【レポート】INTERMOLD(大阪)(名古屋) 鍵は「資源効率の最大化」

 

工具寿命を左右するホルダの技術 

ホルダの基礎品質を徹底的に追求するBIG製品の存在感は今後も高まりそうだ

 先述のとおり、地政学の影響に加え、加工現場での自動化・無人化が進むなか、消耗品である切削工具には、〝長寿命〟と〝安定加工〟がこれまで以上に求められているが、その一方で見落としてはいけないのがホルダの存在である。ホルダは長期間活用されることが多いのだが、クーラントや湿気の影響を受けやすい側面を持っており、意外と錆やすいのだ。
 
 高精度加工では、ホルダの錆や腐食などが、振れ精度に大きな影響を及ぼす。デジタル化が加速し、特にAIによる加工条件最適化が進んでいる現在、〝前提条件としての工具保持精度〟が重要になっている。

 こうした中で、大昭和精機(BIG DAISHOWA)の新製品である「フェルマイト処理による防錆ホルダ」に注目したい。フェルマイト処理は、防錆性や防腐食性を高めるだけでなく、テーパ部の安定した密着性維持などに威力を発揮。長期間にわたり振れ精度を安定させることで工具寿命や加工品質の安定化にも寄与する。クーラント汚れが付着しにくく、メンテナンス性に優れる点も嬉しい。

 現在の加工現場では、〝工具・ホルダ・測定を含めた加工システム全体の最適化〟が競争力を高めている。ホルダの基礎品質を徹底的に追求する同社の存在感は今後も高まりそうだ。

トータルコスト削減に向けた動き

現在の時流に合致! 加工現場の困りごとを解決に導く提案をしていた牧野フライス製作所

 鍛造の金型は〝銅タングステン〟の電極を使っているが、現在、銅タングステンの値上がりが異常値を叩き出しており、入手困難となっている。そんな中、牧野フライス製作所が提案していたのは、「銅タングステンとグラファイトの間の性格を持つ素材を積極利用することで地政学上の課題を提言しましょう!」というものだった。加工サンプルにはベベルギヤが展示されていたが、これは従来、銅タングステンの電極の3本を使うとされているが、同社が提案していたのは、荒仕上げと中仕上げの2本をグラファイトの中に銅を染みこませた銅グラファイトに変え、銅タングステンを1本にしている。つまり3本のうち2本は、銅グラファイトで加工することによって、トータルコストと加工時間を減少させたという。加工時間は約16%減、コストも30%減。経済効果も高く、加工現場の困りごとの解決に導く提案だ。

安田工業は様々なロスを排除し、ユーザーの利益を守る機械でトータルコスト削減を提案

 最近は超硬工具の主原料であるタングステン価格の上昇により、工具1本あたりのコストは確実に上昇している。そのため現場では、〝加工時間を短縮すること〟と同時に〝加工ミスを起こさないこと〟の価値が高まっている。安田工業が展示していた「YMC650+RT20」は、高度な機械構造と高剛性設計をもち、複雑形状でも安定した加工精度を実現することにより、加工不良による材料ロスや段取りのやり直しを抑制できる。この結果が大きなコスト削減につながるというわけだ。また、振動や熱変位を抑制しながら安定加工が行えるため工具本来の性能を引き出すことも、工具交換回数の削減につながる。高精度機械は導入コストが気になる方も多いだろうが、ユーザーの〝利益を守る機械〟はまさに現場の守護神。製造現場の収益力を支えるトータルコスト削減装置でもあるのだ。

「とりあえず施策してみる」が許されなくなってきた時代に、次世代の試作インフラとして注目したい「Labonos」

 また同社の別部門が出展していた3Dリアルトランスレーター「Labonos(ラボノス)」にも注目したい。原材料費の上昇が避けられない現在、〝とりあえず試作してみる〟が許されなくなりつつある。求められているのは〝すぐに作れて、速攻で評価できる試作〟なのだ。3Dプリンタの手軽さと、切削加工の品質を両立し、誰でも高品質なものづくりができる点にこのマシンの価値がある。3Dデータを読み込むだけで加工プロセスを自動化し、CAM作業や加工プログラムの作成を不要なので、従来の〝熟練者がいないと加工ができない〟という構造そのものを変える可能性を秘めている。しかも最初から量産品品質で機能評価を行える点は強みであろう。Labonosは3Dプリンタでもマシニングセンタでもなく、その中間に生まれたマシンであり、人手不足時代のものづくりを支える次世代の試作インフラとして存在感を高めている。

MOLDINO

 

INTERMOLD2026名古屋