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台湾TMTS展が6年ぶり単独開催 7万人が来場、オンライン展には11万人

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会場となった台北南港展示センター1号館

 

 工作機械の輸出額で世界5位、生産額で世界7位の台湾で台湾国際工作機械展(TMTS2024)が3月27日から31日までの5日間、台北市東部の台北南港展示センター1、2号館で開かれた。6年ぶりの単独でのリアル開催に631社が3,350小間を超える規模で開催され、国内外から7万人が来場し、オンライン展には123カ国から11万人がアクセスした。今回展のテーマは「DX & GX 持続可能な未来」で、各出展者がDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)の2つを軸に、製品とサービス、自動化や省人化に向けたソリューションを競った。台湾の工作機械業界にとり最大の輸出先の中国が不動産不況を受け、設備投資が急減速して販売を落とすなか、台湾メーカー各社が何を目指しどう取り組むのかを現地で取材した。【台北=是州煩太(文・写真)】

ファンを引き付け知名度も向上

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台北南港展示センター2号館

 TMTSは2010年に台湾中部の台中市で初開催され、今回で7回目の開催。6回目となるはずだった20年展は新型コロナウイルス感染症の拡大で中止に追い込まれ、2年前の22年展は会場を台北に移し、30回の節目を迎えた台北国際工作機械見本市(TIMTOS)との合同で、「TIMTOS×TMTS2022」として国内向けの開催を強いられた。海外の在住者に対しては、同時開催されたオンライン展での視聴参加の呼びかけを余儀なくされた。

 半世紀を超える長い歴史を持つTIMTOSに比べ、台中で開催されるTMTSの知名度はかつては今ひとつ。初期の開催時には日本で開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF)の知名度と集客力を利用し、JIMTOF閉幕の翌日をTMTSの開幕日に当て、各国からのJIMTOF来場者に帰国前の立ち寄り、寄り道での来場を促した時期もあった。主催の台湾区工作機械工業会(TMBA)が編み出した秘策だった。

 産業用機械を広範に展示するTIMTOSに対し、切削を中心とした金属加工用の工作機械と周辺機器に絞って展示するTMTSは、初開催から14年を経てより熱心なファンの引き付けに成功し、今や知名度も上げて来場者数を増やしてきた。

 開催地の台中は、工作機械や周辺機器の各主要メーカーの本社と工場の集積地でもある。工場の見学も兼ねて、TMTSを目当てに台湾を目指す来場者も増えた。あえて例えるなら、TIMTOSが台湾版JIMTOFなのに対し、TMTSは台湾版メカトロテックジャパンの位置づけだ。今回はかつての台中の会場が取り壊され、新会場の建設計画の遅れも重なり、台北での開催となった。

意欲的な新興国の需要捉える

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「これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と語る陳伯佳TMBA理事長

 今回展には7万6776人が来場。台湾各地からはもちろん、68ヵ国・地域から3,319人の外国人が来場した。外国人来場者数の上位10カ国は、インド、日本、中国、マレーシア、フィリピン、米国、インドネシア、タイ、ベトナム、トルコで、多くの国が視察団を組織して会場を訪れた。

 大手自動車メーカーが工場を持つポーランドやチェコ、メキシコやアフリカなどからも来場した。既存の工業国はもちろん、設備投資への意欲が高い、新興工業国の需要をしっかり捉えた印象だ。つまり、これらの国々が今後、日本の工作機械業界が挑むべき市場、いわば「お得意さま」へと導く国だ。台湾製の工作機械を導入したら、次は必ずより高性能な日本製の工作機械が欲しくなるはずだからだ。

 TMBA理事長でYCMブランドを展開する永進機械工業の陳伯佳総経理は開会式で「今回のTMTSは、従来の台中での開催から台北での開催に変わっただけでなく、多くのユニークな取り組みに挑戦した。最新の機械の展示だけでなくソリューションを提案し、DXとGXを軸に持続可能な未来社会を提案する。ユーザーの経験や体験を基に分析を重ねて機械を改善した。これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と意気込みを述べた。

 日本の首相に相当する陳建仁行政院長や官房長官に相当する林佳龍総統府秘書長らがあいさつし、官民挙げた応援体制もアピールした。蔡英文総統こそ来場しなかったものの、開会2日目には5月に次期総統に就任する頼清徳副総統、5日目の最終日には頼政権下で副総統に就任する蕭美琴前駐米大使も会場を訪れた。

