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台湾TMTS展が6年ぶり単独開催 7万人が来場、オンライン展には11万人

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会場となった台北南港展示センター1号館

 

 工作機械の輸出額で世界5位、生産額で世界7位の台湾で台湾国際工作機械展(TMTS2024)が3月27日から31日までの5日間、台北市東部の台北南港展示センター1、2号館で開かれた。6年ぶりの単独でのリアル開催に631社が3,350小間を超える規模で開催され、国内外から7万人が来場し、オンライン展には123カ国から11万人がアクセスした。今回展のテーマは「DX & GX 持続可能な未来」で、各出展者がDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)の2つを軸に、製品とサービス、自動化や省人化に向けたソリューションを競った。台湾の工作機械業界にとり最大の輸出先の中国が不動産不況を受け、設備投資が急減速して販売を落とすなか、台湾メーカー各社が何を目指しどう取り組むのかを現地で取材した。【台北=是州煩太(文・写真)】

ファンを引き付け知名度も向上

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台北南港展示センター2号館

 TMTSは2010年に台湾中部の台中市で初開催され、今回で7回目の開催。6回目となるはずだった20年展は新型コロナウイルス感染症の拡大で中止に追い込まれ、2年前の22年展は会場を台北に移し、30回の節目を迎えた台北国際工作機械見本市(TIMTOS)との合同で、「TIMTOS×TMTS2022」として国内向けの開催を強いられた。海外の在住者に対しては、同時開催されたオンライン展での視聴参加の呼びかけを余儀なくされた。

 半世紀を超える長い歴史を持つTIMTOSに比べ、台中で開催されるTMTSの知名度はかつては今ひとつ。初期の開催時には日本で開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF)の知名度と集客力を利用し、JIMTOF閉幕の翌日をTMTSの開幕日に当て、各国からのJIMTOF来場者に帰国前の立ち寄り、寄り道での来場を促した時期もあった。主催の台湾区工作機械工業会(TMBA)が編み出した秘策だった。

 産業用機械を広範に展示するTIMTOSに対し、切削を中心とした金属加工用の工作機械と周辺機器に絞って展示するTMTSは、初開催から14年を経てより熱心なファンの引き付けに成功し、今や知名度も上げて来場者数を増やしてきた。

 開催地の台中は、工作機械や周辺機器の各主要メーカーの本社と工場の集積地でもある。工場の見学も兼ねて、TMTSを目当てに台湾を目指す来場者も増えた。あえて例えるなら、TIMTOSが台湾版JIMTOFなのに対し、TMTSは台湾版メカトロテックジャパンの位置づけだ。今回はかつての台中の会場が取り壊され、新会場の建設計画の遅れも重なり、台北での開催となった。

意欲的な新興国の需要捉える

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「これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と語る陳伯佳TMBA理事長

 今回展には7万6776人が来場。台湾各地からはもちろん、68ヵ国・地域から3,319人の外国人が来場した。外国人来場者数の上位10カ国は、インド、日本、中国、マレーシア、フィリピン、米国、インドネシア、タイ、ベトナム、トルコで、多くの国が視察団を組織して会場を訪れた。

 大手自動車メーカーが工場を持つポーランドやチェコ、メキシコやアフリカなどからも来場した。既存の工業国はもちろん、設備投資への意欲が高い、新興工業国の需要をしっかり捉えた印象だ。つまり、これらの国々が今後、日本の工作機械業界が挑むべき市場、いわば「お得意さま」へと導く国だ。台湾製の工作機械を導入したら、次は必ずより高性能な日本製の工作機械が欲しくなるはずだからだ。

 TMBA理事長でYCMブランドを展開する永進機械工業の陳伯佳総経理は開会式で「今回のTMTSは、従来の台中での開催から台北での開催に変わっただけでなく、多くのユニークな取り組みに挑戦した。最新の機械の展示だけでなくソリューションを提案し、DXとGXを軸に持続可能な未来社会を提案する。ユーザーの経験や体験を基に分析を重ねて機械を改善した。これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と意気込みを述べた。

