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芝浦機械 SHIBAURA MACHINE EUROPE S.R.L.合弁会社化の検討開始 ~南欧市場における射出成形機事業の収益基盤の強化へ~
芝浦機械(社長=坂元繁友氏)は、本年7月2日付けで南欧市場における射出成形機事業の収益基盤の強化に向け、スマートファクトリー向けの自動化ライン構築支援などを手掛けるイタリアのE.P.F. Elettrotecnica S.r.l.(以下「EPF」)との間で、EPFが営む射出成形機事業の同社の完全子会社であるSHIBAURA MACHINE EUROPE S.R.L.(以下「SME」)への統合及びSMEの合弁会社化の検討を開始することを決定し、同日付で覚書(Memorandum of Understanding、以下「本MOU」)を締結したと発表した。 同社グループは、2026年度を最終年度とする中期経営計画「中計2026」に基づき、事業ポートフォリオの変革を中心とした各種施策を遂行しており、その施策の1つとして欧州市場開拓の取り組みを強化している。これまでイタリアを含む南欧市場における射出成形機事業は、SMEと、その販売代理店を務めるEPFを通じ拡販をしていたが、近年、顧客からの自動化・省力化のニーズが高まっており、機械装置の単体売りではなく、前後工程を含めた製造ライン全体を販売するシステムエンジニアリングの強化が求められている。このような市場ニーズを受け、現在EPFが担っている射出成形機の販売・サービス機能はSMEが担当し、EPFが自動化ラインの構築支援にリソースを特化するという体制を築くことで、両社の役割分担を明確化し、それぞれの強みを活かした事業展開が可能になると考え、検討に至った。 基本合意書では、EPFがその射出成形機事業をSMEに移管するとともに、EPFがSMEに資本参加することを通じ、SMEを、同社とEPFの双方を株主とする合弁会社とすることを企図している。現時点では、SMEは、当社が60%程度の持分を保有する、イタリアを拠点とする射出成形機の販売・サービス会社となる予定。EPFはSMEの40%程度の持分を保有することで、引き続き当社と密接に連携しながら、EPFが提供する自動化ラインの構築支援と射出成形機を組み合わせた提案を行うことにより、共同での顧客開拓を進める予定。 なお、今後は、基本合意書に基づき、EPFとの協議を進め、2026年後半に最終契約を締結する予定。■E.P.F. Elettrotecnica S.r.l.の概要【名 称】E.P.F. Elettrotecnica S.r.l.【所在地】Via Langhe, 24 - 12061 Carrù (CN) Italy【代表者の役職・氏名】Franco Filippi (CEO & Chairman)【事業内容】射出成形機向けターンキー・ソリューションを始めとする工場の自動化ライン構築支援や、関連機器の販売・サービス【資本金】78,520 ユーロ【設立年月日】1961年9月1日■日程【覚書締結日】2026年7月2日【最終契約締結日】2026年後半(予定)【取引実行日】2026年末(予定)
DMG森精機 CELOS Clubに「Condition Agent」を搭載 ~工作機械の予兆保全を標準機能へ~
工作機械単体の性能向上にとどまらず、自動化やソフトウェア、サービスを融合し、顧客の製造プロセス全体を最適化するMX(マシニング・トランスフォーメーション)を推進するDMG森精機。このほど同社は、その中核となるデジタルサービス「CELOS Club」の機能を拡充し、新たな予兆保全サービス「Condition Agent」の提供を開始した。ヒューマンマシンインタフェース「ERGOline X with CELOS X」搭載機では標準機能として採用し、2026年4月受注分から適用している。
近年、工程集約や自動化の進展に伴い、設備停止が生産へ与える影響はこれまで以上に大きくなっている。一方で、保全業務の属人化や機械の高度化に伴う保全人材不足も製造現場の大きな課題となっており、突発的な設備トラブルを未然に防ぐ予兆保全の重要性が急速に高まっている。
こうした課題を背景に、同社は従来提供してきた予兆保全サービス「WALC CARE」をさらに進化させ、診断対象や分析機能を大幅に強化した「Condition Agent」を開発した。工作機械の状態を可視化するとともに、熟練者の勘や経験に依存しない高精度な設備診断を実現し、計画保全の高度化を支援する。
