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フジムラ製作所 JIS Q 9100(航空宇宙・防衛産業向け品質マネジメントシステム)認証取得
国内最先端の「デジタル板金」を進める、フジムラ製作所(社長=藤村智広氏、本社:埼玉県川口市領家)は、このほど「航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステム国際規格」である、JIS Q 9100 認証を取得したと発表した。
取得したのは本社工場ならびに第五工場となり、登録された活動範囲は「半導体関連機器部品の精密板金加工、レーザー加工ならびに溶接加工」となる。
JIS Q 9100 は、航空宇宙・防衛産業において製品・サービスの安全性を確保し、信頼性を向上させるためのマネジメントシステム規格であり、米国のAS 9100 や欧州のEN 9100 と技術的に同等であり、世界の航空宇宙・防衛産業でグローバルな部品調達基準として国際的に認められている。
今回の認証取得により、同社ではこれまで培ってきたデジタル板金の高い技術と独自のシステムを活かして、さらなる品質の向上に努めながら航空宇宙産業に向けた板金加工製品の積極的な展開を進めていく方針。
ENEOSと三菱ケミカル プラスチック油化の開始に向けてケミカルリサイクル設備を竣工
ENEOSと三菱ケミカルは、2021年7月より三菱ケミカル茨城事業所(茨城県神栖市)においてプラスチック油化事業開始に向けて建設を進めていたケミカルリサイクル設備が完成し、2025年7月2日(水)に竣工式を開催した。
同設備では、外部から調達した使用済みプラスチックを、英国のMura Technology社の超臨界水熱分解技術によって化学的に分解する油化処理を行うもので、製造されたリサイクル生成油は、両社の既存設備である石油精製装置およびナフサクラッカーの原料として使用され、石油製品や各種化学品・プラスチックへと再製品化されることにより、サーキュラーエコノミーを実現する。
また、同設備は持続可能な製品の国際的な認証制度のひとつであるISCC PLUS認証の取得を予定しており、このリサイクル生成油を原料とする環境価値を付与した各種製品の提供が可能となる。
(株)田島軽金属 社名を(株)TACへ
アルミ鋳物製造を行う(株)田島軽金属(社長=田島正明氏、本社:埼玉県羽生市)は、7月1日付けで社名を(株)TAC(ティーエーシー)に改称した。なお、住所・電話番号・FAX番号・URLは変更なし。
変更日: 2025年7月1日
旧社名: 株式会社 田島軽金属
新社名: 株式会社 TAC (読み方 ティーエーシー)
日立建機ザンビア、再生工場の拡張式典を開催
日立建機ザンビア(本社:ザンビア共和国ルサカ、社長=齋藤伸彦氏)は、6月5日、再生工場の拡張に伴い記念式典を開催した。記念式典にはザンビア共和国(以下、ザンビア)のハカインデ・ヒチレマ大統領をはじめ、政府関係者、顧客、パートナー企業など約200名を超える来賓が出席した。
ザンビアは銅やコバルトなどの豊富な鉱物資源に恵まれており、これらの資源採掘が盛んに行われている。資源開発の進展により、今後も鉱山機械の需要の増加が見込まれる。
日立建機ザンビアは、ザンビア最大の大規模銅鉱山をはじめとする鉱山会社の顧客向けに、鉱山機械および建設機械のアフターサービスやコンポーネントなどの再生事業を行っている。また、官民連携プロジェクトへの参画を通じて、ザンビアでの建設機械オペレーターの育成に積極的に取り組んでおり、さらに、顧客の鉱山現場でのフル電動ダンプトラックの実証試験も継続的に行うことで技術革新も推進している。
再生工場の拡張は、2016年以来今回が2回目となる。今回は従来の敷地面積と同規模の20,000㎡の敷地を新たに確保し、再生部品の保管倉庫とエンジン再生ワークショップを新設した。ザンビアやザンビア周辺国の顧客の大型受注により、機械の稼働台数がさらに増加する見込みに伴い、機械の保守・メンテナンスや再生部品のニーズの高まりにも対応していく方針。
コマツ Komtraxから取得する建機位置情報を大規模災害時に提供開始