 日本の首相に相当する陳建仁行政院長や官房長官に相当する林佳龍総統府秘書長らがあいさつし、官民挙げた応援体制もアピールした。蔡英文総統こそ来場しなかったものの、開会2日目には5月に次期総統に就任する頼清徳副総統、5日目の最終日には頼政権下で副総統に就任する蕭美琴前駐米大使も会場を訪れた。

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【継続取材】超硬工具のリサイクル――タングステン供給リスクと国内循環

写真はイメージです
 

超硬工具リサイクルをめぐる企業戦略と加工現場の実状

 切削工具のリサイクルが、資源価格と地政学リスクに左右される製造業の重要課題になっている。なかでも焦点となるのが、超硬工具の主原料であるタングステンだ。中国による輸出管理や国際価格の上昇を受け、使用済み超硬工具や研削スラッジを国内で回収し、再び工具原料へ戻す仕組みの重要性が増している。

 超硬工具のリサイクルは、単なる廃棄物削減策ではない。超硬スクラップを「次の鉱物資源」として捉え、調達、製造、使用、回収、再資源化をつなぐ取り組みである。筆者は、製造現場ドットコムの開設以前から、紙媒体で切削工具業界を取材してきた。

 本稿では、2012年以降に重ねてきた超硬工具とリサイクルに関する取材を、資源調達、企業戦略、製造現場という視点から再構成した。日本機械工具工業会、工具・素材メーカー、加工企業への取材を通じ、タングステンの国内循環をめぐる現在地をまとめた。
(取材・文=那須直美)
 

〈この記事のポイント〉

(1)超硬工具に使われるタングステンは、供給国の偏在が大きい重要鉱物である

(2)国内の超硬工具リサイクル率は約3割にとどまり、海外流出と現場での分別が課題になっている

(3)使用済み工具の回収と並行して、タングステンを使わない代替材料や使用量削減合金の開発も進んでいる

(4)資源循環は、環境対応に加え、原料調達、工具価格、製品設計にも関わる経営課題である

切削工具の性能を支えるタングステン

 超硬合金は、炭化タングステン(WC)をコバルトなどの結合材で焼き固めた材料である。硬さ、耐摩耗性、耐熱性に優れ、自動車、航空・宇宙、半導体製造装置、金型、精密部品などの加工に欠かせないうえ、切削工具の性能にも大きく影響する。ざっくりいうと、切削工具も〝切れ味〟が安定しなければ、加工精度、生産性、品質の維持は難しいのだ。

 一方、原料となるタングステンは供給地域の偏在が著しい。日本はその多くを海外からの輸入に頼っており、産出国の政策、輸出管理、国際市況、為替の影響を受けやすい。工具価格の問題に見えても、その背景には鉱物資源の調達構造がある。

中国の輸出管理とAPT価格の急騰

 供給リスクを一段と顕在化させたのが、中国によるタングステン関連品目の輸出管理である。タングステンの国際価格指標の一つであるAPT(パラタングステン酸アンモニウム)の価格も大きく上昇した。

 製造現場ドットコムの取材で確認した指標では、2026年3月18日時点の欧州市場におけるAPT価格は、1MTU(酸化タングステン〈WO₃〉10kg相当)当たり2,100~2,400ドルとなり、中心値は2,250ドルに達した。これは2025年2月の水準と比べて約6.6倍に当たる。価格は地域や取引条件、集計時点によって異なるが、調達環境が短期間で大きく変化したことを示している。

 こうした変化は、素材メーカーだけの問題ではない。切削工具の値上げ、見積有効期間の短期化、工具仕様の見直しなどを通じ、加工現場の原価と生産計画に直接影響する。

超硬スクラップは「次の原料」になる

 超硬スクラップは新しい概念ではない。使用済み超硬工具は、1930年代からタングステンを含む有価物として取引されてきた。ただし、回収品を粉末・化学処理によって再び工具原料へ戻す精錬型のリサイクルが本格化したのは2000年代以降である。

 製造現場ドットコムでは2012年にも、中国への供給依存と価格高騰を背景に、超硬合金スクラップからタングステンを高効率で回収する国内技術を取材している。当時から課題は「使い終えた工具をどう処分するか」ではなく、「国内にある資源を、いかに国内の製造基盤へ戻すか」にあった。

