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【レポート】DMG森精機 工程集約で工作機械の価値を最大化 伊賀事業所でMX戦略を公開!
予兆保全サービス開始、NEDO事業も採択

デジタル・自動化ソリューションについて、Blumenstengel健太郎 執行役員兼テクニウム社長、高橋雅史 DMG MORI Digital コネクティビティー部 部長、桜井 努 WALK社長が説明した。
同社では、自動化設備やAI,デジタルサービスを融合したMXを軸に、製造現場全体の自動化ソリューションの拡充を加速しているが、その一環として、工作機械の保全や生産性向上を支援するデジタルサービス「CELOS Club」の新機能として、予兆保全サービス「Condition Agent」の提供を開始した。ERGOline X with CELOS X搭載機には標準搭載し、2026年4月受注分から適用している。
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近年、自動化や工程集約の進展に伴い、設備停止による影響が拡大するなか、同サービスは主軸や送り軸に加え、ツールチェンジャやパレットチェンジャなど幅広いコンポーネントを診断。専用NCプログラムで取得したデータをクラウド上でAI解析し、異常の兆候を検知する。診断結果はカスタマーポータル「my DMG MORI」で確認できる。
特別な測定機器は不要で、数分程度で診断が可能。設備状態の見える化や計画保全を支援し、保全業務の効率化や突発的なトラブルによるダウンタイムの削減につなげる。
また、対象機種であれば他社機を含む既設機にも専用キットで追加搭載でき、保有設備の予兆保全を一元管理できる。今後は2027年までにERGOline X with CELOS X搭載の全機種へ標準展開する予定だ。
また、この日、経済産業省NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(GENIAC事業)」において、同社を含む共同提案が採択されたと発表した。
同事業は、産業技術総合研究所(産総研)が推進する「製造AX(AIトランスフォーメーション)」と連携し、製造現場に分散する設備・品質データを統合し、AI開発と製造現場への活用を循環的に進めるデータ基盤の構築を目指すもの。
同社は、産総研、グループ会社のWALC、DMG MORI Digitalと連携し、高精度・高信頼加工を支える生産設備データエコシステムの構築と、製造フィジカルAIの基盤モデル開発に取り組む。
「航空・宇宙や医療、半導体分野では高精度・高信頼加工への要求が高まる一方、製造データは企業ごとに分散し、AI基盤の整備が課題となっている。海外では実運用データを研究開発や製品戦略に生かす動きが進んでおり、日本でも同様の基盤構築が求められている」と同社。
同事業では、同社の製造業プラットフォーム「CELOS Xchange」を活用し、約100社・約1,000台の生産設備から設備状態や加工工程、品質、周辺設備などのデータを収集。約100TB規模の実運用データを匿名化・構造化した上で、AI開発などに活用する。
さらに、設備異常検知に加え、品質予測や加工条件の最適化などに対応するAI基盤を構築。市場投入後の設備から継続的にデータを収集・学習・還元する仕組みを確立し、生産設備データエコシステムの実現を目指す。
社会実装は段階的に進める計画で、まず設備・加工の異常検知AIやAIチャットボットを開発・実装。その後、品質予測や消費電力予測への展開を図るほか、AMR(自律走行搬送ロボット)や計測機を含む生産セル全体へのフィジカルAIの適用も検証し、製造現場全体の最適化につなげる。
加工3悪対策やサステナビリティの取り組みも説明
また、切りくず、クーラント、ミストを加工品質や設備稼働率、作業環境に悪影響を及ぼす「加工三悪」と位置付ける同社は、自動化・高効率化が進む製造現場に向け、加工中の切りくずを自動除去する「AI Chip removal」や、スラッジや混入油を効率的に分離・回収する「zero-sludgeCOOLANT Pro」、工作機械と一体化した「ビルトインミストコレクタ」などを紹介した。