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三菱マテリアル、独H.C. Starckに約5,000万ユーロ投資 タングステンリサイクル能力を増強

H.C. Starckゴスラー工場全景

 

 三菱マテリアルは、連結子会社であるH.C. Starck Tungsten GmbH(本社=ドイツ・ゴスラー市)において、タングステンリサイクル能力の増強を目的に約5,000万ユーロを投資すると発表した。主力拠点であるゴスラー工場のタングステンスクラップ処理能力を、現在の年間約5,000トンから約7,000トンへ拡大する。新設備は2026年内に着工し、2028年中の完成を予定している。

 H.C. Starck は、三菱マテリアルが2024年に連結子会社化したH.C. Starck Holding GmbHの中核事業会社で、100年以上の歴史を持つ世界有数のタングステンメーカー。タングステン粉やタングステンカーバイド粉などの高品質粉末を欧州、北米、中国で製造・販売するほか、日本にも販売網を持つ。また、世界最大級のタングステンリサイクル能力を有し、使用済み超硬工具などから回収したタングステンスクラップを原料として、中間原料や粉末製品の製造・販売までを一貫して手掛けている。

 タングステンは超硬工具をはじめ幅広い産業で使用される重要鉱物である一方、鉱石資源の偏在や地政学リスクの高まりを背景に、安定供給の重要性が一段と高まっている。H.C. Starckでは、ゴスラー工場で使用するタングステン原料の約80%をリサイクル由来原料で賄っている。

 今回の投資により、同工場のタングステンスクラップ処理能力を約7,000トンまで引き上げるとともに、欧州におけるタングステン資源循環基盤を強化する。設備完成後は、工場で使用するタングステン原料のほぼ全量をリサイクル原料で賄える見込みで、一次原料への依存度低減と安定供給体制の強化につなげる。

 三菱マテリアルグループは、中期経営戦略(2026~2028年度)の基本方針として「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を掲げている。タングステン事業では、2030年度までに欧州、米州、アジア、日本のタングステン製品製造拠点におけるリサイクル原料使用比率100%の実現を目標としており、今回の投資はその中核を担う取り組みとなる。

 H.C. Starck TungstenのHady Seyeda CEOは、「今回の決定は、ゴスラー工場だけでなく、当社全体にとっても大きな節目となるものだ。工場内で使用するタングステン原料のほぼ全量をリサイクル原料で賄えるようになることは、未来に向けた大きな一歩となる。これにより、一次原料の供給環境がますます厳しくなる中でも、その影響を大幅に受けにくくなるとともに、ドイツおよび欧州において、重要鉱物の真の循環型社会を構築することに大きく貢献できると考えている」とコメントしている。
 

オーエスジー アルミ合金用スパイラルタップ「A-SFT-AL」を発売 ~切りくず絡みを抑え加工効率向上~

 

 製造現場では人手不足を背景に自動化や無人運転への取り組みが加速している。一方で、アルミニウム合金のねじ加工では、切りくずが長く伸びて工具へ絡みつき、機械停止や切りくず除去作業が発生することが、生産性や安定稼働を妨げる課題となっている。

 こうした課題に対応するため、オーエスジーはAブランドのタップシリーズに、アルミニウム合金加工用スパイラルタップ「A-SFT-AL」を追加し、このほど販売を開始した。

 新製品は、優れた切りくず排出性により切りくずの絡みつきを抑制し、切りくず除去作業を削減することで加工効率の向上に貢献する。横形マシニングセンタでも安定した切りくず排出を実現し、連続加工を可能にする。

 また、機械停止回数を減らすことで、生産性向上に加え、設備の消費電力抑制にも寄与する。自動化ラインや長時間の連続運転を支える工具として、製造現場の安定稼働に貢献する製品となっている。

■サイズラインナップ
 M2~M12の16アイテム。食付きは、2.5P、1.5P。

 

 

 

 