 現在は、使用済みのチップ、ドリル、エンドミルだけでなく、工具製造時に発生する研削スラッジも重要な回収対象になっている。適切に選別され、再資源化工程へ渡されれば、超硬スクラップは鉱石由来原料の一部を代替できる。

2014年に報じた「脱タングステン」 ダイジェット工業のサーメタル

2011年に初登場した「サーメタル」(下)。写真(上)は劣化した超硬合金。サーメタルは高温下における耐酸化性による劣化がほとんどない

 

 資源リスクへの対応は、回収と再生だけではない。タングステンを使わない材料への置き換えや、使用量そのものを減らすという選択肢もある。

 製造現場ドットコムでは2011年から、ダイジェット工業が開発した新材料「サーメタル」を取り上げてきた。サーメタルは炭窒化チタン(TiCN)を主原料とする複合材料で、タングステンとコバルトを含まない。超硬合金やセラミックスと同程度の硬さと耐摩耗性を持ちながら、超硬合金の約3分の1という軽さ、耐焼付き性、耐酸化性などを特徴とする。

 2014年8月の記事では、同社がサーメタルを用いたダイスで金型の量産に成功し、燃料電池や自動車部品向けに一定の受注を確保したことを報じた。同社は同年秋を目処に1億円強を投じ、量産へ移る方針を示していた。タングステン価格の上昇が問題となるなか、「脱タングステン」をコストと供給リスクの両面から捉えた取り組みだった。

 この技術開発は一時的なものではない。2016年にはサーメタルなど高品質合金の生産能力増強を目的に、三重県伊賀市で総投資額約10億円の新工場建設を発表した。その後も同社は、省タングステン材料としてサーメタルの用途開拓を続けてきた。

ダイジェット工業と冨士ダイス 使用量削減合金で提携検討

 そして2026年、ダイジェット工業と冨士ダイスは、タングステンとコバルトの使用量を削減する新合金の開発・販売について、業務提携の検討を開始した。

 ダイジェット工業は2010年にタングステンとコバルトを含まないサーメタルを開発・販売している。一方、冨士ダイスも両金属の使用量を削減した新合金の開発を進めてきた。中国が2025年2月にタングステンを輸出管理の対象とし、供給不安と価格高騰が強まるなか、脱タングステンを業界共通の課題とする両社の方針が一致した。

 両社は、それぞれの技術と経営資源を活用した新合金の開発に加え、双方の販売網を使った販路拡大も検討する。2010年代に始まった代替材料の開発が、地政学的リスクを低減する企業間連携へ発展しようとしている。

 原料の比率を高めること、海外へ流出するスクラップを国内へ戻すこと、代替材料を開発すること、製品一個当たりのタングステン使用量を減らすこと。いずれか一つで問題が解決するのではない。複数の手段を組み合わせることが、供給リスクに強い製造基盤につながる。

国内リサイクル率は約3割 工業会が指針を改定

日本機械工具工業会がまとめた超硬工具スクラップのリサイクル促進に向けた選別・保管・処分に関するガイドライン

 日本機械工具工業会によると、国内の超硬工具リサイクル率は約3割にとどまる。国内で発生した超硬スクラップの一部が海外へ流出すれば、日本の製造現場で再利用できる資源も失われる。

 同工業会は2026年、超硬工具スクラップのリサイクル指針を改定した。工具使用者に向け、超硬、サーメット、ハイスなどの選別、保管、引き渡しの考え方を示すとともに、回収した資源を国内の製造基盤へ戻す方針を表明した「リサイクル窓口事業者リスト」も作成した。

 ここで重要なのは、回収量だけではない。異なる材種が混ざれば、再資源化の効率や品質に影響する。発生した段階で正しく分け、適切な回収先へ渡すことが、国内循環の入口になる。

 

三菱マテリアルが構築する回収・精錬・再製品化の循環

 三菱マテリアルは、使用済み超硬工具や研削スラッジを回収し、グループ内でタングステン原料へ戻す循環体制を構築している。国内では、日本新金属の秋田工場が湿式精錬を担い、回収したスクラップから鉱石由来品と同等水準のタングステン原料を再生する。