コマツはこのほど、日本国内で大規模災害が発生した際に、Komtraxから取得している建機の位置情報を、日本建設機械施工協会(JCMA)を通じて国土交通省に提供する取り組みを始めたと発表した。 国土交通省は災害協定に基づき、災害発生時に出動可能な建機の台数や機種、保管場所などの情報を建設会社やレンタル会社から収集している。今回新たに始まった取り組みは、コマツをはじめとする建機メーカーが自社システムを通じて取得した建機の位置情報などを提供するもので、国土交通省は災害現場近辺にある建機の位置などを正確に把握することで、被災現場の早期復旧や被害拡大防止につなげる。 対象は、被災地を中心とする約100キロメートル四方のエリアに位置し、所有者である建設会社が本制度への参加を同意した建機。コマツは建機の緯度・経度、機種・型式、標準バケット容量、データの取得日時などを24時間ごとに集約・更新し、7日間にわたり無償で提供する。
日本機械工具工業会 新会長に住友電気工業 佐橋稔之常務を選任 第11回定時総会並びに創立10周年記念式典を開く

日本機械工具工業会が去る6月3日、東京マリオットホテル(東京都品川区北品川)とオンライン併用で第11回定時総会並びに創立10周年記念式典を開催し、新会長に佐橋稔之氏(住友電気工業常務取締役アドバンスドマテリアル事業本部長)を選任した。また、小原和生氏(三菱マテリアル 執行役常務加工事業カンパニープレジデント)と、田野井優美氏(田野井製作所代表取締役社長)が新たに副会長に就任した。
10周年特別記念講演では、東京電機大学 工学部機械工学科 松村 隆教授が「切削加工技術の変遷とこれからの高度化技術」をテーマに講演し、聴講者は熱心にメモを取る様子が見られた。
2025年度『生悦住賞』『新庄(陰徳の士)賞』各受賞者の表彰が行われたあと、報告事項として、総務委員会、技術委員会、環境委員会、国際委員会からそれぞれ報告があった。また、事務局から「2025年度機械工具当初生産見通し」について説明があった。
それによると正会員へ実施したアンケート「機械工具観測調査」DI値によると、全体業況は、2024年度末に比べ上期は良くなる回答が多く、機械工具の生産額も増加予測で内需・外需ともに先行きは良化すると見られている。業種別では航空機関連向けが増加傾向、外需地域別ではアジア向けた比較的増加する見方が多い結果となった。また、半導体関連は回復基調だが、工具需要の回復は下期になること、中国の輸出規制、長期化する国際紛争と米国関税問題などを考慮すると経済環境の完全回復は2026年度下期以降になると予測する回答が多くを占めた。
2025年度当初生産額見通しについては、2024年度下期の生産額は前年同期を上回り、対前年度比103.9%の2,399億円となり2024年度実績は前年度比101.7%の4,720億円となった。今回調査した2025年度見通し調査結果と観測調査のDI値とは必ずしも相関しないが、正会員へ調査依頼した生産種目ごとの対前年同期比見通し集計(生産額見通しの増減やコメント)をもとに、機械関連業界の傾向や観測調査の意向も踏まえた結果、2025年当初生産額見通しは前年度実績を上回る、前年同期比102.5%の484,000百万円とした。
2025年度生悦住賞

生悦住賞は、1978年に生悦住貞太郎ダイジェット工業会長が傘寿を迎えたことを機に、超硬工具協会(現日本機械工具工業会)が同年に創立30周年に当たることを記念して協会に多額の寄付をし、この有効活用を目的として「生悦住基金」が設けられ、①会員で草の根的に功労のあった人、②会員内外を問わず業界発展に貢献された人、を表彰するために設定された表彰制度である。
小谷二郎氏 (元 三菱マテリアル)
〈略歴〉
2016年11月~2023年6月 総務委員
2017年 2月~2023年6月 国際委員
2019年 6月~2021年6月 国際委員長
2021年 5月~2023年6月 総務委員長
〈功績の概要〉
小谷氏は、2019年からの2年間、国際委員長として活躍。EMO2019(欧州工作機械見本市)ではJTAブース出展や会員による視察ツアーを行った。翌年からの新型コロナ感染症拡大の影響で委員会活動も厳しい舵取りを強いられたが、先を見据え会員企業の海外進出支援企画を継続させた。
