日本工作機械販売協会 新会長に依田氏
2019年07月04日
日本工作機械販売協会(以下日工販)が6月4日、都内の第一ホテル東京で第50回通常総会を開いた。今年は役員改選期であり、新会長に依田智樹 三菱商事テクノス社長が選任された。
総会後に開かれた懇親会の席であいさつに立った依田新会長は、「元号が改まり令和という時代が始まった。日工販は昭和45年の創立であり、来年はいよいよ50周年を迎える時。日本のものづくりと共に歩んでいる長い歴史を持っており、その会長職という大役を拝命し、非常に身の引き締まる思いがしている。」とあいさつをした。
また、工作機械業界をとりまく背景について、「昨年は受注額1兆8,000億円超、史上最高を記録するほど活況だったが、秋ごろから潮目が変わり、米中の貿易摩擦や中国の景気後退もあり、先行きがかなり不透明な状況になっている。一方、市場環境は非常に速いスピードで変化している。デジタル化、電動化、あるいは省人化、アディティブマニュファクチャリング、AI、IoTを使ったスマートマニュファクチャリング等々、ものづくりからコトづくりに変わってきており、ニーズが付加されていることが言えるのではないか。それに伴い、われわれのビジネスモデルも変えていく必要に迫られている。」との見方を示した。
日工販の活動については、「会員各社の皆さまをはじめ他業界の方々とも綿密に連携を取り、新時代の新しい姿を目指していきたい。これまでも会員各社の販売力強化のための教育事業や製品の勉強会、工場見学等実施し、実績を積み重ねてきたが、加えて何か新しい施策もぜひ実行していきたいと考えている。会員数も現在81社だが、これをぜひ100社を超えるレベルにまで持っていき、組織力を強化していきたい。広報活動に注力し、さらにステータスを高める活動もしていく。」と意気込みを示した。
来賓を代表して、松本 崇 経済産業省 製造産業局 産業機械課課長補佐が、「平成の時代はバブルの崩壊以降、長いデフレに苦しんだ時代だったが、令和に入り経済成長も堅調に推移している。日本が世界をけん引する気持ちで官民が協力をして連携を進めていければと思っている。ものづくり製造業が日本の根幹、源なので、世界の製造業の中で日本が果たす役割も大きいと感じている。また、製造業全体では第4次産業革命など、大きなうねりが来ているところであり、単にものを売る、ものをつくるだけではなく、いかに高付加価値をつけていくかということが鍵となる。」とあいさつをした。 業界を代表して、飯村幸生 日本工作機械工業会会長が、「工作機械業界を見ると平成の30年で非常に進歩したと思う。以前は月1,000億、1兆円あれば御の字という業界であった。そこから去年は1兆8,000億超えということで、非常に大きなジャンプをした。工作機械の競争軸は、従来の高精度、高剛性、高速といったことから変わってきている。“ものからコトへ”ということが挙げられるが、どうやってものとコトを融合させて、お客様に訴求をしていくか。AI、IoTを使った内容はもとより、ユーザビリティーや工程集約など、少々軸の違うところで戦っていきましょうという議論がある。ここが、われわれ日本の工業界の非常に得意なところだろう。この令和の時代には年間2兆円を達成するということができるだろうと確信をしている。そのためには、やはり変わるということが重要であり、皆様と一緒に変わっていきたい。これから海図のないような海に出港していかなきゃいけないようなことも出てくるかと思う。様々な仕組みが変わって、製造拠点が変わり、調達インフラも変わるなど、現在、非常に予見不可能な状態の中にわれわれは突っ込んでいかなければならない。われわれは、同じ船に乗って、これを踏破していくという意味で、一丸となって市場を開いて世界に対するプレゼンスを上げていきたい。」と声援を送った。 乾杯の発声を中川貴夫 日本工作機械輸入協会会長が行った。宴もたけなわの頃、散会した。