さらに、健康管理増進センターの車谷典男センター長が健康経営やワークライフバランスの取り組みを、賀御代新堂地区プロジェクト室の西山満室長が地域との共生に向けた活動を説明。記者見学会では、工作機械の高性能化にとどまらず、自動化、デジタル化、環境対応、さらには地域社会との共生まで見据えた同社の取り組みが披露され、ものづくりの未来を支える総合ソリューション企業としての姿勢を強く印象付けた。
(取材・文=那須直美)
日本機械工具工業会が超硬工具スクラップのリサイクル指針を改定 タングステンの国内循環強化へ

日本機械工具工業会(会長=佐橋稔之・住友電気工業常務)はこのほど、超硬工具の主原料であるタングステンの安定供給と経済安全保障への対応を目的に、「超硬工具スクラップのリサイクル促進に向けた選別・保管・処分に関するガイドライン」を改定・公表した。超硬工具スクラップの適切な回収と国内循環を促進し、資源の海外流出防止につなげる。
タングステンは切削工具や金型などに使用される超硬合金の主要原料であり、近年は中国による輸出管理強化などを背景に、安定供給の確保が世界的な課題となっている。一方、国内で発生する超硬工具スクラップのリサイクル率は約3割にとどまっており、同工業会ではガイドラインの活用を通じて資源循環のさらなる推進を目指す。
今回の改定は、重要鉱物資源を取り巻く供給環境の変化を踏まえたもので、製造工程などで発生する超硬工具スクラップを適切に回収・再資源化し、国内で有効活用することの重要性が高まるなか、既存ガイドラインの内容を見直した。
ガイドラインでは、超硬工具ユーザーを対象に、スクラップの選別・保管・引き渡しに関する基本的な考え方や推奨事項を整理。各事業者の自主的かつ合理的な判断を前提としながら、リサイクルの円滑な実施と国内還流の促進に役立てることを目的としている。
また、超硬工具スクラップの回収窓口となる事業者のうち、国内製造基盤への還流・活用に資する方針を表明している事業者をまとめた「リサイクル窓口事業者リスト」も新たに整備した。同リストは回収業者選定時の参考資料として提供するもので、掲載の有無によって取引の適否を判断したり、他の事業者との取引を制限したりするものではないとしている。
同工業会では、「ガイドラインは、自動車、航空機、鉄道車両、家電など幅広い分野で超硬工具を使用する事業者を対象としており、リサイクル実務への理解促進と取り組みの拡大につながることを期待している」としている。
▼事業者リストはこちら▼
https://www.jta-tool.jp/pdf/recycle_gl_list_2026.pdf
BIG DAISHOWAが欧州攻略を加速 ドイツに旗艦拠点新設、2030年売上高1.5倍へ

BIG DAISHOWA(社長=仲谷開人氏)は、このほど欧州事業のさらなる拡大に向け、物流・販売の旗艦拠点となる新会社「BIG DAISHOWA Europe」をドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州に設立し、本年7月から営業を開始した。欧州全域の統括機能をスイスから移管し、物流と販売体制を大幅に強化することで、2030年までに欧州売上高を現在の1.5倍へ引き上げる計画だ。
欧州では、航空宇宙や防衛、医療機器、半導体製造装置、精密機械など高付加価値産業への投資が活発化しており、高精度加工を支えるツーリングへの需要も堅調に推移している。同社はこうした市場の成長を見据え、欧州事業を一段と加速させるため、物流・販売体制の抜本的な強化に踏み切った。
これまで同社では、欧州地域全体の物流・販売はスイスの現地法人が統括していたが、今後は新会社がその役割を担う。EU域内に統括機能を置くことで物流の効率化を図るとともに、迅速な製品供給とサポート体制を実現し、顧客対応力を一層高める狙いだ。
新会社には約25億円を投じ、事務所と倉庫を備えた新社屋を建設した。敷地面積は約6,000平方メートル、延べ床面積は約5,000平方メートル。製品ショールームも併設し、顧客への提案力を強化する。
