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〈平成30年 年頭所感〉経済産業省製造産業局産業機械課/日本産業機械工業会

「『生産性革命』と『人づくり革命』を推し進めていくことが必要」
経済産業省製造産業局 産業機械課長 片岡隆一

 平成30年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 安倍政権発足以来、名目GDPは50兆円以上増加し、正社員の有効求人倍率が1倍を超えるなど、力強い経済成長が実現しています。雇用は185万人増加し、昨年の春に大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高となっています。我が国として、『戦後最大の名目GDP600兆円』の実現に向け、この成長軌道を確固たるものとするためには、『生産性革命』と『人づくり革命』を力強く推し進めていくことが必要です。

 欧米で端を発した第四次産業革命の波は我が国にも押し寄せ、日本のものづくり産業は大きな転換期を迎えようとしております。日本企業が生産性を向上し、競争力強化を図っていくためには、第四次産業革命への対応、すなわちロボット、IoT、ビッグデータ、AIなどの活用が不可欠です。そうした中、第四次産業革命による技術革新を踏まえた今後の日本が目指すべき産業の在り方の鍵を握るのが、「Connected Industries」です。

 「Connected Industries」とは、様々な業種、企業、人、機械、データなどがつながることによって、新たな付加価値や製品・サービスを創出し、生産性を向上させ、高齢化、人手不足などの社会課題を解決することで、産業競争力の強化につなげていこうというものです。これから未来に現れるチャレンジは、ますます複雑になることが想定され、単独のリソースでの解決は困難です。また、その変化のスピードも早く、待っているだけでは、世界の潮流に取り残されてしまいます。工場の機器の効率化、オープンプラットフォーム化やデータ連携、ロボットの活用を通じた工場全体の最適化の流れを見据え、世界最先端の産業を目指して、皆様と一緒に、現場目線で取り組んで参ります。

 一方でロボット化・自動化によって単に雇用を奪うのではなく、『匠の技』などの見える化による若い職員のスキル習得など、技能承継の取組も重要です。また、単純作業や重労働を省力化することで労務費を削減し、そのぶん、若者、女性、お年寄り、障害のある方などが働きやすくなるような働き方改革や、第四次産業革命を支える、ものづくりとITの双方に精通した人材の育成も重要です。即戦力を確保しながら、中長期的には、将来を担う人材をしっかりと育成できるような取組を我々も後押して参ります。

 こうした取組に加え、産業機械業界でも、中小企業の取引条件を改善するための自主行動計画を策定する動きが進んでおります。企業間取引においても、是非winwinな関係となるよう、この取組を産業界全体で進めて頂きたいと思います。

 我が国の経済・社会の発展は、ものづくり産業とともにあり、その中でも、産業機械産業は、明治以降、根幹を支える『土台』でありました。皆様の現場を熟知する知見は『日本の宝』です。IoTもAIもツールであり、優れた現場の知見を有する皆様が、それぞれの課題解決にどう活かしていくかが重要です。これらのツールを用いて、新たな発想やつながりを広げ、これまでの常識に囚われない大胆な試行錯誤と挑戦が進んでいくことを期待しております。

 産業機械課としても、これからも皆様の『現場の声』を聞き、政策に生かしていきたいと考えておりますので、是非とも気軽にお声掛けください。

 最後になりましたが、本年は、『明治150周年』という節目の年でございます。本年が皆様方にとってさらなる飛躍の年となりますように祈念いたしまして、新年の挨拶と代えさせていただきます。

「わが国の成長力の底上げと生産性向上に向けて」
日本産業機械工業会 会長 佃 和夫

 2018年を迎えるに当たり、新年のご挨拶を申し上げます。
皆様には、気持も新たに新年を迎えられたことと思います。

 昨年を振り返りますと、経済面ではわが国の実質国内総生産(GDP)が7~9月期に7四半期連続のプラス成長となるなど、海外経済の拡大を背景に輸出や生産が伸び、緩やかな景気回復が続きました。しかし、企業収益が改善した一方で個人消費の伸びは力強さが見られるまでには至りませんでした。

 通商面では、新たな環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意や、日本とEUの経済連携協定(EPA)交渉が合意するなど、貿易と投資の自由化に向けた質の高い通商ルールの整備が進展いたしました。

 一方、海外を見ますと、朝鮮半島の緊張感の高まりや中東の政治情勢の不透明感、英国のEU離脱交渉の行方、米国のTPPや地球温暖化対策パリ協定からの離脱の表明など、世界情勢が刻々と激しく変化した一年だったのではないかと思います。

 我々産業機械業界の2017年度上半期の受注は、内需・外需とも増加し、上半期としては3年ぶりにプラスへ転じました。内需は民需・官公需とも増加し、外需は中国やアフリカ、オセアニアで増加するなど、機種により差はありますが、総じて見れば受注環境の明るさが増してきたと思います。

 こうした中、2018年は、わが国の成長力を底上げし、多くの人たちがその成長を享受できるという成長と分配の好循環を確立していく必要があると思われます。そのためには、多くの産業が第4次産業革命に対応した設備への転換を図り、人工知能・ロボット・IoTなどを活用したイノベーションの実現に取り組み、生産性や競争力を一段と高めていくとともに、少子高齢化や人口減少で縮小が懸念される国内市場の消費や投資の機会を広げ、新たな需要の創出・拡大に繋げていく事が重要であると考えます。

 我々産業機械業界としても、時代の変化に対応した新たな「ものづくり」の創出に取り組み、優れた製品とサービスを提供し、わが国産業の生産性向上と国際競争力強化に引き続き貢献していきます。併せて、日本の強みであるエネルギーや環境分野の技術をさらに進化させながら、温暖化を始めとする地球規模での環境対策にも積極的に取り組んでいきます。

 政府におかれましては、わが国産業が世界に誇る「ものづくりの強さ」を活かし、国内外の様々なニーズに応える新たな製品やサービスを創造していくために、企業の研究開発、設備投資、人材育成等を促進させる各種施策のさらなる充実を図っていただきたいと思います。また、日本企業が安心して海外への事業展開ができるよう、自由貿易の促進や国際通商ルール作りに粘り強く取り組まれることを期待しております。

 年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

〈平成30年 年頭所感〉日本工作機械工業会/日本機械工具工業会/日本工作機器工業会/日本精密機械工業会

「今年も活発な受注に期待」
日本工作機械工業会 会長 飯村幸生

 2018年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 我が国工作機械業界の受注は、地政学的リスクが世界各地で高まっているものの、2017年初来、内外需ともに総じて順調に推移致しました。内需では半導体産業や自動車産業の投資が好調に推移し、幅広い需要産業で高付加価値機械の需要が盛り上がりました。 