DMG森精機、国産AI開発のNoetraへ出資 フィジカルAIで製造現場の高度化へ

 DMG森精機はこのほど、国産AI基盤モデルの研究開発を手掛けるNoetraへ出資したと発表した。製造現場におけるAI活用を加速させるとともに、フィジカルAI技術の実用化を通じて、次世代の製造ソリューション創出を目指す。 Noetraは、国産のマルチモーダル基盤モデルやフィジカルAI基盤技術の研究開発を目的に設立された企業。製造業をはじめとする産業現場で蓄積される膨大なデータを活用し、ロボットや機械が実環境を認識し、自律的に判断・行動するフィジカルAIの実現に取り組んでいる。また、研究成果を国内企業や研究機関へ広く提供することで、日本のAI産業や製造業の競争力強化と産業横断的なAIエコシステムの構築を推進している。 DMG森精機は、工作機械、自動化、デジタル技術を融合した「マシニング・トランスフォーメーション(MX)」を推進しており、AIを生産性向上や品質向上、人手不足への対応を支える重要技術と位置付けている。 今回の出資について同社は、安全保障や輸出管理など高い機密性が求められる分野で活用可能な国産AIへの期待に加え、製造現場で培われた熟練技能やノウハウといった暗黙知のデジタル化にも期待を寄せている。また、フィジカルAIの実用化によって、加工条件の最適化や品質向上、省人化などへの貢献を見込む。 同社では今回の出資を通じ、国内産業界におけるAI技術の発展を支援するとともに、製造現場で培った知見をAI開発へ活用し、次世代の製造ソリューション創出につなげていく方針。■Noetra株式会社の概要代表者:代表取締役社長 丹波廣寅氏所在地:東京都渋谷区渋谷2-24-12設 立:2026年1月7日(2026年6月1日に株式会社日本AI基盤モデル開発から社名変更)事業内容:国産マルチモーダル基盤モデルの研究開発、モデル開発用インフラの検討 

フジムラ製作所が切削加工部門を拡充 ~約1億8,000万円を投じ5軸MCや自動旋盤を導入~

導入した最新設備

 

 デジタル板金を展開するフジムラ製作所(社長=藤村智広氏)は、2026年1月に立ち上げた切削加工部門の拡充を目的に、約1億8,000万円を投じて最新設備を導入した。5軸マシニングセンタやCNC自動旋盤、三次元測定機などを新たに導入し、当初計画していた第1段階の設備投資を完了した。

 今回導入した最新設備は、DMG森精機 5軸マシニングセンタ「DMU50 3rd Generation」とパレットハンドリングシステム「PH150」、シチズンマシナリー CNC自動旋盤「BNA-42SY5」、さらにキーエンス製3Dスキャナ型三次元測定機「VL-800」とワンショット3D形状測定機「VR-6000」。

(1)5軸マシニングセンタ「DMU50 3rd Generation+PH150」(DMG森精機)

 120本収納の工具マガジンを搭載したコンパクトな5軸マシニングセンタ。主軸回転速度15,000min⁻¹、早送り速度42m/min(X・Y・Z軸)により、高速・高精度加工を実現する。年内にはパレットハンドリングシステム「PH150」を増設することにより、加工中に次工程の段取りを行えるため、生産性向上が期待される。PH150は最大可搬重量250kg、400mm角パレット6面に対応し、本体操作パネルから運用できる。

(2)主軸台固定型CNC自動旋盤「BNA-42SY5」(シチズンマシナリー)

 2主軸・1タレット構成を採用したバー材加工向けCNC自動旋盤。高剛性の主軸台固定構造に加え、12ステーションのY軸搭載タレット刃物台を備え、豊富な工具レイアウトと左右同時加工、重畳加工に対応することで、高能率加工を実現する。

(3)3Dスキャナ型三次元測定機「VL-800」、ワンショット3D形状測定機「VR-6000」(キーエンス)

 「VL-800」は、AIによる測定支援機能を搭載した3Dスキャナ型三次元測定機。測定結果を自動で再現できる「リプレイ機能」により、個人差のない測定や比較・解析・判定、レポート作成まで対応する。また、図面のない部品も3Dスキャンによるリバースエンジニアリングが可能。

 一方、「VR-6000」は、図面指示寸法をはじめ、形状、うねり、粗さを最短1秒で高精度に三次元測定できるワンショット3D形状測定機。電動回転ユニットを備え、横方向や裏面の測定にも対応し、測定業務の品質向上と効率化に貢献する。