物流面では、倉庫の保管能力を大幅に拡充。在庫は金額ベースで従来の約5倍まで保有できるようになり、これまで欧州では必要最小限に抑えていた在庫に加え、保管スペースの制約から断念していた型式の製品など取り扱いを見送っていた製品も常時在庫できる体制を整えた。これにより、多様化する顧客ニーズへ迅速かつ柔軟に対応できるようになる。
また、これまでドイツ国内の物流・販売を担っていた同州内の現地法人は、移転・統合する形で営業を開始した。一方、スイスの現地法人は今後、スイス国内の物流・販売を担当する。
欧州全体の統括機能をスイスからドイツに移すことで、EU圏内の物流がスムーズになるなどのメリットを踏まえ、同社では、ドイツ、イタリア、フランス、スイスをはじめ欧州全域の現地企業や日系進出企業への提案活動を強化する方針だ。世界有数の製造業集積地である欧州で供給力とサービス体制を高める今回の投資は、同社のグローバル戦略を加速させる重要な一手として期待される。
【動画】不二越、富山女子×NACHIの“ガチ検証”動画を公開! ~失敗しない最強ドリル完全攻略シリーズでDIYユーザーへ工具の魅力を発信~

不二越はこのほど、DIYユーザーに向けた動画シリーズ「富山女子×NACHIのガチ検証!失敗しない最強ドリル完全攻略シリーズ」を公開した。ドリル選びや穴あけ作業に不安を感じる初心者にも分かりやすく、実際の検証を通じて工具の性能や正しい使い方を紹介する内容となっている。
DIY人気の高まりに伴い、家具製作やリフォームに挑戦するユーザーが増えている一方、「どのドリルを選べばよいのか分からない」「きれいに穴をあけられない」といった悩みも少なくない。今回のシリーズでは、そうした疑問に応えるため、NACHIブランドのドリルを実際に使用しながら、加工性能や使い勝手を検証している。
タイトルにもある「ガチ検証」では、富山女子がユーザー目線でドリルの違いや加工時のポイントを体験。単なる製品紹介ではなく、初心者にも理解しやすい形で工具のポイントを見せてくれる。
同社は、長年培ってきた切削工具技術を背景に、産業分野だけでなく、幅広いユーザーに向けて工具の価値や正しい使用方法の発信にも力を入れている。今回の動画シリーズは、専門的な工具技術を身近な視点から伝えることで、DIYを楽しむユーザーの工具への理解を深める狙いがある。
「失敗しない最強ドリル完全攻略シリーズ」は、ドリルの選び方から使い方までを楽しく学べるコンテンツとして、DIY初心者から工具に関心を持つユーザーまで幅広い層への情報発信を目指している。
▼動画はコチラ▼
▼シリーズ再生リストはこちら▼
https://www.youtube.com/playlist?list=PL8qAVx3hWtQaBA3pJwwSrr7wN0YNrr5qx
三菱マテリアル、1GPa級超高強度銅合金を開発 AI時代の電子部品を支える「MSP®5-SSH」
三菱マテリアルはこのほど、電子機器の小型化・高性能化ニーズに対応する超高強度銅合金「MSP®5-SSH(Super Spring Hard)」を開発した。従来の「MSP®5」シリーズが持つ高い導電率を維持しながら、1GPa(1,000MPa)級の超高強度を実現したのが最大の特長。AIサーバーやデータセンター、ロボティクス、車載機器などで需要が高まる電子部品のさらなる小型化と大電流化を支える材料として期待される。
近年、AIの普及に伴うデータセンター投資の拡大や、自動車の電動化・高度化、産業用ロボットの高性能化を背景に、電子部品には高い導電率を維持しながら、より高い強度を備えた材料が求められている。端子やコネクタには、小型化とともに大電流への対応が求められる一方、発熱抑制や電力損失の低減も重要な課題となっている。
こうした市場ニーズを踏まえ、同社は「MSP®5」シリーズの性能をさらに高めた「MSP®5-SSH」を開発した。導電率43%IACSを維持しながら1GPa級の引張強さを実現し、電子部品のさらなる小型化と高性能化を後押しする。
