日本機械工具工業会が令和元年度「秋季総会」並びに「日本機械工具工業会賞」表彰式を開く
日本機械工具工業会(会長=石川則男 オーエスジー社長)が、10月9日、アーバンネット大手町ビル(東京都千代田区大手町)内の東京會舘で令和元年度「秋季総会」並びに「日本機械工具工業会賞」を開催した。受賞者は次のとおり。
業界功労賞
■中河 清氏(元、株式会社不二越)
平成20年6月~平成21年6月 日本工具工業会 理事長 1年0カ月
平成16年6月~平成24年3月 日本工具工業会 中部支部長 7年9カ月
(企業経歴)
昭和50年4月 株式会社不二越入社
平成16年2月 取締役
平成19年2月 常務取締役
平成23年2月 同社退任
【功績の概要】
平成20年6月、日本工具工業会第11代理事長に就任、就任中は日本工具工業会創立60周年記念事業を成功裏に遂行された。特に、創立60周年記念誌では経済産業省をはじめ関連業界のトップから今後の機械工具の進むべき方向など幅広く寄稿いただき取りまとめられた。また、製品技術・開発技術、資源問題、さらに環境問題の解決について工業会の各委員会から意見を集約された。一方、平成16年から7年余りに亘って、日本工具工業会中部支部長を歴任され、中部支部の会員の活性化に取り組まれ、毎回趣向を凝らした会合を企画立案されるなど、工業会の基本理念である会員の全員参加に尽力された。その経験を理事長時代にも生かされ、総会、理事会はじめ製品別部会や各委員会活動の活性化を図られた。また、機工グループ展のメンバーとして、10年以上毎年作品を出展され、不二越退職後も当業界のメンバーはもちろん幅広く関連業界との交流も続けられている。
■藤井裕幸氏(元、サンドビック株式会社)
平成12年6月~平成21年6月 超硬工具協会 理事 9年0月
平成21年6月~平成23年6月 〃 国際関係担当常任理事 2年0月
平成23年6月~平成25年6月 〃 副理事長国際関係常任理事 2年0月
平成25年6月~平成27年6月 〃 国際関係担当常任理事 2年0月
平成27年6月~平成28年6月 日本機械工具工業会理事 2年0月
(企業経歴)
平成17年 4月 取締役副社長兼コロマント事業部長
平成19年11月 代表取締役社長
平成28年11月 同社退任
【功績の概要】
平成12年6月より旧、超硬工具協会理事に就任、以来16年の長きにわたり役員を務められた。平成21年6月倉阪克秀理事長により新設された国際関係対策常任理事に就任。世界はまさに猛烈な勢いで変革を始めた年で、リーマンショックに端を発した世界不況、その一方で、その後中国などの新興国の目覚ましい発展。このような中で、協会発展のため海外からの情報収集や海外の切削工具団体などとの情報交換を展開された。
特に、1998年から米国、欧州、日本の3極で3年おきに開催されている世界切削工具会議(WCTC)では、5回目にあたる2013年5月京都会合の実行委員長として両団体から選考されたプロジェクトメンバーを主導された。準備段階では、USCTI(米国切削工具協会)、ECTA(欧州切削工具協会)両工業会の理事会や総会に出席され、日本会合に何を期待、望まれているか等、きめ細かな内容調査を行うなど周到な準備をされ、会期中には「匠とおもてなし」を掲げられ各国のVIPからご婦人までその企画運営に賞賛が送られるなど成功裏に終えられた。
技術功績大賞
●「Silent Toolsプラスの開発」
サンドビック(株) 河田洋一
[新規性]
従来、工作機械にセンサーを取り付けて加工のモニタリングを行う製品・ソリューションはあったが、本来の加工部位である刃先から距離があるため(特に今回のような深い内径用の突き出しの長い工具では)、機械側で得られるデータと刃先での現象に乖離があった。本製品においては、より刃先に近い工具内部にセンサーを内蔵とした点、それにより、刃先で起きている現象と得られるデータの整合性が大幅に向上した点が新しい。
技術功績賞
●「アルミ加工用Tung Speed Millの開発」
(株)タンガロイ 阿曽孝洋、竹澤大輔、服部隆幸
[新規性]
本開発品の最も大きな特徴は、刃先調整機構付きカッタでありながら、調整用のカム部品をレンチに配置し、ボディから調整用の部品を排除した事である。こうする事で、調整機構やその操作に必要なスペースをミニマム化し、φ100で22枚刃を達成した。レンチを持ち替えず調整できるように工夫されており、操作時間を約45%短縮した。
●「ハイパー Z スパイラルタップ チタン合金用の開発」
(株)不二越 高見俊輔
[新規性]
これまでのチタン合金用タップは、加工しためねじに通りねじゲージが入らない、突発折損するなどの問題があった。原因調査したところ、分断型切りくずを逆転時に噛み込む様子が観察された。比較的切りくずが小さく分断される低延性材料に対し溝形状を2段溝とし、主溝と副溝の間に凸部形状を設けることで逆転時の噛み込みを抑制する点に新規性がある。
技術奨励賞
●「低嵩炭化タングステン(WC)粉末の開発」
(株)アライドマテリアル
[新規性]
従来WC粉末は、微粒であるほど凝集粒子が多く嵩高となる課題があった。
今般、原料、還元工程、炭化工程の最適化を図ることにより、W粉やWC粉の凝集を抑制したことに新規性がある。
●「アルミニウム合金加工用高能率カッタANX型の開発」
住友電工ハードメタル(株) 木下啓次、沖田泰彦、金田泰幸
[新規性]
①高速回転対応構造と4.5刃/inchの多刃設計(従来比1.5倍)により、 超高能率加工を実現。
②クランプ時のボディ撓みによる刃先位置の変動を抑制する構造にしたことで、正面振れ5μm以下に高さ調整する作業時間の大幅な短縮に成功。
③新技術のブレード(超硬)スルーで、刃先近くへ高い圧力のクーラントを噴出することにより、切りくずを細断することが可能。
●「溝入れ突切りバイトGWシリーズの開発」
三菱マテリアル(株) 木曽拓真、渡辺彰一郎
[新規性]
従来主流であったインサートをハンマーで叩いてクランプする方法から、専用レンチを使用したクランプ方法に一新することで刃先位置再現性や作業性、安全性を向上させた。またクランプ方法の変更に伴い、インサートクランプ面の逆テーパ化を実現し、抜け防止効果を高めることで、切削性能に加え作業性も向上した突切り用バイトを製品化した。
環境賞
(1)環境大賞 日本特殊陶業(株)
(2)環境特別賞 (株)東陽
「こだわりは日本流の製品に対する熱い思いとサービスの向上」
懇親会の中で石川会長は、日頃の感謝の意を表したあと、「日米の新しい貿易協定が決まったということで、私どもにとっては追い風になる。」とし、最近、大いに賑わいをみせたラグビーの話題に触れたあと、「世界で活躍できる企業を目指す。国籍も民族もこだわってはおらず、こだわっているのは日本流の製品に対する熱い思いとサービスの向上。世界経済はやや下降気味だが、こうした気概をもって残りの数カ月間、皆様と一緒に発展したい。」とあいさつをした。 来賓を代表して松本 崇 経済産業省産業機械課生産機械課長補佐が、ドイツで開催されたEMO Hannover(エモ・ハノーバー)国際金属加工見本市での出来事を話した。塚本 裕副会長(不二越 取締役)が乾杯の発声を行い開宴し、参会者は親睦を深めた。