2021年からの2年間は総務委員長に就任。ウィズコロナとなった社会を認識しWEB併用によるハイブリッド会合開催を常時実施。工業会事業の要となる会員統計では、AWSクラウドを利用した統計システムの運用開始を実現することで、プログラムによる自動集計と会員各社がいつでも統計データを取り込めるJTAデーターベースを国からの補助金でほぼ完成させた。また、2022年10月には任意団体だった同工業会を「一般社団法人日本機械工業会」として法人登記を完了し、世の中において機械工具業界の存在を確かなものとした。
2025年度新庄賞受賞者
新庄賞は新庄鷹義氏が55年在任された冨士ダイス(株)社長職から会長職へ昇格し、併せて米寿の慶事にあたる年に、同氏から多額の寄付をもとに新庄基金が設けられた。需要資格者は、会員企業(正会員)の〝陰徳の士〟的立場にある人(一般には目立たないながら、会社にとって非常に有用なことを実践している人、パート従業員、派遣社員、ボランティアを含む)で、所属企業からの推薦を受け表彰する制度である。
・柿谷幸弘(エフ・ピー・ツール)
・小沢幸夫(MMCリョウテック)
・松井広行(オーエスジー)
・大曽根克枝(田野井製作所)
・塚原正企(富士精工)
・澤田 清(瑞穂工業)
・吉村 彰(MOLDINO)
・我妻弘志(彌満和製作所)
「団結力が重要」
懇親パーティであいさつに立った佐橋会長は、製造業のトレンドでもあるデジタル化について触れ、「デジタル化については、世界の切削工具業界にも負けないようわれわれも進んで行きたい。非常に厳しい環境の中だが、重要なのは団結力だと思っている。この懇親会もお疲れさま会ではなく、皆の親睦をさらに深める場としてしっかりと活用し、この景気の波に負けないよう邁進してまいりたいと思っている。」と意気込みを示した。
続いて、来賓を代表して経済産業省製造産業局の須賀千鶴 産業機械課長が、「日本経済はアメリカによる関税措置などの影響を受け、世界経済の先行き、大変不安定になっているが、経産省では、4月に米国完全対策本部を立ち上げ、全国にて対応ができるように、すでに全国1000カ所以上に特別相談窓口開設した。我が国産業や雇用を守り切るために必要となる支援については全力を尽くし、躊躇なくしっかりと対策を講じていく。」とあいさつをした。
乾杯は、日本機械工具工業会初の女性役員である田野井副会長が行った。この中で田野井副会長は、「乾杯を調べてみたところ、〝いやさか〟という言葉が出てきた。ますます栄えるようにという素晴らしい意味が込められている。」と述べ、元気よく「いやさか」の発声で開宴した。円もたけなわの頃、散会した。

「第19回芝浦機械グループソリューションフェア2025」で来場者を魅了
芝浦機械グループが去る6月4日(水)~6月6日(金)まで、沼津工場(静岡県沼津市大岡)及び御殿場工場(静岡県御殿場市駒門)で「第19回芝浦機械グループソリューションフェア2025」を開催した。今回のコンセプトは〝エネルギー・モビリティ変革期における芝浦機械のソリューション〟。沼津工場はHall1~8まで、御殿場工場はHall9とし、多岐に渡る見どころに来場者も足を止めていた。
受付は来場者の期待度の高さと比例して、すでに列をなしていた。Hall1は、コンセプト動画の他、産学官との取組や、地域企業との交流についてパネルにて説明、商談コーナーもあった。ここには飲み物も用意され、来場者は別会場に昼食も用意されており、ホスピタリティは万全。
Hall2は工作機械カンパニーの(超精密加工機)が展示されていた。ここで披露された新製品は、2つ。1つは、自社製高精度2軸テーブル+HSK対応空気主軸搭載の超精密マシニングセンタ『UVM-450D(5AH)』。なんと業界最小の0.00001°制御だという。2つ目は真直度補正によるうねり成分低減を実現した超精密非球面加工機『ULG-100H(H)』。うねり成分が低減するということは、面品位が向上することにつながるので、光学部品などの加工に貢献するものだ。