同社は2021年に、マグネシウムを添加元素とする固溶強化型銅合金「MSP®5」の量産を開始した。同材料は、強度、導電率、成形性を高いレベルで両立する材料として市場で採用が進み、さらに2025年には高強度タイプ「MSP®5-ESH(Extra Spring Hard)」を投入し、高強度用途への適用領域を拡大してきた。
〈技術的特長〉
(1) 1GPa級の超高強度と高導電率を両立
「MSP®5-SSH」は、1GPa級の引張強さと導電率43%IACSを両立している。従来のMSP®5シリーズが持つ高い導電率を維持したまま強度を向上させることで、電子部品の小型化や大電流化を可能にする。また、ベリリウム銅やチタン銅が使用されてきた高強度用途において、端子・コネクタの発熱低減や電力損失の抑制にも貢献する。
(2) 超高強度化しても優れた成形性を実現
「MSP®5-SSH」は、1GPa級の超高強度を実現しながら、MSP®5シリーズの特長である優れた成形性を維持している。高強度材料は一般的に加工時の割れが懸念されるが、端子成形で求められる箱曲げ加工においても最小曲げ半径R=0の加工に対応可能。また、プレス打抜き加工においても高い寸法精度を実現し、バリの発生を抑制する。これにより、複雑形状部品の安定した量産を可能にする。
(3)シンプルな製造プロセスで環境負荷を低減
「MSP®5-SSH」は、1GPa級の超高強度を実現しながら、MSP®5シリーズの特長である優れた製造性を維持している。固溶強化型銅合金であるため、ベリリウム銅やチタン銅などの析出強化型(析出強化型=固溶後、母相〈溶媒原子〉の中で別の原子〈溶質原子〉を析出させることにより、材料を強化する手法)材料で必要となる複雑な熱処理を必要としない。これにより、製造プロセスの簡素化が可能となり、エネルギー使用量やCO₂排出量の低減に貢献する。
同製品は、三菱マテリアルグループが中期経営戦略で掲げる「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」の取り組みの一環として開発された。同社は「量から質への転換」を進め、高付加価値製品へのシフトを加速しており、「MSP®5-SSH」についても、成長が続く車載、産業機器、AIサーバー関連市場を中心に展開を進める方針だ。
オーエスジーが面取り用超硬Qボールエンドミル「HY-QCC」にサイズラインナップを追加

オーエスジーがハイプロ面取り工具シリーズの面取り用超硬Qボールエンドミル「HY-QCC」にサイズラインナップを追加した。「HY-QCC」は、ボール部282°の刃付けで、自由自在にさまざまな形状のバリ取りが可能となる。
裏バリや側面のバリ取りにも有効で、パイプ材のクロス穴面取りも可能。今回12サイズを追加し、合計19アイテムになった。

■追加サイズラインナップ
R0.4(全長50、60)、R0.65(全長60)、R0.9(全長50、60)、R1.4(全長50)、R1.9(全長50)、R2.4(全長60)、 R2.9(全長60)、R3.9(全長70)、R4.9(全長70、120)の計12アイテム。
芝浦機械 SHIBAURA MACHINE EUROPE S.R.L.合弁会社化の検討開始 ~南欧市場における射出成形機事業の収益基盤の強化へ~
芝浦機械(社長=坂元繁友氏)は、本年7月2日付けで南欧市場における射出成形機事業の収益基盤の強化に向け、スマートファクトリー向けの自動化ライン構築支援などを手掛けるイタリアのE.P.F. Elettrotecnica S.r.l.(以下「EPF」)との間で、EPFが営む射出成形機事業の同社の完全子会社であるSHIBAURA MACHINE EUROPE S.R.L.(以下「SME」)への統合及びSMEの合弁会社化の検討を開始することを決定し、同日付で覚書(Memorandum of Understanding、以下「本MOU」)を締結したと発表した。 同社グループは、2026年度を最終年度とする中期経営計画「中計2026」に基づき、事業ポートフォリオの変革を中心とした各種施策を遂行しており、その施策の1つとして欧州市場開拓の取り組みを強化している。