ヤマザキマザックが 汎用複合加工機に歯車加工専用機を融合させたハイブリッド複合加工機“INTEGREX AGシリーズ”を発表
「昨今、マスカスタマイゼーションという言葉に代表されるように、ニーズの多様化による多品種少量や変種変量、更には一品生産への対応が求められており、このトレンドは、歯車加工の領域についても同様である。」と同社。
従来は歯車加工専用機による工程分割による生産が主流だったが、リードタイムの短縮や生産量と品目の多寡に左右されないフレキシブルな生産ラインを構築するため、汎用機を用いた歯車加工の工程集約のニーズが高まっている。また、求められる歯車のサイズや種類も多岐にわたり、自動車のトランスミッションで使用されるモジュール(歯の大きさを表す単位で、歯車の基準円直径を歯数で割った値)が0.5~1.5といった小型ギアから、建機の機構部品や航空機エンジンの高効率化を実現するギアードターボファンで使用されるモジュール8程度までの大型遊星歯車などがあり、求められる加工機のサイズもさまざまである。
こうした時流を受け、今回同社が新たに開発した「INTEGREX AGシリーズ」は、同時5軸複合加工機であるINTEGREXシリーズにスカイビング加工などの高度な歯車加工機能と機内計測機能を融合したマシンだ。従来複数の専用機で行っていた歯切り加工から旋削・マシニング加工、さらにはレニショー製スキャニングプローブSPRINT™を用いた歯形と歯すじの機内計測と補正追加工など、全加工を1台で完結することで、大幅な生産リードタイムの短縮と高精度な加工を実現する。
INTEGREX AG専用の制御技術と同社独自のCNC装置マザトロールSmoothXに搭載された対話式プログラミング機能により、専門知識が無くても簡単かつ短時間で高精度な歯車加工を実現することも特長のひとつ。同社はこのハイブリッド複合加工機「INTEGREX AGシリーズ」から、中小型歯車加工に対応した「INTEGREX i-200ST AG」と大型歯車加工に対応した「INTEGREX e-1250V/8AG」の2機種を9/10(月)からアメリカ・シカゴで開催された米国国際製造技術展(IMTS2018)に出展し、全世界での販売を開始している。
INTEGREX AG(Auto Gear)シリーズの優位性
複合加工機INTEGREXに歯車加工機能と計測機能を融合(歯車加工に必要な機能を集約)している歯車専用機能付き複合加工機。部品サイズに合わせた2機種をラインナップし、今後、シリーズ化を拡大するとしている。
従来は、加工完了までに複数の機械をわたり歩く工程分割が主流だったが、複合加工機INTEGREXでは、旋盤加工、マシニング加工に加え、スカイビング加工やホブ加工といったギア加工、更には計測やバリ取り、補正追加工までを段取り替え無く本機一台で完結する。これは、同社が“DONE IN ONE”と呼称する工程集約の考え方で、リードタイムの短縮と高精度加工を実現する。
また、CNC装置マザトロールSmoothXに搭載された対話式プログラミング機能では、歯車加工プログラムの作成に必要な専門知識(歯車諸元の複雑な計算)やCAD/CAMソフトが不要。図面に記されている諸元や、送り速度などの条件をグラフィカルなガイダンスを見ながら設定するだけで簡単かつ短時間で加工プログラムを作成できる。歯車の機内計測機能についても同様で、計測結果に基づく補正追加工やバリ取り加工が段取り替え無しで可能である。
■INTEGREXAG(Auto Gear)シリーズの歯車加工機能
(1)ギアスカイビング加工
専用のスカイビングカッタで内外歯車およびスプラインを高効率に加工。加工精度(実績):ISO 7級(旧JIS 3 級, JIS B1702-1976)。
(2)ホブ加工
歯切り専用のホブカッタによる歯切り加工。ホブ工具の使う場所をずらしながら加工する「ホブシフト機能」を搭載、工具の長寿命化を実現。加工精度(実績):ISO 7級(旧JIS 3級, JIS B1702-1976)。
(3)エンドミルによる加工
市販のエンドミルで高精度な歯車加工が可能。専用工具を準備する必要がなく、小ロット生産におけるリードタイムを大幅に削減。加工精度(実績):ISO 5級(旧JIS 1級, JIS B1702-1976)
■INTEGREXAG (Auto Gear)シリーズの歯車計測機能
(1)位相検出機能
ギアスカイビング加工やホブ加工後の歯底または歯山の位相検出機能を搭載。ほかの加工部位との位相を合わせが可能。(特許出願中)。
(2)歯面測定機能(オプション)
形状が複雑で、既存の歯面測定機では測定できない加工物のスキャニングが可能。レニショー製スキャニングプローブSPRINT™(オプション)を用いた歯形と歯すじの機内計測を行い歯面上のうねりや傾斜などを検出。計測結果に基づいてクラウニングやレリービングといった補正追加工が可能。