 外需では中国で電気機械を始め一般機械や自動車等の投資に拡がりがみられたほか、欧州、北米も堅調に推移しました。この結果、2017年の受注総額は、暦年修正見通し「1兆5,500億円程度」を上回り、2007年に記録した過去最高額1兆5,900億円をも10年ぶりに超えたものと見込まれます。

 本年も基調的には、活発な受注が期待されます。関係業界の皆様にも円滑な部品供給を始めとするご支援をお願い致します。他方、国際政治・社会情勢等、工作機械業界の力の及ばない外部的要因によるリスクも内在しています。好調ながら脆弱な市場環境が予見されます。「治に居て乱を忘れず」、常にいかなる事態にも対応できる力を蓄えねばなりません。

 このような受注環境にあって、世界の工作機械産業は大きな技術的変革期を迎えております。様々な繋がりによって新たな付加価値の創出や社会課題の解決を目指す我が国の “Connected Industries” を始め、ドイツの “Industrie 4.0”(第4次産業革命)、アメリカの “Industrial Internet”、中国の “中国製造2025”、等、IoTを活用してスマート・マニュファクチャリングの実現を図る取組みが世界各国で競われています。三次元積層造形装置(3Dプリンタ)の技術も実用化の段階に入って来ました。自動車の電動化の進展や、航空機産業の成長に伴う難削材需要の増加によって、需要構造面でも大きな変化が展望されます。

 日本の工作機械業界は、世界のものづくりをリードすべく、製品の高付加価値化やユーザーニーズの多様化に的確に対応した取組みを進めて行かねばなりません。日工会では、産学官が連携して世界最高水準の工作機械技術の創造を目指す「加工システム研究開発機構」を中心に研究開発や国際標準化に関する戦略的活動を展開して参ります。

 本年は、我が国工作機械業界最大のイベントであるJIMTOFの開催年です。今回のJIMTOF・Tokyo 2018では、11月冒頭に東京ビッグサイト全館を使用して、Connected Industriesの構想を念頭に、「つなぐ」をキーワードとして最先端の工作機械技術・製品を世界に発信して参ります。合わせて全国から学生を招待する「工作機械トップセミナー」や企画展示を通じ、社会一般の工作機械産業への認知度向上を図って参ります。

 関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
本年が皆様にとって更なる飛躍の年となることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。

「切削工具と二次電池の両方に使用されるレアメタルの動向を注視」
日本機械工具工業会 会長 牛島 望

 新年明けましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年は、政治や安全保障については多事で慌ただしい1年でしたが、世界経済は比較的に順調であったことから、ビジネスは工作機械をはじめ、全般的に拡大基調の良い年であったと思います。先の読めない時代ですが、本年も世界経済が堅調であることを願うばかりです。

 私ども、日本機械工具工業会は、ハイス工具の日本工具工業会と、超硬工具協会が2015年6月に統合し発足しました。両工業会とも、1948年に設立され、歴史も伝統もあり、それぞれの流儀で運営してきました。そのため、両工業会の会員の融和について、当初は若干の不安もありましたが、統合から2年半が経過し、コンプライアンスを徹底しつつ、融和が進んでいるのではないかと思います。

 本年は、ハイスの原型とされるマシェット鋼が1868年に英国で発明されてから丁度150年に当たります。従来は水による急冷で焼きを入れていた工具鋼製のバイトを、大気中で融点に近い温度から焼きを入れ始めることで、バイトの硬度が上がり、切削性能が格段に向上することを偶然発見したことがきっかけだったようです。その後、1900年にタングステンやクロムを大量に添加した鋼の熱処理方法を発見、高速度で加工しても刃先が軟化せず、切れ味を保つ切削用鋼ということで、高速度工具鋼(ハイス)と名付けられたようです。モリブデン、コバルト等のレアメタルを添加物として加えることや粉末化、コーテイング処理することで性能が向上し、金属加工に不可欠の材料として現在に至っています。

 更に、超硬が95年前の1923年に開発されました。ドイツの電球メーカーのエンジニアが、特殊鋼製のダイスでタングステンのフィラメントを伸線していたところ、ダイスの 表面に炭化タングステンが析出してダイスが硬くなり、耐摩耗性が向上したことでダイス 寿命が伸びることを偶然発見したことがきっかけだったようです。トライボロジーの一例と言えるかもしれません。超硬も耐摩工具のダイスだけでなく、バイトやフライス、ドリル等の切削工具が主用途となり、今日に至っています。

 両材料の使い分けですが、当初、超硬は主にバイト等ロー付け工具と刃先交換チップに
使われていました。エンドミルやドリル等はハイスより超硬のシェアが圧倒的に高くなってきましたが、ホブ、ブローチ等の歯切り工具と高精度ネジ切り加工のタップについては今後も超硬よりも靭性が優れ、欠損し難いハイスが使われると考えられます。また、超硬の延長線上に、タングステンの代わりにチタンを主原料とするサーメットや、更に硬度を高めた多結晶焼結ダイヤモンド(PCD)や窒化ホウ素といった材料も使われています。チタン化合物等で表面処理を行うコーテイングもハイス、超硬ともに一般に施されるようになっています。

 切削工具の主用途は、金属加工です。自動車や航空機、建機の関連部品、電子部品、筐体等の製造現場で使われていますが、自動車関連部品が最大の需要先になり、特にエンジンのシリンダーブロックやヘッド、トランスミッション部品等の鋳鍛造素材の切削加工にたくさんの工具が使用されています。最近は、車両の軽量化ニーズが大きくなっており、アルミ等軽量部材の使用量が増えていることもあり、PCD工具の使用が増える傾向にあります。

 また、電気自動車(EV)化の影響は避けられません。エンジンとトランスミッションが無くなると、自動車関連の切削加工が50%以上減ります。しかし、給電のインフラや時間の問題に加え、二次電池の重量やレアメタル確保等の制約から一挙にバッテリーだけのEVに切り替わることは考えにくい状況であることも確かです。当工業会としては、切削工具の主原料のタングステンに加え、切削工具と二次電池の両方に使用されるコバルト等のレアメタルの動向を注視する必要があると考えています。

 最後になりますが、昨年は、秋口から品質検査の問題で社会に動揺が走りました。納期に追われ、出来高増と能率向上を求められる現場が検査成績を捏造して客先に提出等を行っていたという事実は、驚きでした。しかし、現場が納期と出来高増に追われながらも高い品質を求められるのはいずこも然りであり、この問題は、どこの企業でも起こりえる事として予断・油断無く、経営者が陣頭に立って社内の状況や体制を再検証していく必要があると痛感しました。