これまでイタリアを含む南欧市場における射出成形機事業は、SMEと、その販売代理店を務めるEPFを通じ拡販をしていたが、近年、顧客からの自動化・省力化のニーズが高まっており、機械装置の単体売りではなく、前後工程を含めた製造ライン全体を販売するシステムエンジニアリングの強化が求められている。このような市場ニーズを受け、現在EPFが担っている射出成形機の販売・サービス機能はSMEが担当し、EPFが自動化ラインの構築支援にリソースを特化するという体制を築くことで、両社の役割分担を明確化し、それぞれの強みを活かした事業展開が可能になると考え、検討に至った。 基本合意書では、EPFがその射出成形機事業をSMEに移管するとともに、EPFがSMEに資本参加することを通じ、SMEを、同社とEPFの双方を株主とする合弁会社とすることを企図している。現時点では、SMEは、当社が60%程度の持分を保有する、イタリアを拠点とする射出成形機の販売・サービス会社となる予定。EPFはSMEの40%程度の持分を保有することで、引き続き当社と密接に連携しながら、EPFが提供する自動化ラインの構築支援と射出成形機を組み合わせた提案を行うことにより、共同での顧客開拓を進める予定。 なお、今後は、基本合意書に基づき、EPFとの協議を進め、2026年後半に最終契約を締結する予定。■E.P.F. Elettrotecnica S.r.l.の概要【名 称】E.P.F. Elettrotecnica S.r.l.【所在地】Via Langhe, 24 - 12061 Carrù (CN) Italy【代表者の役職・氏名】Franco Filippi (CEO & Chairman)【事業内容】射出成形機向けターンキー・ソリューションを始めとする工場の自動化ライン構築支援や、関連機器の販売・サービス【資本金】78,520 ユーロ【設立年月日】1961年9月1日■日程【覚書締結日】2026年7月2日【最終契約締結日】2026年後半(予定)【取引実行日】2026年末(予定)
DMG森精機 CELOS Clubに「Condition Agent」を搭載 ~工作機械の予兆保全を標準機能へ~
工作機械単体の性能向上にとどまらず、自動化やソフトウェア、サービスを融合し、顧客の製造プロセス全体を最適化するMX(マシニング・トランスフォーメーション)を推進するDMG森精機。このほど同社は、その中核となるデジタルサービス「CELOS Club」の機能を拡充し、新たな予兆保全サービス「Condition Agent」の提供を開始した。ヒューマンマシンインタフェース「ERGOline X with CELOS X」搭載機では標準機能として採用し、2026年4月受注分から適用している。
近年、工程集約や自動化の進展に伴い、設備停止が生産へ与える影響はこれまで以上に大きくなっている。一方で、保全業務の属人化や機械の高度化に伴う保全人材不足も製造現場の大きな課題となっており、突発的な設備トラブルを未然に防ぐ予兆保全の重要性が急速に高まっている。
こうした課題を背景に、同社は従来提供してきた予兆保全サービス「WALC CARE」をさらに進化させ、診断対象や分析機能を大幅に強化した「Condition Agent」を開発した。工作機械の状態を可視化するとともに、熟練者の勘や経験に依存しない高精度な設備診断を実現し、計画保全の高度化を支援する。
「Condition Agent」は、主軸や送り軸に加え、ツールチェンジャやパレットチェンジャなど幅広いコンポーネントを診断対象とする。専用NCプログラムを実行して取得したデータをクラウド上で分析し、経年変化や異常の兆候を高精度に把握する。
分析には、同社が長年にわたり工作機械の設計・製造を通じて蓄積してきたデータとAI技術を活用。異常の兆候を自動で検知し、高い信頼性を備えた診断を可能にしている。診断結果はカスタマーポータル「my DMG MORI」で確認でき、工作機械本体はもちろん、コンポーネント単位の状態も一覧で把握できるため、設備管理の効率化にもつながる。