 人員面では、切削加工の経験者2人を新たに採用し、部門発足当初の4人体制から6人体制へ拡充。設備導入と人材確保を両輪で進めることで、切削加工事業の本格展開を加速させる。

加工サンプル

 

2026年6月分工作機械受注総額は2033.8億円 

 日本工作機械工業会(会長=坂元繁友 芝浦機械社長)がこのほどまとめた2026年6月分の受注実績は以下の通り。

 2026年6月分工作機械受注総額は、2033.8億円(前月比+14.9%、前年同期比+52.7%)となった。

 昨年後半から増加基調が鮮明となっていた外需は、一段と勢いを強めたことに加え、内需でも回復感が高まったことから、工作機械受注総額は2,000億円の大台を初めて突破。歴代最高額だった今年3月の1,934億7,000万円を約100億円上回る過去最高を更新した。

 受注総額は4カ月連続で1,700億円を超え、前年同月比の伸び率も6カ月連続で20%以上を記録した。特にアジア市場の好調ぶりが際立つ一方、国内需要やその他の海外市場でも高い受注水準を維持しており、世界的に設備投資の拡大が継続していることが窺えた。このため、同工業会では、工作機械受注は全体として緩やかな回復局面から拡大局面へ移行したとの見方を示した。

 先行きは、内需では政策的支援効果、外需では、AI・ロボット関連需要の活況が国際情勢による不透明感を払拭し、さらなる設備需要の伸長が見込まれる。一方、インフレ懸念が設備投資に影響を及ぼす可能性に留意が必要。

受注額の月別推移 
 


(出所:日本工作機械工業会)

6月分内需580.2億円(前月比+28.0% 前年同月比+45.5%)

 内需は前月比で3カ月ぶりに増加し、前年同月比で6カ月連続増加(+45.5%)の580.2億円となり、好調な回復傾向が続いている。主な需要業種も、期末効果を踏まえても前年より高い水準で推移している。今後の見通しとして政策措置による強い回復の持続に期待したい。

 半導体関連需要が目立って増加しているほか、データセンタ関連の需要も力強く39カ月ぶりに200億円を超えた一般機械や、51カ月ぶりに90億円を超えた電気機械等、それぞれ押し上げた。発電や空圧機器に関しても活発な商談が窺える。また、自動車はモデルチェンジや人気機種の増産対応や老朽化が進んだ生産設備の更新需要が見られ、大型案件の押し上げもあって、87カ月ぶり、7年3カ月ぶりに150億円を上回った。

 ・⼀般機械は、需要が⼀進⼀退で推移も、直近2年よりも高い水準で推移。
 ・産業機械は48カ月ぶりに200億円を超え、そのうち建設機械は2カ月ぶりの10億円超えと、海外向け需要の影響から引き続き堅調に推移。
 ・⾦型は、前月比、前年比ともに減少も半導体製造装置関連では積極的な投資が継続している。
 ・⾃動⾞向けは、前月比で2カ月ぶり、前年比は3カ月連続増加し、87カ月ぶり(2019年3月期ぶり)に150億円を超え、今後持続するか期待。
 ・自動車部品、完成車ともに前年同月比の伸びが大きく、特に完成車が65億円を超えたのは92カ月ぶり(2018年10月期ぶり)と高水準。
 ・一部で大きな受注があり、高いレベルとなった。


(出所:日本工作機械工業会)

6月分外需 1453.6億円(前月比+10.4% 前年同月比+55.8%)


(出所:日本工作機械工業会)

 外需は前年比では21カ月連続の増加、歴代最高額であった2026年3月の受注額(1,430億円)を更新し、過去最高額の1453.6億円(前月比+10.4% 前月比+55.8%)となった。国際情勢が不透明ななか、欧米の投資喚起政策の効果と、アジアでの投資が持続し、高い水準が続いている。

 主な地域別にみると、引き続き航空宇宙分野で大型案件があった北米(406.5億円)、欧州(193.6億円)は200億円を2カ月連続で下回ったものの、5月に減少した分をある程度取り戻した。中国は4カ月連続で500億円を越えるとともに、歴代最高額を更新した。

