「グローバル時代を勝ち抜く!」セスクワ ブルーノ・マルコ社長が来日
操作が簡単で信頼性の高いソフトウエアとして多くの企業で使用されているセスクワのソフトウエア。金型の生産性向上に貢献する『WorkNC®』、企業向け統合業務管理システム『WorkPLAN Enterprise®』、ビューワ・コミュニケーター『WorkXPlore 3D®』の主力商品に加え、最近では画期的なデンタルCAMシステム『WorkNC Dental®』を市場投入し、早くも注目を集めた。
セスクワ支社は日本の他に、アメリカ(デトロイト)、ドイツ(フランクフルト)、スペイン(バルセロナ)、インド(プネ)、中国(上海)に置かれ、その他多くの国の販売代理店とともに直販または販売代理店経由で、ヨーロッパ、北米、アジア諸国への拡販、テクニカル・サポートのネットワークを整えている。都内港区虎ノ門にあるセスクワ日本法人はアジアの拠点として、韓国、タイを中心に、アジア地域への拡販、サポートを行う。
精力的に世界中を飛び回るブルーノ・マルコ社長の来日に伴い、お話を伺った。
WorkNC最新版V21は約10倍計算が早い! 穴やポケット加工も完璧!
マルコ社長は今回の来日の目的を「幹部と営業成績の話をするためと、新規開拓をする目的」と話す。
「日本は痛ましい大震災が起こり、われわれとしても新規開拓をするのに難しいところがありましたが現在、市場は回復傾向にあるようです。WorkNCの最新版V21のリリースも近いのでPRにも力を入れたい」とのこと。
WorkNCとは、PC上で“簡単”、“高品質”、“信頼性の高い”NCデータを作成できるCAD/CAMシステム。豊富なツールパスで、加工データを自動作成する独自の技術とノウハウにより、大幅な加工時間削減や生産性の向上を実現している。実績も豊富で、世界中の自動車メーカーおよび関連部品メーカーなどに採用されており、自動車だけでなく、携帯電話、医療、おもちゃ、靴、タービンなどあらゆる工業製品向けの金型、試作、部品加工などの加工現場で採用されている。
「これからリリースする最新版WorkNC V21は、64ビットOS対応とマルチスレッディング技術により、プログラム準備時間を一変させました。計算時間や処理時間を最高10倍まで短くすることが可能になったのです。特に複雑な形状を加工する場合に効果的で、“WorkNC同時5軸”では、12個の加工工程が半分の6工程で行うことができます。加工表面品質を考慮した新しいツールパスでは、連続して加工することで工具摩耗による加工段差を回避します。また、スパイラル設定を行うことで、ワークから工具が離れないスパイラル加工を実現しました。徹底的に面品質を考慮した仕組みなのです」(マルコ社長) 今回の開発で優位性を誇る点は、“WorkNC フィーチャー認識機能”だろう。穴加工およびポケット加工を完璧に行うとしている。同社は、11月29日からドイツ・フランクフルトで開催されるユーロモールドに出展し、会場内でライブ加工を行う予定だ。DMG社製「HSC 55Linear」上で複雑なV6シリンダーブロックの加工を披露する。なお、プログラムの一部として「自動的に機械干渉を回避させ機械加工を効率化させるセミナー」を実施する。
もうひとつまだ先の話しだが最新の情報がある。ビューワとしての検証は測定機能はもちろんのこと、CADデータをコアとして設計から加工現場への情報伝達、取引先との情報交換など、ものづくりに携わる全ての関係者の間で情報を共有するツールである『WorkXPlore 3D』がバージョンアップをする予定なのだ。世界中の製造現場の意見を取り入れて製作したこの製品が、“今まで以上に正確に形状認識ができる”ようになるというから期待したい。
2012年初めにリリースを予定のこの新バージョンでは、正確さを著しく改善するためにB-rep機能を利用している。これは細かなモデルから体積や抜き匂配やエッジの情報を正確に得るために効果的であり、複数のCADシステムからのモデル・データを読み込むことが可能なうえ、さらに複数のモデルを同時に見ることが可能な柔軟性の増したシステムになるという。
マルコ社長いわく、「ビューワでこのような技術は弊社だけ」と自信たっぷりだ。ちなみに『WorkXPlore 3D』はANAに採用されている。
世界中の医療分野に展開するシステムがここにある
同社の『WorkNC Dental』はリリース早々、歯科業界に衝撃を与えた。この製品は、市販されている歯科模型スキャナ/デンタルCADシステムと連携し、あらゆる切削加工機に対応した加工プログラムを高精度かつ短時間で確実に生成することができる自動CAMソフトウエアである。インプラントブリッジや歯冠のスキャンデータから自動的に機械加工する能力を提供する。デンタルCADシステムで作成したSTLデータだけでなく、特定の歯科模型スキャナ専用フォーマットの読み込みに対応し、また歯科業界や他産業で導入されているあらゆる汎用加工機に対応することができるポストプロセッサ機能を持ち合わせているため、センターラボ運用や技工所運用など、用途に合わせたシステムコーディネートが可能なのだ。しかも特別なCAMトレーニングを必要とせず、歯科技工専門知識を持たれている方であれば誰でも簡単に、セラミック、ジルコニア、チタン、コバルトクロムなどの歯科治療用素材から、アンレイ/オンレイ、クラウン、ブリッジ、コーピング、デンチャー、インプラント上部構造体/アバットメント/フィクスチャなどを削り出す加工プログラムを生成できる柔軟なシステムである。
マルコ社長はこのシステムを転用し、「歯科だけではなく補聴器の開発に役立てたいと思い、現在開発中です」と話した。
「最近は医療関係の設備が良くなっていますので、今後の目的として『WorkNC Dental』で培ったシステム技術を補聴器に転用したいと考えました。耳の形は一人一人違います。しっかり個人の耳にフィットしたものが必要なのです。フィットしない補聴器は頭痛がするなど体調が悪くなる原因になりかねない。補聴器は値段も高く、フランスでも片耳20万円~30万円もする高価なものです。この高価な補聴器がCADCAMを使うことでコストダウンに繋がるうえ、性能もアップします」とのこと。
トータルソリューションで製造現場を支えるセスクワはグローバル時代を勝ち抜くための戦略が詰まっている。