さらに、特別な測定機器を必要とせず、現場で数分程度の簡単な操作で診断できる点も大きな特長だ。設備状態を日常的に把握できるため、保全業務の属人化を抑えながら、診断データに基づく計画保全を実現。突発的な故障によるダウンタイムの削減と、生産性向上に貢献する。
また、「Condition Agent」はDMG森精機製だけでなく、対象機種であれば他社製の既設機にも専用キットで後付けが可能。工場内の保有設備を横断的に予兆保全の対象とできるため、生産現場の監督者やオペレーターのメンテナンス負荷軽減にも寄与する。
DMG森精機では、設計寿命の長期化やキーコンポーネントの保証期間延長にも取り組んでいる。今回の「Condition Agent」の投入は、単なる保全サービスの拡充にとどまらず、MXの考え方に基づき、工作機械のライフサイクル全体を通じた安定稼働と生産性向上を実現する。
■動画はこちら↓(カタログはWeb会員限定で公開。無料の会員登録を行うと限定コンテンツが見られる)
https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=8406
主な特長
①工作機械の状態を定量的に把握し、計画的な設備保全を実現
・送り軸・主軸・ツールチェンジャ・パレットチェンジャなど幅広いコンポーネントを診断
・診断結果は分かりやすいWebアプリケーション画面で確認可能
・異常兆候検知時に通知し、迅速な対応を支援
②ERGOline X with CELOS X搭載の製品に標準搭載(2027年までに全機種展開予定)
③他社機を含む既設機にも追加搭載で導入可能
コマツ シンガポール国家級インフラ「チャンギ空港ターミナル5」でスマートコンストラクション®導入
コマツ(社長=今吉琢也氏)は、シンガポールの国家的大規模インフラ整備である「チャンギ空港ターミナル5建設プロジェクト」において、同社の施工管理デジタルソリューション「スマートコンストラクション®」の導入を開始した。シンガポールにおける同ソリューションの本格導入は今回が初となる。
チャンギ空港ターミナル5は、シンガポールの国家航空戦略を支える重要インフラプロジェクトとして位置づけられている。2025年5月に着工し、2030年代半ばの完成を予定しており、次世代の国際ハブ空港として同国の経済成長と国際競争力を支える中核施設となることが期待されている。
今回のプロジェクトでは、コマツの「3D Machine Guidance」「3D Machine Guidance Flex」「SC Dashboard」などの先進的なスマートコンストラクションソリューションを導入する。これらの技術により、建設機械による施工量をリアルタイムで把握するとともに、機械間でのデータ連携や施工情報の一元管理を実現。現場全体の施工効率向上と、データに基づく迅速な意思決定を支援する。
チャンギ空港ターミナル5は、総開発面積約1,080ha(10.8平方キロメートル)に及ぶ世界最大級の空港開発プロジェクトの一つで、ターミナル1~4を合わせた規模を上回るメガターミナルとして計画されている。年間5,000万人の旅客受け入れ能力を備え、将来的には7,000万人規模まで拡張可能となる予定だ。
近年、シンガポールでは建設業界におけるデジタル技術の活用が急速に進んでいる。コマツはこれまで、シンガポール政府や主要建設会社に対してICT施工技術やデジタルソリューションを提案し、建設現場の高度化を推進してきた。
こうした取り組みの実績を背景に、今回のターミナル5建設プロジェクトでは、スマートコンストラクションソリューションの開発・提供を担う子会社EARTHBRAINと連携し、同ソリューションを展開する。すでに同プロジェクト向けに多数の建設機械を納入しており、その一部工区でスマートコンストラクションソリューションの活用を進めている。
工作機械受注2兆円時代へ! 日本工作機械工業会が総会を開く
日本工作機械工業会(会長=坂元繁友 芝浦機械社長)が、6月5日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で第17 回定時総会を開いた。総会終了後、あいさつに立った坂元会長は、今年度の見通を1兆7000億円から2兆円に大幅上方修正を発表し、予想を上回る見通しが示されると、会場からは驚きと期待が入り交じった空気が広がった。