 ・⼀般機械は、前月比、前年同月比ともに6カ月連続増加、3カ月連続の400億円超え。
 ・⾃動⾞は、前⽉⽐で3カ月ぶりの増加、前年同⽉⽐では17カ⽉連続増加し、4カ⽉連続250億円超え。
 ・電気・精密は、前月比で3カ月ぶり増加、前年同月比では8カ月連続増加で、3カ月連続の高い水準で推移。
 ・航空・造船・輸送⽤機械は、前月比2カ月ぶり増加、前年同月比では4カ月連続増加で、3カ月連続の100億円超えと高い水準で推移。

①  アジア
アジア計は、4カ月連続750億円超え、800億円超えは初めて
 ・東アジアは、8カ⽉連続400億円超え、初めて630億円を超えた(2026年4月期の605億円を更新)。
 ・中国は、8カ⽉連続350億円超え、550億円超えは初めて(2026年4月期の533億円を更新)。
 ・その他アジアは14カ⽉連続の100億円超えで、歴代2番目に高い水準。
 ・インドは3カ⽉ぶりに90億円を超えた。

②  欧州
欧州計は、2カ月連続の200億円割れ
 ・ドイツは、2カ月連続の40億円割れ
 ・イタリアは、4カ月ぶりの25億円超え
③  北米
北米計は、歴代4番目の406.5億円
 ・アメリカは2カ月ぶりに350億円超え、歴代2番目に高い水準。
 ・メキシコは、2カ⽉ぶりに20億円割れ


 


(出所:日本工作機械工業会)

坂元会長コメント

 3カ月前の前回調査の時よりも明確に今後の市場動向が展望していることが分かる。足元の工作機械需要はアジアや北米が主導し、内需もこれに追随して大きな高まりを見せている。以前は自動車産業が牽引役だったが、現段階では、新車の開発方針の見直しを受けて、中国やインド等の一部の国々を除き、まだ力強さが不十分な状況。代わりにAI関連やエネルギー、航空、宇宙といった分野が受注額を強力に押し上げているのが大きな特長となっている。特にAI関連需要は新たな社会インフラを整備する側面を持ち、サイバーセキュリティの観点から、各国、各地域、整備が進み、厚みのある需要が見込まれており、発電や半導体製造装置での需要喚起にも繋がっている。

 航空、宇宙は開発の遅れもあって多くの関連企業が中長期的な設備投資計画をたてており、造船も含めて政策支援が追い風になっているとみている。また、業種を超えた全体的なな傾向では、自動化、高効率化、環境対応の需要は世界的に根強く、日本国内や北米においては、長らく設備投資を抑制してきたユーザーを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。

 7月から8月は夏季休暇の時期であり、中東情勢の推移等によっては一時的に設備投資が抑制される可能性もあるが、大きな落ち込みには至らず、秋口以降、再び力強さを発揮するものと期待している。
 

日本機械工具工業会 2026年6月分 会員統計生産額まとまる 

  日本機械工具工業会がこのほどまとめた2026年6月分の機械工具生産額は次のとおり。〈( )内は対前年比〉。■生産額 切削工具 441.9億円(120%)、耐摩耗工具 55.8億円(176%)、総合計 509.9億円(125%)。■ドリル生産額 特殊鋼工具 13.9億円(116%)、超硬工具 54.8億円(134%)、ダイヤ・CBN 1億円(108%)、総合計 69.7億円(129%)。■エンドミル生産額 特殊鋼工具 5.5億円(121%)、超硬工具 45.5億円(118%)、ダイヤ・CBN 1.5億円(96%)、総合計 52.5億円(117%)。■カッタ生産額 特殊鋼工具 1.6億円(99%)、超硬工具 9.7億円(171%)、ダイヤ・CBN 0.4億円(92%)、総合計 11.7億円(152%)。■ギヤカッタ生産額 総合計 6.1億円(100%)。■ブローチ生産額 総合計 8.2億円(107%)。■ねじ加工工具生産額 特殊鋼工具 37.2億円(115%)、超硬工具 4.2億円(118%)、総合計 41.4億円(116%)。■バイト生産額 特殊鋼工具 0.2億円(153%)、超硬工具 9.1億円(98%)、総合計 9.3億円(99%)。■リーマ生産額 特殊鋼工具 1.4億円(114%)、超硬工具 3.1億円(136%)、総合計 4.5億円(128%)。■鋸刃カッタ生産額 特殊鋼工具 1.4億円(111%)、超硬工具 0.6億円(107%)、総合計 2億円(109%)。■インサート生産額 超硬工具 175.9億円(120%)、ダイヤ・CBN 23.2億円(108%)、総合計 199.1億円(118%)。■ボディ関係生産額 総合計 17.1億円(104%)。■超硬合金生産額 切削用 153.8億円(118%)、耐摩耐触用 30.2億円(195%)、総合計 187.8億円(128%)。  