「Condition Agent」は、主軸や送り軸に加え、ツールチェンジャやパレットチェンジャなど幅広いコンポーネントを診断対象とする。専用NCプログラムを実行して取得したデータをクラウド上で分析し、経年変化や異常の兆候を高精度に把握する。
分析には、同社が長年にわたり工作機械の設計・製造を通じて蓄積してきたデータとAI技術を活用。異常の兆候を自動で検知し、高い信頼性を備えた診断を可能にしている。診断結果はカスタマーポータル「my DMG MORI」で確認でき、工作機械本体はもちろん、コンポーネント単位の状態も一覧で把握できるため、設備管理の効率化にもつながる。
さらに、特別な測定機器を必要とせず、現場で数分程度の簡単な操作で診断できる点も大きな特長だ。設備状態を日常的に把握できるため、保全業務の属人化を抑えながら、診断データに基づく計画保全を実現。突発的な故障によるダウンタイムの削減と、生産性向上に貢献する。
また、「Condition Agent」はDMG森精機製だけでなく、対象機種であれば他社製の既設機にも専用キットで後付けが可能。工場内の保有設備を横断的に予兆保全の対象とできるため、生産現場の監督者やオペレーターのメンテナンス負荷軽減にも寄与する。
DMG森精機では、設計寿命の長期化やキーコンポーネントの保証期間延長にも取り組んでいる。今回の「Condition Agent」の投入は、単なる保全サービスの拡充にとどまらず、MXの考え方に基づき、工作機械のライフサイクル全体を通じた安定稼働と生産性向上を実現する。
■動画はこちら↓(カタログはWeb会員限定で公開。無料の会員登録を行うと限定コンテンツが見られる)
https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=8406
主な特長
①工作機械の状態を定量的に把握し、計画的な設備保全を実現
・送り軸・主軸・ツールチェンジャ・パレットチェンジャなど幅広いコンポーネントを診断
・診断結果は分かりやすいWebアプリケーション画面で確認可能
・異常兆候検知時に通知し、迅速な対応を支援
②ERGOline X with CELOS X搭載の製品に標準搭載(2027年までに全機種展開予定)
③他社機を含む既設機にも追加搭載で導入可能
コマツ シンガポール国家級インフラ「チャンギ空港ターミナル5」でスマートコンストラクション®導入
コマツ(社長=今吉琢也氏)は、シンガポールの国家的大規模インフラ整備である「チャンギ空港ターミナル5建設プロジェクト」において、同社の施工管理デジタルソリューション「スマートコンストラクション®」の導入を開始した。シンガポールにおける同ソリューションの本格導入は今回が初となる。
チャンギ空港ターミナル5は、シンガポールの国家航空戦略を支える重要インフラプロジェクトとして位置づけられている。2025年5月に着工し、2030年代半ばの完成を予定しており、次世代の国際ハブ空港として同国の経済成長と国際競争力を支える中核施設となることが期待されている。
今回のプロジェクトでは、コマツの「3D Machine Guidance」「3D Machine Guidance Flex」「SC Dashboard」などの先進的なスマートコンストラクションソリューションを導入する。これらの技術により、建設機械による施工量をリアルタイムで把握するとともに、機械間でのデータ連携や施工情報の一元管理を実現。現場全体の施工効率向上と、データに基づく迅速な意思決定を支援する。
チャンギ空港ターミナル5は、総開発面積約1,080ha(10.8平方キロメートル)に及ぶ世界最大級の空港開発プロジェクトの一つで、ターミナル1~4を合わせた規模を上回るメガターミナルとして計画されている。年間5,000万人の旅客受け入れ能力を備え、将来的には7,000万人規模まで拡張可能となる予定だ。
近年、シンガポールでは建設業界におけるデジタル技術の活用が急速に進んでいる。コマツはこれまで、シンガポール政府や主要建設会社に対してICT施工技術やデジタルソリューションを提案し、建設現場の高度化を推進してきた。