Hall3に行くと今度は成形機カンパニー(射出成形機)が並んでいた。ここで注目を集めていたのは新規展示とうたっていた『EC75SXⅢ-2Y』による〝リサイクルPET材安定成形〟だ。カメラ検査、A-Product Plus(新商品/技術)による自動条件補正(参考出展) 組立→印刷(制御C)とのシステム展示。このホールでは、環境負荷の低減に貢献する仕組みが豊富に展示してあった。
成形機カンパニーは他にもHall 5とHall8で押出成形機を展示。こちらでは注目の次世代電池の製造工程に役立つ技術を展示。電極の連続生産に向けた二軸押出機の取組、高精度・高速化が要求される間欠塗工の実演やロボットなどを活用したアッセンブリなどの技術を提供していた。また、Hall6では同じく成形機カンパニーのダイカストマシンなどが展示されていたほか、双腕ロボットによる多品種箱詰め作業による省人化・省力化・省力化・多品種対応等をアピールしていた。
沼津工場から御殿場工場までバスで移動し、Hall9へ移動した。ここでは、工作機械カンパニーの業界最大サイズのテーブル形横中ぐりフライス盤『BTH-150.R35』に圧倒される。近年ますます重厚長大化するエネルギー業界へ貢献するマシンだという。最大ストロークはなんと7×3.5m!
また技術展示としてAI熱変位補正や加工精度向上のための新しい機能も披露していた。
「グローバル展開への本気を示す覚悟」 ~オーエスジーダイヤモンドツール 神谷社長に聞く~

オーエスジーダイヤモンドツール(社長=神谷伸顕氏 本社:滋賀県高島市今津町)は1968年に創業以来、ダイヤモンド切削工具メーカーとして製品を開発、製造・販売を手掛け、自動車・電機業界をはじめ、液晶関連・通信関連・光学部品・医療関連等、多岐に渡る産業で貢献している。2024年12月、日新ダイヤモンドから、社名をオーエスジーダイヤモンドツールに変更し、今春にダイヤモンド切削工具の教科書を兼ね備えたカタログ『The Diamond Basics』を刊行し、6月にはデジタルブックにして同社Webサイトに掲載。ダイヤモンド切削工具の敷居の高さと知名度の低さを打開すべく、業界全体の活性化を図っている。
新社名への変更の思いや、教科書を兼ねたカタログ製作の狙いについてお話しを伺った。
― 昨年12月に日新ダイヤモンドから、オーエスジーダイヤモンドツールに社名を変更しました。その理由や心境の変化を教えてください。
神谷 世界で唯一、極小径の単結晶ボールエンドミルを製造できるメーカー、神奈川のマイクロ・ダイヤモンド社の事業継承に加えて、OSGがグループ化したオランダのContour社との協業体制の構築を経て、OSGグループとしてダイヤモンド切削工具事業に本格参入する準備が整いました。その意志を明確に市場へ示すため、グループ名である「OSG」を冠した社名へと変更いたしました。これは、世界に向けたダイヤモンドブランドとしての覚悟と、グローバル展開への本気度を示す象徴です。
― オーエスジーの中期経営計画に微細・精密加工分野の拡大を掲げていました。日新ダイヤモンド社、Contour社、マイクロ・ダイヤモンド社の3社が協業をする、そのシナジー効果について教えてください。
神谷 3社はそれぞれ得意とするジャンルが異なりますので、一般、精密、超微細工具の幅広い分野での製品提供が可能となりました。Contour社は眼鏡や眼内レンズなど各種レンズ向けの単結晶ダイヤモンド工具では世界トップレベルのメーカーですから、医療系レンズの新規分野へ参入することができます。特に日本は高齢化が進んでいますから今後眼内レンズなど医療分野は期待ができると思いますし、現在、半導体製造装置の部品にもダイヤモンドツールは欠かせません。ダイヤモンド切削工具は、すべての工具材料の中で最も高い硬度と優れた耐摩耗性を持ちます。そのため、アルミニウム合金、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、セラミックスなどの難削材に対して、極めて高精度で効率的な加工が可能です。また、工具寿命が長く、工具交換頻度の低減や加工品質の安定にも寄与します。特に超精密加工分野では、表面粗さの向上や微細形状の成形において欠かせない存在です。