 この仕組みは、単にリサイクル設備を保有するという話ではない。上流の原料回収・精錬から、粉末、超硬素材、切削工具、再回収までをつなぎ、供給網を自ら管理する取り組みである。中国の輸出管理が強化された局面でも、同社は必要量を確保できたという。

「原料は外部から購入するもの」という従来の前提は変わりつつある。市場に出た工具を回収し、自社の次の原料にする。循環量を増やすほど、資源価格や輸出政策による影響を抑える余地も広がる。

H.C. Starckに約5,000万ユーロを投資

 三菱マテリアルは2024年、ドイツのH.C. Starck Tungsten GmbHを買収した。H.C. Starckは100年以上の歴史を持ち、欧州、北米、中国にタングステン粉末・炭化タングステン粉末の生産拠点を展開している。

 同社はドイツ・ゴスラー拠点に約5,000万ユーロを投じ、タングステンのリサイクル能力を年間5,000トンから7,000トンへ引き上げる。建設開始は2026年、完成は2028年の予定だ。現在も原料の約8割にリサイクル材を使用しているが、増強後はほぼ全量をリサイクル原料で賄う計画である。

 三菱マテリアルは、日本、欧州、米州、アジアの各地域で循環網を整備し、2030年度までに超硬製品の原料を100%リサイクル原料へ切り替える目標を掲げる。国内の精錬基盤と海外拠点を組み合わせ、地域ごとに回収と再資源化を完結させる構想だ。

製造現場に残る「分別の壁」

近藤鉄工所は社員教育を行い、超硬・サーメット・ハイスなどを種類ごとに分別

 循環の入口に立つのは、工具を使う加工現場である。しかし、現場での分別は簡単ではない。

 近藤鉄工所では、超硬、サーメット、ハイスを全社で分別し、超硬スクラップを住友電気工業の国内リサイクルへ回している。取り組みの契機は、商社や工具メーカーから「回収したスクラップが海外へ流れる場合がある」と聞いたことだった。国内で使う資源を国内へ戻したいとの考えから、分別を始めた。

 一方、現場からは「分別が面倒」「分け方が分からない」「超硬とサーメットの違いが分からない」といった声も出る。回収箱を置くだけでは定着しない。なぜ分けるのか、何を分けるのか、どう見分けるのかを作業者へ伝え、迷わず投入できる表示と置き場を整える必要がある。

 つまり、分別は環境部門だけの仕事ではない。工具管理、購買、生産技術、現場作業者が共通の知識を持つことで、初めて循環が機能する。

資源価格の上昇は工具選定も変える

 タングステン価格の上昇は、加工現場の工具選定にも変化をもたらしている。近藤鉄工所への取材では、超硬工具の価格改定が年に複数回行われるほか、直径12ミリ以上のソリッドエンドミル、ドリル、超硬モジュラーシャンクなどで価格が都度見積もりとなり、見積有効期間も短くなっているという。

 その結果、ソリッド超硬ドリルに対し、刃先だけを交換するヘッド交換式ドリルの経済性が相対的に高まっている。使用する超硬量を抑えながら性能を確保する設計は、調達リスクとコストの両面で意味を持つ。

 回収して原料へ戻すことに加え、工具一本当たりのタングステン使用量を減らす、長寿命化する、再研磨して使う。資源循環は、廃棄後の処理に限らず、工具の設計、選定、運用まで含む課題である。

循環の成否を決めるのは現場の知識

 超硬工具のリサイクルは、環境対応の付加的な活動ではなくなった。タングステンの安定調達、工具価格、生産継続、経済安全保障を結ぶ製造戦略の一部である。

 メーカーが精錬設備を増強しても、使用済み工具が正しく回収されなければ原料は戻らない。加工企業が分別しても、回収後に海外へ流出すれば国内循環にはつながらない。工具メーカー、商社、回収事業者、加工企業の役割が一本の線になって初めて、使用済み工具は「次の原料」になる。