日本ロボット工業会 2026年4~6月期 マニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績まとまる 

 ロボット工業会がこのほどまとめた2026年4月~6月期のマニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績は次のとおり。■業況 2026年4~6月期は、受注額が対前年同期比40.0%の増加、生産額が同24.3%の増加と、それぞれ大幅な増加となった。受注状況をみると、マニピュレーティングロボット、電子部品実装機ともに強い伸びを示し、受注額、生産額は3四半期連続で過去最高値を更新した。 出荷実績をみると、国内向けは前年同期の反動増となったものの勢いに乏しく、自動車製造業を中心に低調に推移した。輸出は電子部品実装用が旺盛な需要を背景に中国やタイ、ベトナムを中心としたアジア向けがけん引し、欧米向けでも大幅増となった。マテハン用や半導体用も堅調で、輸出額、総出荷額は四半期として過去最高となった。 地政学リスクが重層化し、需要環境の不安定さは強まっているものの、世界的な自動化需要やAI関連投資、各種政策等を追い風として、ロボット市場の更なる成長が期待される。 受注・生産・出荷の各状況は以下の通り。■受注 ・受注台数(台) : 57,695(前年同期比+19.3% 【8四半期連続の増加】  ・受注額(億円) : 3,127(同+40.0%) 【8四半期連続の増加】■生産 ・生産台数(台) : 51,437(前年同期比+11.4%) 【6四半期連続の増加】 ・生産額(億円) : 2,520(同+24.3%) 【7四半期連続の増加】■出荷 ・総出荷台数(台) : 50,768(前年同期比+12.2%) 【6四半期連続の増加】 ・総出荷額(億円) :  2,577(同+24.1%) 【6四半期連続の増加】  ―国内出荷台数(台): 7,722(同+7.3%) 【6四半期ぶりの増加】      ―国内出荷額(億円):  383(同+3.7%)  【5四半期ぶりの増加】      ―輸出台数(台) : 43,046(同+13.2%)  【6四半期連続の増加】  ―輸出額(億円)   : 2,194(同+28.5%) 【6四半期連続の増加】■国内出荷内訳電気機械産業向け ・国内出荷台数(台) : 3,277(前年同期比+30.6%) 【5四半期ぶりの増加】 ・国内出荷額(億円) : 139(同+16.3%) 【5四半期ぶりの増加】自動車産業向け ・国内出荷台数(台) : 1,684(前年同期比▲10.9%) 【6四半期連続の減少】 ・国内出荷額(億円) : 82(同▲16.6%) 【5四半期連続の減少】■輸出内訳電子部品実装用 ・輸出台数(台): 5,218(前年同期比+16.8%) 【9四半期連続の増加】 ・輸出額(億円): 1,088(同+40.9%) 【9四半期連続の増加】溶接用・輸出台数(台): 7,124(前年同期比▼14.7%) 【3四半期ぶりの減少】・輸出額(億円): 191(同▼11.4%) 【3四半期ぶりの減少】 

経産省・2026年5月度機械統計 機械工具生産動態調査

経済産業省の2026年5月度 機械工具生産動態調査(機械統計)は以下のとおり。


*機械工具(機械統計)との差はダイヤモンド工具のダイヤモンドドレッサー、グライディングホイール、カッティングソー、セグメント工具、その他ダイヤモンド工具。
 *耐摩工具の一部はその他超硬工具に含まれる。
(表出所:日本機械工具工業会)
 

【レポート】DMG森精機 工程集約で工作機械の価値を最大化 伊賀事業所でMX戦略を公開!

