【レポート】INTERMOLD(大阪)(名古屋) 鍵は「資源効率の最大化」

 

地政学リスク時代に問われる切削工具の真価    

 世界の製造業は現在、かつてない不確実性に直面している。超硬工具の主原料であるタングステンは、現在、価格だけでなく供給そのものへの懸念も広がっており、ユーザーは「工具をいかに長く使うか」、「いかに少ない本数で高い生産性を実現するか」をこれまで以上に重要視している。

 加工時間、工具寿命、加工精度、段取効率――――その全てを改善することで金型加工の収益性そのものを押し上げる可能性を秘めた切削工具は以下のとおり。

イワタツールは限られた設備・工具・人材を有効活用するためのノウハウを展開

 イワタツールはHRC40~72の焼き入れ鋼に対し、直接穴加工を可能にした「トグロンハードドリル」に注目が集まった。マシニングセンタによる直彫り加工に対応しており、従来必要だった放電加工機への工程移管を削減できるため、金型製作におけるリードタイム短縮に貢献。先述のとおり、タングステン価格の高騰や各種資材の調達不安を背景に、製造現場では「いかに無駄を減らすか」が大きなテーマとなっている。同製品は、工程集約による加工時間短縮だけでなく、段取り替えなどを減らせる点でも効率性が高く、限られた設備・工具・人材を有効活用したい現場ニーズに合致していた。

 

溶着など加工トラブルが発生しやすいアルミ加工でも、安定した切りくず排出を実現し、高い生産性で省エネに繋げたダイジェット工業

現在、EV、航空機などの分野ではアルミ部品の需要が拡大しており、軽量化と高精度加工の両立が求められている。こうした市場環境に合致していたのはダイジェット工業の「アルミジェット」だ。高速回転に対応した加工用エンドミルで、毎分30,000回転クラスの高速加工にも対応している。航空機部品をはじめ、大型アルミ部品の加工など、高能率化が求められる現場をターゲットにしていた。アルミといえば、溶着や切りくず詰まりによる加工トラブルが発生しやすいが、同製品は高速加工領域でも安定した切りくず排出を実現し、高い生産性を誇る。加工時間が短くなれば、設備の稼働効率が向上し、省エネにもつながる。

 

工具の長寿命化を前面に押し出した日進工具。「SSPB320」で加工した金属セパレータ

 「加工時間短縮」と「工具寿命延長」の相反する課題を同時に求められる切削工具。高硬度材を安定して加工する能力を前面に押し出していたのは、日進工具の「SSPB320」。最大の特長は従来の2枚刃ではなく3枚刃を採用した点だ。加工精度や工具寿命を大きく左右する嫌なびびり振動対策に強バックテーパ形状を採用し、切削負荷と振動を抑制。これが、安定した面品位と精度の確保に役立っている。さらに刃先にはスパイラルボール形状を採用し、切削性を向上させた点も見逃せない。従来の2枚刃ボールエンドミルと比較して、工具寿命は約2倍、加工時間も約60%で加工が可能となっている。

 

工具の強靱さだけでなく、準備工程まで効率化させたMOLDINO。従来のcBN工具よりも良好な仕上げ面をPR

 近年、EV、半導体関連部品などで求められる金型はますます高硬度化が進んでおり、それに伴い切削加工の難易度も上昇している。切削工具は今や経営資源として活用する時代に突入した。そうした中で注目されたのがMOLDINOの高硬度鋼加工用ボールエンドミル「IXエポックディープボール-TH3」だ。最大の特長は、新開発の〝超々微粒超硬合金〟にある。次世代添加元素の採用により、従来は両立が難しかった耐摩耗性と耐欠損性を高次元で実現している。高硬度鋼加工で問題となる刃先摩耗やチッピングを抑制し、長時間加工でも安定した性能を維持できる。特に60HRクラスの高硬度鋼加工では、その真価が際立つ。従来工具と比較して、工具寿命が大幅に向上しているという。また、現場目線で注目したいのが、段取り時間削減の配慮である。焼きばめホルダに適したショートシャンク設計を採用しており、追加工なしで使用可能。また、工具外径の実測値をラベル表示しているため、測定作業を省略しながらCAMへ正確に反映できる。準備工程まで効率化する発想が盛り込まれていた。
 

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