こうした取り組みの実績を背景に、今回のターミナル5建設プロジェクトでは、スマートコンストラクションソリューションの開発・提供を担う子会社EARTHBRAINと連携し、同ソリューションを展開する。すでに同プロジェクト向けに多数の建設機械を納入しており、その一部工区でスマートコンストラクションソリューションの活用を進めている。
工作機械受注2兆円時代へ! 日本工作機械工業会が総会を開く
日本工作機械工業会(会長=坂元繁友 芝浦機械社長)が、6月5日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で第17 回定時総会を開いた。総会終了後、あいさつに立った坂元会長は、今年度の見通を1兆7000億円から2兆円に大幅上方修正を発表し、予想を上回る見通しが示されると、会場からは驚きと期待が入り交じった空気が広がった。
坂元会長は、工作機械産業を取り巻く環境について、「中東情勢をはじめとする地政学リスクの顕在化や国際社会の分断、通商環境の複雑化、世界的なインフレなどにより、政治・経済・社会の各側面で不安定な状況が続いている。」との認識を示した。
また、米国の関税政策に関して、通商拡大法232条による鉄鋼・アルミニウムへの追加関税や、通商法301条調査への対応について触れ、「日本の工作機械産業としての意見や、米国製造業への貢献度、必要性についてパブリックコメントにてそれぞれ回答した。」と説明した。また、中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡封鎖の影響についても言及し、「石油由来製品の供給に不透明感があるなか、政府当局とも状況を共有し、生産体制の維持に努めていく。」と述べた。
一方で、好調に推移している工作機械受注について、「本年4月までの累計受注額は6748億円となり、高水準を維持している。その背景は、データセンタ、ロボット、航空・宇宙分野などの成長産業向け投資が牽引している。」と述べた。また、国内市場では、「自動車産業におけるICE(内燃機関)関連投資が顕在化しつつあるほか、省エネ補助金や特定生産性向上設備等投資促進税制などの後押しを受け、老朽設備の更新需要が本格化する。」との見方を示した。
さらに、「世界の製造業では、生産工程の省人化やAI活用によるDXを核としたイノベーションが加速している。人材不足や人件費高騰、熟練技能者の減少といった課題への対応を目的とした設備投資が拡大している。日本の工作機械産業は今後も高付加価値な製品・技術を開発し、世界のユーザーへ提供していく。」と強調。輸出管理や経済安全保障への対応、人材育成の重要性についても言及した。
今後の取り組みとしては、「工作機械産業ビジョン2030」に基づき、デジタル・グリーン・レジリエンスを柱とした活動を推進し、国際競争力の強化を図る考えを示した。また、10月26日から31日まで開催する「JIMTOF2026」では、世界最先端の工作機械技術や製品を披露するほか、国際技術者会議や学生向けセミナーなども実施するとした。
その後、坂元会長は2026年の工作機械受注見通しについて、「年初時点では1兆7000億円としていたが、4月までの受注実績や5月の動向、市場調査委員会の分析結果などを踏まえ、上方修正したい。」と述べ、受注見通しを2兆円へ引き上げると発表した。
積極的な挑戦に期待
続いて来賓を代表し、経済産業省の伊吹英明製造産業局長があいさつした。伊吹製造産業局長は、製造業を取り巻く環境について、「米中対立や各国の輸出管理強化などにより、依然として厳しい状況が続いている」との認識を示した一方で、今後も深刻化が見込まれる人手不足への対応を重要課題に挙げ、「省人化は大きなテーマだ。デジタル技術やAIをいかに製品やサービスへ取り込んでいくかが極めて重要になる。」と強調した。
また、脱炭素化についても、「一時的に関心が後退しているように見えるかもしれないが、政府としては引き続き重要な政策課題と位置付けている。」と説明。「現在検討が進められている産業政策においても、エネルギーとDXは重要テーマとして掲げられている。政策面からも引き続き支援を強化していきたい。」と述べた。
さらに、今年開催されるJIMTOF2026に触れ、「日本の工作機械業界が持つ高い技術力やサービス力を世界へ発信する絶好の機会だ。」と期待を寄せた。そのうえで、「ロボットとの連携や自動化技術など、日本のモノづくりが持つ強みを積極的にアピールし、新たなビジネス機会の創出につなげてほしい。」と呼びかけた。