 

 

 DMG森精機(社長=森雅彦氏)は7月3日、同社世界最大の生産・開発拠点である伊賀事業所(三重県伊賀市御代)で、記者向けに最新の工作機械や自動化システム、デジタルソリューションを披露した。環境負荷低減に向けたサステナビリティの取り組みも紹介し、次世代の製造現場を見据えた同社の戦略を示した。

 この日は、森社長と製造業コンサルタントのPeter Hill氏による特別対談も行われ、製造業の競争力強化や今後のものづくりの方向性について意見を交わした。


MXで工程集約を加速! ~目標は2050年に1台あたりの年間稼働率を約6,000台に引き上げ~

最新の取り組みについて説明する下川副社長

 伊賀事業所は総敷地面積58万㎡、東京ドーム12個分の広大な敷地面積で、生産能力は年間約2500台。

 下川勝久副社長が、同社が推進するMX(Machining Transformation)の考え方や生産体制、伊賀事業所の最新の取り組みについて説明した。

 下川副社長は、「工作機械は設備を導入する前の工程設計やエンジニアリングが極めて重要」と強調。「設備導入前の工程設計から、導入後の保守・サービスまでを一貫して支援する体制を構築するとともに、自社開発ソフトウェアの継続的なアップデートを通じて加工プロセス全体を最適化し、高精度・高剛性・高耐久な工作機械を提供している」と説明した。

 同社が掲げるMXは、工作機械単体の性能向上ではなく、工程集約や自動化、デジタル技術の活用によって生産システム全体の効率を高める取り組みだ。現在、世界では約500万台の工作機械が稼働しているが、1台当たりの年間稼働時間は約1,500時間にとどまっているという。

 同社は、工程集約を進めることで2050年には約100万台規模で、1台当たりの年間稼働時間を約6,000時間まで引き上げ、設備の生産性と資源利用効率の向上を目指す。

 

 下川副社長は、「工場は24時間稼働できるにもかかわらず、工作機械の稼働時間は約1,500時間にとどまっている。MXによって機械の稼働率を高めることで資源を有効活用し、人手不足にも対応できる生産システムを実現したい」と語った。

 また、「設備導入前の工程設計で成果の7~8割が決まる」と述べ、工作機械はユーザーにもよるが20年以上使用されることから、長期間にわたり高い稼働率を維持できるエンジニアリングが重要との考えを示した。

 こうした取り組みを支えるため、同社は約300台のテストカット機を保有。約1,700人の開発エンジニアに加え、顧客に最適な加工条件を提案する約1,100人のアプリケーションエンジニア、設備の保守・保全を担う約2,200人のMROエンジニアを世界各地に配置し、導入前から導入後まで一貫した支援体制を構築している。

 さらに、顧客向けポータルサイト「my DMG MORI」を通じて、スペアパーツのほか、切削工具など設備運用に必要な製品を提供。設備のライフサイクル全体を支えるサービスを展開している。

 下川副社長は、「これまでは代理店を通じて画一的な設備を販売する時代だったが、現在は顧客一社一社に最適な設備を提案し、導入後のMROまで一貫して支援することが重要になっている」と説明した。

 また、顧客構成にも変化が生じているとし、「従来は自動車産業が中心だったが、現在は航空宇宙や半導体など成長産業にも事業領域を広げている」と述べ、航空機分野では複雑形状・高強度部品の加工に対応する同時5軸加工機を、AIの普及を背景に需要が拡大する半導体分野ではセラミックスなど硬脆材料の加工に適した超音波加工機「ULTRASONIC」を展開。さらに宇宙分野では、AM(アディティブ・マニュファクチャリング)を活用し、顧客ニーズに応じた高付加価値部品の製造を支援している。

 同社はグループを含め世界18カ所に生産拠点を展開し、主軸や刃物台、ツールチェンジャなど工作機械の性能を左右する主要部品を内製化しているに伴い、2026年4月工場出荷分より、内製キーコンポーネンツを5年間保証するという。(対象:ターニング主軸「turnMASTER」、刃物台「turretMASTER」、ヒューマンマシンインターフェース「EGROline X」)。また、同社では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への貢献として、老朽設備を改修・解体・分別することで得られた再生材や、切りくずを同社製品の基幹部品で使用する鋳物原材料の一部として再資源化に取り組んでいる。

 こうした生産体制を強みに、高品質と安定供給を両立しながら、MXを軸としたものづくりの高度化を推進していく考えだ。

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