 その出発点は、製造現場にある。工具を捨てる前に材種を見分け、分けて保管し、行き先を確認する。一見地道な作業が、国内のタングステン資源と製造基盤を支える。

 製造現場ドットコムは今後も、資源価格や企業発表だけでなく、回収、分別、工具選定を担う現場の実態を継続して取材する。

〈関連記事〉

●日本機械工具工業会が超硬工具スクラップのリサイクル指針を改定 タングステンの国内循環強化へ(https://seizougenba.com/node/14452

●三菱マテリアルの取り組み 超硬スクラップが〝鉱物資源〟に
https://seizougenba.com/node/14467

●三菱マテリアル、独H.C. Starckのタングステンリサイクル能力を増強
https://seizougenba.com/node/14464

●近藤鉄工所に見る超硬工具スクラップの分別と国内循環
https://seizougenba.com/node/14469

●超硬合金スクラップからタングステンを高効率で回収する技術(2012年)
https://seizougenba.com/node/14469

●三菱マテリアル、加工事業カンパニーの組織を再編 資源循環と製品事業を一体化
https://seizougenba.com/node/14423

●ダイジェット工業の「サーメタル」に注目!(2014年)
https://seizougenba.com/node/4586

●超硬工具の可能性に挑む! サーメタル「CT500」(2012年)
https://seizougenba.com/node/1354

●ダイジェット工業が三重県伊賀市に新工場を建設(2016年)
https://seizougenba.com/node/8022

●ダイジェット工業が冨士ダイスと業務提携の検討開始(2026年)
https://seizougenba.com/node/8022

 

芝浦機械「ULG-100H(H3)」が第56回機械工業デザイン賞IDEAにて日本産業機械工業会賞 ~独自補正で超精密加工の常識に挑む~

 

 芝浦機械の超精密非球面加工機「ULG-100H(H3)」が、日刊工業新聞社主催の「第56回機械工業デザイン賞IDEA」で日本産業機械工業会賞を受賞
した。

「ULG-100H(H3)」は、スマートフォンなどに搭載される高精度な光学レンズ用金型の加工を対象とした超精密加工機。最大の特徴は、機械の案内面に起因する微小なうねりを打ち消す「真直度サーボ補正機能」にある。

 同機は直交する2軸に2自由度リニアエンコーダを採用。案内面の微小なうねりを検出し、ハードウエアとソフトウエアを組み合わせたリアルタイムの相互フィードバックによって、両軸のうねりを遅滞なく補正する。工作機械の「母性原理」に、制御技術で正面から挑んだ格好だ。

 案内機構にはV-V転がり案内を採用し、その剛性と安定性を維持しながら、独自の補正技術によって油静圧案内に匹敵する滑らかさを追求した。加工面の微小なうねりを抑えることで、後工程の研磨時間を大幅に削減するとともに、過剰な研磨による形状崩れや規格外品の発生を防ぐ。

 V-V転がり案内は、油静圧案内と比べて熱変位のリスクが小さく、保守性にも優れる。独自ソフト群を搭載した大型操作盤によって操作性を高めたほか、水平可動扉を備えたフルカバー構造で安全性にも配慮した。

 今回の審査では、企画力・社会性、機能・性能・品質、操作性・安全性・保守性・経済性、造形・造系処理の各面が評価された。機械本体の高剛性や位置決め再現性と、機械的な誤差を補正するソフトウエアを融合させたシステムデザインが受賞につながった。

 超精密加工の世界では、目に見えないほどのわずかなうねりが、最終的な製品精度や後工程を左右する。ULG-100H(H3)は、機械構造だけに頼るのではなく、ハードとソフトの融合によってその壁を越えようとする一台だ。

 機械工業デザイン賞IDEAは、生産財を対象に、外観、機能、性能、安全性などを総合的に評価する顕彰制度。芝浦機械は今後も、機械が持つ構造美を機能美へ昇華させた製品づくりを進めるとしている。
 

超硬工具で「カブトムシ」を加工 三菱マテリアル岐阜製作所、社員家族に製造現場を公開

 

 三菱マテリアル岐阜製作所(岐阜県安八郡神戸町)は、7月30日と8月5日の2日間、社員家族向けの工場見学会を開き、超硬工具を使ってカブトムシの形状を削り出す切削加工の実演を披露した。2日合わせて計33人が参加した。