 本年も宜しくお願い申し上げます。

「私たちのビジネスチャンスは広がっている」
日本工作機器工業会 会長 寺町彰博

 あけましておめでとうございます。
 年頭に際し、所見を述べさせていただきます。

 昨年の世界経済は、欧米をはじめとする先進国は引続き好調に推移し、中国においては政府による経済対策の効果が見られ、総じて拡大基調で推移しました。一方で、ポピュリズムや保護主義の流れ、及びシリア情勢の悪化や北朝鮮の核開発問題などの地政学リスクの高まりにより、先行きに対する不透明感が高まりました。

 日本に目を向けますと、海外経済の回復などを背景として輸出や生産が好調に推移する中、経済は緩やかに回復しました。さらに、世界的な好景気と好調な企業業績を背景に、日経平均株価がバブル経済崩壊後の戻り高値を更新し、約26年ぶりの高水準となるなど、今後の持続的な成長へと弾みがついた1年となりました。

 世界経済の先行きに対する不透明感が高まる中、AI、IoTなどの高度情報技術による繋がりやロボットを活用した仕組みが進展し、私たちのビジネスチャンスは広がっています。一方で、それらのテクノロジーを武器に新市場を創り出すIT企業が世界の株式時価総額の上位を占め、その一角が既存の小売業を席巻し、業態自体に急激な変化を迫るなど、私たちを取り巻く環境は凄まじいスピードで変化しています。しかしながら、日本の製品やサービスは品質や信頼が高い分、それらを世に出すまでの時間がかかり過ぎるため、ややもすると、変化を起こすどころか、その波に乗り遅れる可能性すらあるかもしれません。

 したがって日本の製造業に求められることは、変化に怯むことなく、私たちの「強み」である高付加価値な製品力に新しい技術や仕組みを積極的に取り入れることにより、ダイナミックなイノベーションを大胆なスピードをもって成し遂げることと考えます。これらを実現できれば、必ずや私たちはグローバル競争の中で打ち勝ち、世界の製造業を引き続き牽引していくことができるものと考えております。

 従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、これまで以上に連携を深め、日本の製造業の発展に寄与できますよう、積極的な活動を展開してまいる所存です。

 最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

「“超精密へのあくなき挑戦”を旗印に日本の技術力を示し続けいく」
日本精密機械工業会 会長 稲葉弘幸

 平成30年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
 旧年中は当工業会の活動に格別のご支援、ご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 さて、当工業会は昨年「創立60周年」を迎えました。「超精密へのあくなき挑戦」を共通のテーマに掲げ、切削・非切削型加工機や周辺装置、工具メーカー、ソフトウエア・サービス会社など様々な企業にご参加頂き、現在では正会員42社、賛助会員62社、個人会員2名様と、106の企業、個人様にご参加頂いております。

 1957年に小型工作機械協会設立の声明書を発表、「会員相互の親睦」を重んじ、情報交換はもちろん、仕事を協力し合うことも多々あり、会員同士の密な連携は屈指であると自負しております。この密な関係は当工業会の伝統であり、最大の魅力であると思います。
これからは経営者同士だけでなく、社員同士にも広げていきたいと考えております。

 技術委員会では提案力の向上を図りながら、お互いを知るためとして若手技術者を対象とした「プレゼン;わが社の誇りと新商品紹介」と題した研修会を、販売委員会では新人社員を対象とした「マナー研修会」を実施しております。また、日本国内で「モノづくり」をしている集団として、「日本製」を更にアピールする思いから「JAPAN MADE」認証制度を設立しております。
 
 主要部品の70%以上を日本製とする機械を高品質製品と認定し、海外販売の促進を狙っております。更に、今年の11月に開催されるJIMTOF2018でも、「日本人の匠技・モノづくりコンテスト」を企画しております。是非、今回のコンテストにも奮ってご参加頂きたいと思います。

 今後も「超精密へのあくなき挑戦」を旗印に、工業立国である日本の技術力を示し続けていく所存です。

 「アットホームで会員相互の親密度の高い工業会」として、「日本のモノづくり」に貢献出来るよう努めてまいりますので、引き続きお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。
最後に、関係各位のご支援、ご協力をお願い申し上げますと共に、皆様にとって最良の年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。

〈平成30年 年頭所感〉日本フルードパワー工業会/日本建設機械工業会/日本工作機械輸入協会/日本工作機械販売協会

「変化を恐れないチャレンジ精神が求められている」
日本フルードパワー工業会 会長 永久秀治

 新年明けましておめでとうございます。平成30年の念頭にあたり、一言ご挨拶を申
し上げます。

 お正月はふと目にした風景に静寂と美しさを感じる瞬間があります。初詣に地元の小さ
な神社へ向かう小路や交通量が少ない都会の街路に静謐な空気が流れ、日本の平和を感じ
る瞬間です。本年も平穏な年であることを願って止みません。

 さて、昨年を振り返りますと、フルードパワー業界を取り巻く景況はまだら模様ながら、概ね良好のうちに推移いたしました。企業部門では生産の増加基調が続き、輸出は底堅く推移、また、企業収益が改善する中、設備投資も持ち直しに向かいました。株価は世界的に堅調に推移し、東証株価もバブル崩壊後の高値を更新するなど明るさを増しています。

 企業業績も9月の中間決算では製造業を中心に増益基調が確認されました。こうした中、当工業会では下期に入り、昨年4月に発表した需要予測の見直しを行いました。油圧機器では中国の建設機械需要がまだしばらく底堅い動きをすると判断し、前年比、前期比ともに約15%プラス、空気圧機器も外需を中心に工場自動化が更に強く伸びるとの判断のもと、前年比、前期比とも25%プラスを見込み、全体では今年度は8,500億円近くに達するとの上方修正をいたしました。

 昨年の突然の衆議院解散の結果は引き続き与党多数の政権となり、政策の安定的な運営が期待されます。自民党の公約の中に、最先端のイノベーションによる「生産性改革」とあらゆる人にチャンスをつくる「人づくり改革」というのがあります。大胆な税制、予算、規制改革などを通じて、企業収益を設備投資や人材投資へ振り向けるというものです。大いに期待したいものです。一方で、少子高齢化による若手人材の不足が深刻です。当工業会では、昨年、高齢者活用指針を取りまとめました。シニアの方々、女性の方々にもより活躍していただける業界にしていくことが我々の更なる発展に資するものと考えております。

 今年を展望すると、米国や中国を中心に海外経済の堅調が見込まれる中、輸出は増加基調が続くことが期待されます。また、国内需要も人手不足が続くもとでの雇用環境の改善、旺盛な建設需要などを背景に底堅く推移すると見込まれており、総体としては底堅い内外需を背景に緩やかな回復基調が続く見通しです。一方で、止まることのない経済のグローバル化により事業を取り巻く環境は複雑さを増し、各地での新たなナショナリズムの台頭や地政学的リスクの発生は不確実性をますます高めています。また、ビジネスにおいては、IoT、AI、自動運転などの技術のさらなる発展が、産業構造を大きく変化させる起爆剤になる可能性があり、そこには新たな事業機会、収益機会が生まれてくると言われています。経営者にとってリスクに対応するための俯瞰的な視点と、変化を恐れないチャレンジ精神が一層、求められていると考えています。