一方、中東情勢の緊迫化への対応については、「エネルギーやナフサ由来の石油化学製品について、全体として供給量は確保されている。」と説明。そのうえで、「一部では供給の偏りや物流の目詰まりも見られるため、原因をしっかりと把握し、安定供給の確保に万全を期していく。」と述べ、世界市場を見据えた積極的な挑戦に期待を寄せた。
「輸出規制の影響深刻化 リサイクル促進を加速」 日本機械工具工業会 通常総会ならびに2026年度「生悦住賞」「新庄(陰徳の士)賞」表彰式を開く
日本機械工具工業会(会長=佐橋稔之 住友電気工業 常務)が6月2日、東京マリオットホテル(東京都品川区北品川)で第12回定時総会をオンライン併用で開いた。
総会であいさつに立った佐橋会長は、景況について「国内では雇用・所得環境の改善や各種政策効果を背景に緩やかな回復基調が続いている。一方で海外では中東情勢や米国の通商政策など、不透明要因への注視が必要な状況にある。」との認識を示した。
同工業会の2025年生産額については、年初見通しの4840億円を上回る4899億円となったことを報告。「昨年度は後半から業界全体に持ち直しの動きが見られた。」と振り返った。
一方、2026年度については、タングステンをはじめとする原材料価格の急騰により市場環境の先行きが極めて不透明になっているため、例年公表している生産額見通しについては、「原材料価格の動向が読みづらく、業界の実態とかけ離れた数字となる可能性がある。」として、公表を見送る考えを明らかにした。今後の状況次第では改めて公表する可能性もあるという。
また、業界を取り巻く最大の課題として、タングステン原材料の安定調達とリサイクルの推進を挙げた。中国による重要鉱物の輸出規制やデュアルユース規制の影響で、原材料の供給不足や価格高騰が深刻化しているとし、「特定国への依存低減は重要だが、資源に乏しい日本にとっては、国内で発生する超硬スクラップを海外へ流出させず、循環利用することが極めて重要だ。」と強調した。
こうした状況を踏まえ、工業会は経済産業省の支援を受け、「超硬工具スクラップのリサイクル促進に向けたガイドライン」を改定し、同日付で発行した。佐橋会長は「リサイクルのあるべき姿や拡大の方向性をより明確に示した内容となっている。」と説明。「業界全体でユーザーや関連団体にも働きかけながら、タングステンの国内循環を一層推進していきたい。」と述べ、会員各社に協力を呼び掛けた。
経産省も業界と連携強化へ
経済産業省製造産業局の須賀千鶴産業機械課長があいさつの中で、タングステンの安定供給確保に向けた取り組みについて説明した。
須賀課長は、「昨年来の重要鉱物に対する輸出管理措置などにより、タングステンの安定供給確保が大きな課題となっている。」と指摘。その上で、経済安全保障上の観点から、特定国への依存低減を目的とした重要鉱物の調達先多角化に向け、経済産業省が企業の調達ルート切り替えに伴う費用支援を進めていることを紹介した。
また、「タングステンについてはリサイクルの活用が極めて重要だ。」と強調。リサイクルの推進により、需給逼迫の緩和につながるとの認識を示した。
さらに、同工業会がこのほど「超硬工具リサイクルガイドライン」を改定したことに触れ、「業界全体としてタングステンの国内循環・還流を推進する方針が明確になった。」と評価。経済産業省としても、改定ガイドラインをユーザーであるものづくり企業へ広く周知するなど、業界と連携しながらタングステンの国内還流促進に取り組む考えを示した。
苦労を糧に業界発展へ
総務、技術、環境、国際の各委員会から活動報告が行われた後、田野井優美副会長(田野井製作所社長)が総括を述べた。
田野井副会長は、業界の最重要課題としてタングステン資源の確保を挙げ、「タングステン原材料のリサイクルを推進し、超硬スクラップを海外へ流出させることなく、確実に国内循環させていくことが極めて重要だ」と強調し、また、今年10月に開催されるJIMTOFや、会員企業の海外展開支援を目的としたドイツ・AMB、インド・IMTEXへの共同出展計画にも言及。業界のさらなる発展に向けた取り組みを進めていく考えを示した。
さらに、「定期総会では全ての議案を滞りなく承認いただいた。」と報告。その上で、「タングステンや石油製品の供給不安など、業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いている。しかし、このような時だからこそ、官民および正会員、賛助会員を含む133社が一体となり、連携をさらに深めていくことが重要だ。」と述べた。