カタログ製作に込めた想い
―アイテム数も増加し、総合ダイヤモンド切削工具メーカーとして今春にはダイヤモンド切削工具の教科書を兼ね備えたカタログ『The Diamond Basics』を刊行し、6月にはデジタルブックを同社Webサイトに掲載しましたが、この狙いは。
神谷 社長に就任して以来の5年間、市場を歩きながら痛感したのは、お客様はもちろん、OSGグループ内の関係者においても「ダイヤモンド切削工具」への理解が十分でないという現実でした。そこで、「ダイヤモンド切削工具の教科書」となるような冊子を作りたいと考えました。ダイヤモンド工具に対しては、「価格が高い」「納期が長い」「扱いが難しい」といったイメージを持たれているお客様が多く、実際には超硬工具では対応できない領域で、非常に大きな可能性を秘めていることがあまり知られていません。
― 確かにダイヤモンド工具といえば、非常にマニアックな印象があります。
神谷 本冊子では、ダイヤモンド工具の基礎知識から応用事例までをわかりやすく解説するとともに、すぐにご使用いただける標準在庫品のカタログ情報も充実させ、「手に取りやすく、使いやすい」ダイヤモンド工具としての認知拡大を目指しています。
― カタログは結構なボリュームがあります。商品群はどのくらいになりますか。
神谷 標準品は計28品目。総ページ数は100ページ以上となっています。単なる製品カタログとしてだけでなく、ダイヤモンド切削工具に携わる全ての方々のディファクトスタンダードとなる冊子にするため、随時内容を充実させる所存です。
― ダイヤモンド工具は特注品が多いイメージがありますが、標準品を多く揃えているのも貴社の強みです。積極的に標準品を揃えたのはどうしてですか。
神谷 私は、「売れるモノを標準品にするのではなく、お客様が要求しているものを作るように。」と言い続けていました。このカタログには、ポテンシャルが大きいダイヤモンド工具への理解を深めるため、ダイヤモンドに関する基礎知識の部分や、加工時例までを掲載しています。
― Contour社の製品も標準化しています。
神谷 今回のカタログでは従来の標準品から、17品目の新アイテムを一挙にラインナップしました。中でも注目していただきたいのは、Contour社が得意とする「N-Insert-UP(単結晶ダイヤモンドインサート)」や「N-Precision Bite(単結晶ダイヤモンドバイト)」を標準在庫品としてご提供できるようになったことです。これまで特注対応が主だった高精度工具を、必要なときにすぐ使える体制を整えたことは、業界にとって大きな価値を提供する第一歩となります。同工具を手軽に試してもらい、新市場開拓に繋げていきたいと考えています。
―ありがとうございました。
▼オーエスジーダイヤモンドツールのデジタルブックはコチラ▼
https://osg-diamond.co.jp/
「2025年北海道・東北・上信越ブロック 関東ブロック合同 三菱マテリアル特約店会」開催

三菱マテリアル 加工事業カンパニー(常務 カンパニープレジデント=小原和生氏) が、去る5月29日、東京マリオットホテル北海道・東北・上信越ブロック、関東ブロック合同で三菱マテリアル特約店会を開いた。この日は特約店、代理店合わせて85名が参加した。
小原常務は感謝の意を表したあと、加工事業について説明をした。この中で小原常務は、組織変更についての狙いについて、近年の地政学リスクに触れ、「超硬事業としてタングステン資源とその循環能力をアグレッシブにしていく。また、グローバルなサプライチェーンに精通した強力なビジネス・ドライバーを確保し、さらに生産能力を確保していくため、組織を一部変更し、昨年3月からバイスプレジデントのミルコ・メルロが4月からは営業本部長として兼務し、国内、海外、技術、統括の4つの部門を統括する。」と説明した。
「DIAEDGE」を廃止し「三菱マテリアル」ブランドを前面に
M&A案件については「タングステン原料製造最大手のドイツH.C.Starck HDが昨年12月に、欧州市場向けのサービス店であるイタリアU.F.P.s.r.lを本年4月にそれぞれ買収を完了した。」と報告した。