 最後になりましたが、フルードパワー工業会と皆様方のお会社の益々の清栄と発展を祈念し、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。

「引き続き好調を維持するものと期待」
日本建設機械工業会 会長 平野耕太郎

 新年あけましておめでとうございます。年初に当たり、謹んでご挨拶申し上げます。
昨年は、米国トランプ政権の本格的な始動、西欧主要国や日本での選挙、中国共産党大会の開催、北朝鮮問題など、政治や地政学的な変化が多く有りましたが、世界経済の動向は比較的穏やかな状況でした。

 その様な中、昨年の建設機械世界需要は、一昨年と大きく様相を変え、一部地域を除いて増加をしました。当工業会がまとめている建設機械出荷金額統計を見ても、1月から10月の累計で、対前年比国内8.3%増、輸出が26.3%増、合計で18.3%増という喜ばしい結果となっています。

 今年の建設機械世界需要の見通しは、引き続き好調を維持するものと期待していますが、業界を取り巻く状況は更に変化していくものと考えられます。社会や顧客の環境・安全・生産性の向上に対する要望はより強く具体的になり、IoT・ICTやi-Constructionなどの情報技術や最新技術を活用した顧客ニーズに対応した製品、サービスの提案が必須となっており、当工業会は会員各社の製品、コンポーネント、部品、サービスを通じ、この様な市場ニーズに新たなソリューションを提供し続けたいと考えています。

 当工業会の設立理念である「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」のもと、①東日本大震災や一昨年発生した熊本地震、昨年の九州北部豪雨災害の復興への貢献、②環境・省エネルギーに対する対応、③会員各社のグローバル展開支援、④i-Constructionなど新しい技術への対応等この4点を重要な活動分野として、今年も引き続き取り組んでまいります。
 
 最後になりますが、本年が皆様にとりまして健康で幸多き一年となりますよう祈念し新年のご挨拶とさせて頂きます。

「ものづくりを通じて日本経済を支えていく」
日本工作機械輸入協会 会長 中川貴夫

 2018 年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。旧年中は当協会の事業活動にご支援ご協力を賜りまして、誠にありがとうございました。

 輸入工作機械は日本の近代化や工業化の基盤を成すものであり、当協会はその発展と推進において貢献してまいりました。今後も、グローバル時代における「日本人のものづくり」を支えるため、一層の努力をしていく所存です。

 昨年2017 年の工作機械の輸入通関実績は、約880 億円(予想)となり、一昨年2016 年の930 億円から約5%減となりました。本邦通関ベースの数字であるため、三国間貿易の場合はカウントされません。業界各社の好業績からみて、三国間貿易分が増加したものかと推察しております。

 昨年9 月にドイツ・ハノーバーで開催されたEMO 2017 は、約130,000 人の来場者を数えましたが、当協会からも42 名からなる視察団を組み、大変有意義なミッションとなりました。

 さて、今年は11 月1 日から6 日にかけて6 日間、JIMTOF が開催されます。当協会会員企業様におきましては、世界の超一流の技術・製品を出展され、社業ひいては業界の益々の活性化に導かれることが期待されるところです。2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、カウントダウンが始まりました。当協会でも、それに向け、ものづくりを通じて日本経済をしっかりと支えていく所存です。

 最後に、皆様にとりまして、本年が最良の年となりますよう祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

「今年の工作機械受注は昨年同等を期待」
日本工作機械販売協会会長 冨田 薫

 皆様 新年明けましておめでとう御座います。
 健やかに新春を迎えられた事と、謹んでお慶び申し上げます。
 旧年中は当協会に対し一方ならぬご厚情と暖かいご支援を賜り有難う御座いました。あらためて御礼申し上げますと共に本年も引き続き宜しくお願い申し上げます。

 昨年を振り返ってみますと10月に衆議院選挙があり、自民党が圧勝し安部政権が再任されました。それを株式市場は好感をもって受け入れ、日経株価はうなぎ昇りに上昇しました。工作機械受注も日工会の上方修正された受注予測1兆5500億円を、内需も6000億円を上回ったと思われます。今年の工作機械受注は昨年同等が期待されます。

 ここでメカトロテック2017展(名古屋)と東京モーターショウ2017を見学して感じた事を述べます。メカトロテック展では、やはりIOT関連の展示が多く見受けられました。これからは、インターネット経由で機械等の稼働データーを取り、解析し稼働率向上、状況診断、機械故障の予防等に生かす方向です。
 
 東京モーターショウでは自動運転コンセプトカーが展示されており(レベル4を目指している)、システムが運転してくれる訳ですが、センサー、カメラ等で周りの状況を確認しながら、更にインターネット経由で継続的に道路状況情報を入手し目的地に到着する。両展示会のキーワードはコネクティビティ(インターネット)であり、今後インターネットとの付き合いがより重要になります。
  
 自動車業界の将来について、新聞等及び業界情報(日工販主催自動車勉強会)により次のキーワードに注力して、自分なりの戦略を立てる事が大切であるらしい。
●ガソリン車エンジンの省燃費化、CO2削減。
●EV,プラグインHEV、FCV(燃料電池車)
●自動運転
●カーシェアリング

 最後に日工販の役割についてですが、まず第1に営業マンレベルアップ教育の強化です。ユーザーの技術的要望を解決出来るプロの営業マンが必要であり、日工販としては、各種教育セミナーを提供して、営業マンのレベルアップに協力して行きたいと思います。営業マンとユーザー技術部、購買部との心の通った対応が重要になります。

 第2に各種情報の提供です。補助金、税制改正、PL保険等の情報を会員各社には迅速且つ的確に提供し更に工作機械の重要市場である自動車、航空機、他産業の将来について専門家に依頼して勉強会を開催します。

 第3にメーカー各社との情報交換及び人脈作りです。メーカーのご協力を得て新製品勉強会、工場見学会、またメーカー営業マンと会員各社との交流を積極的に実施し、より一層連携を深めて行くことを目的として取り進めたいと思います。

上記の内容をひとつ、ひとつ実行してゆく所存ですので、本年も引き続きご支援を宜しくお願い申し上げます。

 最後となりますが、皆様の益々のご多幸とご健勝を祈念申し上げて、私の年頭のご挨拶とさせて戴きます。

〈平成30年 年頭所感〉日本歯車工業会/日本金型工業会/全日本機械工具商連合会

「“規格、技術、教育”の3つの柱を中心に機械産業の発展を願う」
日本歯車工業会 会長 栄野 隆

 新年おめでとうございます。平成30年の年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 旧年中は、当会の事業運営に格別のご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 昨年は、生産性向上と省力化ニーズの追い風もあり、概して需要堅調の中で推移し、本年は予断は難しいとは言え、成長力の底上げを図るべく将来を見据えた着実な投資拡大が期待されるところです。