最後に、「現在の苦労を将来の糧へと変え、業界の発展と日本のものづくり競争力の向上に貢献していこう」と呼び掛け、総会を締めくくった。
2026年度「生悦住賞」「新庄(陰徳の士)賞」
2026年度「生悦住賞」は田中博信氏(オーエスジー)が受賞した。
【功績の概要】
田中氏は、2017年からの2年間、国際委員長として活躍。IMTS2018(米国国債機械見本市)ではJTAブース出展や会員による視察ツアーを行った。2019年から2年間は総務委員長に就任。新型コロナ感染症拡大の影響で全ての会合が活動制限されるなか、厳しい舵取りを強いられたが、WEB併用によるハイブリッド会合開催など先を見据え、各企画を継続させた。そのコロナ禍においてもJTA諸規程の改定整備を実施し、またクラウドを利用した会員統計システム運用を実現することで、プログラムによる自動集計と会員各社がいつでも統計データを取り込めるJTAデーターベースを国からの補助金でほぼ完成させた。現在も2025年6月から国際委員長としてConnected Industries委員会でのデータ連携やAMB(欧州金属加工国際見本市)の会員共同出展を実現させるなど永年の経験を活かし手腕を発揮されている。

〈新庄(陰徳の士)賞〉
・内田正利氏(京セラ)
・村尾博明氏(共立合金製作所)
・鈴木陽一氏(サンドビック)
・杉浦ミカ氏(ニチアロイ)
・中澤幸二氏(マコトロイ工業)
・髙橋摩美(三菱マテリアル)
懇親会では、張 守斌副会長(三菱マテリアル常務)が乾杯の発声を行い、参会者は交流を深めた。

「工作機械技術の発展へ」工作機械技術振興財団 第47回工作機械技術振興賞 贈賞式を開く

工作機械技術振興財団(理事長=安達俊雄氏)が、第47回工作機械技術振興賞決定に伴い、第一ホテル東京(東京都港区新橋)で贈賞式を開いた。同財団は学術および科学技術の振興を目的として、牧野フライス製作所の創業者である牧野常造氏らの寄付により、1979年7月17日通商産業(現経済産業)大臣の許可を得て設立されたもので、2012年4月20日、内閣総理大臣から公益法人への移行認定を受け、公益財団法人工作機械技術振興財団となった。
今回は、工作機械技術振興賞・論文賞5件、同・奨励賞7件ならびに試験研究助成11件を選定した。その他同財団では、海外国際会議への参加支援、国内で開催される国際会議への開催支援も行っており、2026年6月期はすでに8件の助成を行っている。今回の選定を含め、贈賞・助成は累計1,225件(3,136名)総額13億8,811万円となる。
安達理事長はあいさつで、「当財団の事業は地道な活動ではあるが、工作機械技術の進歩・向上に間接的ながら着実に寄与してきたと考えている。」と述べた。その上で、「わが国経済を取り巻く環境は大きく変化している一方、牧野フライス製作所からの支援強化が進められている。当財団としても関係各位との連携を一層深め、振興事業のさらなる充実に努めていきたい」と今後の方針を示した。
続いて、新野秀憲審査委員長が審査報告を行い、試験研究助成事業の概要が紹介された。
来賓を代表して経済産業省の須賀千鶴産業機械課長があいさつした。須賀課長は、「工作機械は生活用品から航空宇宙分野に至るまで幅広い製品の生産を支えるマザーマシンであり、製造業の基盤を担う重要な存在だ。わが国の工作機械産業は、多様なニーズに高いレベルで応え続けることで世界トップクラスのシェアを維持している日本を代表する産業である。」と評価した。
さらに、「工作機械は製造業の復権という世界的潮流を象徴する戦略産業であり、経済安全保障上も極めて重要なことから、政府は経済安全保障推進法に基づく特定重要物資に位置付けている。」と説明。「今回の受賞を新たな飛躍の契機として、わが国工作機械産業のさらなる発展を牽引していただきたい」と期待を寄せた。
講演会では、東京都市大学理工学部機械工学科の川合邑佳氏が「微粒子ピーニングによるガラスのナノテクスチャリングとそれを用いた粉体付着防止効果」をテーマに、また、岡山大学学術研究院の篠永東吾准教授が「磁場制御下での大面積電子ビーム照射による表面仕上げ」についてそれぞれ講演した。