次に世界を取り巻く情勢から、「変容する可能性が高いサプライチェーンの姿を的確に捉えてすぐ手を打っていくことが大事だ。」と述べ、営業に関しては、「新規顧客、新規のビジネスに対してスピーディに受注獲得していくことを社内でも浸透させていく。今年は多くの新製品を用意することができた。」と力強く述べた。
また、超硬スクラップの回収強化については、「タングステンの鉱石は80%が中国で生産されている。米中摩擦が悪化するに伴ってタングステンの鉱石の輸出が滞った状態であるため、子会社の日本新金属やStarckで原料を確保していくことが急務になっている。スクラップで原料を確保していくためには、超硬スクラップの回収を皆様にご協力をしていただきながら回収を強化していきたいと考えている。」と協力を要請した。
この日、小原常務は、「時代が変化し、グローバル化も進んでいることを受け、従来、DIAEDGEのブランドを前面に出して活動してきたが、このブランドを廃止し、われわれの社名を前面に出した三菱マテリアルの名を前面に出した販売をしていく。」と意気込みを示した。また、Webカタログの刷新や、より積極的に工具の掲載や切削条件、材質に伴い最適な工具を簡単に得られる仕組みの『Tool Assistant』についてや、小物高精度加工用工具などの説明をした。
続いて、ミルコ・メルロバイスプレジデント チーフストラテジーオフィサー(兼)営業本部長が「私が三菱に入社を決めたのかというと、私は常に三菱製品の卓越した性能に感心があった。過去に私がテストで負けた相手の多くが三菱であったため、この会社に特別な敬意を抱くようになった。私にとって日本は常に、信頼性、性能、品質、精密さ、の象徴であり、最終的に私が三菱にたどり着いたのは、ある意味当然のことだった。私はこれまで切削工具の業界で営業、開発、マーケティングから経営に至るまで様々な業務を経験してきた。私の世界での経験とノウハウは必ず当社の成長に寄与できると信じている。」と力強くあいさつした。
続いて24年度北海道・東北・上信越ブロック、関東ブロック合同三菱マテリアル特約店会の年間表彰が行われた。表彰プレゼンターは、萩谷英史 営業本部 国内営業部部長が行った。
表彰に先立ち、萩谷部長は、「わが社製品のブランドをDIAEDGEからスリーダイヤの三菱マテリアルに変更するということに伴い、この特約店会の正式名は〝三菱マテリアル加工事業カンパニーセールスパートナー特約店会〟とし、〝三菱セールスパートナー会〟として4月から改称させていただいた。三菱セールスパートナー会の皆様と新たな1歩を踏み出していきたい。」と意気込みを示した。
その後、国内営業部活動方針についても萩谷部長から説明があった。その中で、25年の方針について、「売り勝ち残る」とし、「売り勝ち残るために変化を的確に捉えて、常に適応しながら新規顧客・新規案件の獲得を図る」と述べた。具体的には、講習会の実施を200回以上とし、ターゲット市場への拡販に自動車・航空機&発電用タービン、半導体装置、ロボット、減速機、金型を挙げ、ターゲット製品の拡販に新材種(P/M/K)、『DVAS』、高精度部品加工用工具に注力すると述べた。
第二部の懇親会は、藤森正志 ナンシン機工社長が乾杯の発声を行った。宴もたけなわのころ、松下幸輝 松下工機社長の中締めで散会した。

日本工作機械工業会 新会長に坂元繁友氏
日本工作機械工業会は去る5月30日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で開催した第16回定時総会で、新会長に坂元繁友 芝浦機械社長を選出した。前会長の稲葉善治 ファナック会長は相談役に就任した。
