*写真はH氏提供)