 実演では、加工機が精密に動きながらカブトムシの形状を作り上げる工程を公開。参加者は、工具が金属を削る様子を間近で見学し、完成した加工サンプルを通じて、超硬工具の加工性能や製造現場の技術力に触れた。

 工場見学では、製作所の概要や超硬工具が完成するまでの流れを紹介した。クイズを交えながら説明するなど、子どもにも分かりやすい内容としたほか、社員食堂や事務所も公開。家族が普段目にする機会の少ない職場環境を知る機会とした。

 参加者からは、「実際の職場を見ることで仕事内容への理解が深まった」との感想や、「家族が働く姿を誇らしく感じた」との声が寄せられた。

超硬工具で加工したカブトムシ形状サンプル

 澁谷祥知所長は、「社員の家族に岐阜製作所のものづくりを実際に見てもらうため、今回は見学コースを拡充した」と説明。工場見学や切削加工の実演が、社員の仕事とそれを支える技術への理解を深め、家族の会話につながることに期待を示した。

 同見学会は、新型コロナウイルス感染症の影響で中断していたが、2025年に7年ぶりに再開した。今回は2年連続の開催となった。

 岐阜製作所は1973年に操業を開始した同社の超硬製品事業の主要拠点。超硬ドリルやカッター、バイトホルダー、超高圧焼結体工具などを製造し、自動車や航空機をはじめとする国内外の金属加工分野に供給している。敷地面積は8万528平方メートル、社員数は469人(2026年6月現在)。
 

DMG森精機 過去最高益更新が射程内!

 DMG森精機(社長:森 雅彦氏)は、2026年12月期の中間期(1~6月)連結決算を発表した。 当中間期における連結業績は、売上収益2,767億円、営業利益93億円、税引前中間利益59億円、親会社の所有者に帰属する中間利益44億円となった。 当中間期の連結受注額は、3,352億円となり、前年同期(2025年1~6月)比34.8%増と非常に好調な環境が続いた。四半期(3カ月)ベースでみても、当1~3月の対前年同期比28.8%増から、4~6月は40.5%増と予想以上に伸長した。5軸加工機、複合加工機などのMX(マシニング・トランスフォーメーション)機、自動化需要の好調に加えBX(ベーシック)機の受注も大きく伸び、両機種バランスよく受注している。機械1台あたりの受注単価は、2025年度平均の79.6百万円から81.8百万円となった。また、MRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)、スペアパーツ、エンジニアリング部門の受注額も737億円と前年度同期比23.3%増となった。半導体需要の高まりを背景に、半導体製造装置向け超高分解能レーザスケールを製造する株式会社マグネスケールや電子モジュール実装基板の自動検査装置を開発・販売する株式会社サキコーポレーションなどのグループ会社の受注も引き続き大きく伸び、連結受注額の増加に寄与した。 地域別受注動向は、全地域とも好調であった。産業別には、航空、宇宙、防衛、発電、エネルギー、船舶、半導体関連、医療向け受注が好調に推移した。これら産業向け受注は、下半期も好調に推移する見込みであり、年度の連結受注見通しを、従来計画の5,800億円から6,300億円(前年度比20.4%増)へと増額修正した。機械本体の受注残高は、2025年12月末の2,400億円から2026年6月末には3,030億円へと増加。この受注残高は、下半期(7~12月)以降の売上収益に寄与する見込みだ。 同社は、工程集約、自動化によりGX(グリーン・トランスフォーメーション)を実現し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を通じて生産工程を改善するMXの提案が、各国政府による防衛費予算の拡大に加え、AI向け半導体投資を背景とする工作機械需要拡大に合致したことにより、幅広い産業分野で高い評価を得た。このMXの推進を通じた中長期的な競争力強化に向け、先端産業向け技術開発・生産拠点の拡充、製品・ソリューションの強化およびサステナビリティの推進に取り組んでいる。 2026年12月期(1~12月)の連結業績予想については、本年5月1日に公表した数値から、当四半期においてグローバルで受注が好調に推移したことに加え、対ユーロで円安基調が継続し、想定為替レートを見直した結果、売上収益は5,650億円から5,800億円へ、営業利益は280億円から300億円へ、親会社の所有者に帰属する当期利益は150億円から155億円に、それぞれ予想値を上方修正した。なお、為替レートは、米ドルレート154.1円、ユーロレート182.3円を想定している。 