 今年、当会はおかげさまで80周年の節目を迎えます。昭和13年(1938年)に「東京歯車製造工業組合」として発足し、昭和33年(1958年)に、現在の名称の「日本歯車工業会」として社団法人化した後、60年が経過するという重ねて記念すべき年となりました。当会及び歯車産業は、戦前の発足以来、戦後の復興と高度成長経済の拡大基調の長い歴史を経て機械産業を支え、技術革新及び品質信頼性の実績を評価頂いて今日に至ったものと考えております。

 今、時代は変化のスピードを更に増しておりますが、当会は変えるべきこと、変えてはならないことを見極めつつ、以下の3つの原則を貫くことで更なる貢献を持続して参ります。

 一つは、当会が永年継続して担って参りました機械要素「歯車」に関する日本工業規格(JIS)及び国際規格(ISO)の制定或いは改訂に深くかかわるという基本的役割でございます。技術の進歩と共に例えばエンジンから電気にシフトしていく等のメガトレンドのなかにあって、日本の産業のいわば足腰となり、競争力の源泉である信頼性を担保する規格制定は、当会の変わらぬ取組みであり、継続して参ります。

 第二は、当会を構成する多くの歯車メーカー及び関連ものづくり企業の経営にも関わる新技術、技術動向を踏まえた調査、研究に関連する活動や取組み等、言わば競争力強化につながる事業に関しても、従来からの30回を超えて継続する経営研修会等の開催に加えて、近年には各企業が自ら容易に高度な評価を行える鋼材品質評価装置及び評価法の開発と実用化に向けた事業が、着実に成果を上げております。

 第三は、産業競争力の源泉となる人財教育であり、当会の重要な事業の一角を占めております。例えば、当会で主催する「JGMAギヤカレッジ」は、各企業を将来担っていく技術者を対象とする歯車技術教育と歯車の加工実技・実習を含めた講座として継続し、修了者は500名を超えるまでになりました。更に、初心者対象の入門勉強会や修了者を対象とするフォローアップ研修等、より広く、より深い学びの場として提供しており、会員各社はもとより一般企業にも活用頂ける教育の取組みとして好評を頂いております。

 当会は80周年を一つの通過点と捉えて、「規格、技術、教育」の3つの柱を中心に、歯車産業ひいては日本の機械産業の発展を願い、創業の精神「技術水準の向上と経営の合理化の促進に業者は一致団結の努力を傾倒せねばならぬ」を思い起こして、皆様のお役に立てる工業会をめざし努めて参りたいと存じます。皆様方の温かいご協力をお願い申し上げます。

 今年が皆様にとって良い年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

「元気な業界として乗り越えていく」
日本金型工業会 会長 牧野俊清

 平成30年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。
 
 日本の金型業界はリーマンショックによる世界同時不況の影響により大打撃を受けましたが、2010年の底から自動車用を中心に少しずつですが回復を続けています。しかしながら、ショック前のピーク2007年と比較して64%から87%に戻したところで、さらなる回復を期待します。
 
 一昨年、米国の大統領にトランプ氏が選任され、保護主義等で世界経済に悪影響が無ないか懸念されました。また、昨年は、中国では習近平第2期指導部が発足し体制が強化され、韓国は文在寅大統領、フランスはマクロン大統領が就任しました。一方、北朝鮮は核実験・ミサイル発射を続け、世界・日本に脅威を与え続けています。その中で株式市場を見ると、昨年年初と12月初旬で比較して、ダウ平均は初めて24,000ドルの大台を突破し19,763→24,232ドル(123%)、日経平均19,114→22,819円(119%)、上海総合3,104→3,318元(107%)、韓国総合2,026→2,475ウォン(123%)といずれも活況を呈しています。

 昨年は、国内車両生産台数が回復したこともあり、我々の需要業界である素形材産業の景況が、前年比102%~110%といずれも好調でした。また、中国の日本からの工作機械輸入は2015年3月301億円でしたが、中国経済の悪化で2016年3月136億円となりました。2017年3月は367億円となっています。中国経済が好転していると思われます。株価は景気の先行指標とも言われており、本年は日本経済が良くなる期待が大であります。

 平成30年の干支は「戊戌(つちのえいぬ)」で、60年に一度巡ってきます。昨年の「酉」は、果実が極限まで熟した状態とのことで、「戌」は収穫するという意味もあるそうです。
良いこと、悪いことがあるが、草木が再生するために地に還るように、不要なものは切り捨てることで新たなチャンスが得られ、何を取って何を捨てるかを明確に定めるのが大事だと干支の解説にはありました。

 昨年は、金型工業会にとって記念すべき年でした。11月に創立60周年記念式典を行い、「金型マスター認定制度」をスタートさせました。また、一時的に脱会していたISTMA(国際金型協会)に復帰いたしました。6代目会長に南アフリカ、副会長にポルトガル、ブラジルが選出されるように新市場BRICSへの関心が深くなっています。海外展開、周辺分野への事業展開にご活用いただけたら幸いです。

 グローバルでは、製造業に関する技術戦略の競合があり、日本では、人、モノ、技術、組織等が様々につながることにより新たな価値創出を図る「Connected Industries」が提唱されていますが、ドイツの「インダストリー4.0」、中国の「メイド・イン・チャイナ2025」、米国の「先進製造業戦略(AMI)」等も出ています。いずれも、「 IoT( Internet of Things)」、「AI(人工知能)」をキーワードとしています。環境対応車両、自動運転、次世代材料等技術的課題は大きいですが、金型技術は大きな役割を果たします。

 2014年に「新金型産業ビジョン」を作成いたしましたが、営業力(提案力)、海外展開、周辺分野への事業展開、人材確保・人材育成、技術研究開発、連携・提携(Connected)のキーワードの重要性はさらに高まっています。また、新興国の成長を見ると設備力も重要なファクターで、補助金の有効活用等の検討が必要です。

 日本金型工業会は、現在、会報・ホームページのリニューアル等、サービスの拡充を進めており、全国からのご入会が増え、金型業界がより活性化することを期待しております。経済産業省では中小企業のため取引条件改善に注力していただいておりますが、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素形材産業室を始めとした監督官庁、学会の大きな応援により、この難局を、「元気な業界」として乗り越えていきたく思う所存でございます。皆様のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。

「業界全体で情報を共有しながら業務効率の向上と各会社の発展を」
全日本機械工具商連合会 会長 坂井俊司

 明けましておめでとうございます。
 皆様におかれましては、健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
 