坂元会長は、工作機械産業を取り巻く環境について、「中東情勢をはじめとする地政学リスクの顕在化や国際社会の分断、通商環境の複雑化、世界的なインフレなどにより、政治・経済・社会の各側面で不安定な状況が続いている。」との認識を示した。
また、米国の関税政策に関して、通商拡大法232条による鉄鋼・アルミニウムへの追加関税や、通商法301条調査への対応について触れ、「日本の工作機械産業としての意見や、米国製造業への貢献度、必要性についてパブリックコメントにてそれぞれ回答した。」と説明した。また、中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡封鎖の影響についても言及し、「石油由来製品の供給に不透明感があるなか、政府当局とも状況を共有し、生産体制の維持に努めていく。」と述べた。
一方で、好調に推移している工作機械受注について、「本年4月までの累計受注額は6748億円となり、高水準を維持している。その背景は、データセンタ、ロボット、航空・宇宙分野などの成長産業向け投資が牽引している。」と述べた。また、国内市場では、「自動車産業におけるICE(内燃機関)関連投資が顕在化しつつあるほか、省エネ補助金や特定生産性向上設備等投資促進税制などの後押しを受け、老朽設備の更新需要が本格化する。」との見方を示した。
さらに、「世界の製造業では、生産工程の省人化やAI活用によるDXを核としたイノベーションが加速している。人材不足や人件費高騰、熟練技能者の減少といった課題への対応を目的とした設備投資が拡大している。日本の工作機械産業は今後も高付加価値な製品・技術を開発し、世界のユーザーへ提供していく。」と強調。輸出管理や経済安全保障への対応、人材育成の重要性についても言及した。
今後の取り組みとしては、「工作機械産業ビジョン2030」に基づき、デジタル・グリーン・レジリエンスを柱とした活動を推進し、国際競争力の強化を図る考えを示した。また、10月26日から31日まで開催する「JIMTOF2026」では、世界最先端の工作機械技術や製品を披露するほか、国際技術者会議や学生向けセミナーなども実施するとした。
その後、坂元会長は2026年の工作機械受注見通しについて、「年初時点では1兆7000億円としていたが、4月までの受注実績や5月の動向、市場調査委員会の分析結果などを踏まえ、上方修正したい。」と述べ、受注見通しを2兆円へ引き上げると発表した。
積極的な挑戦に期待
続いて来賓を代表し、経済産業省の伊吹英明製造産業局長があいさつした。伊吹製造産業局長は、製造業を取り巻く環境について、「米中対立や各国の輸出管理強化などにより、依然として厳しい状況が続いている」との認識を示した一方で、今後も深刻化が見込まれる人手不足への対応を重要課題に挙げ、「省人化は大きなテーマだ。デジタル技術やAIをいかに製品やサービスへ取り込んでいくかが極めて重要になる。」と強調した。
また、脱炭素化についても、「一時的に関心が後退しているように見えるかもしれないが、政府としては引き続き重要な政策課題と位置付けている。」と説明。「現在検討が進められている産業政策においても、エネルギーとDXは重要テーマとして掲げられている。政策面からも引き続き支援を強化していきたい。」と述べた。
さらに、今年開催されるJIMTOF2026に触れ、「日本の工作機械業界が持つ高い技術力やサービス力を世界へ発信する絶好の機会だ。」と期待を寄せた。そのうえで、「ロボットとの連携や自動化技術など、日本のモノづくりが持つ強みを積極的にアピールし、新たなビジネス機会の創出につなげてほしい。」と呼びかけた。
一方、中東情勢の緊迫化への対応については、「エネルギーやナフサ由来の石油化学製品について、全体として供給量は確保されている。」と説明。そのうえで、「一部では供給の偏りや物流の目詰まりも見られるため、原因をしっかりと把握し、安定供給の確保に万全を期していく。」と述べ、世界市場を見据えた積極的な挑戦に期待を寄せた。