三菱マテリアル キッツメタルワークスに伸銅品の製造技術を供与

 三菱マテリアルは、一部の伸銅品の供給を継続するため、キッツメタルワークスと技術供与契約を締結した。契約締結日は7月31日。 三菱マテリアルは、伸銅品事業における棒製品とエコブラス鍛造品の製造・販売を終了する方針を公表している。一部の製品の供給継続に向けた取り組みを進めるため、対象製品の製造技術をキッツメタルワークスに提供し、同社による生産体制の構築を支援する。 対象は銅棒のほか、ECO BRASS®、耐摩耗性銅合金「UH13」、海面養殖生簀用銅合金「UR30ST」、船舶用高力黄銅「TS1AS」、微細結晶エコブラス用母合金「INIFK」。契約対象外の製品については、グループ会社への生産移管や代替製品の提案を進める。 

サンドビック・コロマント、9月1日から価格改定

 サンドビック・コロマントは、9月1日受注分から全製品の価格を改定する。対象はチップ、ホルダー、カッター、ツーリング製品、ソリッド工具、部品、再研磨品を含む全製品。 平均改定率は、標準品チップが27.0%(20~35%)、ホルダーが9.2%(同7~35%)、ソリッド工具が34.4%(同25~40%)、その他の製品が8.3%となる。 市場環境の不透明感が増し、サプライチェーン全体のコストが高水準で推移していることなどが理由。同社は効率化やコスト削減を進めてきたが、安定した品質とサービスを維持するため、再度の価格改定を決めたとしている。 価格改定実施日は2026年9月1日(火)受注分より。 

三菱マテリアル 「統合報告書2026」を発行 ~中期経営戦略など紹介~

 三菱マテリアルは、「三菱マテリアル統合報告書2026」を発行した。財務・非財務の両面から、同社グループが目指す姿や企業価値向上に向けた取り組みを紹介している。

 同報告書では、2026~2028年度を対象とする中期経営戦略を特集。抜本的な構造改革や財務目標、キャピタルアロケーションのほか、マテリアル領域、プロダクト領域、資源・再生可能エネルギーの各事業戦略を掲載した。

 このほか、人事、開発、生産技術、デジタルの各戦略、気候変動や人権などのサステナビリティ活動、コーポレート・ガバナンス、財務・非財務情報などをまとめている。

 同報告書は、同社のウェブサイト(https://ir.mmc.co.jp/ja/ir/library/annual.html)で公開している。
 

コマツ 熊本地震の被災地に4,000万円相当を支援 建機なども無償貸与

 コマツは、7月28日に発生した令和8年(2026年)熊本地震の被災地支援として、日本赤十字社を通じて2,000万円の義援金を寄付する。 義援金とは別に、被災地からの要請に応じ、2,000万円相当の建設機械、フォークリフト、発電機などを無償で貸与する。 同社は、機材の提供を通じて被災地の早期復旧・復興を支援する。 

日立建機、次世代の建設・採石現場をテーマにスタートアップのアイデア募集

 

 日立建機は、世界のスタートアップ企業を対象とした「LANDCROS Innovation Studios Challenge Europe 2026」の募集を開始した。欧州における次世代の建設・採石現場をテーマとし、応募期限は9月30日。

 募集するのは、①建設・採石現場における自律運転技術、②建設・採石現場データの活用と施工計画の最適化、③ライフサイクルコストの可視化・最適化支援――の3分野。建設機械の安全性や稼働効率の向上、設備投資の適切な判断につながる提案を募る。

 応募企業から各テーマ約3社、最大計10社を選び、12月3日に日立建機(ヨーロッパ)の本社があるオランダ・アムステルダムでピッチイベントを招待する。最終的に各テーマ1社を優勝企業として選定し、日立建機との協業を検討する。

 同プロジェクトは、スタートアップとの連携や新事業の創出を促す「LANDCROS Innovation Studios」の取り組み。2025年に実施した鉱山分野の募集には、世界各国から135社が応募した。