 昨年は、政治的には海外においても国内においても大きな体制の変化もなく、また経済においては世界的に景気が堅調に推移しており、国内景気もかなり上向いてきた一年ではなかったでしょうか。全業種、全企業がリーマンショック以前の状況に戻ったとは言えませんが、これから東京オリンピックに向けてさらに好景気が続いてくれるものと期待しています。
 
 さて、昨年11月18日に東京において『全機工連若手交流会 in TOKYO』が開催されました。その中では「働き方改革について」をテーマに掲げ、これからの会社経営のあるべき姿、経営者の意識向上等が議論されました。日本の製造業の生産性は先進諸国と比較して1人当たりでも時間当たりでも低いというデータがあります。我々機械工具商の業界でも恐らく同様な結果だと想定できます。また就労者人口も就業時間も減少する中、益々一人あたりの労働負荷が増加しています。そうした中、我々はこれまで以上に知恵を絞り、努力していかなければなりません。お客様、メーカー様がグローバル化し、また作業の自動化を推進し、業務のAI化を進めている中、機械工具商の業界も様々な仕事のシステム化はもちろんのこと、これまで蓄積してきた業務や営業方法までもデーターベース化を進めていかなければなりません。そうした基本的なベースを底上げしたうえで、各会社においてこれまで培った営業のノウハウや経験・コツが活かされ、そして技術的な専門性の向上が業界で生き残れる手段と他社との差別化を図るポイントだと感じます。またそういった取り組みが、我が国の就労者人口が減少する中で有望な人材の確保とその貴重な人材の効率的な育成につながっていくものと確信しています。
 
 私も50歳代半ばであり、もう若手ではありませんので、「最近の若い人は・・・」なんていう言葉がたまに出たりしますが、私も若い時には上司から同じことを言われていたんだなと思います。当時の私と比較すると、今の若手の方の方がずっと一人あたりの仕事量も、また生産性も向上していると思います。当然そこには作業のOA化と業務の標準化があるのでしょうが、各個人の能力もUPしているように思います。若手交流会と言いながらも、御出席されていた私と同世代の方々も、きっと同じ感覚ではないでしょうか。今回の若手交流会をきっかけに逆に若手経営者の方からも教えてもらえる事がたくさんあると感じていただけたことはたいへんよかったのではないでしょうか。
 
 働き方改革の取組みは皆さんも手探りの状態かもしれません。まだまだ取り組めていない方もいらっしゃるかもしれません。業界全体で情報を共有しながら諸施策を行い、業務効率の向上と各会社の発展、業界全体のイメージアップにつながればと感じております。
 
 皆様のご協力をお願い申し上げます。

〈平成30年 年頭所感〉DMG森精機/オーエスジー/日立建機

「よく学び、よく働き、よく遊ぶ」
DMG森精機株式会社 取締役社長 森 雅彦

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は、世界中でのテロ事件勃発、北朝鮮のミサイル発射といった地政学的リスクの高まりや、米政権交代による国際政治の不安定化、国内大手企業の品質改ざん問題で、動揺・不安の多い一年となりました。一方で、日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を更新し、当社も好調な受注環境および為替差益により、統合後最高の売上高を見込んでおります。9月のドイツ・ハノーバーで開催されたEMO2017では、過去最高額の引き合い・受注を達成する事が出来ました。同9月、ドイツでカールツァイス社やデュル社などと提携して、ジョイントベンチャーADAMOS(ADAptive Manufacturing Open Solutions)社を設立いたしました。同社はオープンな産業用IoTプラットフォームサービスを提供する企業として、どのベンダーからも中立の立場で最新のIT技術と業界知識の融合を推進します。

 2016年8月にドミネーション・アグリーメントが発効され、完全一体経営の深化が始まりました。部品共通化、機種統合、CRM、サービス・パーツシステム、グローバル生産を最適化しました。伊賀工場で生産している自社内製主軸「マスターシリーズ」を今春より全対象機種に標準採用してまいります。さらに、グループ会社であるマグネスケール製「スマートスケール」の全機種標準搭載を、制御システム強化による加工時間短縮・省エネを実現する「グリーンモード」の標準装備を推進してまいります。

 EV化、AI化、高齢化といった市場変化に伴い、当社では製品の5軸化、複合化、自動化をさらに拡充してまいります。さらに、テクノロジーサイクル、周辺機器メーカーとの連携、IoTを駆使し、お客様のお悩みを一手に引き受けるトータルソリューションプロバイダを目指します。

 また、「よく学び、よく働き、よく遊ぶ」をモットーに、コアタイム制や在宅勤務のさらなる活用で、全従業員の有給休暇20日取得を徹底いたします。また、4月には社内託児所を開園、定年年齢も従来の60歳から65歳へと延長し、社員のワークライフバランスの充実を図ります。

 本年も、世界中のお客様に、優れた品質の製品を最善の納期とサービスでお届けすべく、尽力して参ります。引き続き変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

「スマートファクトリーで需要増加に対応」
オーエスジー株式会社 代表取締役社長兼CEO 石川則男

 2018年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年は北朝鮮ミサイル問題に振り回され、地政学リスクが大きくクローズアップされた一年でしたが、世界経済は中国経済の回復、好調な米国経済に引っ張られる形で日本及び他の地域の経済も好調に推移しました。10月にはIMFが世界経済の見通しを上方修正し、日本政府も日本経済はいざなぎ景気を超えたといった発表もされました。しかしながらそろそろ景気もピークに近づいており、何か一つのきっかけで一気に冷え込む懸念も捨てきれないと思います。

 そのような状況下、当社は創立80周年の年を迎えました。ここ数年間、販路拡大に努めたこともあり、新たなニーズを中心に受注は大きく伸びました。当社のビジネスモデルである多品種小ロット生産はユーザーニーズの広がりとともに増える一方であり、その反面、それに伴うコストアップに対する取り組みも大きな課題となっています。需要に応じ小口ラインと量産ラインを組み替えるフレキシブルな体制確立のためIOTを駆使したスマートファクトリーで対応したいと考えています。80周年の年を「成長元年」と位置付け、全社、全グループにスマートファクトリーを目指したスマートラインを拡大する一年にしたいと思います。

 最後になりますが、日本経済の益々の発展と皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。

「日立グループの総合力で大きな変化に対応していく」
日立建機株式会社 代表執行役 執行役社長兼取締役 平野耕太郎

 あけましておめでとうございます。新年を迎えるにあたり一言ご挨拶申し上げます。

 昨年は、地政学的にも経済的にも色々な問題が浮き彫りになった1 年でした。その様な中でも、建設機械市場の状況は全体に回復傾向に入り、堅調なインフラ投資や、新車買い替えニーズ等から、グローバルで需要増となり、またマイニング市場においても、資源価格の安定による新車需要の増加が一部地域でみられる等、全体的に回復傾向にありました。2018 年も引き続きこの様な状況が続くものと期待しております。