技術交流会では、大曽根靖夫日本機械学会筆頭副会長があいさつし、「研究・技術開発の成果が高く評価されたことに敬意を表する。これらの成果は研究開発の積み重ねにとどまらず、未来のものづくりを切り拓く一歩でもある」と述べた。さらに、「日本機械学会としてもフィジカルAI分野の強化に取り組んでいく。ぜひ活発な提案を寄せてほしい。」と呼び掛けた。その後、大曽根副会長の発声で乾杯が行われ、参加者による技術交流が深められた。

「地政学リスク警戒も需要に期待」日本工作機械販売協会が通常総会を開く
日本工作機械販売協会(会長=髙田研至 井高社長)が6月3日、第一ホテル東京(東京都港区新橋)で通常総会とともに記念講演会と懇親会が開かれた。
総会は滞りなく終了し、記念講演では、青木豊彦氏(アオキ会長、東大阪市モノづくり親善大使)を講師に迎え、「中小企業モノづくりの活性化 ~あつい心意気こそ人をうごかす~」をテーマに講演を行った。
懇親会であいさつした髙田会長は、地政学リスクや資源問題など製造業を取り巻く不確実性が高まっているとの認識を示し、「中東情勢やホルムズ海峡封鎖リスク、レアメタル問題など、業界を取り巻く環境は厳しい状況にある。」としたうえで、「こうした状況を正しく把握し、理解したうえで何をすべきかを考えることが重要だ。」と述べた。
また、国内においても円安の進行や人手不足、物価高騰など製造業にとっての不安要素があるとしながらも、「日本の製造業は大きな転換期を迎えている。」と前向きな見方を示した。
日本工作機械工業会の1~4月の受注実績については、総額6748億円、うち内需1669億円、外需5052億円となっていることに触れ、「このペースで推移すれば年間受注額は2兆円規模に達する可能性がある。」と分析。内需についても年間5000億円超が見込まれるとの見通しを示し、「皆様にお願いしている5300億円の目標達成に向け、力を合わせて取り組みたい」と呼び掛けた。
需要動向については、「航空宇宙、造船、防衛、エネルギーなどの重厚長大産業が引き続き堅調に推移しているほか、半導体製造装置やデータセンタ向け設備投資も底堅い。」と説明。さらに、自動車分野でも引き合いが増加しているとし、「後半には自動車関連需要の回復も期待できる。2026年は全体として大いに期待できる年になるのではないか。」と述べ、今後の市場拡大に期待感を示した。
来賓を代表して経済産業省製造産業局の須賀千鶴産業機械課長があいさつし、その中でエネルギーや原材料の安定供給に向けた政府の取り組みについて説明した。
須賀課長は、「エネルギーや原材料の安定供給の確保は、国民生活と経済活動の双方にとって最重要課題だ。」と強調。政府では関係閣僚会議を定期的に開催し、全国から寄せられる供給状況に関する情報を集約しながら、必要な対策を講じていると述べた。
また、「サプライチェーンは長く複雑であるため、流通過程で供給の偏りや一部製品の調達難、物流の目詰まりなどが発生するケースも確認されている。」と話し、経済産業省では情報提供窓口を常時設置し、個別事案を確認しながら供給網の円滑化に取り組んでいることを説明した。
その上で、「官民が緊密に連携しながら課題解決に取り組むことが重要だ。経済産業省としても全力で対応していく。」と述べ、業界関係者に協力を呼び掛けた。
続いて日本工作機械工業会の坂元繁友会長があいさつをした。その中で、坂元会長は、工作機械市場の好調な推移と設備投資環境の改善について言及。また、「足元の工作機械受注は大変好調に推移している」と述べ、3月の受注額が単月ベースで1935億円、4月も過去2番目となる1890億円を記録したことを報告した。
受注動向については、外需が7カ月連続で1000億円を超えたほか、内需も前年同月比で4カ月連続の増加となるなど、「国内外ともに堅調な推移が続いている。」と説明した。
また、「国内市場では老朽化した工作機械の更新を後押しする環境整備が進んでいる。」とし、特定生産性向上設備等投資促進税制の創設に加え、工程集約型加工機や高効率モータ搭載機が省エネ補助金の対象に追加されるなど、設備投資を促進する施策が相次いでいることを評価した。
その上で、「この好機を逃すことなく、ユーザーの皆様の生産設備改善に向けて一層努力していきたい」と述べ、業界のさらなる発展に向けた意欲を示した。
乾杯の発声を日本工作機械輸入協会の金子一彦会長(三宝精機工業社長)が行い、参会者は親睦を深めた。

「ものづくり支える商流を強化」 全日本機械工具商連合会 通常総会を開く

全日本機械工具商連合会(会長=坂井俊司 NaITO社長)は6月17日、トラスコ中山東京本社(東京都港区新橋)で2026年度通常総会を開いた。
