【レポート】ヤマザキマザックが「JIMTOF2018 アンコールフェア」を開催! ~サンダーバードとのコラボは“技術で社会や未来に貢献する”思いの表れ~
ヤマザキマザックが、11月29日~12月1日までの3日間、同社美濃加茂製作所 ワールドテクノロジーセンタで「JIMTOF2018 アンコールフェア」を開催した。本年11月1日から6日までの6日間、東京ビッグサイトで開催された「JIMTOF2018」で同社は、「DISCOVER MORE WITH MAZAK~共に未来へ~」をテーマに、EV化やAI並びにIoT化、自動化・省人化に対応するための革新的な機械や生産システム、加工方法やソフトウェアの提案をした。このアンコールフェアには、JIMTOF2018へ都合が合わず来場できなかった方や、開催中にゆっくり見学することができなかった方、より具体的に出展機の仕様、性能を確かめたいという方などに特化した展示会で、会期中には前回を上回る約3000人がJIMTOF出展機をはじめとする最新ソリューションを見学し、国内ユーザーの設備意欲の高さを反映した展示会となった。
旺盛な受注状況の裏には設備意欲の高さにアリ!

今回のJIMTOF2018では100周年企画のひとつとして、サンダーバードとコラボレーションをした広告・プロモーション活動を開始し、サンダーバードの要素を多く取り入れたが、この企画は、多くの来場者の関心を集めた。中西常務も、「サンダーバードとのコラボレーションで、“技術で社会や未来に貢献する”という弊社の思いや理念を伝えることができたと考えている。JIMTOF2018は弊社にとっても成功した展示会だった。」と振り返る。

中国市場については、「弊社は幸いにもスマホ関連の受注の影響を直接は受けないので、工業会の傾向とは異なるが、9月、10月まではピークは過ぎたものの高い水準を保っていた。ところが11月の受注状況を見ると受注に落ち込みが見られた。現状では、実際の需要が落ちているというよりも、米中貿易摩擦の影響で様子見の状態とも考えている。潮目が変わったことは確かで、今後の動きを注視している。いずれにせよ、14億人の人口を抱える中国市場の潜在需要は高く、また人件費の高騰などで自動化、省人化のニーズは非常に高いものがある。従って、中長期的に見れば受注水準は上向くと考えている。貿易摩擦については、中国経済の減速なのか、貿易問題で生産拠点が移るようになるのか、いずれにしても、われわれ設備産業にとっては、中国の内部でも中国から仕事が外へ出ていっても、新しいビジネスチャンスがあるのだ、と考えている。」と前向きな姿勢を示した。
現在、関心事のひとつに“英国EU離脱問題”が挙げられるが、この件については、「いずれにしても最悪の事態、いわゆる無秩序離脱となった際の対応についても色々と検討している。弊社の場合は、大量生産の自動車と違い、完全なjust-in-timeでの生産ではないので、税率の問題はあるが、生産の混乱は起きないのだと考えている。」と話した。

アンコールフェアはマザックの様々なソリューションをじっくり知るチャンス! 新開発の『Smooth AI Spindle(スムースAI主軸)』とは!?

(『FG-220 DDL』の関連記事はコチラ↓)
http://seizougenba.com/node/10583
また、中国大連市にある遼寧工場のCNC旋盤を新たに日本で発売することを開始したことにつき、(注:遼寧工場製は末尾にLが付いている)を比較展示した。さらに今回、大きな注目を浴びたのは、AIでびびり振動を抑制し、なめらかな加工面と高い生産性を実現する『Smooth AI Spindle(スムースAI主軸)』を発表し、実演を行ったことだ。

堀部事業部長によると、「刃物と加工物が共振してしまうことがある。これがびびりで、理論上、制御が難しい。」とのこと。加工中にびびり振動が発生すると、加工物に振動した痕跡が残り、面品位を悪化させることになる。切削条件を数式に基づいて求めることも理論的には可能だが、実際の加工現場では工具の摩耗など、不確実な要因が数多く存在し、理論値との誤差が生じてしまう。

今回、同社が新たに開発した『Smooth AI Spindle』は、ミル主軸に内蔵したセンサにより加工振動を常に監視し、びびり振動検出時にはAI適応制御(特許出願中)により、瞬時に適切な加工条件を見つけ出し、調節することで振動を抑制する機能を指す。独自のAIアルゴリズムにより、むやみに加工条件を落とすことなく、より生産性の高い加工条件でビビリ振動を制御するため、高品位な加工面と生産性の両立が“熟練者を上回るレベル”で実現する。

現在、高まる自動化、省人化ニーズ、人とロボットの協働、非熟練工の活用など、さまざまな課題が製造現場を取り巻いている一方で、世界の製造業は労働賃金の高騰や生産人口の減少といった課題に直面しており、同社はこうした課題を解決し、自動化、省人化、IoT、AI技術などを活用した次世代ものづくりを実現するため、自ら「Mazak iSMART Factory」の取り組みを進めている。同社の工場内で稼働する最新のハイブリット複合加工機は、1台の機械で複数の工程を集約することでマスカスタマイゼーションに対応し、生産リードタイムを大幅に短縮し、また、複数台の機械をつなぎ、IoTによる工場全体の見える化、スマート・ファクトリー化を実現している。
なお、同社のワールドテクニカルセンタは、2006年に開設し、今年で13年目になる。来場者数は間もなく累計20万人に達する予定。「同社の最先端のソリューションをお客様に体感いただく施設として運営に注力していきたい。」としている。