 この様な市場環境の下、お客様のニーズは、大きく、しかも速く変化しています。一つには「モノからコト」への変化です。質の高いサービスやレンタル、高品質の中古車需要、さらにIoT やICT の技術を活用し、安全・生産性の向上を図ると同時にライフサイクルコストを低減したいというご要望が高まっており、ハイブリットやEV へと環境重視の流れも世界的な潮流となっています。

 お客さまのメーカーに対するご要望は、高品質で高機能な製品の供給のみならず、一緒に課題を解決するソリューション提案へと大きく変わってきています。

 我々日立建機グループは、2017 年度を初年度とする新中期経営計画「CONNECTTOGETHER 2019」に取り組んでいます。こうしたお客さまのご要望の一歩先を見据えて、日立グループの総合力で大きな変化に対応していくと同時に、引き続き収益向上のための施策を進め、ステークホルダーの皆さまのご期待に応えていく所存です。

 最後になりましたが、新しい年2018 年が皆さまにとって平和で穏やか、そして明るい年
になることを祈念して、年初のご挨拶とさせていただきます。

オーエスジー、電通国際情報サービス、伊藤忠テクノソリューションズ 3社共催で切削加工技術セミナーを開催

 去る12月20日、オーエスジー、電通国際情報サービス、伊藤忠テクノソリューションズの3社共催で「Smart Toolを利用した加工の最適化」をテーマにした切削加工技術セミナーがオーエスジー本社(愛知県豊川市本野ヶ原)で開かれた。

 セミナーに先立ち、オーエスジー加工技術グループ 今泉悦史課長が、参加者にお礼の言葉を述べたあと「最近は工具の情報、工程等、様々なものがシステム化する流れとなっている。本日はその一部を紹介する。オーエスジーは15年以上、特に金型メーカーで培ったびびりについて切削条件に反映したノウハウを、有料化して市場に提供している。今回は工具の情報を操作性のよいCAMに反映させ、オペレーションの効率化や、最適化ソフトであるProduction Moduleを活用し、さらに加工能率アップをするといった流れを実際に加工実演を交えながら紹介する。技術商談会では技術スタッフにぜひいろいろ相談していただき、帰られた時には皆様のお仕事にお役に立っていればと思う。」とあいさつをした。

デモルームでの様子
デモルームでの様子
 加工技術に携わる方を対象にしたこのセミナーは、最新のITソリューションを用いた加工最適化方法について説明したもので、オーエスジーからは、最適工具・切削条件の選定方法に関する課題と解決方法の事例や切削条件算出ソフトKC-TOOLを用いた加工ノウハウ構築に関する話題を、電通国際情報サービスからはシーメンスNX最新情報としてNX CAM統合加工ソリューションiMachining for NXの特徴やメリットについて、伊藤忠テクノソリューションズからは切削加工シミュレーションProduction Moduleを活用したCAEによる加工条件検討事例を紹介した。

 

三井精機工業が「MTF2018」を本社、名古屋、大阪でそれぞれ開催 ~工作機械の目玉展示は5軸マシニングセンタ「Vertex」の新型!~

 三井精機工業(社長=奥田哲司氏)が、プライベートショー「MTF2018」を、1月23日(火)~24日(水)同社本社工場、1月30日(火)~31日(水)ポートメッセ名古屋2号館、2月6日(火)~31日(水)花博記念公園鶴見緑地「水の館」(ハナミズキホール)にて開催する。 工作機械の展示の目玉は、5軸立形マシニングセンタ 「Vertex」の新型。「Vertex」は55、75の2機種のシリーズで展開していたが、今回は新たに75の上のサイズを開発した。 同社の広報は、「航空機エンジンに使われる大型のブリスクの加工に対応する高精度でコンパクトな加工機を作ってほしいというユーザーからの要望に応えたものです。今回は参考出展で、発売時期等は未定ですが、皆様にご覧いただき、ご意見を賜りたいと思います。また、Vertex75Xは”II"から”III"にバージョンアップいたします。既に55Xは"III"になっていますが、55Xの改良点をそのまま75Xにも踏襲しました。」とコメントしている。 主なバージョンアップのポイントは「ベッド剛性の向上による3次元微小線分プログラムの加工面性状の改善、センサーの増設と補正アルゴリズムの改善による主軸熱変位補正機能の精度向上など」とのことだ。 一方のコンプレッサは、オイルフリー・インバータ・タイプの「i-14015AX-R」とオイル式インンバータ・タイプの「ZgaiardX(ジーガイヤX) 」、55と75が新製品。

特別セミナーに注目!

 今回のMTFはセミナーが充実している。工作機械、コンプレッサに関するセミナーも当然行うが、3会場共に「特別セミナー」を実施、貴重な講演内容となっている。●1月24日(水) 10:30~11:30 本社会場「夢への挑戦、そして数々の困難を乗り越えてつかんだ成功」~ホンダジェット用小型ジェットエンジン開発の軌跡~(株)本田技術研究所 森岡武 氏世界でも他に例がない自動車メーカーがつくったビジネスジェット機「HondaJet」。機体は自主開発、エンジンもGEと共同開発に成功するという快挙を成し遂げた。講演では、ホンダジェット用エンジン開発の黎明期から携わってきた森岡氏が、開発の苦労話、失敗談、楽しかったことなどを交えて成功に至る道のりを語る。ものづくりに携わるすべての方々に聞いていただきたい貴重な内容となっている。●1月31日(水) 10:30~11:30 名古屋会場「次世代に向けた新しい設備づくり ~3Dツールの活用と働き方改革~」トヨタ自動車(株)メカトロシステム部 部長 鈴木健文氏 世界的企業として名高いトヨタ自動車が考える、次世代を見据えた新たな設備づくりについて講演する。●2月7日(水) 10:30~11:30 大阪会場「タイトル未定(民間大型旅客機エンジンについて講演予定)」川崎重工業(株) ガスタービン・機械カンパニー ガスタービンビジネスセンター生産総括部 総括部長 三島悦朗氏【本社 川島会場】日時:2018年1月23日(火)10:30~16:00 / 24日(水)10:00~16:00場所:三井精機工業本社工場(埼玉県比企郡川島町八幡6-13)【名古屋会場】日時:2018年1月30日(火)10:30~16:30 / 31日(水)10:00~16:00場所:ポートメッセなごや 2号館(愛知県名古屋市港区金城ふ頭2-2)【大阪会場】日時:2018年2月6日(火)10:30~16:30 / 7日(水)10:00~16:00場所:花博記念公園鶴見緑地『水の館』 (ハナミズキホール:大阪府大阪市鶴見区緑地公園内)