坂井会長は冒頭、日頃の協力に感謝を述べたうえで、「昨年来、タングステン価格の高騰など不安定な状況が続いているが、中東情勢を除けば今年の景気には期待感がある。仕事量も比較的堅調に推移しているように感じる。」と述べた。また、「高市政権は積極財政のもと、ものづくりに力を入れる方針を掲げており期待している。半導体需要は生成AI関連を中心に引き続き好調で、産業構造も変化しつつある。われわれも力を合わせて取り組んでいきたい。」と抱負を語った。
総会では坂井会長が議長を務め、第1号議案「2025年度事業報告」、第2号議案「2026年度事業計画」、第3号議案「その他」の各議案を審議し、いずれも承認された。
総会後には、経済産業省製造産業局素形材産業室の大今宏史室長が「経済産業省の取組紹介」をテーマに講演した。講演では①中東情勢を踏まえた対応②取引適正化の推進③中小企業省力化投資補助金④その他補助金制度――について説明し、参加者は熱心に耳を傾けながらメモを取っていた。
懇親会では、中山哲也理事長(トラスコ中山社長)があいさつし、「ものづくりの現場が元気でなければ、われわれの業界も成り立たない。テレビでは半導体やITが注目されているが、日本経済の主役はやはり製造業だ。日本の産業がさらに発展することを願っている。」と述べ、乾杯の音頭を取った。
続いて、顧問の新藤義孝衆議院議員は、「今後の経済情勢は依然として予断を許さない。仮にホルムズ海峡を巡る問題が落ち着いたとしても、その影響はしばらく続くだろう。半導体や石油由来資源の供給は製造業に直結する課題だ。」と指摘。そのうえで、「中小企業省力化投資補助金などを活用し、省力化投資による生産性向上を後押ししたい。企業の業績拡大につながる好循環を生み出していきたい。」と意欲を示した。
参会者は活発に意見交換を行いながら親睦を深め、盛会のうちに閉会した。
「価値創造で激動の時代を切り拓く」日本金型工業会 総会を開く
日本金型工業会(会長=山中雅仁 ヤマナカゴーキン社長)が6月3日、ホテル インターコンチネンタル東京ベイ(東京都港区海岸1-16-2)で第14回定時総会を開いた。議事終了後、第二部は講演会が開かれ、スズキ 生産本部 ものづくり推進部 に務める組谷智之 主幹が『「金型熟練者から五感のデジタル伝承」実質、残された時間は5年』をテーマに講演した。総会終了後には懇親会が開かれ、会員企業や関係者らが交流を深めた。
懇親会場であいさつに立った松岡寛高副会長(中部支部長、七宝金型工業社長)は、「総会では事業報告や今後の方針について活発な議論が行われた。懇親会では業界の未来について率直な意見交換をしてほしい。」と呼びかけた。
松岡副会長は、金型業界について「自動車や家電製品などの製造を支える縁の下の力持ち。」と位置付けた上で、原材料価格の高騰や人手不足など厳しい経営環境に言及。一方で、「日本の金型技術は世界トップレベルであり、海外からも高い信頼と評価を得ている。」と強調した。
また、DXやAIの活用が進むなか、「現場で培われた職人の勘や経験、微細加工を追求する技術は容易に代替できるものではない。」と述べるとともに、「変化の時代だからこそ企業同士のつながりや情報交換が重要になる。」と語った。
続いて、43年にわたり同工業会の事務局を支えてきた中里専務理事が退任のあいさつを行った。
中里専務理事は、「日本の金型業界はこれまで幾度もの不況を乗り越えてきたが、今後はこれまでとは異なる荒波が待ち受けているかもしれない。新たな時代には新たな船で挑まなければならない。」と述べ、関係者への感謝を伝えた。
最後にあいさつをした山中会長は、業界を取り巻く環境の変化について「かつては顧客企業の成長に合わせて市場も拡大し、仕事も自然と増えていく時代だった」と振り返った。
その上で、「当時は顧客が次々と椅子を並べてくれる『椅子取りゲーム』のような時代だったが、現在はその椅子自体が減っている。」と表現。「市場が自然に膨張する時代は終わった。これからは各社が自ら価値を創造しなければならない。」と訴えた。
さらに、「工業会としても様々な活動を進めているが、海外市場への挑戦も重要な選択肢になる。リスクや課題はあるものの、厳しい時代だからこそ挑戦を続け、新たな時代を切り拓いていきたい」と述べ、業界のさらなる発展に期待を寄せた。
乾杯の発声は牧野フライス製作所の宮崎正太郎社長が行い、参会者は親睦を深めた。