会見の席上で坂元新会長は、「大変変化の激しい、不透明、不確実、不安定な時代に会長職を拝命し、身の引き締まる思いである。伝統ある会長職の責任の重さを痛感するとともに、大きな使命感を感じている。この大任を果たし、業界全体の発展を図るために、粉骨砕身努力いたす所存である。工作機械業界を巡る状況は各国の関税政策の動向や、米国の関税政策の動向や世界各地域における地政学的リスクにより、当業界は難しいかじ取りを迫られる局面にあるかと実感している。製造業ではDX、GXを軸とする方向に変化の進化のスピードを早めており、工作機械は少子高齢化時代に適応した周辺装置類と融合した自動化技術も進展している。日本の工作機械産業は、これからの急速な時代の変化に柔軟に対応して、世界の製造業の発展に貢献していかねばならないと考えている。日工会としては、各議会等の前年度活動結果を元に策定いたしました事業計画に沿って、2025年度の事業を4月から間断なく進めている。前期から取り組んでおります、デジタル・グリーン・レジリエンスを中心とした調査研究事業のほかに、国際交流の推進、広報活動など、幅広い事業につきまして、コンプライアンスを重視しながら展開して考えている。」と意気込みを示した。
前会長の稲葉相談役は、「会長として2期4年の間、DX、GXによる技術革新や、需要構造の進化、通称環境の複雑化など、産業界を取り巻く環境は刻々と変動した。米中覇権争い、突然起こった新型コロナのパンデミック、、ロシアのウクライナ侵攻、トランプ大統領が再選し、矢継ぎ早に関税政策が発されて世界中が不透明、不安定な時期に突入した。日工会としては着実にやるべきことをやるべく足元を固めるためにデジタル・グリーン・レジリエンスなどをはじめ実績を上げることができた。ご無理をお願いし、坂元新会長にこれからの舵取りをお願いするが、現時点で非常に厳しい環境にある中だが、これまでの企業経営での経験を活用され、業界を熟知されているので、しっかりと日工会を牽引されていくと確信している。」と声援を送った。

「イノベーションは止まらない」
総会終了後の懇親会で、あいさつに立った坂元会長は、新会長としての意気込みを示したあと、「わが国工作機械産業を巡る環境は世界情勢を見回すと、米国の関税政策の動向や、世界各地における地政学的リスクの顕在化により、不透明感が漂う状況と認識される。製造業は生産拠点やサプライチェーンの再構築を迫られている可能性がある。当業界においては経済安全保障などに関して細心の注意が必要となり、難しいかじ取りを迫られる局面に差し掛かっていると痛感している。世界情勢は今後も不安定な状況が続くと懸念されているが、このような状況での世界の産業においてイノベーションは止まることなく、人材不足や人件費高騰、熟練従事者の減少に対して、生産工程の省人化、自動化、そのほかAI機能の発展も進展している。私たちは技術革新に対応した世界トップレベルの製品とサービスの提供を通じて、今後も世界のものづくりに貢献していきたい。」と意気込みを示した。
国内製造業の課題についても触れ、「保有工作機械のビンテージは10年以上の割合が6割を占めている。諸各国の設備に対して生産性や省エネ性の面で大きく劣ってきているという状況だ。本年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において、古い、旧式の工作機械をはじめとする生産設備等の省エネ性能の相対的なリスクが、わが国産業競争力強化につながる官民一体となった取り組みの必要性が指摘されている。最新設備への設備更新は日本の製造業の国際競争力を維持、強化させると同時に、社会課題の解決に向けた取り組みと位置づけられている。」と述べた。
来賓を代表して、経済産業省の田中一成大臣官房審議官が、「30年間にわたるデフレ構造から脱却しようとしている。1月には経団連から2030年135兆、2040年に200兆、このような野心的な国内投資の官民目標を表明された。さらに、平均の賃上げ率が2年連続で5%を超えるという高い水準も達成している。この勢いをしっかりと地方の中小企業、小規模事業者の賃上げにもつなげていくため、国内投資を通じて経済成長を実現するとともに、中小企業や賃上げ原資を確保できるよう、価格転嫁、取引適正化に引き続きペースを上げて取り組んでいく。現在アメリカによる関税措置の影響を受け、世界経済の先行き不安定だが、経済産業省では先月対策本部を立ち上げ、全国約1,000カ所以上の特別相談窓口、さらには中小企業向けの資金繰り支援に取り組んでいる。」と声援を送った。
乾杯の発声は前会長の稲葉善治相談役が行った。宴もたけなわの頃、散会した。