第15回(平成29年度)新機械振興賞受賞者が決定

 機械振興協会(会長=釡 和明氏)がこのほど平成29年度の新機械振興賞の受賞者を決定した。 今年度は29件(大企業9件/中小企業7件/小規模事業者13件)の応募の中から、経済産業大臣賞1件、中小企業庁長官賞1件、機械振興協会会長賞6件、審査委員長特別賞2件が表彰される。 新機械振興賞は、従来の機械振興協会賞(昭和40年度創設)と中堅・中小企業新機械開発賞(昭和45年度創設)を統合し、平成15年度に発足したもので、今回は第1回の機械振興協会賞から数えて52回目にあたる。平成26年度より業界団体等からの推薦のほか、自薦での受付を開始し、また小規模事業者を対象とした審査委員長特別賞を新設した。 新機械振興賞の表彰対象は、独創性、革新性及び経済性に優れた機械工業技術に係る研究開発及びその成果の実用化により新製品の製造、製品の品質・性能の改善又は生産の合理化に顕著な業績をあげたと認められる企業等及び研究開発担当者である。 第15回新機械振興賞は、新機械振興賞審査委員会(委員長 吉川弘之 国立研究開発法人 科学技術振興機構 特別顧問)において厳正な審査の上、決定されました。 表彰式は平成30年2月7日(水)、機械振興会館ホール(地下2階)にて、午後3時から行われる。■経済産業大臣賞「レーザー円形操作溶接法を用いた車体骨格開発」トヨタ自動車(株)■中小企業庁長官賞「高精細ディスプレイ向け極微量・高精度・平坦化塗布装置の開発」AIメカテック(株)■機械振興協会会長賞「額縁レス表示が可能な押ボタンスイッチ」NKKスイッチズ(株)「ロボット位置決めによる高精度打ち抜きプレス加工装置の開発」(株)サンコー技研(小規模事業者)「スライス肉自動盛付スライサーの実用化」(株)日本キャリア工業「高感度と低ダメージを両立するレーザ照射式ウエハ検査装置」(株)日立製作所/(株)日立ハイテクノロジーズ「作業者負担を軽減した立ち植え式長いも植付機」(株)フクザワ・オーダー農機/三陽商事(株)(小規模事業者)「水素間接冷却による世界最大出力900MVA級タービン発電機の開発と製品化」三菱電機(株)■審査委員長特別賞「空気対流を利用した壁掛け式屋外AED収納ボックス」飯田電子設計(株)「超音波の応用技術によるバリ取り洗浄装置」(株)ブルー・スターR&D

タンガロイが「TungMeister」(タング・マイスター)にねじ切りヘッドを拡充

 タンガロイ(社長=木下 聡氏)は、高能率ヘッド交換式エンドミルシリーズTungMeister(タング・マイスター)にねじ切りヘッドを拡充し、このほど全国で販売を開始した。この製品は既に好評を博しているTungMeisterシリーズの既存シャンクが使用可能で、多様なねじ加工に対応可能なラインナップである。

 TungMeisterねじ切りヘッドは、マシニングセンタや複合加工機で工具を回転させながらヘリカル加工によりねじを加工する工具。従来使用されてきたタップに対して、加工負荷が低いだけでなく、切りくずトラブルを防ぐことができる。さらい刃付ヘッドは、1種類の工具で呼び径違いのねじを加工でき、またさらい刃無しヘッドは異なる呼び径と複数ピッチの加工を共有できるため、工具集約が可能。ヘッド交換式とすることで工具交換時間の短縮に伴う、機械停止時間の大幅な削減が可能となった。
 主な特長は以下の通り。

●多様なねじ種に対応可能
・さらい刃付仕様
 ISOメートルねじ加工用ヘッド (ピッチ:0.75~3.0mm)
 ユニファイねじ加工用ヘッド(山数: 8~24)
 ウィットねじ加工用ヘッド(山数: 11~19)
・さらい刃無し仕様
 60°普通刃仕様ヘッド (ピッチ:0.5~4.5mm)
 55°普通刃仕様ヘッド (山数:11~14)

●工具交換時間の短縮により、機械停止時間の大幅な削減が可能
●既存のTungMeister用のシャンクから加工形態に応じた最適なシャンクを選択可能
・鋼シャンク
・超硬シャンク
・油穴付きタングステンシャンク

■主な型番と標準価格(いずれも税抜価格)
●ヘッド
・VMT100L06IS07-4S05 AH725:32,500円
・VMT160L12IS30-3S08 AH725:51,700円
・VTR160L12IS05-3S06 GH130: 6,610円
 全アイテム:ヘッド25形番

豊田自動織機と日立建機がホイールローダOEM取引を開始

ジョブファイター
ジョブファイター
 豊田自動織機(社長=大西 朗氏)と日立建機(社長=平野耕太郎氏)は、日立建機製ホイールローダのOEM取引契約を締結し、2018年4月より全国40社のトヨタL&F取扱店を通じて順次販売を開始する。

 今回対象となるホイールローダは、運転質量2トンから15トン、バケット容量0.3m3から3.0m3までの小型・中型クラス計10機種となる。各クラス最新の排出ガス基準への適合、低騒音型建設機械指定機であることはもちろんのこと、万が一の転倒事故や落下物からオペレータを保護するためのROPS・FOPSキャビンを選択可能で、安全面に配慮した製品となっている。また、オペレータが広い視野を確保できるよう、ガラス接合部をピラーレス化したワイドパノラマキャビンを採用することで、操作性も向上している。

 豊田自動織機は、これまでも小型ホイールローダをトヨタL&F取扱店を通じて販売していたが、近年の国内ホイールローダ市場が、小型クラスに加えて、土木建設業や産業廃棄物処理業を中心とした中型クラスも増加傾向にあり、今まで以上に幅広い品揃えが求められている状況を踏まえて豊富なラインアップを有する日立建機からOEM供給を受け、小型・中型クラスのラインアップ拡充を図る。

 一方、日立建機グループは、中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」において、主力製品である油圧ショベルに続く製品として、ホイールローダ事業の強化に取り組んでいる。今回の物流関連の顧客を得意とする豊田自動織機へのOEM供給をはじめ、ホイールローダ事業の安定的かつ持続的な成長をめざしている。

 豊田自動織機と日立建機は、両社で共同開発したモータ一体型のハイブリッドエンジンを、日立建機のハイブリッド油圧ショベルZH200-6(2017年9月1日発売)に搭載し、現在好評販売中である。今回、ホイールローダでも協業し、互いの強みを持つ技術や製品・コンポーネントを相互に提供し合うことで、両社の更なる事業強化を図っていくとしている。